逃げる逃げるジャックドール、ジャックドール、これがジャックの競馬だ!
これがジャックの真骨頂!
仁川のターフに金色の春風!
ジャックドール (Jack d'Or) とは、2018年生まれの日本の競走馬である。栗毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2022年:金鯱賞(GII)、札幌記念(GII)
2023年:大阪杯(GI)
ジャックドール Jack d'Or |
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生年月日 | 2018年4月8日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・栗毛 |
生産国 | 日本![]() |
生産者 | クラウン日高牧場![]() (北海道日高町) |
馬主 | 前原敏行 |
調教師 | 藤岡健一(栗東) |
主戦騎手 | 藤岡佑介(-2022.10) 武豊(2022.12-) |
馬名意味 | 人名+黄金(仏語) |
戦績 | 14戦8勝[8-2-0-4] |
獲得賞金 | 4億7204万2000円 (2023年4月現在) |
競走馬テンプレート |
父モーリス、母*ラヴァリーノ、母父Unbridled's Songという血統。
父モーリスは国内と香港でGIを計6勝した名馬であり、ジャックドールは初年度産駒。また種牡馬としては産駒がデビューした年の総合2歳リーディングでディープインパクトとドゥラメンテに次ぐ3位の成績を挙げた。サンデーサイレンスが3代前(父母父)に入っているのでサンデーのクロス4×3や4×4の産駒も多い。シャトル種牡馬としてオーストラリアでの産駒の活躍も見られる。
母*ラヴァリーノはイギリスで8戦2勝、曾祖母It's in the Airは競走・繁殖両面で活躍した(後述)。母父アンブライドルズソングは1995年BCジュヴェナイルなどの勝ち馬で、2017年には北米リーディングサイアーにもなっている。日本では母父としてスワーヴリチャードやコントレイルなどを出している。
北海道日高町のクラウン日高牧場で生産され、1歳時に北海道セレクションセールにて藤岡健一調教師が一目惚れし、前原敏行オーナーに購入を進言。3200万円(税抜)で落札[1](下動画の95:35辺り)され、栗東の藤岡厩舎(主な管理馬にビッグアーサーやサウンズオブアース、ジュエラー等)に預けられた。オーナーは中継越しでのセリの観戦となったが、見た瞬間ジャックドールにオーラを感じ、ダイナミックな馬体で派手と思ったという。[2]
馬名の意味は「人名より+黄金(仏)」。英語の「人形(Doll)」ではなく、フランス語の「黄金(d'Or)」である。セリの頃のジャックドールは尾花栗毛(現在は赤みがかった栗毛)であり、そこから黄金を連想し、外国語で黄金を意味する見合った言葉を探した結果、「バロンドール賞(仏:Ballon d'Or)」から考案したという、人名ジャックはドール(d'Or)に男っぽい名前を組み合わせた方がバランスがいいとオーナーが考えた為。[3]由来は不明だが、父モーリスなのでメジャーリーガーのジャック・モリスからの連想だろうか。
この年の12月6日のメイクデビュー中山(芝2,000m)に齋藤新騎手でデビュー、「走りのバランスが良く、いい雰囲気を持っている。ケイコも動けているし、いい仕上がりで臨めそう」と期待を寄せられていて、1番人気に支持されたが、レースでは3~4番手でレースを進めるも直線で3番人気のアオイショーに外から交わされ2馬身1/2の2着に敗れた。
12月27日の未勝利戦(阪神芝2,000m)では藤岡健一調教師の息子の藤岡佑介騎手で臨んだが、ここも先行策から直線抜け出すも外からかわされる同じパターンで1馬身半差の2着に敗れた。
休養を挟んで4月25日の未勝利戦(阪神芝2,000m)に出走。ここでは1番人気に応えて先行策から4コーナーでもう抜け出すと、2番手以下を9馬身突き放し初勝利を飾った。
続いて5月8日の中1週で日本ダービートライアルのプリンシパルS(L・東京芝2,000m)に挑戦。三浦皇成に乗り替わりとなり4番人気となったがレースでは最後の直線で粘りきれず5着に敗れた。とはいえ垂れずに5着に粘った内容には、三浦騎手も「まだまだ体も緩い中、これだけのパフォーマンスを見せてくれました。もっともっと良くなってくると思います」とコメント。
