ショックカノンとは宇宙戦艦ヤマトシリーズに登場する、ヤマトを始めとする防衛艦隊の主戦兵装の一つである。
往時の戦艦のような連装ないし3連装砲塔の形状を有している。波動砲や波動エンジンと同じく、イスカンダルからの技術供与で実用化に漕ぎ着けられた兵器の一つであった。
一方、初代を原型に続編の要素も投入して作られた実写版、2199では地球で自力開発した兵器となっている。
何れにおいても波動エンジン実用化までは、出力の不足や搭載門数の限界などの制約が大きく、十全に威力を発揮できたのはヤマトに搭載されてからであった。
ここでは主に「ヤマト」に搭載されたショックカノンを紹介する。
口径は大和型戦艦同様に主砲は46センチ、副砲は15.5センチとされている。
初陣は坊ノ岬地下ドックへ襲撃をかけた、ガミラス高速空母への砲撃である。それまでの防衛軍艦艇が歯が立たなかったガミラス大型艦を、一撃で撃破しての鮮烈なデビューを飾った。
この際、波動エンジンは使用できず、補助エンジンのみのエネルギー伝導であった。
故に第一砲塔のみ、それも正規のクルーが揃っていない状況で、艤装作業員さえ用いての射撃であったが、乗員の練度と人員数及び出力不足を感じさせぬ大威力を発揮した。
また、ガミラス戦役以降後も、数度に渡って威力及び射程向上のための改修が施された。
「2」では新造戦艦アンドロメダの従来より強力なショックカノンを参考に、真田さんが大幅に性能を強化。
射程、威力共に初代よりも大きく強化されており、十一番惑星近隣でのガトランティス艦隊との交戦では、大いに優位性を発揮して敵艦隊を撃滅している。但し真田さんは、これが役に立つ日は来てほしくなかったと嘆いてもいる。
「新たなる旅立ち」ではデザリアム軍のエネルギー偏向障壁により、初めてショックカノンが無効化されてしまった。
巨大戦艦であるプレアデスは辛うじて波動砲攻撃により撃滅し得たが、その後の「永遠に」では自動惑星ゴルバ複数の包囲を前に為す術を失う。しかし「試験はまだだがいけるぞ」と準備された波動カートリッジ弾が功を奏した。
これは波動砲の1/100のタキオンエネルギーを充填した実体弾で、エネルギー方式の攻撃ではない。
そしてデザリアム軍の用いるエネルギー系統とタキオンエネルギーは、劇薬のような反応を起こす組み合わせであり、わずか1/100とはいえ開発者当人が威力を疑う破壊力を発揮し、自動惑星ゴルバの群れを殲滅した。
「永遠に」以降のヤマトのショックカノンは、カートリッジ方式を併用するようになる。
一定の充填時間を要する波動砲を使えない場合に、スカラゲック海峡星団会戦では、250宇宙キロからボラー連邦主力艦隊を通常のショックカノンではなく波動カートリッジ弾を使用して葬り去った。
射程距離も「完結編」では、最大射程距離が42宇宙キロ(=大和の最大射程42kmがモチーフ?)から砲撃。
ディンギル機動要塞と周辺の敵艦隊を殲滅している。余談ではあるが「永遠に」以降の主砲砲身には、三本の白色参戦徽章が記された。このデザイン変更はファンの間でも好悪が分かれていたりする。
「ヤマト」といえば、やたらと乱用するようになった「2」「さらば」以降は、どうしても波動砲のイメージが強い。
しかし単純に最も多数の敵艦を葬った兵器は、間違いなくショックカノンである。一部の超大型戦艦、自動惑星などを例外として、命中した敵艦はほぼ一撃で貫通され、往々にして誘爆で複数艦を纏めて葬ってさえいる。
余談ではあるが、ショックカノンの衝撃波にはライフリングが切ってあり、第一作では衝撃波も回転していた。
ファンの間ではこの描画は「ねじれる」と表現され、この「ねじれ」こそがショックカノンの醍醐味だと考えるファンも少なくない(下記の「2199」の出渕裕監督もそのひとり)。
「2」でもやや簡略化されながらも多くの場合で表現されている。
「永遠に」 の中間補給基地戦では次元の違う超作画でねじれを表現しており、金田バースのコスモタイガー隊突入と合わせて、DVDレンタルの上で一見の価値のある迫力のある戦闘となっている。
しかし「さらば」や「III」以降ではこの表現は省略されることが多い。
CG化した最近の作品でもほとんど表現されておらず、実写版や「2199」まで「ねじれ」が表現されることは殆どなかった。 イメージ的には透過光を用いた、ビームライフルなどと大差なくなってしまっている。
