ジョン・マッケンローとは (ジョンマッケンローとは) [単語記事]

ジョン・マッケンローはアメリカの元テニス選手である。テニス界で「マック」と言えば彼のことを指す。

概要

80年代前半における最強選手であり、一世を風靡した伝説的サーブ＆ボレーヤー。当時大会五連覇がかかっていたビヨン・ボルグと対戦した1980年のウィンブルドン決勝は長らく史上最高の名勝負として語られてきた。最終的に敗れたものの、18-16という壮絶なスコアで奪った第4セットのタイブレークは語り草になっている。翌年の決勝でボルグの連覇を止めてウィンブルドン初優勝。敗れたボルグは燃え尽きたようで、この年を最後に競技から離れていった。ボルグに引導を渡した後は年上のジミー・コナーズ、一歳年下のイワン・レンドルと1位を争っていく。絶頂期の1984年に挙げた年間勝率.965(82勝3敗)は今も男子テニス界のアンタッチャブルレコードとして残っている。しかし85年に四大大会無冠に終わると、以降はレンドルの時代へと移っていく。1992年に現役引退後は解説者として登場することが多い。ダブルスではたまにスポット的に出場しており、最後のダブルスタイトルは2006年のものである。

サーブ＆ボレーヤーとしては史上最高の呼び声高いが、一方で参考にはならないという意見が強い。そのタッチセンスは絶対に真似できないと言われる。彼のボレーは「奇跡」「天才」と言った言葉で形容されることが多い。そのスタイルゆえに高速コートに非常に強く、カーペットでの勝率.853、優勝43回は歴代1位、芝の勝率もロジャー・フェデラーが現れるまでは1位だった。カーペットの大会は2015年現在 ATP ツアーから姿を消しているため、今後も更新されることは当分無いと思われる。またカーペットが多かったインドア大会の成績でも勝率 1位(.853)、優勝回数52回もコナーズの53回に次ぐ2位を誇る。一方球足の遅いクレーでは通算の優勝回数は4回のみで全て米国内の大会だった。全仏オープンでは唯一1984年に決勝までたどり着いたが、レンドルに敗れて準優勝に終わっている。シングルスだけでなくダブルスでも強く、単複両方でランキング 1位を獲得した稀有な選手である(他にはステファン・エドベリしかいない)。ATPの歴史を語る上で最重要選手の一人と言ってよいだろう。

プレー内容と別のところでは審判への暴言やラケット投げなどのキレ芸が有名。ラインジャッジへのクレームなど派手なジェスチャー付きで半ばエンタメと化していたようである。しかしながらやり過ぎて失格負けを食らったこともあった。ゲームのモデルにもされており、ナムコのファミコンソフト「ファミリーテニス」におけるキャラ「まけろう」は彼をモデルにしている。また近年では「EA グランドスラムテニス」に実名で登場したが、そこではキレ芸も再現されていた。特に英国民にとっては、「紳士淑女の大会」であるはずのウィンブルドンで毎年マッケンローが好成績を収めることが面白くなかったようで、コメディ俳優が歌ったパロディソングがきっかけで「Brat」のニックネームが広まった。「手に負えない子供」という意味である（が、わざわざ英和辞書に「侮蔑的表現」と書かれるくらいなので、ニュアンスをふくめれば「クソガキ」といったところであろうか）。日本ではややマイルドに「悪童」という二つ名が定着した。

2016年の全仏オープン中、ウィンブルドン限定でミロス・ラオニッチのチームに加わることが報道された。ここ数年レジェンド選手のコーチ就任が話題になっていたが、その流れに沿った形か。現役トップクラスのビッグサーバーをウィンブルドン優勝に導けるか、注目される。また2017年には新設された団体戦のレーバーカップにおいて世界選抜チームの監督を務めた。

84年の年間最高勝率は近年のトッププレイヤー達が近づいたが、結局抜けなかった。最も惜しかったのは2005年のロジャー・フェデラーで最終戦の決勝を残した時点で81勝3敗、決勝に勝てば並ぶという場面でダビド・ナルバンディアンに対して2セットアップまで行ったが、そこからまさかの逆転負け。2011年のノバク・ジョコビッチは全米オープン終了時点で2敗しかしていなかったが、デビスカップでの故障が響き最終的に70勝6敗。2013年のラファエル・ナダルも全米オープン終了時点で3敗しかしていなかったが、その後は優勝が無く75勝7敗で終わっている。