シンクライアント(thin client)とは、入力と表示以外はサーバー側でやってしまおうというハードウェア(システム)構成である。
シンクライアントはクライアント側の処理を最小限まで薄く(thin)した構成方法である。
クライアント側にはマウス・キーボード・モニタの機能だけがあり、ユーザーからの入力はネットワークを通じてサーバーに到達する。入力に基づく処理は(場合によっては処理結果の描画に至るまで)サーバー側で行われる。最終的にサーバーから表示画面データを(圧縮して)ネットワーク経由でシンクライアントに送り、画面に表示する。
よく個人情報が入ったノートPCを紛失する事故が報道されるが、シンクライアントではデータの保存もサーバー側で行われるので、モバイルのクライアントマシンを紛失しても情報漏えいのリスクがない。
もっともパスワードなどの端末セキュリティがザルであった場合はその限りではない。
据え置き型のシンクライアントは、大勢でメインサーバーの計算力を共有できるのでトータルコストが抑えられるという利点がある。
多対多で共有するクライアントにログインすれば、サーバーからユーザー個人向けに設定された環境が送られてくるので、クライアントマシンを人数分用意する必要がない点もコスト上の利点となる。
ただ、シンクライアントという用語が登場した1996年以降ハードウェアの価格が急激に低下した結果、コスト面でのメリットはほとんどなくなってしまった。
多数の端末を抱える組織では、アプリケーションのインストールなど状況によっては全ての端末上で個々に同じ設定を施さなければならないことがあり、大きな人的コストとなることがある。シンクライアントであれば、システム構成変更もサーバーで一括して設定が可能である。
個々のシステムがクラッシュしても、シンクライアントであれば再起動によりクライアントシステムが簡単に復元される。個々のユーザーによるシステム構成の変更は制限されていることが多いので、ウィルスが侵入する余地も少ない(なくはないです)。
みんなサボりがちなバックアップ作業やOS・アプリケーションのメンテナンスもサーバー側で一括して行ってくれるので、優れた管理者さえいれば安定した運用が可能。
というのは建前で、ユーザーが多い分、他のユーザーのトラブルにサーバーごと巻き込まれてクラッシュするというケースは稀によくある。
ネットワークを通じて画面の表示を行うので、ネットワークの帯域が動画配信並みに消費されることがある。従ってサーバーはLAN内に配置されることが多い。
モバイルの場合は帯域がふんだんに確保できるわけではないので、最小限のデータ転送でもクライアント側で描画可能なアプリケーションに用途を制限するといった対応になりやすい。
ネットワーク切断やサーバーダウン・メンテナンスなどでサーバーが利用できなくなると、シンクライアントは事実上ただのガラクタになる。そこまでいかなくても、サーバーが混雑すれば著しく性能が低下する。
自分の手の届かないところで起きたことが原因でマシンが使えなくなるというのは、なかなか受け入れがたいものである。読者の皆さんは自分のPCのトラブルで年に2回停止するシステムと、サーバー側のトラブルで年に1回停止するシステムだったらどちらを選ぶだろうか。
アプリケーションのインストールはサーバー側で管理者によって行われるため、ユーティリティソフトなどを入れて自分好みに使い勝手を向上するといった使い方は許されないことが多い。
外部から切り離されても独立に動作できるものを、スタンドアロン(stand alone)という。パソコン通信が普及していなかった時代のPCは典型的なスタンドアロンマシンであるといえる。
サーバー・クライアントモデルのうちシンクライアントになっていないものは、クライアント側にスタンドアロンマシンと同レベルの設備が必要であり、シンクライアントとの対比でヘヴィクライアント(heavy client)とも呼ばれる。他には"thick client", "fat client"といった呼び方もある。
シンクライアントはクライアント側のハードウェア構成を最小限にすることに重点を置いた表現であるが、クラウドコンピューティングは重たい処理やデータを共用の(高性能)コンピューターに配置することを目的としている。
スペルが違うので全く関係ないが、SINCLIENTというゲームがあるらしい。
掲示板
6 ななしのよっしん
2019/12/05(木) 16:06:51 ID: osJXW9N692
>>2
補足すると、シンクラ環境は通常のクラサバ構成と比較して、あくまで処理の比重が違うという話なので、クライアント側の構成に自由度がある自作でやるメリットはあまり無い気がする。
後、クライアントへの負荷が低い反面、サーバーとネットワークの処理がクソ重くなるので、サーバとネットワークの構成をそれなりにリッチにする必要もあるね。ここら辺はコスト考えなければクラウドである程度解決する問題ではあるけど。
7 削除しました
削除しました ID: PGIHtwfWce
削除しました
8 ななしのよっしん
2021/01/10(日) 02:26:22 ID: osJXW9N692
>>7
自前で消費電力爆増するようなネットワーク機器抱えてるのなんて通信事業者くらいだからセーフ
それよかIP-VPNに係るMPLSや専用線関連設備のランニング費用がヤバい
急上昇ワード改
最終更新:2024/03/28(木) 22:00
最終更新:2024/03/28(木) 22:00
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