主砲の光線の色は第一作・「さらば」では基本的に緑だが安定しておらず、赤くなったり実弾っぽく煙が出てたりする。 「2」以降はほぼ青で統一され(そのため「2」では新規カットと「さらば」からの流用カットではかなり異なったものとなっている)、「永遠に」以降は基本的に透過処理された青の光線で表現された(実弾の波動カートリッジ弾の場合は別)。
CG化した作品では、PS/PS2のゲーム版では初期シリーズの緑。
「復活篇」「2199」では後期シリーズの青色が採用されている。実写版ではパルスカノン砲(副砲相当)ともども青白色を採用。
当然ではあるがヤマト就役以降の防衛艦隊戦闘艦は、殆どがショックカノンを搭載している。
往々にして主役のヤマトの引き立て役として、あえなく壊滅することの多い防衛艦隊である。
しかしハードウェアの面では相当な威力を有するであろう描写が、「2」の土星会戦などで存在している。地球艦隊のそれを上回るガトランティス大型艦を、主力戦艦や巡洋艦のショックカノンが、一撃で射貫し撃破している。
特に旗艦アンドロメダの主砲(口径20インチといわれる)の威力、射程は非常に大きい。
搭載門数が3連装4基12門と多いこともさることながら、射程距離ではヤマトの初期型波動砲に匹敵、威力でも数段上であり、ガトランティス艦隊旗艦メダルーザにとどめを刺したのも、本艦の主砲である。
但し、シリーズを通じ、ヤマト抜きで防衛艦隊が勝利した唯一の戦闘であるため、次の出番は完結篇までない。
この戦闘ではヤマトを守る護衛駆逐艦の、捨て身のハイパー放射ミサイルへの体当たりが強い印象与える。
しかし実は地味にであるが、コスモタイガーⅡ戦闘機隊ともども、駆逐艦隊も連装わずか1基のショックカノンの速射で、相当数のハイパー放射ミサイルを撃墜している。ヤマトを守り通した意味では、彼らは勝利したのだ。
MAD作品などでも多用されているが、ショックカノンの砲声は擬音を用いても表現が難しい独特な。
しかし一度聞いたら忘れにくい力強いものである。それだけにヤマトファンにもかなり愛されているSEである。この効果音は手塚治虫氏、大野松雄氏と深く関わりのある、柏原満氏の、アトム作成の経験を活用したSEである。
個人のMAD作品だけではなく、庵野秀明監督作成の「ふしぎの海のナディア」では、商業作品で転用された。
無論、無断登用ではなく、庵野監督が直々にヤマトの音響関係を管理していた会社から、公式に音源の貸与を受けて用いている。2199でも多数絵コンテを受けるなど、言うまでもなく庵野監督は初代ヤマトの大ファンである。
古参のヤマトファンにとって、ショックカノンの砲声は忘れ難いものであった。
誰もが蒸し返したくない黒歴史扱いの「復活篇」は言うまでもなく、かなりの好評を得た実写版でも、原作音声の仕様、もしくはオマージュが片鱗もないことは、視聴者から残念と評価されている。
しかし目出度く「宇宙戦艦ヤマト復活篇・ディレクターズカット版」「宇宙戦艦ヤマト2199」では、オリジナルのSEを耳コピで再現したものが使用され、違和感は解消された。ショックカノンの砲声を始めとする効果音復元には、現在の音響スタッフの他、前述のオリジナルSEを作成した柏原満氏も参加している。
実写版では、ヤマト以外のメカデザインをアニメ版から大幅に変更するとともにショックカノンの設定も変化している。
「ヤマト」建造前の時点で沖田艦の主砲として二連装衝撃砲5基を搭載しており、ヤマトに搭載されているショックカノンはこれを元にした、地球上の技術として既に存在していたものと設定された。これにより、兵器の描写時間が限られる実写映画において地球側の艦艇に技術的一貫性を与えているといえる。
とはいえそのショックカノンもガミラス艦に有効な攻撃力を有しているとは言いがたいが、これはショックカノン登場時には沖田艦のものでも十分に有効だったものが、ガミラス側の防御技術向上により有効打になり得なくなったからである。
このショックカノンがヤマトへの搭載後ふたたびガミラス艦に対し有効になったのは、波動エンジンの搭載により出力・口径を大幅に上げることができたため。
