「シン・ゴジラ」とは、2016年7月29日に公開された日本の映画である。
現実 対 虚構。
タイトルの「シン」という言葉には、「新」・「真」・「神」といった複数の意味を含んでいるとされる[1]。
総監督および脚本を務めたのは「新世紀エヴァンゲリオン」の庵野秀明。特技監督は同氏と親交の深い樋口真嗣。他にも監督のひとりとして摩砂雪や、音楽を鷺巣詩郎が担当するなど、スタッフにもエヴァではお馴染みの顔が多く含まれている。
本作のテーマは「今の日本に初めてゴジラが現れたら、我々は一体どうなるのか?」[2]であり、怪獣の存在しない現実日本へ突如現れた"ゴジラ"という災害に対し、官僚や政治家、自治体や民間企業といった面々が立ち向かっていく様が描かれる。物語の焦点はゴジラによって引き起こされた災害とその対応に絞られ、キャラクター間の恋愛や家族関係などのドラマ、掘り下げられた人物描写はそぎ落とされているのが特徴。
本作の舞台は前述の通り虚構要素の含まれない現実日本であり、これまでに怪獣は現れておらず、またオキシジェン・デストロイヤーやスーパーXのような空想科学技術も存在していない[3]。劇中での虚構はゴジラのみ、という設定で、現実の技術で虚構の存在・ゴジラにどう対応するのかが物語の見所のひとつとなる。
これまでのゴジラシリーズは、戦争のオマージュあり、怪奇あり、宇宙戦争ありとバラエティ豊かな作風を持つが、本作はリアル怪獣災害シミュレーションの側面が強く、ポリティカル・フィクションやディザスター・ムービーの要素を持った群像劇だといえる。
東宝は2004年の「ゴジラ FINAL WARS」を最後にゴジラシリーズの終了を宣言。それから約9年後の2013年にアメリカのハリウッドで新たなゴジラ映画の制作が決まった事が報じられ、翌年の2014年に「GODZILLA(2014)」が公開。同作は世界でおよそ5億2千万ドルの興行収入[4]となりヒットを記録した。
それを受け、東宝は以前より温めていたゴジラの新作映画企画にゴーサインを出した。2014年12月の発表で、2016年に劇場公開することを報告。それと同時に「ゴジラ戦略会議(GODZILLA CONFERENCE)」も発足させ、新しい体制での映画の企画および制作が始まった事も告知された[5]。
2015年8月31日、蒲田駅バス停前が数時間にわたり交通規制が敷かれ、そこには「シン・ゴジラの撮影によるため」という張り紙があった事から新作ゴジラ映画のタイトルが発覚した。続く10月には特報映像が公開、それと同時に長谷川博己、竹野内豊、石原さとみといった俳優陣がメインキャストとして出演する事も発表され、12月には明確な本作の公開予定日、本作に登場するゴジラのフェイスビジュアルも公開された。
2016年初頭にはfacebook上に本作に登場するゴジラの画像が流出。背景に東宝スタジオとおぼしき壁面がある事から撮影風景の1コマであると推察され、後述の衝撃的なビジュアルが話題となった(のちに、本作にて登場するゴジラがフルCG[6]で描かれていることが判明している)。
同4月14日、庵野秀明が編集したという予告編が公開された。ただ逃げ惑う群衆しか映されなかった第一弾特報のものと違って同映像には実際に動いているゴジラの姿、それに翻弄されている人間、そしてゴジラと交戦する戦車隊の様子などが描かれており、本作の具体的な内容の一部も明らかになった。
同7月29日に全国公開。従来方式での上映に加え、4DX、MX4D、D-BOX、IMAX、TCXでも上映が行われた。
2017年3月22日に、本作のブルーレイ、およびDVDが発売。併せてiTunes Storeなど各種コンテンツ配信サービスでも配信が開始される。
公開から4日で動員71万人、興行収入10億円を突破し、実写作品としては初となるシリーズ累計での動員1億人を達成。
公開から2週連続で全国映画動員ランキングのトップを飾り、公開17日間で累計興収33億8297万5500円、累計動員230万8427人を記録。当初40億を目標としていた最終興行収入も上回る見込みとなった[7]。
公開4週目には累計動員309万7,896人、累計興収45億663万4,200円を記録[8]。平成以降の国産ゴジラシリーズとしては「ゴジラVSモスラ」(推定興収約38億円[9])の記録を越えて最高の興行成績を更新している。
公開5週目には累計動員数360万人、興行収入53億円を突破[10]。興行収入においては、庵野秀明監督作品で最高額を記録していた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(52.6億円)を上回った。同時に、1998年のハリウッド版「ゴジラ(GODZILLA)」の記録(日本での推定興収約50億円[11])を越え、歴代ゴジラシリーズで最高額の興行成績[12]となった。
公開からおよそ3ヶ月経過した2016年11月16日時点で、累計動員551万人、興行収入は80億円を突破[13]。2016年内の最終推定興行収入は81億円を記録した。
本作は、2016年7月19日時点で世界100の国・地域にて公開されることが発表されている[21]。
台湾や香港、シンガポールやフィリピンなど、同8月12日からアジアを皮切りに順次公開が行われた。北アメリカでは2016年10月11日よりアメリカとカナダで公開されることが発表されている[22]。
国・地域 | 公開日 | タイトル |
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2016年8月12日 | 正宗哥吉拉 |
