ジャンダルム(英:Gendarme、香:險峰懸壁)とは、2015年生まれの日本の競走馬である。黒鹿毛の牡馬。
主な勝ち鞍
2017年:デイリー杯2歳ステークス(GⅡ)
2022年:スプリンターズステークス(GⅠ)、オーシャンステークス(GⅢ)
父Kitten's Joy、母ビリーヴ、母父*サンデーサイレンスという血統のアメリカ産馬。
父キトゥンズジョイはアメリカで中距離GⅠを2勝し、種牡馬としては6年連続北米芝リーディングサイアー、2度の北米リーディングサイアーに輝くアメリカのトップサイアーの1頭。アメリカの芝で活躍する種牡馬だが日本で走る産駒は多くなく、活躍馬はジャンダルムの他には2017年のエプソムカップを勝ったダッシングブレイズがいる程度。
母は2002年のスプリンターズステークスと2003年の高松宮記念のスプリントGⅠ秋春連覇を果たしJRA賞の投票で一部記者から牡馬と間違われた名牝。引退後はノースヒルズからアメリカの牧場に預託されアメリカで繁殖牝馬となっている。
母父は説明不要のレジェンド種牡馬。
2015年4月25日生まれ。アメリカでは母馬の所有者が生産者扱いになるため、生産者は「North Hills Co. Limited」表記になっている。馬主名義は母と同じく、ノースヒルズ代表の前田幸治。
栗東・池江泰寿厩舎に入厩。これまで日本に輸入された兄姉は主に短距離馬だったが、父は主にマイル~中距離の活躍馬を出していることもあって距離の融通が利くことが期待され、デビューは2017年9月9日、阪神の芝1600m戦。武豊を鞍上に、3番手の好位で先行して直線抜け出して押し切り勝ちを収める。
2戦目で11月のデイリー杯2歳ステークス(GⅡ)に挑戦。アンドレア・アッゼニが騎乗したここでは、9頭立てで7.3倍の5番人気という評価。スタートで出負けして中団からのレースになったが、内から逃げるカクリョウと抜け出しを図るカツジの間を割るようにして突き抜け快勝。連勝で重賞初制覇を飾った。
この勝利でホープフルステークス(GⅠ)に鞍上を武豊に戻して参戦。メンバー唯一の重賞馬ながら6.2倍の4番人気。外枠から枠なりに中団やや後ろの外目に構え、3コーナーから外を捲って押し上げて直線抜け出しを図ったが、大外から襲いかかってきたタイムフライヤーに振り切られ、ステイフーリッシュの追撃は凌いだものの2着。武豊は「あそこまでいったら勝ちたかった」と悔しがったが、距離は保つと判断され、開けて3歳は武とともにクラシックに挑むことになった。
というわけで明けて3歳初戦はあのヘヴィータンクのレースとして有名になった弥生賞(GⅡ)。4番手で先行したが、前から抜け出したダノンプレミアムには追いつけず、逃げ粘るサンリヴァルは最後ハナ差かわしたものの、外から飛んできたワグネリアンにかわされ3着。
そして皐月賞(GⅠ)は混戦ムードの中4番人気に支持されたが、中団から伸びず、特に見せ場もなく9着。
これで日本ダービー(GⅠ)は11番人気まで評価を落とし、中団に構えたものの直線では完全に置いていかれ、ブービー17着に撃沈。クラシックの頂きは遠かった。
春クラシックの結果を受けて、3歳秋からはマイル路線へ転向する。……が、むしろここからが彼の険しい道のりの始まりだった。初戦の富士ステークス(GⅡ)は特に見せ場なく7着同着、マイルチャンピオンシップ(GⅠ)は出負けして終始後方のまま16着に沈没。
明けて4歳、初戦の東京新聞杯(GⅢ)もブービー14着に沈み、このレースを最後に武豊にも去られてしまう。休養を挟んで7月の中京記念(GⅢ)から藤井勘一郎を鞍上に迎えて復帰(6着)すると、続く京成杯オータムハンデキャップ(GⅢ)では久々に前目の好位につけ、トロワゼトワルのレコード逃げ切りに大きく突き放されたものの3着に好走。お、復活か? と思いきや、次の富士ステークスでは直線で失速して最下位18着に惨敗、4歳シーズンを終える。