ところで実写版のショックカノンというと、物凄い勢いでぶん回される主砲塔と、帰還時におけるヤマト史上屈指の壊れっぷりが印象に残る。
宇宙戦艦ヤマト2199で、PV段階からファンを安心させてくれたショックカノンは、かなり設定が変更された。
まずは波動エンジン搭載艦以前の防衛艦隊。原作で言えば沖田艦などにも、軸線砲として1門搭載されている。
イメージとしてはショックカノンを波動砲のように搭載した構図であり、「キリシマ」を始めとする金剛型宇宙戦艦は口径36サンチの、「ムラサメ」「アタゴ」「クラマ」などの村雨型宇宙巡洋艦は20サンチ砲を搭載している。
つまり防衛艦隊(国連宇宙軍連合宇宙艦隊)は、「ヤマト」完成前よりショックカノンの運用実績を有している。
故にヤマトに、次元波動エンジン実用化以降。砲塔式に実装出来たという技術的背景が描写されている(事実第2章のパンフレットでは、ヤマトのショックカノンはこれらの改良型と明記されている)。
なお、前述の通りこれは「実写版」からの設定であり、オマージュ、ないしはリメイクとしての技術再設定時に同じ結論に到達したものと思われる。
正式名称は「陽電子衝撃砲」で、製造は南部重工大公社である。
2199版ヤマトの主砲塔は陽電子ビームの他に、「三式融合弾」という実弾による射撃も可能である。波動エンジンの稼動状態や攻撃目標次第で、陽電子ビームと三式弾を使い分けている(メ2号作戦など)。実弾射撃の場合の主砲を「ショックカノン」と呼んでもいいのかどうかは定かではない。
主砲3連装3基、副砲3連装2基の搭載数は同じだが、口径は主砲48サンチ、副砲20サンチに拡大された。
これは改変というよりも、1974年放映の初代ヤマトの初期案でほぼ決定し、一部の意向でお蔵入りとなった原案。
全長333mの船体に48サンチ主砲を搭載した宇宙戦艦という設定を、リメイクにあたって復活させた模様である。口径だけではなく、砲塔形状も仰角を無理なく取れるものに変更された。
三式弾に関しては何らかの物質を融合、大きな破壊力を得るものであり、時限信管による調整も可能である。
副砲の20サンチ砲弾が浮遊大陸でガミラス駆逐艦を撃沈。そして主砲の48サンチ主砲弾が冥王星で、反射衛星砲を破壊している。弾底部には「南部火工株式会社」と刻印され、信管名は「甲三式時限信管」である。
そして出渕裕監督のこだわりであるショックカノンのライフリングも、一発一発に「ねじれ」による回転が施された。
最終的には各砲塔3門の衝撃波が回転しつつ一点に集約。絶大な破壊力を発揮するという形で再現された。出渕監督は初代のライフリングに非常な愛着を持っており、これがなくてはショックカノンではないと断言している。
但し実際の陽電子ビームが、砲身内部のライフリングに従って回転するかは、真偽は定かではない。
5章においてヤマトはビーメラ近傍のドメル艦隊の待ち伏せ、そしてバランの亜空間ゲート突破を強行。
四桁から五桁のガミラス艦隊の包囲網を突破、前進する必要に迫られる。その際にヤマトは波動砲から底部ミサイル発射管まで全ての兵装を使用。ショックカノンも当然、八面六臂の活躍を示す。
その際にこれまでのように、砲塔ごとにライフリングが収束して、敵艦を射抜くだけではなくなった。
18話では各砲塔3門の砲身を異なる仰角に向け、長時間陽電子衝撃波を放ち続け、主砲を旋回させることで、イデオンソードのようなすウィーブファイで、ガミラス艦を纏めて葬っている。もはや戦略兵器レベルである。
流石にガミラス最大のゼルグート級一等航宙戦艦(ドメラーズ3世)の正面装甲は、ショックカノンを弾いた。
しかし接射、あるいは6章の七色星団決戦での、側面からの射撃には耐久しえず、主砲や船体への貫通を許し、その上でイオン乱流のもとに追い込まれている。ユリーシャさん、波動砲よりこっちのがヤバくないっすかね?
ショックカノンに関するニコニコミュニティを紹介してください。
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最終更新:2024/03/29(金) 14:00
最終更新:2024/03/29(金) 14:00
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