サンエイサンキュー
サンエイサンキューとは、1989年生まれの日本の元競走馬である。
旧年齢で表記する。
父ダイナサンキュー、母グロリーサクラ、母父シーホークという血統。父はノーザンテースト産駒で、デビュー3連勝でデイリー杯3歳Sを制したがその後屈腱炎から復帰できなかった経歴を持つ馬。母は5代母星旗=クレオパトラトマスから繋がる由緒正しい牝系だが、この時期には活躍馬は全くいなくなっていた。一応3代母はハクチカラの全妹である。
3歳7月に札幌競馬場でデビュー。新馬戦を2着に敗れるが翌週に折り返しの新馬戦で初勝利(当時は同じ開催中なら新馬戦に複数回出走できた)。さらに3連闘でGⅢ札幌3歳Sに挑んだが13着に跳ね返される。その後もほぼ月1回のペースで出走し続け、3歳までで7戦を消化。GⅢ函館3歳Sで2着、OPいちょうSを勝ちGⅠ阪神3歳牝馬Sでもニシノフラワーの2着に突っ込む。
明けて4歳になってもほぼ休養せず、2月のGⅢクイーンSの接戦を制して重賞初勝利。その後何故か皐月賞トライアルのGⅡ弥生賞に出走し6着、さらに何故か牝馬戦線に戻るが桜花賞で7着と結果を残せず。ここで業を煮やした馬主が函館3歳Sから騎乗していた東信二を降ろし、鞍上に田原成貴を迎える。初コンビとなったオークスでは人気を落としたが後方から末脚に賭ける競馬で2着に善戦。田原は「こんなに走る馬ならもっとその気になって乗ればよかった」と振り返ったという。
夏は北海道に移動。エリザベス女王杯(当時は4歳限定、現在の秋華賞のポジション)に備えて休養・・・と思いきや、札幌記念に出走。やや手薄なメンバーで軽ハンデだったとはいえ、早め先頭上がり最速という強い競馬で圧勝。初の4歳(現3歳)馬による札幌記念勝利を成し遂げる。しかしここまでデビューから12戦。平均して月1戦とはいえ、休養をほとんど挟まない若馬には酷なローテーションで、サンエイサンキューの調子は下降線をたどり始めていた。しかし馬主は騎手の田原や厩舎スタッフの反対も無視して出走を継続。函館記念に転戦するが8着と惨敗してしまう。
なおも馬主は反省するどころか、トライアルとして施行されていたサファイヤSとローズSの両方に出走させると決定。関係者は「ローズSに出す必要はない」と反発したが聞き入れられず双方に出走。しかも幸いなのか不幸なのか、サファイヤSに勝利しローズSも2着と好走する。なお、ローズS後に馬主は「まあ使い得でしょう」というコメントを残している。
トライアルの好走で本命サイドにはなったものの、使い詰められたサンエイサンキューは明らかに不調。田原は最終追い切りの後、テレビの取材に「状態は最低」「こんな出来では勝てない」と、GⅠ騎乗前としては異例とも言えるネガティブな発言を繰り返した。田原は元々歯に衣着せぬ言動が目立つ破天荒な騎手だったが、しかしさすがに否定的になりすぎたと思ったのか、取材の録画が終わった後でこうつぶやいた。
「こんなに悪く言って、これで勝ったら頭丸めなきゃあかんな」
取材終わりの何気ない冗談の一言だったが、これが事件の引き金になる。
この時、サンケイスポーツの競馬記者が取材に間に合わなかった。個別でサンエイサンキューについて田原に取材しようとしたが、田原は「見たらわかるやろ」とコメントを拒否(田原は元々サンスポと確執があった)。そこで記者はテレビディレクターから上記の取材内容とつぶやきを伝え聞き、翌日の新聞でこう見出しを打った。
読みようによっては「田原は2着以上になる気がない」という八百長も疑われかねない内容であった。この11年前に「サルノキング逆噴射事件」で八百長の疑いを持たれた田原としてはたまったものではなかった。記事に対してしっかりと「誤解を招くような記事は勘弁してほしい」と言明したが、今度は「田原謝罪」と見出しを打たれる。この対応に田原は不信感を募らせ、この年の有馬記念前にサンスポの取材を拒否。別の競馬紙に「事実を歪められたらどうしようもない」と取材を拒否した理由についての手記を寄せ、この競馬紙にサンスポが抗議を入れるという顛末をたどった。これが後々「サンエイサンキュー事件」と呼ばれる騒動である。
この一連のサンスポの不誠実極まる動きに対し、サンスポの競馬担当記者だった片山良三は『Sports Graphic Number』に一連の騒動について自社を批判する記事を寄稿するが、サンスポはこれに対し片山記者を解雇するという二次災害的な事件も発生。これに抗議する意図でサンスポの複数の記者が退社し、フジサンケイグループの体質を巡り特集記事が組まれるほどの問題に発展した。なお、問題の発端となった記事を書いたサンスポ記者は表だった処分を受けることなく長きにわたって競馬記者を続け、自身の名前を冠したコラムも複数連載している。
人間たちの大騒動も馬にとっては知らぬこと、サンエイサンキューはエリザベス女王杯に出走。絶不調でも踏ん張り5着と掲示板に残る。田原は「これでやっと休めるな」と声を掛け、厩舎サイドも放牧の予定を立てていた。
・・・しかし、またしても馬主がプランをひっくり返し、有馬記念出走を決定してしまう。この時にはサンエイサンキューは身体にも変調を来しており、エリザベス女王杯の頃から痛めていた橈骨は調教の度に軋む音が鳴るという有様。もはやまともに走れる状態ではなく、厩舎スタッフも「有馬なんて走らせたら終わりだ。あまりにむごい」と涙したという。
田原は「こんな状態の馬に責任は持てない」と騎乗を断り(トウカイテイオーの騎乗予定もあった)、加藤和宏のへの乗り替わり。それでもオーナーの意向には逆らえないのが競馬。サンエイサンキューは有馬記念に出走した。関係者は「順位なんてどうでもいいから無事に回ってきてくれ」と願い、鞍上の加藤も後方でそっと騎乗した。
・・・しかし最後の直線、サンエイサンキューの足は止まった。右橈骨手根骨複骨折。レース後、トウカイテイオーに騎乗していた田原は「俺が止めなきゃいけなかったのに何もしてやれなかった」と目を赤くしたという。
サンエイサンキューの故障は通常ならその場で安楽死になるレベルの重篤なものだったが、馬主は延命治療を決断。しかしその理由も馬への愛情ではなく「繁殖に上げれば金になる」というものだった。脚にボルトを埋め込む手術が行われたサンエイサンキューは長い闘病生活で一時は回復することもあったが徐々に衰弱。元々430kg程度と小さかった馬体は300kg近くまで痩せ細り、蹄葉炎も併発。それでも2年近く辛抱強く生き続けたが、1994年10月に心臓麻痺で力尽きた。
