シンボリインディとは (シンボリインディとは) [単語記事]

シンボリインディとは、日本の元競走馬である。

自身の実績よりその最期の方が有名。

主な勝ち鞍
 1999年:NHKマイルカップ(GI)
2000年:京成杯オータムハンデキャップ(GIII)

※当記事では、シンボリインディが活躍した時代の表記に合わせて、特に記述がない限り年齢を旧表記(現表記+1歳)で表記します。

デビュー前

父 A.P. Indy(エーピーインディ) 母は父にDanzigを持つGaelic Tuneというアメリカ産馬である。

同馬のオーナーであるシンボリ牧場は80年代こそシンボリルドルフの活躍などで最盛期を迎えるも90年代に入るとシリウスシンボリ騒動での美浦厩舎関係者との亀裂やパーソロン以降導入した種牡馬が次々と失敗し低迷にあえいでいた。90年代半ばに代表の和田共弘氏が死去すると息子の孝弘氏が経営を引き継いだ。

孝弘氏は今まで先代が見向きもしてなかったアメリカ血統の馬を次々購入。そんな中とあるセールでA.P. Indyの子を宿したDanzig 産駒の繁殖牝馬を安価で購入することに成功する。それが母 Gaelic Tuneと後のシンボリインディであった。

生まれた後のシンボリインディは見栄えのする馬体で現地で高額のトレードを申し込まれたほどだったが結局日本の名トレーナー藤沢和雄厩舎に入厩、日本でデビューすることになった。

名門復活へ

デビュー戦は2着に惜敗するも、二戦目で初勝利。その後500万特別を後の重賞馬を抑えて勝利し3歳時を終える。4歳初戦はOPのマーガレットステークス。休み明けながらクビ差で勝利し彼は当時〇外ダービーとも言われたNHKマイルカップへ駒を進めた。

この年のNHKマイルカップは戦前から混戦ムードが流れていた。1番人気に支持されたのは重賞2勝の実績ある外国産馬、エイシンキャメロン。前走NZT4歳Sは惨敗したのにね。2番人気は前哨戦NZT4歳Sを快勝して参戦してきた典型的早熟早枯れ馬ザカリヤ、こちらも外国産馬である。シンボリインディはここまで4戦3勝二着一回の連対率100％とほぼ完璧な戦績で臨んだも6番人気。戦績の割には勝利したレースは接戦が多く強い印象がなかったからであろう。それでも単勝では10倍を切るオッズであり、6頭が単勝10倍未満という混戦オッズであった。

レースが始まるとトウカイダンディーが大きく出遅れるも、それ以外では特に大きな動きはなくシンボリインディは後方の内でじっと構えた。1000m通過も57秒7とまずまずのペースで流れ最後の直線を迎えた。内でじっと構えていたシンボリインディは最後の直線で空いた1頭分のスペースをタイキトレジャーに接触しながらも突き一気に抜け出しにかかる。鞍上横山典弘の降着すれすれの騎乗であったものの追い込んできたザカリヤの追撃を退け1着でゴール。シンボリ軍団のGI制覇はあのシンボリルドルフが勝った1985年の有馬記念以来14年ぶりのことであった。

狂いだす歯車

こうして見事にGI 馬の称号を手にしたシンボリインディ。秋には毎日王冠をステップにBCマイルへの遠征も計画されたが馬房で暴れ外傷を負うという気性の荒さを見せ毎日王冠を回避。ここから順調にいってた歯車が狂いだす。

復帰初戦はまさかの年末の大一番有馬記念。ファンは彼に未知の魅力を感じたのか7番人気とそこそこ人気を集めるも半年以上の休み明け＋900mもの距離延長では流石に無理があったか最下位に惨敗し4歳シーズンを終える。5歳初戦は東京新聞杯、NHKマイルカップを勝った同舞台で1.8倍の一番人気に支持されるも見せ場を作れず9着に惨敗、「アメリカ血統だしむしろダートの方がいけるんじゃね?」とフェブラリーステークスに参戦。NHKマイルカップ同様一瞬内から突き抜けてもおかしくない動きだったが最後は失速し9着に敗退。芝に戻した京王杯スプリングカップでは5着と久々に掲示板に入りGI 安田記念へ出走するもここでも全く見せ場を作れず10着惨敗。夏も走り続け今は亡き世界のアオキこと青木芳之鞍上で札幌記念に出走するも道中2番手から逃げた馬を捉えきれず後続の馬にも次々差され5着に終わった。