夏は休養し、秋初戦は9月11日の自己条件戦の1勝クラス(中京芝2,000m)。藤岡佑介に手綱が戻り、体重がプラス16キロとなっていたがこれは成長分だったようで、2着から2馬身差で危なげなく勝利した。
10月3日の浜名湖特別(2勝クラス・中京芝2,000m)では佑介の弟の藤岡康太が手綱を握った。好スタートから逃げ込みを図り、スローペース逃げでそのまま押し切って3馬身差の快勝。鞍上の康太は「道中のペースが楽だったとはいえ上がりの時計もよく、強い内容でした」と讃えた。
その後は中2週で菊花賞に出るとかいう話もあったが回避し、11月28日のウェルカムS(3勝クラス・東京芝2,000m)へ。また佑介に手綱が戻り、ここでも抜群のスタートでハナに立つとスタート1000m通過59秒9のペースで逃げたうえで上がり3F最速の34.3秒を出すという、他の馬に全く何もさせない走りでそのまま3馬身半差の圧勝。3連勝でオープンクラス入りを果たし、佑介は「間違いなく上で通用する」と来年への期待を寄せた。
この年の初戦は1月29日の白富士S(L・東京芝2,000m)。このレースでも逃げを図り、直線では同世代の若葉S優勝馬アドマイヤハダルが追い込んだが、1馬身半差で悠々と逃げ切り4連勝を飾った。佑介も「能力が高い」と褒め称えた。
続いて3月13日、初重賞の金鯱賞へ。GⅠ馬のレイパパレやアカイイトなどの強豪が揃い、藤岡師が「ここから先、重賞や大きいレースになるほど、このまま逃げ切りで勝つのは難しいと思っています」と脚質転換を示唆したりして「ビッグアーサー前が壁!」の悪夢を思い出した競馬ファンが頭痛を覚えたりする中、ここでも1番人気に支持された。
そしてレースではいつも通りの逃げを図り、道中緩みのないラップを刻んでいく。1000m59秒3のやや速めのペースで後ろを消耗させた上で、自身は上がり3Fを3位の34.6でまとめる強者の逃げを見せ、レイパパレやアカイイトの追撃もものともせず2馬身半差の快勝。タイムは1:57.2のレコードを叩き出し[4]破竹の5連勝で初重賞制覇を飾った。前原オーナー、生産者のクラウン日高牧場にとっても嬉しい重賞初勝利である。
逃げて連勝街道を突き進み、金鯱賞で強敵相手に圧巻のレコード逃げ切り勝ちというレース内容に1998年のサイレンススズカを想起するファンや、あるいは道中緩みのないラップでの逃げというレースぶりからミホノブルボンやタップダンスシチーを想起するファンも。(ジャックドールはジャックドールであり、他の何者でもないというファンももちろん存在する。)
佑介は「今回はペースは緩めてないし第4コーナーではどうかなと思ったけど、しっかりと粘ってくれた。すごい馬だなと思いながらラスト1ハロンを追った」と語り、「さらに大きい舞台で良い走りを期待しています」を次のレースを見据えた。
続いては優先出走権を獲得した大阪杯。金鯱賞で見せた衝撃のパフォーマンスから、中2週・初GⅠとはいえ「昨年の年度代表馬エフフォーリアを倒すとすればこの馬だ!」と、単勝1.5倍のエフフォーリアに次ぐ3.7倍の2番人気で、戦前は完全なこの2頭の2強ムードだった。ところが……。
レースでは堂々とハナを主張したが、外からアフリカンゴールドに競り掛けられ、後ろにもレイパパレら人気の先行馬がつけた結果ハイペースの展開となり、前半1000mは58秒8で流れる展開。4コーナーを過ぎてアフリカンゴールドを振り切るが、途中で右トモを落鉄した上にここまでせっつかれた結果スタミナが切れたのか、残り200mでレイパパレにかわされ、ポタジェの5着に終わった。まあエフフォーリアも9着に撃沈したので着順の上では勝ったのだが……。
デビュー以来2000mしか走っていないこともあり、宝塚記念はパスして休養し、続いては天皇賞(秋)を目標に定め、8月の札幌記念に参戦。1歳上の個性派逃げ馬パンサラッサに、ヴィクトリアマイルで復活した連覇を目指すソダシなどGⅠ馬5頭が参戦する超豪華メンバーの中、単勝4.6倍の3番人気。パンサラッサが参戦したことで、ジャックドールは番手の競馬ができるかどうかが焦点となった。
レースはユニコーンライオンがハナを主張し、パンサラッサがそれをかわして先頭へ。ジャックドールは4番手に控える。1000m通過タイムはパンサラッサが逃げたレースとしては遅く見える59秒5。しかしタイムの出ない札幌の洋芝、しかも良馬場発表ではあったものの連日の雨で馬場は緩んでおり、やっぱりハイペースのタフなレースとなって、ほとんどの馬は直線に入る頃にはバテバテだった。
