シェイクユアハート(Shake Your Heart)とは、2020年産まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
父ハーツクライ、母ルンバロッカ、母父Sri Pekanという血統。
父についての説明は長くなるので当該記事に譲る。母はアイルランド産馬で、2004年のレジーナエレナ賞(イタリア1000ギニー)を勝利、引退後日本で繁殖入りしている。14頭の子のうち10頭が勝ち上がる堅実な成績で、本馬以前の活躍馬といえば2011年のすみれステークスを勝利したロッカヴェラーノ。20年産(のちのシェイクユアハート)を産んだのち用途変更(繁殖引退)となったので、末子にあたる。母父はアメリカ産のイギリス調教馬。マレーシア・パハン州のスルタンが所有していた競走馬で、G1には手が届かなかったが勝ち上がり以降重賞3連勝を含む5連勝。引退後はアイルランドで種牡馬として数年間活動し、デルマーオークス馬などを輩出。トルコ輸出後はガジ賞(トルコダービー)馬を輩出している。やけに国際色豊かな説明
2020年3月20日に千歳の社台ファームにて誕生。吉田千津氏(社台ファーム代表吉田照哉氏の夫人)名義で、オーナーズクラブの「LEX PRO」で募集された。
馬名の由来は「心を揺さぶる」。父ハーツクライからの連想であろう。
栗東・宮徹厩舎に入厩し、デビュー戦は10月29日・阪神5Rの新馬戦(芝2000m)。鞍上は藤岡祐介。3番人気に支持され、外枠から中団外目に付けてゆくも直線伸びを欠き8着。このレースの勝ち馬は2025年の日経賞を勝利したマイネルエンペラーで、他にものちの古馬OP馬3頭(ケイアイサンデラ・スマートファントム・ハギノサステナブル)がいる、今から見るとちょっと豪華な新馬戦であった。うち2頭は後の話にちょっと絡んでくる
仕切り直して12月3日・中京4Rの未勝利戦に出走。鞍上は藤岡康太。今度は馬群の中で待機し、直線抜け出して初勝利を挙げた。
年が明けて当然目指してゆくのはクラシック戦線。しかし平場の1勝クラス、きさらぎ賞(GⅢ)、大寒桜賞(1勝クラス)と戦ってゆくもそれぞれ3着、6着、4着と勝利はつかめず、プリンシパルステークスに登録するも熱発により回避。首を痛めていたようで休養に入り、春クラシック出走はならなかった。
復帰戦は8月19日の富良野特別(1勝クラス・札幌芝2000m)。ここから主戦は「フルキチ」こと古川吉洋が務めてゆくこととなる。ここは6着に敗れるも9月2日に中1週で挑んだ同条件平場の1勝クラスでは3コーナーから押し上げる強気の競馬で勝利。そのまま在厩調整で挑んだ10月10日の清滝特別(2勝クラス・京都芝2200m)も2番手先行からの押し切りで快勝(一応これで菊花賞の賞金ボーダーは突破したのだが、中1週ということで登録は見送った)。これは近いうちにオープン入り・重賞での好走も期待できる走りであった。
……のだが、この後彼は実に15戦もの間3勝クラスの壁に当たり続けることとなる。
さてオープン入りを目指して、基本的には2000m付近の3勝クラスを戦ってゆくのだが、勝てない。この15戦において掲示板を外したのは昇級3戦目の八坂ステークス(京都・芝2200m)6着の1回、馬券外でさえそれに昇級初戦の比叡ステークス(京都・芝2400m)、御堂筋ステークス(阪神・芝2400m)のそれぞれ4着のみと非常に安定した成績を示していたのだが、勝てない。特に2024年7月20日のテレQ杯(小倉・芝2000m。このレースのみ秋山稔樹が代打を務めた)から2025年1月6日の寿ステークス(中京・芝2000m)までは5連続で2着となり、これらのレースでは新馬戦で戦ったケイアイサンデラとデットーリを確保したマイネルエンペラーに敗れるなど、辛酸をなめさせられる日々が続き、いつしか「3勝クラスの門番」と呼ばれるようになる。
あぁ、このまま準オープン馬のまま引退するのか……と思われた矢先のことである。
「今日はシェイクユアハートか!」
2025年6月7日の垂水ステークス(阪神・芝2000m)。1番人気は3歳5月デビューと遅れながらも安定した戦績でここまで昇級してきたバッデレイト(ホープフルステークス2着馬トップナイフの弟)。シェイクは3番人気であった。また新星にオープンの門戸を開くことになる、と大部分の人は予想したかもしれない。レース本番、先団から早めに動いたバッデレイトをマークする形で一緒に進出。直線じわりじわりと伸び、バッデレイトにクビ差交わして勝利。ついにオープン入りとなった。
かくしてオープン馬となり、その初戦は久方ぶりの重賞挑戦となった小倉記念(GⅢ)。ここまでのレースの安定感と、その割にはハンデが55kgと軽めだったこともあって3番人気に支持された。小回りの小倉らしく3コーナーから進出し最終直線で一度は先頭に立つも、51kg軽ハンデの牝馬イングランドアイズの末脚に屈し2着。次走新潟記念(GⅢ)は中団追走から特に見せ場なく11着。アンドロメダステークス(L)では4コーナー外を回し一度は先頭に立つがそのさらに外から差してきたウエストナウ(3勝クラス5連続2着ののちの3着となった飛鳥ステークスでオープン入りした馬である)の2着。
その次走となったのが晩秋のハンデ重賞中日新聞杯(GⅢ)。人気は単勝5.4倍の3番人気だったが1番人気ファミリータイムは4.6倍、そこまで差がなかった。中団に構え、4コーナーで外に持ち出すとその末脚が爆発。上がり3F33.2秒の脚で先団を飲み込み、嬉しい嬉しい重賞初制覇を飾った。