馬主は後に「競馬はビジネスである以上稼がなければならない」とコメントした。実際この馬主は育成牧場を所有しており、安くて見込みがある馬を牧場で鍛えてとにかく競走に使うというスタイル。2歳トレーニングセールの創設者でもあり、競馬ビジネスで大きくなった人物であった。一方で当時から資金繰りに行き詰まっていたといわれており、サンエイサンキューの酷使の一因もそこにあったとコメントする関係者もいた。後に馬主は金銭を巡り逮捕(脱税とも詐欺ともいわれるが詳細は不明)されている。
競馬においてサラブレッドは馬主の所有物であり、決定権は馬主にある。ゆえに稼ぐために馬主がどう使ってもそれは所有者である馬主の自由である。また、人知れず過酷な扱いを受けて人知れず消えていった馬が無数に存在するのもまた事実であり、サンエイサンキュー、あるいはテスコガビーなどはたまたま活躍した後に事故に遭ったから議論の俎上に上がるのであって、彼女たちの関係者だけが槍玉に上がるのも間違っているかもしれない。
しかしサラブレッドは生きている。そこにある生命の尊厳を無視して儲けの道具として利用することが正しいのか・・・。サンエイサンキューが投げかけた問題は経済動物サラブレッドと人間の関係の根本に今なお残り続ける。
ダイナサンキュー 1984 栗毛 |
ノーザンテースト (Northern Taste) 1971 栗毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic 1954 黒鹿毛 |
Natalma 1957 鹿毛 |
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Lady Victoria 1962 黒鹿毛 |
Victoria Park 1957 鹿毛 |
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Lady Angela 1944 栗毛 |
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メルシーダイナ 1979 栗毛 |
ボールドアンドエイブル (Bold and Able) 1968 栗毛 |
ボールドラツド 1962 栗毛 |
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Real Delight 1949 鹿毛 |
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スイートターフ 1965 栗毛 |
ガーサント 1949 鹿毛 |
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アリエツタ 1961 鹿毛 |
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グロリーサクラ 1984 芦毛 FNo.16-h |
シーホーク 1963 芦毛 |
Herbager 1956 芦毛 |
Vandale 1943 鹿毛 |
Flagette 1951 栗毛 |
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Sea Nymph 1957 芦毛 |
Free Man 1948 鹿毛 |
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Sea Spray 1947 栗毛 |
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ジァガーサクラ 1979 芦毛 |
ラフィンゴラ 1965 芦毛 |
Grey Sovereign 1948 芦毛 |
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Cameo 1955 青毛 |
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ヤシマキーパー 1961 栗毛 |
トビサクラ 1942 栗毛 |
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昇城 1944 栗毛 |
掲示板
39ななしのよっしん
2022/06/20(月) 09:38:27 ID: gCnAwDPTxS
ゲームシステムとしても当然無茶をすればペナルティが発生する仕様にはなってるし、その上でペナルティよりもメリットが大きければ肉を切らせて骨を断つのがゲームってもんだからな
ペナルティがリカバリ不能なほど大きければ回避せざるをえないけど、それこそ即育成終了レベルのペナルティでない限りなんかしら突破はされるだろうし、ノルマクリア失敗でも育成1回終了としてカウントされる以上デイリーミッション処理のために活用(悪用)されるのは目に見えてる
デイリーミッションや育成下振れの処理のためにレースに突っ込ませて予後不良に叩き込むゲームになったらそれこそ最悪だろ
40ななしのよっしん
2022/06/20(月) 09:46:14 ID: KUp2Bde8k7
41ななしのよっしん
2022/06/20(月) 15:54:37 ID: HguojxKerG
まあローテの話とはちょっと違うけどウイポでも「産み分けと能力開示と限界突破チケットないとまともにプレイできない!!!」とかのたまうのもいるしガチ勢思考や効率厨思考が骨身に染みすぎてそれが当たり前、公式もそれを前提にしてると思い込んでるやつはよく見かける
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最終更新:2022/06/30(木) 10:00
最終更新:2022/06/30(木) 10:00
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