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2016年8月25日 | 真・哥斯拉 |
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2016年8月25日 | 真・哥斯拉 |
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2016年8月25日 | 真・哥斯拉 |
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2016年8月25日 | 不明 |
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2016年9月8日 | ก็อดซิลล่า |
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2016年12月30日 | Shin Godzilla: Su Hoi Sinh |
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2017年3月 | 신 고질라 |
国・地域 | 公開日 | タイトル |
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2016年10月11日 | SHIN GODZILLA |
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2016年10月12日 | SHIN GODZILLA |
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2017年1月13日 | GODZILLA RESURGE |
国・地域 | 公開日 | タイトル |
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2016年10月13日 | SHIN GODZILLA |
国・地域 | 公開日 | タイトル |
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2016年11月8日 | SHIN GODZILLA |
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2017年2月24日 | 不明 |
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2017年5月4日 | 不明 |
なお、上記表の公開情報は、IMDbの「シン・ゴジラ」データのほか、個別に情報がある記事などを参照している。
一部サイトの報告によると、先行公開されたアジア圏の台湾・香港・シンガポール等では客が不入りで、公開が早々に打ち切られた[23]。またスペインでは3日間の上映に留まった[24]。
北米では1週間の限定公開となり大規模公開はされなかったものの、公開初日に全米興収ランキングで第10位を記録[25]。公開6日目時点で北米での興行収入は100万ドルを突破[26]。その成績をうけ、公開期間の延長が決定された[27]。しかしその後は伸びず、最終的な収入は約190万ドルだった[28]。
北米ではおおむね肯定的な評価を得られ、特にコアな映画ファンからは支持された。有名レビュアーであるジェームズ・ロルフ氏(AVGN名義でのゲームレビューが著名)は「Very Good」という評価をつけた上で、会議シーンが退屈なこと、日本でもゴジラがCGになってしまったことは残念だったとしている[29]。
なお、本作の海外公開について「海外では酷評された」という旨のニュースが一部まとめブログなどを通じて報じられているが、これは原文(英語)の誤訳、もしくは意図的に捏造したデマであるため注意されたい(例:"Shin Godzilla is f**king phenomenal."は「シン・ゴジラくっそ凄いぞ」的な意味合いで訳すべきだが、これを「シン・ゴジラは驚異的なクソ映画だ」と正反対の意味に誤訳している)[30]。海外の有名批評サイトであるRotten Tomatoesでは批評家、一般客双方から80%前後の支持を受けている[31]。
東京湾・羽田沖—。
突如、東京湾アクアトンネルが巨大な轟音とともに大量の浸水に巻き込まれ、崩落する原因不明の事故が発生した。首相官邸では総理大臣以下、閣僚が参集されて緊急会議が開かれ、「崩落の原因は地震や海底火山」という意見が大勢を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)だけが、海中に棲む巨大生物による可能性を指摘。内閣総理大臣補佐官の赤坂秀樹(竹野内豊)をはじめ、周囲は矢口の意見を一笑に付すものの、直後、海上に巨大不明生物の姿が露わになった。
慌てふためく政府関係者が情報収集に追われる中、謎の巨大不明生物は鎌倉に上陸。普段と何も変わらない生活を送っていた人々の前に突然現れ、次々と街を破壊し、止まること無く進んでいく。
政府は緊急対策本部を設置し、自衛隊に防衛出動命令を発動。さらに米国国務省からは、女性エージェントのカヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が派遣されるなど、未曽有の脅威に対し、日本のみならず世界もその行方を注視し始める。
そして、川崎市街にて、“ゴジラ”と名付けられたその巨大不明生物と、自衛隊との一大決戦の火蓋がついに切られた。 果たして、人智を遥かに凌駕する完全生物・ゴジラに対し、人間に為す術はあるのか?
