サリオス(Salios)とは、2017年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2019年:朝日杯フューチュリティステークス(GI)、サウジアラビアロイヤルカップ(GIII)
2020年:毎日王冠(GII)
2022年:毎日王冠(GII)
父ハーツクライは有馬記念でディープインパクトを破り、種牡馬としても成長力に定評がある産駒を送り出していたが、2023年に死亡した。
母サロミナはG1ディアヌ賞(ドイツオークス)優勝馬。母父は映画化もされたドイツの英雄Lomitas。
サリオスのきょうだいに府中牝馬S優勝のサラキアなどがいる(後述)。
ドイツ式の馬名の命名法(母親からイニシャルを取る)とローマ神話に登場する人物の名前からサリオスと名付けられた。
大型馬のため育成に入るときは緩く見えたという。気性もおっとりしていて、訓致は順調に進められたが、コースに入って仕掛けても反応が悪かったという。その中でもノーザンファーム育成の木村厩舎長は才能を感じ取っていた。
順調に仕上がった6月2日の新馬戦で、短期免許で来日中のダミアン・レーンを鞍上に迎えてデビュー。1番人気こそダービー馬レイデオロの半弟アブソルティスモに譲ったが、やや後方からの競馬の競馬になったサリオスが直線で逃げていたアブソルティスモを捕らえ、さらに2馬身突き放してゴールした。
10月5日のサウジアラビアロイヤルカップでは石橋脩に乗り替わり。1番人気に支持され、3番手からの競馬になったサリオスはアブソルティスモを交わし、さらに追い込んできたグラヴァシュドールを交わして1馬身1/4差をつけて2歳コースレコードでゴールした。
12月15日の朝日杯フューチュリティステークスではライアン・ムーアを鞍上に単勝オッズ2.0の1番人気に支持され、3番手から直線で抜け出し、さらにタイセイビジョン他の追い込んできた馬を2馬身1/2離してゴールした。勝ちタイム1:33.0はレースレコードであり、また馬体重538kgはJRA2歳G1の最高馬体重優勝馬だった。
この年のJRA賞の最優秀2歳牡馬は票が割れたが、同じく無敗でG1を制したホープフルステークス優勝馬コントレイルが選出された。朝日杯フューチュリティステークス(旧朝日杯3歳ステークス)優勝馬で最優秀2歳馬(旧最優秀3歳馬)を逃したのは1987年以来、さらに言えば旧阪神3歳ステークスが牝馬限定になってからは初となった。ここから苦難が始まっていたとは…
サリオスとコントレイルは両馬とも順調に冬を越し、トライアルを使わずに皐月賞で激突することになった。鞍上は再びD.レーンが担当。新型コロナウイルスの影響で無観客で行われたレースではサリオスは好位置につけてコントレイルはやや後方からの競馬になった。直線でサリオスが抜け出すもコントレイルが外から追い込んできた。さらにサリオスは内から伸び返し、両馬の壮絶な叩き合いの末に勝利したのはコントレイルで、サリオスは2着に敗れた。
続くダービーではやや外枠の発走から内に入り込むことができず、外目後方待機での競馬となる。
直線は上がり2位タイ34.1の末脚でヴェルトライゼンデ以下を抜き去ったものの、内枠から先行して上がり最速を繰り出したコントレイルには突き放されまたも2着に終わる。
そして菊花賞は距離適性を考慮し、出走回避を早々に決定。マイル~中距離路線を歩むこととなる。
秋はこの週から無観客開催が解除され競馬場に観客が戻ってきた毎日王冠から始動。帰国したレーンに代わりクリストフ・ルメールが初騎乗。
古馬初対戦ながら1番人気となったこのレースでは4番手から直線で力強く伸び出して2着に3馬身をつけて勝利。
この調子で挑戦したのはマイルCS。毎日王冠の勝ち方から安田記念を制したグランアレグリアに次ぐ2番人気での出走。ルメールはもちろんグランアレグリアに乗るので鞍上はまたもテン乗りとなるミルコ・デムーロを迎えたが外枠発走でしかも後方からの競馬となってしまい、グランアレグリアから離れた5着。しかし全体の上がりタイムは最速であり、サリオスより上位はみな内枠。内枠であったならあるいはあったかもしれない。
この年は以降休養にあて、翌年はドバイターフから招待を受けていたものの辞退、大阪杯からとなった。
冬を休養にあてたサリオス。放牧中も問題がなかったため大阪杯へ。ここから3戦、鞍上は久々の日本人騎手となる松山弘平が務める。