復活、そして…

NHKマイルカップまでの4連勝からまさかの6連敗を喫したシンボリインディ、気が付けば既に1年以上勝利から遠ざかっていた。

そして迎えた京成杯オータムハンデ、鞍上には3歳戦以来となる岡部幸雄がいた。

シンボリ軍団、京成杯(京王杯)オータムハンデ、低迷、岡部騎手…マティリアルを思い出したけど気のせいだろう。

それはともかく東京新聞杯以来の1番人気に支持されたシンボリインディは小頭数のレースで中団に構える。最後の直線では後のスプリント王、トロットスターを外からねじ伏せてNHKマイルカップ以来先頭でゴールを駆け抜けた。復活したことでよりマティリアルを思い出す人もいたと思うが彼はゴール後も無事であった。

久々の勝利を挙げたシンボリインディはこの年から施行時期が10月に変更されたスプリンターズステークスに参戦した。しかしスプリント戦は距離が短かったからか最低人気のダイタクヤマトの激走を前に14着。続くスワンステークスでは内でダイタクヤマトと激しい叩き合いに持ち込むも2着惜敗。マイルチャンピオンシップでは前走スワンステークスの好走やベストの条件とみられたマイル戦で3番人気に支持されるも安田記念と同様全く見せ場なく11着に惨敗し5歳シーズンを終えた。

どうでもいいが京成杯オータムハンデを除く秋3戦はダイタクヤマトに全て人気では上回るも結果では全敗である。

種牡馬としても期待をかけられていたシンボリインディであったが翌年も現役続行。またこの年から年齢表記が新表記となったため彼は再び5歳馬として走ることになった。

新5歳になってからの初戦は復活を遂げた京成杯オータムハンデと同舞台のダービー卿チャレンジトロフィー。鞍上には再び岡部騎手。

11番と奇数番だったため出走馬の中で真っ先にゲートに入った。彼がゲートに入ってから間もなくしてゲートを叩くような音がしてきた。

「ガン!」「ガン!」

その音はシンボリインディがゲートを激しく蹴るものであった。そんなことはともかく次々とゲートに入っていく他の出走馬たち。だが途中でゲート入りは中断された。「なにがあったのか?」

そこにはなぜかゲートに入ったはずのシンボリインディがゲート外で座り込んで暴れていた。彼はゲートをくぐってゲートから出てしまったのであった。そのときは誰もがまだ「シンボリインディが暴れてるよ」ぐらいの意識だっただろう。しかし次の瞬間立ち上がった彼の姿を見て誰もが絶句する。

「あっ…(察し)」

彼の右後ろ脚が完全に折れていたのである。

彼は3本脚で立っていたのである。むしろ1本完全に折れてるのによく立っていられるなと関心するレベル。しかもその様子が全国でテレビ放送されてたのだからたまったものではない。現場を振り向かず鞍を取って去っていく岡部騎手。

この瞬間誰もが悟った。「絶対に助からない…と」

旧3歳時に活躍し、その後は低迷するも京成杯(京王杯)オータムハンデで復活し最期はレースこそ違えど現役中の死…とまるでマティリアルの生まれ変わりではないかとの境遇を辿ったシンボリインディ。父の貴重な後継として種牡馬としての活躍も期待されたがその夢は儚く散ってしまった。だが彼が散った翌年、シンボリクリスエスという彼を越える大物の登場により孝弘氏の無念は晴らされることになる。

血統表

A.P. Indy 1989 黒鹿毛	Seattle Slew 1974 黒鹿毛	Bold Reasoning	Bold nes ian
			Reason to Earn
		My Charmer	Poker
			Fair Charmer
	Wee kend Surprise 1980 鹿毛	Secretariat	Bold Ruler
			Something royal
		Lassie Dear	Buckpasser
			Gay Missile
*ゲーリックチューン Gaelic Tune 1991 鹿毛 FNo.5-f	Danzig 1977 鹿毛	Northern Dancer	Nearctic
			Natalma
		Pas de Nom	Admiral's Voyage
			Pet iti oner
	Sq uan Song 1981 黒鹿毛	Exceller	Vaguely Noble
			Too Bald
		Foreign Missile	Damascus
			Queen of the Sky
競走馬の4代血統表