ジェンツーペンギンとは (ジェンツーペンギンとは) [単語記事]

ジェンツーペンギン(gentoo penguin)とは、鳥類ペンギン目に属する動物の1種である。学名「Pygos celis pa pua」、和名「オンジュンペンギン」「ゼンツーペンギン」。

概要

ペンギン科アデリーペンギン属に分類される中型のペンギン。体長75㎝～90㎝、体重5㎏～8.5㎏。現在地球上で存続しているペンギン全18種類のうち3番目に大きい(1位はコウテイペンギン・2位はキングペンギン)。

英語名のジェンツー(Gentoo)は、ポルトガル語で異教徒を意味する「Gent io」が由来。ジェンツーペンギンの目の真上にある白色模様をターバンに見立てて命名されたという。また、フォークランド諸島に住むインド系住人を指しての名付けという説も。和名の「オンジュン」は漢字で書くと「温順」となり、本種の温厚で好奇心が強く人を怖がらず積極的に近づいてくる性格・性質に由来する。学名の「pa pua」はそのまんまパプア・ニューギニア独立国があるニューギニア島の事で、ジェンツーペンギンとは全く縁も所縁もない場所。何故関係ない場所の名前が学名として付いているかというと、本種の学名記載用標本に付けるラベルを間違えて別のを付けてしまったため。一度付けてしまったため変更するワケにもいかず今日まで学名として使用され続けているというワケ。

上記したように頭部にある白い模様が特徴。昔の人はターバンに見立てたようだが、今だとヘアバンドやイヤーマフラー・ヘッドホンのような模様。クチバシと脚はオレンジ色。

南極大陸周辺の海洋で生活し、繁殖期になると南極大陸付近の島や南極半島で繁殖活動を展開する。繁殖地域や体格の差により亜種としてキタ(ノーザン)ジェンツーペンギンとミナミ(サウザン)ジェンツーペンギンに区分出来る。

ペンギンは「海中を飛ぶ」と形容されるほど泳ぎが上手い鳥だが、ジェンツーペンギンは全ペンギン中最も高速で泳ぐ事が出来る。遊泳時の最高速度は27㎞/h~36㎞/hほどにもなる。また、状況によって潜水タイプを浅く短時間の潜水と深く長時間の潜水とに使い分けて遊泳する。海では集団で行動し、繁殖期には陸上でコロニーを作って子育てを行う。

エサは南極大陸近くではオキアミ、離れた海域では小魚やエビ・カニなどを食べる。天敵は海中ではシャチ・アザラシ・サメ、陸上ではカモメなどの鳥類・カラカルや野良猫に狙われている。

性格は同種同士ではよくケンカするが、基本的に温和で臆病。人が巣に近付くと逃げ出してしまうが、雛を守るために防衛行動を取る時もある。生息地は冬期も比較的穏やかで他のペンギンと生息域が被っていないためそんな性格になったと思われる。

巣は岩礁地帯や草地で、掘って作った窪みに草や小石・羽毛などを盛り重ねて作る。営巣地は大抵の場合年毎に変わる。

ジェンツーペンギンは年間何時でも繁殖可能な鳥である。年や繁殖地域・コロニー毎で繁殖シーズンは異なる。通常2個ほど産卵し、夫婦が交代で抱卵して孵す。ペンギンは抱卵時や雛を守る間、巣を守る親は海に入れず番が戻ってくるまで絶食状態に置かれる事になるのだが、ジェンツーペンギンの場合は長くても半日で番が戻ってくるため、単純計算で毎日必ず食事を摂れる。

卵は34～36日ほどで孵る。卵は2個ほど産卵されるが、ほとんどの場合無事に成長出来るのはどちらか一方のみ。雛の片方はエサの取り合いなど兄弟間の争いや、カモメなどの天敵に襲われる・ミナミゾウアザラシに巣毎踏み潰されるなどによって命を落とす。孵化後1ヵ月経ち雛が大きくなると巣を離れ雛同士でクレイシュという群れを作り身を守り合うようになり、両親は雛の食欲を満たすべく共に海に出てエサを取りに行き給餌する。親は雛の独り立ちに備えて、しばしば直ぐにエサを与えずに走らせるなどして鍛える。3ヵ月ほどでクレイシュから離れ独り立ちするが、以降も暫くの間両親からエサを貰いながら生活する。