明けて5歳、ニューイヤーステークス(L)から始動すると、は先行抜け出し押し切りで2年2ヶ月ぶりの勝利を挙げる。しかし続く東風ステークス(L)は直線で抜け出そうとしたところから失速して10着。4月のダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)も同じような展開で10着。4ヶ月休んで8月の関屋記念(GⅢ)に出走するも見せ場なく11着。前年好走した京成杯AHは4着と今年も好走はするものの、2歳以来の重賞勝利は遠かった。
続く10月の信越ステークス(L)で1400mに距離短縮。鞍上はここから5年目の若手・荻野極となる。ここは好位先行から直線で逃げ馬を捕らえて抜け出し、後続の追撃を寄せ付けず押し切り勝ち。
この勝利で年末の阪神カップ(GⅡ)に向かったが、ここも好位から進めるも直線伸びきらず7着。
明けて6歳、2月の阪急杯(GⅢ)で始動。逃げるレシステンシアをマークして2番手で進めるも、直線で突き放され、ミッキーブリランテにもかわされて3着。
4月の春雷ステークス(L)では1200mに距離短縮。東風S以来久々に1番人気に支持されると、外目の好位から直線大外から一気に突き抜けて2馬身半差の快勝。以後は1200m戦に狙いを定めるのだが……。
8月の北九州記念(GⅢ)は実績のない荻野騎手からベテランの福永祐一に乗り替わり1番人気に支持されるも、出負けして後方からになり7着まで。
続いて浜中俊が騎乗したセントウルステークス(GⅡ)は、後方から大外を上がり最速で猛然と追い込んだが4着。この追い込みが評価されて、浜中が続投したスプリンターズステークス(GⅠ)では11.1倍の4番人気となかなかの評価を集めたが、中団から伸びず11着に撃沈。
明けて7歳となった2022年は1月のシルクロードステークス(GⅢ)から始動。鞍上も荻野極に戻ったが、逃げるビアンフェを2番手で追走するも、直線で力尽きて11着。
続いて3月のオーシャンステークス(GⅢ)。ここも逃げるビアンフェを見ながら2番手グループを追走。今度は直線で逃げ粘るビアンフェを捕まえて抜け出し、後続の追撃を押し切って勝利。デイリー杯2歳S以来、実に4年4ヶ月ぶりの重賞制覇。そして鞍上の荻野極騎手は、これが60度目のJRA重賞挑戦で嬉しい重賞初制覇となった。
というわけで優先出走権を獲得した高松宮記念(GⅠ)に向かったが、ここも逃げるレシステンシアを2番手で追走し残り200mで一度は先頭に立ったものの、そこで力尽きて後続に呑まれ、前走で2着に破った丸田恭介&ナランフレグのGⅠ初制覇の後ろで11着。
5ヶ月休んで北九州記念で復帰したが、外枠から中団で大外回しになり直線で沈んでブービー17着。
そんなこんなで迎えた2度目のスプリンターズステークス。セントウルSをレコード圧勝しGⅠ初制覇を狙う稀代の癖馬メイケイエールと、桜花賞3着で既に短距離重賞2勝、3歳牝馬で斤量有利のナムラクレアが人気を分け合い、以下、1200m初挑戦のシュネルマイスター、CBC賞で日本レコードを叩き出したテイエムスパーダ、高松宮記念勝ち馬ナランフレグなどが続き、ジャンダルムは単勝20.3倍の8番人気だった。
前2走とも2桁着順にしては人気が高いと思えるが、古馬となって4勝のうち3勝(ニューイヤーS、春雷S、オーシャンS)が中山競馬場という中山巧者ぶりを評価されてのことだろう。
内枠から今回も好スタートを決めたジャンダルムは、逃げるテイエムスパーダを2番手で追走すると、直線入口で捕まえて悠々と先頭に躍り出、後続を突き放す。後ろからはウインマーベルとナランフレグが猛追してきたが、そのまま鮮やかに押し切った。
8番人気の伏兵7歳馬が、7年目の鞍上・荻野極ともども嬉しいGⅠ初制覇。池江厩舎は2019年大阪杯のアルアイン以来のGⅠ制覇。母ビリーヴの勝利から20年、母の制したスプリントの頂きを、息子が見事に登頂してみせた。