昨年無敗三冠を成しえたコントレイル、三階級制覇を目指して参戦してきたグランアレグリア、18年ダービー馬ワグネリアン、17年マイルCS勝者ペルシアンナイトの参戦とG1馬が参戦する中、コントレイル、グランアレグリアに次ぐ3番人気に推される。
レースはレイパパレが逃げる中を三番手追走の形になる。4コーナーでコントレイル、グランアレグリアと並んでレイパパレを追うも雨の重馬場が響いたか、レイパパレが逃げ切り1着。さらに重馬場大好きモズベッロにまとめて差されて三頭の中では最後着となる5着だった。
香港チャンピオンズマイルから招待を受けるも辞退、次走は安田記念となった。
グランアレグリアやインディチャンプ、当年のNHKマイルC勝者シュネルマイスター、17年朝日杯勝者ダノンプレミアムなど、マイルの強者が集う中、グランアレグリアとインディチャンプに次いでまた3番人気。しかし伏兵ダノンキングリーが悲願の戴冠を迎える中で、何の見せ場もなく中団に沈んだまま8着。
いいとこなしで春競馬を終えることとなる。
夏の休養から挑むのは前年悔し涙を呑んだマイルCS。ラストランで安田記念の雪辱とマイルCS連覇を狙うグランアレグリア、毎日王冠を勝利して乗り込んできたシュネルマイスターに次ぎ安田記念を全く同じ上位面子でまたまた3番人気に推される形に。
レースになるとホウオウアマゾンが逃げるなか、前に行く馬が少なかったこともあり三番手に押し出される形に。満足に足を溜めることも叶わず、直線で標的にしてきていたインディチャンプにかわされ最終的には6着。シュネルマイスターだけでなく、マイル2戦目のダノンザキッドにも先着されており、不完全燃焼となった。
苦戦が続く中、年内最終戦は香港マイル。ダービー以来のコンビとなるD.レーンを鞍上に、香港馬王ゴールデンシックスティはもちろん、当レースでラストランが決まっているインディチャンプ、安田記念勝者ダノンキングリー、ドバイターフ2着のヴァンドギャルドと強敵がそろう中、初めての海外遠征で復活の美酒を味わえるかと期待された。
レースではハナを取りスローペースに持ち込み、直線で押し切る形を狙う。間を割ってきたゴールデンシックスティにはあっさりとかわされたが、日本馬最先着の3着に粘った。鞍上を務めたレーンは次回以降より良くなるとコメントした。
結局1勝もできずに終えた4歳シーズン。世代筆頭であるコントレイルが引退レースで花道を飾ったものの3戦1勝と苦戦し、サリオスをはじめとするクラシック戦線でコントレイルと戦った同期たちもなかなか目立った成績を残せなかったため、世代の強さを疑問視する厳しい声を一身に浴びることも目立った。とはいえ遅咲きで大輪を咲かせた先輩たちも多いハーツクライ産駒とあって、翌年に期待を抱かせる年内ラストレースではあった。
開けて5歳。1200mの国内G1高松宮記念と1800mの海外G1ドバイターフの両睨みだったが、結局スプリント初挑戦となる高松宮記念参戦を決める。また、このころには馬体重が冬の間に580kgを越えたことが報じられ、ヒシアケボノの持つ最重量GI勝利記録(582kg)更新の可能性まで取りざたされた。
レース本番、鞍上はデビュー2戦目以来に石橋脩を迎え、馬体重はなんとか絞って550kg 。前日の雨もあって重馬場となっていたが、1枠1番の最内に入ることとなった。日中は晴れて内側が乾きつつあり、有利といえた。それもあってか未知数のスプリント適正、明らかに太い体などの多くの不安要素を抱えつつも4番人気に推される。
しかし結果はゲートで失敗し、中団で押し込められて1200mの激しい流れに全くついて行けず、デビュー以来最悪の15着。お咎めこそなかったものの4コーナーでファストフォースに当たり、その外を走っていたメイケイエールに少なからず不利を与えていた。
古馬になってマイルでも2000mでもなかなか結果がついてこない中で博打にも見えたスプリント参戦でのこの惨敗に、「サリオスの真の適正は一体どこなのか」とファンは頭を悩ませることになる。
とはいえ陣営の本命はやはりマイル路線ということで、次走は安田記念。鞍上には過去4戦で騎乗し全て馬券内と相性の良いD.レーンを迎えた。体重は22kg減(!)の528kg。近走の低調・迷走ぶりや、大幅な馬体重減(ダービー当時の体重なのでベストに戻っただけではあるのだが)もあり、デビュー以来最低の8番人気となる。