そんな中でジャックドールは4コーナーからじわりと迫っていき、直線でパンサラッサに並びかけ先頭を奪う。そこからパンサラッサも粘っての追い比べに突入したが、最後まで譲らず押し切ってゴール。レースの上がりが37秒7というダート並みの消耗戦を制し、父モーリスが獲り逃した札幌の栄冠を豪華メンツの中で掴み取った。
これまでとは異なる好位先行からの抜け出し押し切りという競馬で、並み居るGⅠ馬をまとめて打ち倒し重賞2勝目。改めてその実力を示し、秋のGⅠ戦線に高らかに名乗りを挙げる勝利となった。
次走は天王星(秋)天皇賞(秋)。春の惨敗から復活を期すエフフォーリアや、パンサラッサとの再戦に加え、海外遠征を終えた前年度のダービー馬シャフリヤールもジャパンカップを見据えて参戦。エフフォーリアこそ回避したものの1歳下のイクイノックスや皐月賞馬ジオグリフも名乗りを挙げる豪華メンバーの中、本馬は前走や2000mでの実績が評価されイクイノックス・シャフリヤールに次ぐ3番人気。府中2000mの時計が出る長い直線でどのような逃げが決まるのかに注目された。
レース本番。ここ2戦はスタートが決まっていなかったパンサラッサがスタートを決めてぶっ飛ばしていく中、本馬は無理に競り合わずにバビットやノースブリッジらを先に活かせてた4番手に位置を取った。そのまま1000mを57秒4と激走するパンサラッサに対し本馬は2秒ほど遅れて1000mを通過。…いやこれ逃げさせ過ぎじゃないか?届くのか?というか後続のイクイノックスらとほとんど差がないが大丈夫か??
結論から言うと大丈夫じゃなかった。直線入り口で2番手に立つがパンサラッサとは10馬身以上の差、さらに後続のイクイノックスらもほぼ変わらず直線に入ってきた。これではキレで劣るジャックドールは苦しい。そのままイクイノックス・ダノンベルーガの3歳2頭に躱され、粘りに粘ったパンサラッサにもクビ+1/2馬身届かずと札幌記念のリベンジを果たされる4着。掲示板には入ったものの、結果的に好位からの差しという新たなスタイルにこだわった結果、自身の持ち味が殺されるという不本意な内容に終わった。
秋天後は香港カップ(香港GⅠ)へと遠征。鞍上はサイレンススズカやスマートファルコンなど逃げ馬での実績も豊富な武豊への乗り替わりとなった。こちらの2000mにもパンサラッサが出走予定となり3度目の対戦。前走はしてやられたパンサラッサ対策について藤岡調教師は「作戦はシークレット」と逃げるのか控えるのかは明かさなかった。ゲートは内枠の2番を引き当て、鞍上に武豊…もしかしてこれはパンサラッサと合わせて逃げるのか?と注目が集まり、最終オッズは3.3倍と日本馬では最上位の2番人気となった。
レース本番。スタートはやや出遅れたが、そこから押していくことはなくそのまま中団に控えた。最終直線も5番手で侵入しそこから伸びるかと思いきや、前が塞がった事もあり伸びられず。結局、終始内に包まれたまま見せ場もなく、ロマンチックウォリアーの7着に沈んでしまった。
レース後、武豊騎手は「取りたいポジションが取れませんでした」とし、藤岡調教師も「ゲートでイレ込んでしまい、いつものジャックドールの競馬にならなかった」とコメント。結局作戦がどうだったのかは分からず、ジャックドール自身がうまく走れなかったようで不完全燃焼な内容でレースが終わった。(ちなみにパンサラッサも10着に惨敗してしまったため一応パンサラッサには先着することはできた)
明けて5歳初戦、引き続き武豊とともに、昨年の雪辱を期して大阪杯へと直行。ドバイに向かったイクイノックスやドウデュースらが不在となったが、二冠牝馬スターズオンアースや前年のエリザベス女王杯馬ジェラルディーナ、牡馬では同じくGⅠ初制覇を目指すヒシイグアスやヴェルトライゼンデといった実力馬が揃った。ジャックドールはスターズオンアースと人気を分け合い、3.6倍の2番人気となった。
今回は目立った逃げ馬がいなかったため、ジャックドールは好スタートからしっかりハナを確保。外からノースザワールドが競り掛けてきたが、気にせず先頭をキープ。鞍上は逃げの名手武豊、無理に突っ張らせることもなく手綱を長く持ちマイペースに逃がしつつ、前半1000m58秒9のハイペースで後続を巻き込んでの消耗戦に持ち込んだ。
この数字だけ見てあれ?と疑問に思う人もいるかもしれない。去年の大阪杯の前半1000mペースよりコンマ1秒遅いだけなのだ。しかし決定的に違っていたのは、2F目のタイム。
年 | 1F | 2F | 3F | 4F | 5F |
---|---|---|---|---|---|
