シンコウエルメスとは (シンコウエルメスとは) [単語記事]

通算成績1戦0勝[0-0-0-1]

概要

1993年 4月1日、アイルランドの牧場で生まれたシンコウエルメスは、

シンコウの冠名の安田修オーナーによって購買されたシンコウエルメスは、日本に持ち込まれ藤沢和雄厩舎に所属することになったのだが、デビューは遅れに遅れ3歳(旧4歳)の4月28日、現在のフローラステークスが行われている週の東京競馬場の未勝利戦にデビューとなった。

Generousジェネラスやオースミタイクーンの妹ということがあって、1番人気に支持されたが5着となった。5着の後は未勝利脱出を目指して調教をしていたのだが、その調教中に重度の骨折を起こしてしまう。

獣医師からは「きわめて難しい状況です。この状態では予後不良もやむ得ないかと・・」と言われたのだが、藤沢調教師は「オーナーが良い血統の馬だということで連れてきたんだ、なんとか助けてほしい」と、良血とは言え1戦しかしていない未勝利の馬に対して懇願し手術が行われた。

手術でボルトを4本埋め込み、術後も蹄葉炎など蹄の病気などの対応に3か月以上もケアをするなどかなりのものであったが、なんとか命をつなぎとめることとなった。

しかしこれほどの重度の怪我になったので競走馬としての復帰はあきらめ、繁殖牝馬として余生を送ることになった。

引退後は国内で3頭、海外に渡って11頭の計14頭の産駒を世に送り出した。
直仔の競走成績は2番仔エルノヴァがステイヤーズSとクイーンSで2着、エリザベス女王杯で3着に入ったのが最高で、重賞勝ち馬は出ず終いであった。しかし本番は孫世代からであり、初仔のエルメスティアラが皐月賞馬ディーマジェスティを、5番仔Lake Toyaがサンタラリ賞（当時仏 GⅠ）勝ち馬Sobetsuを、7番仔*ブルーダヌーブがステイヤーズS勝ち馬オセアグレイドを、11番仔スノーパインがスプリンターズS勝ち馬タワーオブロンドンをそれぞれ輩出。
曾孫世代でもSobetsuがバランシーン（ドバイG2）勝ち馬 English Roseを産んだり、タワーオブロンドンが種牡馬としてNHKマイルC勝ち馬パンジャタワーを輩出したりなど、彼女の血が広まりつつある。

シンコウエルメスの競走成績自体は決してよくなかったのだが、もしも藤沢和雄調教師が懇願していなかったら、のちのGⅠ 馬4頭がいなかったと思うと、数奇な運命を辿った馬や血統ということになる。