ジャパニズム 単語

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ジャパニズム

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ジャパニズムとは、

  1. 英単「Japanism」。「日本」を意味する「Japan」と「~義」を意味する接尾語「-ism」を合わせた言葉で、直訳すると「日本義」。「日本な」、「日本特有の」、「日本好きな」、「日本好の」と言った意味合いで用いられる。文化芸術美術の用「ジャポニスム(フランス語japonisme)」の意味で用いられることもある。
  2. 青林堂が出版していた日本の右論壇誌。

本記事では2.について記載する。

概要

2011年4月から2020年2月まで、偶数ごとに発刊されていた隔誌。定価は1000円
若い世代をターゲットに、保守的な視点で、政治・経済外交から文化サブカルチャーまで幅広く取り上げている。 スローガンは「再生日本の、底」。

多数の評論家ジャーナリスト政治家などが寄稿し、初期は西部邁西尾幹二といった右論壇の重鎮や右国会議員を招聘、三代目編集長の古谷経衡は「書き手の世代一新」「硬マッチョ保守からの脱却」という方針を打ち出していた。

なおジャパニズムは「ヘイト本」の一つとして一部の団体からの敵にされている。(関連項目、関連動画なども参照)

歴史

西村編集長時代

2011年4月26日、「ムックシリーズなどで知られる右ジャーナリスト西村幸祐を編集長に迎えて創刊された。美少女イラストを表に掲げる新さでまずは順調な滑り出しを見せた。

同年の「ガロ復活の試みが失敗に終わり、一の定期刊行物だったアダルト雑誌「ぷるるんMAX」も休刊と青林堂自体が不振に喘いでいたこと、同種のコンセプトで勝負した遊舎の刊誌「スレッド」(2007年)が3号廃刊に追い込まれていたことなどから先行きを危ぶむもあったが、3号の山を越えることに成功する。

だが04号の発刊を前に西村は突如として編集長を辞任。後任として大手の右論壇誌「SAPIO」(小学館)で編集長を務めていた遠藤邦正が招聘された。この時期から寄稿していた代表的な執筆は以下の通り。

すぎやまこういち
平成日本への伝言」と題した連載を執筆していたが、古谷編集長就任直後の08号を最後に連載終了。以後誌面から姿を消している。
西部邁
1939年生の政治思想。元東大教授言わずと知れた論壇の大御所中の大御所。「新・二十一世紀からの思索」と題した連載を執筆していたが、世代交代と脱「硬マッチョ保守」を掲げる古谷編集長の就任に伴いお役御免となった。
山村明義
1960年生のジャーナリスト神道テーマとして取り上げる一方、2013年には「民主党政権 - 悪夢恐怖の3年3ヶ」(青林堂)を上した。「パワースポットの先にあるもの」と題した連載に加え、単発で記事を執筆することもある。創刊から現在まで全ての号で執筆に名を連ねている数少ない人物であり、当誌の隠れた「顔」の一人とも言える。

このほかに「マンガ嫌韓流」で一世をした「嫌韓」の一人である山野、「新しい歴史教科書をつくる会」(つくる会)の創設者として知られる政治思想西尾幹二などが起用されていた。

遠藤編集長時代

新編集長の遠藤は「思想・理念」を掲げ、メジャー化路線を推し進めていった。石破茂稲田朋美城内実などの有保守政治家が誌面に登場する機会が増える一方、最大の特徴であった美少女イラストは隔号ペース政治家の顔写真に差し替えられ、裏表に回されるようになった。また税込980円消費税増税前)だった定価が05号から1200円(同)に値上げされた。

結局一周年記念となる07号を最後に遠藤は退任。創刊号から編集者として誌面作りに携わっていた古谷経衡1982年生)が編集長に抜された。この時期に寄稿していた代表的な執筆は以下の通り。

宇田川敬介
1969年生のジャーナリスト選挙コンサルタント。著書に「民主党の闇」(成甲書房)など。国会新聞社編集次長、やまと新聞政治部長などを歴任した。チャンネル桜の常連ゲストとしても知られる。西村時代から古谷時代まで断続的に寄稿する傍ら、遠藤時代からは古谷と共に編集人として誌面作りを支えるようになった。しかし2012年総選挙において選挙違反を働いたかどで有罪判決を受け、国会新聞やまと新聞を追放されたのを機に当誌からも姿を消している。
佐藤優
1960年生の元外務官僚。鈴木宗男事件に連座して有罪判決を受けたがその後も冤罪し、政府告発する著書「国家」を出版して話題を集めた。現在政治外交評論家として活動している。05号で専門の北方領土問題をテーマにした記事を執筆。06号から「新日本人論」と題した連載を始めていたが、古谷編集長の就任に伴いわずか2回で連載打ち切りとなった。
立木秀学
1971年生の政治家幸福実現党第7代党首。宗教法人幸福の科学」元専務理事。04号から単発記事を担当するようになり、政治への経営感覚の導入や宗教心の復を訴えていた。07号限りで誌面を退き、08号からは後に第9代党首となる釈量子にバトンタッチした。

このほかにリフとして知られる産経新聞編集委員の田村秀男、元産経新聞中国総局記者福島香織経済ジャーナリストテレビ討論番組などに出演している須田慎一郎らが起用されていた。