レース本番、ホウオウアマゾンがスローペースで逃げる中を中団で進めていくと直線で手応え良く伸びていく。残り200辺りで抜け出していたダノンザキッド、ファインルージュをかわすも外からマークしていたソングラインと内から進路を確保してきたシュネルマイスターにかわされ、最後はソングラインの3着となった。
秋は2年前に制した毎日王冠から始動。鞍上には松山弘平が戻ってきた。サリオス以外に前年大阪杯で戦ったレイパパレ、22年の同じく大阪杯王者ポタジェ、20年のホープフルステークス王者ダノンザキッドと、10頭立てながらここ最近苦戦続きの4頭のGI馬が揃う面子となったが、安田記念の好走や、ここ最近増減の激しかった体重が安定したこともあり、一昨年の同レース以来久々の1番人気となる。押し出される形とはいえ丸2年未勝利で1番人気を取るのだから根強いファンの多さがうかがえる。そしてサリオスも久々に、そんなファンに応えるレースを披露する。
ダノンザキッドがゲートをぶっ壊して発走が遅れるという波乱含みのスタートの中、サリオスは中団で落ち着いてレースを進める。前半1000mを57秒8というハイペースで逃げていたレッドベルオーブが直線で早々に脱落し、先頭はバテつつも必死で粘るレイパパレ。大暴れしたのになぜか元気に先団に取りついていたダノンザキッド、大外最後方から一気に追い込んできたジャスティンカフェがレイパパレを捕えようとした刹那、中央を切り裂くようにサリオスが一気に場群を突破。残り100mで3頭を一気にぶち抜き、最後は1/2馬身差をつけてゴールした。2年前の同じレース以来となる勝利は、1:44.1のレースレコードを記録する圧巻の完勝。オグリキャップ以来史上2頭目となる毎日王冠V2というおまけまでついてきた。
次走は鞍上をライアン・ムーアに変えマイルCSに挑む。GI3勝の白毛の女王ソダシ、昨年のNHKマイルC馬シュネルマイスター、今年のNHKマイルC馬ダノンスコーピオン、前走で対決したダノンザキッドなどが集まり、単勝オッズは1番人気のシュネルマイスターですら3.6倍と混戦模様。サリオスは単勝オッズ6.2倍の3番人気に推された。
サリオスは中団後ろから馬群の中を進み直線に入るが、前が他馬でふさがっており、進路を変更しようにも内も外もふさがっていた。結局最後まで進路が空くことはなく、3歳馬セリフォスの戴冠の中14着と大敗した。
次走は香港マイル。そして、このレースを最後に引退・種牡馬入りすることが発表された。
コントレイルが引退し世代を背負う立場となった22年、苦しんだ元2歳王者が意地をかけて完全復活を狙いに行こうとしたが、前日に左前肢の跛行が見つかったため、無念の出走取消となった。[1]
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https://twitter.com/HKJC_Racing/status/1601426369195692032
その後、2022年12月21日付で競走馬登録抹消、引退し社台スタリオンステーションにて種牡馬入りする事が決定。長年適性距離に悩まされながらもマイル戦線に活路を見出していただけに悔やまれる現役生活だったが、先年種牡馬引退した父ハーツクライ(2023年3月死去)の後継者として、一矢報いれるかは彼の産駒たちに託される事になる
ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
Severn Bridge | |||
*ビューパーダンス | Lyphard | ||
My Bupers | |||
*サロミナ 2009 鹿毛 FNo.16-c |
Lomitas 1988 栗毛 |
Niniski | Nijinsky II |
Virginia Hills | |||
La Colorada | Surumu | ||
La Dorada | |||
Saldentigerin 2001 鹿毛 |
Tiger Hill | *デインヒル | |
The Filly | |||
Salde | Alkalde | ||
Saite |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
掲示板
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最終更新:2024/11/11(月) 06:00
最終更新:2024/11/11(月) 06:00
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