ジャワ文字とは、インドネシアのジャワ島で使用されているジャワ語を表記するための文字体系。
UnicodeではU+A980-A9DFの位置に収録されている。
ブラーフミー系文字に属しており、カウィ文字が直接の祖先にあたる。今の文字体系になったのは17世紀と言われ、この文字で書かれた文学作品が多く残されている。現在でもジャワ文字は学校で教えられているが、ジャワ語はラテン文字やアラビア文字で書かれるのが主流となっており、ジャワ文字の使用場面は限定的となっている。
文字はnやuを連ねたような形をしている物が多い。文字の上下に大きく書かれる筆画も特徴的であり、それらは母音半体記号や二重子音、音節末子音を表している。インドの文字体系のように独立した母音文字があり、子音文字にも無気音・有気音に相当する物が存在するが、発音上は区別されていない。
ジャワ島の隣にあるバリ島で使用されるバリ文字は、ジャワ文字から派生した物で、字形や表記法に類似点が多い。
ジャワ語の基本的な子音文字として、以下の20個が使用される。太字はジャワ語ラテン文字による表記。/a/ は /ɔ/ とも発音され、また /h/ は発音されない場合もある。
基本子音 | |||||||||
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ha /ha/ |
na /na/ |
ca /ca/ |
ra /ra/ |
ka /ka/ |
|||||
da /da/ |
ta /ta/ |
sa /sa/ |
wa /wa/ |
la /la/ |
|||||
pa /pa/ |
dha /ɖa/ |
ja /ɟa/ |
ya /ja/ |
nya /ɲa/ |
|||||
ma /ma/ |
ga /ɡa/ |
ba /ba/ |
tha /ʈa/ |
nga /ŋa/ |
子音配列は上掲の物が一般的であり、ジャワ文字を指す言葉として、先頭の5文字を取って「hanacaraka」とも呼ばれる。さらに、この配列は意味のある4行の詩 (日本語で言う「いろは歌」) になっており、その内容を意訳すると以下の通りである。
- Hana caraka - 二人の使者がいた。
- data sawala - 戦いを始めた。
- padha jayanya - 勝負は互角だった。
- maga bathanga - そして、二人とも死んでしまった。
複数の子音が連続する音節の場合、原則として先に来る子音の文字を書き、その下に2つ目の子音の文字を添える。この時、2つ目の子音文字は形が変化する事が多い ( /mka/)。また、下ではなく右側に表記する物もある ( /mpa/)。基本子音における文字の結合形は以下の通りである。
基本子音の結合形 (aksara pasangan) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/ha/ | /na/ | /ca/ | /ra/ | /ka/ | |||||
/da/ | /ta/ | /sa/ | /wa/ | /la/ | |||||
/pa/ | /ɖa/ | /ɟa/ | /ja/ | /ɲa/ | |||||
/ma/ | /ɡa/ | /ba/ | /ʈa/ | /ŋa/ |
以下の9文字は、敬意を払う対象となる人物や場所を記す時に、単語の先頭 (または2文字目以降) で上掲の文字の代わりに使用される。これらは元々古ジャワ語において別の音 (有気音等) を表していた文字である。
頭文字 (aksara murda 下段は結合形) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/na/ | /ca/ | /ka/ | /ta/ | /sa/ | |||||
/pa/ | /ɲa/ | /ɡa/ | /ba/ | ||||||
上記以外にも、古ジャワ語で使用される子音文字として以下が存在する。
その他の子音 (下段は結合形) | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/ra/ | /da/ | /sa/ | /ɖa/ | /ɟa/ | /ʈa/ | ||||||
外国語の子音 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/xa/ | /ða/ | /fa/ | /za/ | /ɣa/ |
/a/ 以外の母音を表す時は、子音文字に以下のような母音記号を付ける。
子音文字+母音半体記号 (haと結合した例) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ha /ha/ |
hi /hi/ |
he /hə/ |
hu /hu/ |
||||
hre /hrə/ |
hle /hlə/ |
hé /he/ |
ho /ho/ |
複数の子音が連続する音節の場合、/u/ の記号は2つ目の子音文字の方に付ける ( /kɡu/)。/h/ は発音されない事もあり、/ha/ の子音文字に記号を付けた場合は単独の母音をも表す。
母音専用の文字も別に存在するが、子音の「頭文字」と同様、敬意を払う対象の人物等に使用される。
母音文字 (aksara swara) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
/a/ | /i/ | /ə/ | /u/ | ||||
/rə/ | /lə/ | /e/ | /o/ |
長母音や二重母音を表す文字や記号も存在し、これらは古ジャワ語や外来語で使用される。
長母音・二重母音半体記号 (haと結合した例) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
/haː/ | /hiː/ | /hɤ/ | /huː/ | ||||
/hrɤ/ | /hlɤ/ | /hai/ | /hau/ | ||||
長母音・二重母音文字 | |||||||
/aː/ | /iː/ | /ɤ/ | /uː/ | ||||
/rɤ/ | /lɤ/ | /ai/ | /au/ |
子音記号等 | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
/kaŋ/ | /kar/ | /kah/ | /kra/ | /kja/ | /k/ |
このうち 、 については、三重子音の3つ目を記述する時にも使用される ( /skra/)。同様に、上述子音文字 /wa/ の結合形 も三重子音で使用される ( /ntwa/)。
句読点記号 | |||||
---|---|---|---|---|---|
目下の人への手紙の先頭に添える記号 | コロン | 段落の開始 | |||
同輩への手紙の先頭に添える記号 | 読点 | 単語の繰り返し | |||
目上の人への手紙の先頭に添える記号 | 句点 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 0 |
数字には子音文字や母音文字と同じ形の物があるため、区別のためコロン等を前後に付ける ( 19)。
掲示板
138 ななしのよっしん
2013/05/25(土) 18:56:51 ID: kpSEx7K+Ws
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140 ななしのよっしん
2017/01/22(日) 19:04:09 ID: NBQuUNUR+O
ジャワ文字のU+A9C1とU+A9C2
これは上記の文字に含まれますか?
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最終更新:2024/04/24(水) 14:00
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