ゴジラシリーズ全般を通しての詳細については記事「ゴジラ」を参照。
本作のゴジラは身長が118.5mとされ、これは今まで最大であった2014年版ゴジラの355ft(108m)をさらに上回るスケールとなっている。
本作のゴジラの外観は歴代作品の中でも取り分け異彩を放っている。割と細身な上半身とは対照的にかなり太ましい脚部という独特なバランスの体型、そして先端が歪な形状をした本体よりも長い尻尾と掌を上に向けた非常に小振りな両腕を持ち、足は鳥や肉食獣のような爪先立ちである。
全身はまるで焼け爛れて炭化したかのような質感の体表で覆われ、ある箇所は皮膚が引き攣って破れているように、またある箇所は骨が露出しているようにも見える。そして皮膚の内側からは高温を放つかの如く赤い光が漏れ出している。
頭部は初代ゴジラと似た雰囲気を有し、大きく裂けた口には不揃いな牙が無数に生え、見開かれた両目は極端に小さい瞳が特徴。中でもその焦点の定まらない目は「どこを見ているのか」「何を考えているのか」を窺い知る事が難しく、過去作で最恐と言われた白目ゴジラ(GMKゴジラ)とはまた異なる不気味さと悍ましさを漂わせている。
本作のゴジラは、人間の8倍もの遺伝子情報を持ち、個体での進化および無生殖増殖を行い、死をも克服した「完全生物」として描かれている。元々は太古から生き延びてきた海洋生物であり、今から60年前、各国が遺棄した放射性廃棄物を摂取し生態変化したとされる。
米国エネルギー省により「GODZILLA」(呉爾羅)というコードネームを付けられ、嘱託の研究機関にて密かに調査と研究が行われていたが、当時の研究担当者で数日前から失踪している牧悟郎教授の手によりその力を解放されたと目されている。
ゴジラが首都を目指す目的は不明。また、日本に現れたゴジラの姿は、米国エネルギー省が研究時点で把握していたものと大幅に異なっており、牧五郎教授の失踪から日本出現までの空白期間に一体何があったのかについても謎のままである。
体内には、元素変換細胞膜を用いた生体原子炉「熱核エネルギー変換生体器官」を有している。元素変換細胞膜が水と空気から核分裂を発生させ、その崩壊熱をエネルギーとして生命活動しているため、食事を要しない。
核分裂時に発生する高熱は、自身の血液流による循環冷却機構にて排熱するほか、余熱は背ビレが放熱板となりそこから放出される。この冷却機構が不全を起こした場合に備えるセーフティとして、生体原子炉のメルトダウンを防ぐために自らを-196度まで急速冷却させスクラム(緊急停止)する機能も有している。
また、生体原子炉のエネルギーを利用した熱焔(放射線流)を体内から放射することが可能で、口からは赤色の火炎や収束率を高めた紫色のバーナー状の熱線を、背中や尻尾の先からも同様の熱線を放射できる。熱焔を長時間放射し続けた場合はエネルギー切れが発生し、生体原子炉によるエネルギーチャージのための休眠が必要となる。劇中では、この休眠状態により、活動再開までに360時間以上を要した。
→ゴジラの放射する熱焔については、記事「放射火炎」および「内閣総辞職ビーム」も参照。
前述の通り、本作のゴジラは世代を経由せずに個体のみで進化する能力を有しており、劇中では自己再生と崩壊を繰り返しながら第1形態~第4形態という計3度の進化を行っている。
(なお、以下に記載している身長体重データは、株式会社カラーのツイートを参照している)
詳細は記事「シン・ゴジラ音楽集」も参照。
本作の劇伴は、伊福部昭が過去のゴジラシリーズなどで使用した楽曲、および鷺巣詩郎による新規に書き下ろさし楽曲が併用されている。
ニコニコ大百科に記事のある楽曲は下記の通り。
この作品、魅力的なキャラとその膨大な二次創作を生み出したエヴァンゲリオンを作った庵野監督の作品だけあってとにかくキャッチーで妄想の捗るキャラがいっぱいである。実写にも関わらずアニメ的かつアニメよりも濃いキャラが溢れており、アニメの実写化とも異なる新しい体験を味わえるだろう。
このキャラが気になったけど、名前のテロップが早過ぎor長すぎて読めなかった、いつもアニメばっかり見ていたから演じていた俳優が分からないという皆さんのために、キャスト一覧を以下に最大限記載する。赤字が一応メインキャスト扱いになっている人である。役職は初出時のものを記載する。