古谷編集長時代

古谷体制下で初めて製作された08号では「サブカルチュア・コンサバティブ・マガジン」という副題が追加され、冒頭に以下のような宣言文が掲載された。

(前略)…JAPANISMは新生ジャパニズムとして、今号より再スタートを切る。

本誌は、日本主語とした保守言論雑誌であると同時に、次代を担うべき若手の保守系言論人の思想的砦にならんとして、書き手の世代を一新する。また、硬マッチョイズムが支配的だった旧来の保守言論雑誌とは明確なる差別化を図る。

正論路線は確かに「正論」だがそれ故に正論」過ぎてちょっとついていけない方。かといってアナキー過ぎる前衛路線や世俗迎合にもをしかめてしまう方。新生ジャパニズムはそんな硬にも軟にもなり切れない、保守系高等遊民[1]に贈る、新しいサブカルチュア・コンサバティブ雑誌の路線を開拓する。

宣言文のとおり、西村遠藤時代に連載を持っていた重鎮論客は軒並みお払いとなり、代わって古谷と近い世代の人間や、右論壇でさほど知名度を得ていない評論家などが積極的に登用されるようになった。また表美少女イラストが固定化され、定価も以前の税込980円消費税増税前)に戻された。

10号から「最新ネトウヨニュースNETOUYO NEWS』」と題した新コーナーを設けるなど、古谷時代は「ネット右翼ターゲットとする雑誌」という古谷の考えるコンセプトを進めた時期といえる。ただこの時点では売り上げ増に繋がったかどうかは微妙なところであり、ニコニコ市場での購入者数はついに均1桁まで落ち込んだ。

古谷は12号限りで編集長を退き、誌面からも姿を消した。この時期の代表的な執筆は以下の通り。

機関
ジャーナリストの南郷大をリーダーとする製作集団。嫌中・嫌テーマとしており、代表作に「漫画 危ない!中国」「漫画 奪還を命ず 拉致被害者を救出せよ!!」(宝島社)など。古谷体制下で毎号中国関係の記事を担当したほか、編集協として誌面作りにも携わった。また南郷名義で別に記事を執筆することもあった。古谷退任後の13号を最後に姿を消していたが、2013年11月中旬、南郷が自宅で孤独死を遂げていたというショッキングニュースが報じられた[2]
釈量子
1969年生の政治家幸福実現党第9代党首。宗教法人幸福の科学」元常務理事。「『愛国猛女』が政治を一両断する」という内容の漫画若者人生相談に対する著者の回答を組み合わせた「勝手にモージョ相談処」を古谷時代を通じて連載していた。後に青林堂から単行本化されている。
濱田浩一郎
1983年生の歴史学者。姫路獨協大学講師。著書に「日本人はこうして戦争をしてきた」(青林堂)など。08号で執筆に加わると、09号からは「日本人のための天皇原論」を連載。古谷が編集長を退いた12号限りで連載終了となり、古谷と共に誌面から去った。

このほかに編集協も務めたサブカルライターオサムタカ軍事評論家として知られる元将(空軍中将相当)の佐藤佐藤が自費出版していたSFミステリーコミカライズを担当する漫画家の「あびゅうきょ」などが連載に加わった(なお、「あびゅうきょ」の担当するこの漫画stranger」は上記の通りSFミステリーものであり、思想義とは全然関係い内容である)。また初代編集長の西村幸祐が約1年ぶりに誌面に復活している。

渡辺編集長時代

古谷の後任はしばらく席となり、古谷時代に編集者を務めていた美康子がそのまま編集に携わった。この時期には西村が編集協としてサポートに入っている。15号から渡辺レイ子を編集長とする新体制が発足した。

古谷の退任に伴い「サブカルチュア・コンサバティブ・マガジン」の副題は外されたが、この頃からネット上での情報発信や動画配信で人気を集める右評論家活動家の起用が進められるようになった。

Amazonレビューニコニコ市場の反応にはやや善傾向が見られており、特に京本和也倉山満桜井誠らが起用された14号からは購入者数・掲載動画数ともに西村編集長時代の準を回復しつつある。18号では看板の一つだったゆきうさぎ美少女イラストが姿を消し、また消費税増税に合わせて定価が税込1000円に変更された。この時期から執筆に加わったメンバーは以下の通り。

京本和也KAZUYA CHANNEL)、倉山満桜井誠このほかに「じゃあのwww」こと「カミカゼ」と井上太郎、「おもしろ反日チャンネル」と題した政治動画の配信で本と並ぶ政治カテゴリトップランカーとなっている「すんばらし~の人」、在特会事務局長で「なでしこアクション」代表の「ゆみこ」こと山本美子などが執筆に加わっている。

末期は編集部と作家の対立し連載を終了、また掲載していた余命三年時事漫画exit』の漫画版はオリジナルブログが大量懲を引き起こし総崩れとなった。

2020年2月53号で休刊。

既刊一覧

関連動画

関連コミュニティ

関連項目

外部リンク

脚注

  1. *高等遊民とは明治後期から昭和初期にかけて、帝国大学などの高等教育機関卒業しながら就職せずに遊んで暮らしている人々をした言葉。現代で言う「高学歴ニート」にあたる。なお古谷は独自のネット調に基づき「ネット右翼高学歴が多い」と結論付けている。
  2. *日本シルクロード科学倶楽部会長・高田純のTweetより。exit
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