6歳初戦はGⅡ初挑戦となる京都記念(GⅡ)。バビットの作った落ち着いたペースを追走し、京都内回り特有の急な4コーナーで馬群が大きくばらけたその真ん中あたりを突く。しかし荒れた芝の中では決め手に欠け、前で運んだジューンテイク・エコロディノスに届かず、大外からぶっ差してきたエリキングに交わされ4着。
続いて制した中日新聞杯と同じコースの金鯱賞(GⅡ)へ。単勝1番人気は前年覇者にして中京競馬場にめっぽう強い組み合わせ、プログノーシスでの連覇を合わせ金鯱賞3連覇中である「川田将雅騎手・中内田充正厩舎」のクイーンズウォーク。それ以外にもここまで重賞4連続2着で悲願の重賞初制覇を狙うドゥラドーレス(レガレイラの兄)、新星ヴィレムなどと粒ぞろいなメンバーで、評価は単勝8番人気(14頭立て中)に落ち着く。レース本番では思い切って後方11番手ほどに構え、4コーナーで大外に持ち出す。直線、前で運んだジョバンニに対しまたしても豪快な末脚(上がり3F33.5秒)で差し切り、重賞2勝目となった。
これで大阪杯の優先出走権は得たのだが、これまでかなり間隔を詰めて使ってきたので回避。いったん放牧に出し、札幌記念から始動して天皇賞・秋を狙うこととなった。が状態が良いとのことで予定を変更して宝塚記念(GⅠ)に出走表明(脚質こそ真逆だが過程がどこぞの異次元の逃亡者と似ている)。同厩タガノデュードと宮徹厩舎は2頭出しとなった。タガノデュードの主戦も古川吉洋であり、「令和の世にGⅠでフルキチのお手馬が被る」という珍しい現象が発生した。そのためタガノデュードは高杉吏麒騎手に乗り替わることとなった。ファン投票では全体22位・出走馬中8位となかなかの票を集め、ファン投票枠で出走を確定させた。しかしレース直前になって誰もが予想だにしなかった出来事が起こる。それは突然の大雨であった。痛かったのはシェイクは安定した戦績こそ残しているもののそれは稍重馬場までの話で、不良馬場の大寒桜賞では1着に1.3秒差の大敗を喫しているのだ。そもそもGⅠへの初挑戦であったのにこうなってしまってはもはや何もできず、後方で14着とひっそりと入線。
まぁそもそもこれは予定外だったということで、仕切り直して当初の予定通り札幌記念(GⅡ)へ出走。人気は中距離重賞を2勝したショウヘイと前走天皇賞・春3着で凱旋門賞出走を表明しており前哨戦としてここに出走してきたアドマイヤテラが集め、シェイクはこれに次ぐ3番人気。重賞2勝がいずれも中京競馬場で、直線の短い札幌で差し切れるかが懸念されたのであろう。
外の8枠15番から発走、無理はせず金鯱賞の時のように後方に構える。ホウオウビスケッツが逃げ、前半600-1000m地点ではペースが緩み、その中で後方待機では勝ち目のないと判断したアドマイヤテラ坂井瑠星が上がってゆきペースが徐々に上がる。その中でシェイクは中団外に付ける。4コーナーを迎え、札幌の緩いコーナーをできる限り速度ロスなく曲がろうと信じられないほど大外(内から数えて9頭が横並びになった中の8番目)を回し、アンカツ「シェイクユアハートや」そのまま直線でも1頭だけ見違える末脚で差し切り、2着のサクラファレルに2と1/2馬身つけて完勝。重賞3勝目を飾った。勝ちタイムはこれまでの札幌芝2000mのレコードタイムを0秒4更新する1分58秒2。しかし三浦アナ「なんとシェイクユアハートだ」はないだろう3番人気なんだから……
実はハーツクライ産駒は過去10年で延べ11頭が挑み馬券内さえないという鬼門のレースであった札幌記念。これを見事に制して見せた。また鞍上の古川吉洋騎手はデビュー31年目のベテランでありながら、年間で重賞を3勝(シェイクでの2勝と、タガノデュードでの小倉大賞典)するのはこれがキャリア初。「この馬は、ずっと何年も変わらずにいてくれて、調子が落ちることもなく、崩れることなく走ってくれて、頭が下がります。この馬と一緒に歩んで来られてうれしいです。」と相棒をねぎらった。
3勝クラスの壁に苦しんできた時期からは想像もつかぬほどの躍進撃。まさしく「ハーツクライ産駒のイメージ」らしい突如の変わり身といえよう。あとはこの走りをGⅠ戦線でも見せ、より大勢の「心を揺さぶる」日を心待ちにしている。
| ハーツクライ 2001 鹿毛 |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
| Cosmah | |||
| Wishing Well | Understanding | ||
| Mountain Flower | |||
| アイリッシュダンス 1990 鹿毛 |
*トニービン | *カンパラ | |
| Severn Bridge | |||
| ビューパーダンス | Lyphard | ||
| My Bupers | |||
| *ルンバロッカ 2001 鹿毛 FNo.2-i |
Sri Pekan 1992 黒鹿毛 |
Red Ransom | Roberto |
| アラビアⅡ | |||
| Lady Godolphin | Son Ange | ||
| Flying Needles | |||
| Rumba Azul 1994 芦毛 |
Fabulous Dancer | Northern Dancer | |
| Last of the Line | |||
| Rare Sound | Rarity | ||
| Haunting |
クロス:Hail to Reason 4×5(9.38%), Northern Dancer 5×4(9.38%)
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最終更新:2026/09/08(火) 04:00
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