記事「巨災対」も併せて参照。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より発売予定の「PlayStation VR」用コンテンツとして、「『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation®VR」がリリースされた[34]。SIEと東宝との共同開発で、提供方法は「PlayStation Store」での配信形式。配信日はPlayStation VRの発売日と同日の2016年10月13日。
デモの舞台は、東京駅 丸の内駅舎付近。焼け野原となっている一帯にデモ閲覧者は立っており、そこで繰り広げられているゴジラと自衛隊との戦いを全天周・3D立体視で見る内容となっている。
当デモで用いられているゴジラのポリゴンデータは、映画で実際に使用されたモデルをそのまま取り込んでいるとの事。料金は無料。
詳細は記事「ゴジラ対エヴァンゲリオン」を参照。
同じ監督・作曲家繋がりということなのか、2016年4月1日にゴジラシリーズと『新世紀エヴァンゲリオン』とのコラボレーション企画が始められた。各種コラボイラストなどの宣伝企画のほか、『モンスターストライク』や『スーパーロボット大戦X-Ω』における参戦などが行われている。
また、楽曲面でもコラボレーションが行われ、2017年3月22日~3月23日には「シン・ゴジラ対エヴァンゲリオン交響楽」というオーケストラコンサートが開催される。
JRAが、2016年12月25日に開催される第61回有馬記念のPRとして「シン・ゴジラ」とコラボしたWeb企画。開催期間は2016年12月13日〜12月26日。
日本に上陸し中山競馬場へと進行するゴジラを凍結させるため、名馬アリマがゴジラの攻撃をかわしながら「血液凝固剤ボトル」を集めていくゲームとなっている。初期段階では名馬アリマのステータスは低くクリアが難しいため、巨災対中山支部にて各種訓練メニューをこなして成長させる必要がある。名馬アリマの訓練を担当するのは12頭の動物たち。それらの声を担当する声優は下記の通り[35]。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと日本エンターテイメント・ブランドとのコラボ企画「ユニバーサル・クールジャパン 2017」のひとつ。開催期間は2017年1月13日〜6月25日。
大阪の街に上陸したゴジラを戦闘機に搭乗して迎え撃つ、4Dライドアトラクション。このほか、当アトラクション限定のフィギュアと缶入スナック、および「ゴジラのあしあとまん ~黒ごま担担味噌~」が販売される。
本作を2回目以降鑑賞する人向けとして、庵野秀明が画面内に散りばめた小ネタや元ネタのほか、ここを注意して観て欲しい点、補足箇所など、当掲示板に書き込まれたものをメインに転記しています。
掲示板
8364 ななしのよっしん
2023/07/12(水) 14:08:48 ID: HfSI2Dv//S
8365 ななしのよっしん
2023/07/13(木) 22:04:10 ID: KstuOh8ptb
マイナスゴジラの姿見たけど、やっぱり今でもデザイン面でのインパクトはシンゴジラが一番あるかも
8366 ななしのよっしん
2023/07/13(木) 23:32:18 ID: 3ZBwEFT9UQ
ゴジラから放射線が出ていると判明したシーンを見返したんだけど
SNSで「放射線が出てる!やばい!」って騒いでいる人と「巨「大した放射線量じゃない、騒ぎすぎ」って冷静(でいるつもり)な人がいたり
ネットの記事で「首相は今すぐ放射線量の増加を公表すべき!」という主張がされていたり
すげー日本のネットの解像度が高くて笑うわ
急上昇ワード改
最終更新:2023/09/25(月) 16:00
最終更新:2023/09/25(月) 16:00
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