22年 | 12.3 | 10.3 | 12.0 | 12.2 | 12.0 |
23年 | 12.4 | 10.9 | 12.2 | 12.0 | 11.4 |
22年は10.3秒だが23年は10.9秒とコンマ6秒遅い。だがこの差分スタミナを消耗しなかったのが5F目からの加速に繋がり、ラスト200mまで「11.4 - 11.7 - 11.5 - 11.4 - 11.4」と緩みないハイペースを継続。こうなると後続は最後の直線で使う脚が残らない。
直線に入って追い出されると伸びあぐねる差し馬を後目に止まることなく先頭を快走。好位から追いかけてきたダノンザキッドを振り切り、そして後方勢からただ一頭猛然と追い込んできたスターズオンアースに詰められるも、最後はハナ差凌ぎきってゴール板に飛び込んだ。
レース後に「今日の馬場状態なら(1000m)59秒くらいで入りたいと思っていました」と語った武豊が、その精密な体内時計と名手の技を見せ付ける会心の逃げ切りで、ジャックドールに待望のGⅠ初制覇をもたらした。勝ちタイム1:57.4はGⅡ時代の2011年ヒルノダムールの記録をコンマ4秒上回る堂々のレースレコード。
武豊は54歳0か月19日で、岡部幸雄が保持していた記録[5]を21年ぶりに更新するJRA騎手の最年長GⅠ勝利を記録。区切りのJRA・GⅠ80勝目(!?)となった。前原オーナー、生産者のクラウン日高牧場もこれが嬉しいGⅠ初制覇。オーナーも「まだ実感が湧いてこない」とコメント。藤岡厩舎はジュエラーの2016年桜花賞以来7年ぶりのGⅠ勝利となった。
ちなみにデビューからずっと同じ距離だけを走り続けての古馬GⅠ勝利は昨年マイルCSのセリフォス以来、グレード制以降で2例目だそうである。
次走は未定だが、陣営は秋の目標を天皇賞(秋)として次走は宝塚記念も選択肢の一つとのことだったが、次走に選んだのは安田記念。[6]逃げ馬にとって距離短縮で勝つのは厳しくなるが、有力マイラー達相手にどこまでジャックドールのペースが通用するのだろうか。
ついに輝きを見せた黄金。その先に見据えるのは眩いGⅠの次の頂である。
モーリス 2011 鹿毛 |
スクリーンヒーロー 2004 栗毛 |
*グラスワンダー | Silver Hawk |
Ameriflora | |||
ランニングヒロイン | *サンデーサイレンス | ||
ダイナアクトレス | |||
メジロフランシス 2001 鹿毛 |
*カーネギー | Sadler's Wells | |
Detroit | |||
メジロモントレー | *モガミ | ||
メジロクインシー | |||
*ラヴァリーノ 2004 栗毛 FNo.4-k |
Unbridled's Song 1993 芦毛 |
Unbridled | Fappiano |
Gana Facil | |||
Trolley Song | Caro | ||
Lucky Spell | |||
Sous Entendu 1987 栗毛 |
Shadeed | Nijinsky II | |
Continual | |||
It's in the Air | Mr. Prospector | ||
A Wind Is Rising |
クロス:Mr. Prospector 4×5(9.38%)、Northern Dancer 5×5(6.25%)
掲示板
748 ななしのよっしん
2023/06/07(水) 14:11:41 ID: bw5lXBB0Ac
安田記念は中距離馬が好走しやすいってのはよく聞く話だけど、マイルCSはどうなんだろう
749 ななしのよっしん
2023/06/08(木) 10:05:30 ID: DXtRiqX4BR
安田記念、府中の場合はいわゆる東京専例えばウオッカみたいな差し馬が通用したのでそのイメージがあるのかと思う
じゃあマイルCSはどうなのかと言うとこちらもやっぱり直線が長く、過去成績も差し馬が台頭しているので「中距離の差し馬」は通用しやすいと思う
ただ府中の方が大回りで直線は長い
でジャックドールはと聞かれると差し馬じゃないの一点
750 ななしのよっしん
2023/06/08(木) 10:09:05 ID: DPe/69+s7s
マイルCSは秋天から中3週
間隔空けて使う馬だから行かないと思う
急上昇ワード改
最終更新:2023/06/09(金) 11:00
最終更新:2023/06/09(金) 11:00
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