荻野騎手にとっては、実績の無さゆえに一度はベテランのダービージョッキーに乗り替わられながら、手綱を取り戻して得た栄冠。短距離戦に挑むようになって以来、荻野騎手の手綱なら好スタートで先行できるのに、乗り替わった途端ゲートを出なくなったので、やはり荻野騎手と手が合っているということなのだろう。これで2022年の春秋スプリントGⅠは、ともに8番人気の伏兵が一緒に短距離戦線を戦ってきた鞍上に初GⅠを届けるというレースになった。
ちなみに、国内調教馬では7歳でのスプリンターズステークス制覇は史上初。前走17着からのGⅠ制覇は、1992年の天皇賞(秋)17着→有馬記念1着のメジロパーマー以来。日本ダービーに出走した馬のスプリンターズステークス制覇は、グレード制以降では2009年のローレルゲレイロ以来2頭目である。
池江師いわく「もう7歳なので、今後はいかに種牡馬としての価値を高めてあげられるか」とのことで、続いては年末の香港スプリント(GⅠ)に参戦。香港表記は「險峰懸壁」。しかし発表された鞍上は荻野極ではなくダミアン・レーン。いくら名手とはいえ、荻野騎手じゃないとゲート出ないのに大丈夫? というファンの懸念が的中し、案の定出負けして終始後方のまま12着。荻野騎手なら勝てたとは言わないまでも、結局これが最後のレースとなったわけで、丸田騎手と挑んだナランフレグ(10着)のように、結果はどうあれ荻野騎手と挑む姿が見たかったというのがファンの偽らざる心境であろう。
この香港スプリントを最後に引退、アロースタッドで種牡馬入りすることとなった。通算30戦7勝。
Kitten's Joy 2001 栗毛 |
El Prado 1989 芦毛 |
Sadler's Wells | Northern Dancer |
Fairy Bridge | |||
Lady Capulet | Sir Ivor | ||
Cap and Bells | |||
Kitten's First 1991 鹿毛 |
Lear Fan | Roberto | |
Wac | |||
That's My Hon | L'Enjoleur | ||
One Lane | |||
ビリーヴ 1998 鹿毛 FNo.22-d |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
*グレートクリスティーヌ 1987 鹿毛 |
Danzig | Northern Dancer | |
Pas de Nom | |||
Great Lady M. | Icecapade | ||
Sovereign Lady |
クロス:Northern Dancer 4×4(12.50%)、Nearctic 5×5×5(9.38%)、Hail to Reason 5×4(9.38%)
掲示板
14 ななしのよっしん
2022/12/15(木) 16:58:56 ID: gl8hRCbkqd
この世代、朝日杯もホープフルも結果的に高レベルだったね
牡馬は王道だめやったけどその代わり息長く活躍した
日本じゃサドラー系は厳しいって認識だったけどスピード系のジャンダルムは成功するかな
15 ななしのよっしん
2022/12/15(木) 20:01:57 ID: EmO/zNzfOq
兄貴もリードホース頑張ってるようだし、ジャンダルムは種牡馬で頑張って欲しいね
これでこの世代は亡くなったワグネリアンと乗馬になったブラストワンピース、まだ引退していないタイムフライヤー以外のG1級の勝ち馬はみんな種牡馬入りか…
16 ななしのよっしん
2022/12/15(木) 20:03:13 ID: 7BV2EL3TPW
種牡馬入りするのはうれしいけど、香港前に引退が決まってたなら極を乗せてほしかったなぁ
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最終更新:2023/10/01(日) 19:00
最終更新:2023/10/01(日) 19:00
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