ジンバブエ・ドル(Zimbabwean dollar, Z$, ZWD)とは、かつてジンバブエで流通していた通貨である。
もともとのジンバブエ・ドルは安定した価値を持つ通貨だったが、経済政策の失敗によりハイパーインフレが発生して価値が急落し、2007年には米『Foreign Policy』誌にて「世界で最も価値の低い通貨ワースト5」の一つに選ばれた(ちなみに他の4つは北朝鮮・ウォン、ソマリア・シリング、ベネズエラ・ボリバル、イラク・ディナール)。
3度もの大規模なデノミネーションにも関わらずハイパーインフレ傾向は収まらず、2009年4月を以て発行無期限停止。以来、当国には南ア・ランド、ボツワナ・プラといった周辺諸国の有力貨幣に加えて米ドル、英ポンド、ユーロが流通している。
日本のインターネット上では価値の低い通貨の代名詞として、かつてのルピーやペソに代わってよく使われていた(「〇〇が××する、に100ジンバブエ・ドル」みたいな感じ)。
2008年10月9日、今年7月と前年同月を比べた年間インフレ率が2億3100万%を記録したと発表された。これは第二次大戦直後のハンガリーで起きた20桁以上のハイパーインフレーションを除けば、戦後最悪のインフレーションである。わかりやすく言うと、「1年前の7月に10円で買えたうまい棒が、1年後に2310万円になった」という感じだろうか。
ロンドンとジンバブエの株式取引所のシェアの相対価値に基づいた「Old Mutual Implied Rate(OMIR)」という非正規レートでは、2008年11月17日に1米ドル=約64京ジンバブエ・ドルを超える値を記録。これを旧ジンバブエ・ドルに直すと1米ドル=約 6,400,000,000,000,000,000,000,000,000,000 旧ジンバブエ・ドル(640穣・旧Z$。「穣」は「ジョウ」と読み、1028=1京の1兆倍の数の単位)となる。なお11月20日に準備銀行(中央銀行に相当)が証券取引所に詐欺的な小切手取引をした口座を凍結したため、以降OMIRは算出されなくなっている。
1980年にジンバブエ共和国が独立し、ジンバブエ・ドルが初めて発行されたが、その当時は1米ドル=0.68ジンバブエ・ドルだった。
1999年にジンバブエはコンゴ民主共和国への派兵を行い、それにより経済が悪化し、旧宗主国のイギリスなどから批判された。
2000年8月からジンバブエは白人地主から農場を取り上げる政策を進め、それにより白人地主の国外脱出が相次ぎ、自国産業の供給力が大きく低下し、ハイパーインフレが発生した。
ハイパーインフレの発生以降、次々と新紙幣発行やデノミネーションが実施された。
2006年7月26日には1米ドル=52万ジンバブエ・ドルにまで減価した。
2006年8月1日に1度目のデノミネーションが行われ、1000旧ジンバブエ・ドルが1新ジンバブエ・ドルになり、桁が3ヶ減った。
2008年1月に1000万ジンバブエ・ドル紙幣、4月に5000万ジンバブエ・ドル紙幣、5月には1億ジンバブエ・ドル紙幣と2.5億ジンバブエ・ドル紙幣が発行され、その後、50億ジンバブエ・ドル紙幣、250億ジンバブエ・ドル紙幣、500億ジンバブエ・ドル紙幣の発行が続き、7月には1000億ドル紙幣が発行された。
2008年8月1日に2度目のデノミネーションが行われ、100億旧ジンバブエ・ドルが1新ジンバブエ・ドルになり、桁が10ヶ減った。
2008年10月には新5万ジンバブエ・ドル紙幣が発行されたが、紙質は粗悪なうえに、透かしなどの偽造対策も施されていないものであった。12月12日には新5億ジンバブエ・ドル紙幣が発行。これは発行時点で約8米ドルに相当し、パン8個が購入できる程度のものであった。2009年1月16日には100兆ジンバブエ・ドル紙幣が発行された。2009年2月には1米ドル=約4兆ジンバブエ・ドルになった。
2009年2月2日に3度目のデノミネーションが行われ、1兆旧ジンバブエ・ドルが1新ジンバブエ・ドルになり、桁が12ヶ減った。
2009年10月1日、ジンバブエ準備銀行総裁ギデオン・ゴノ氏は「1ジンバブエ・セントから100兆ジンバブエ・ドルまで幅広く貨幣を発行することで、非常に大きな数字を扱うための簡便な訓練法を国民にもたらした」功績によりイグノーベル数学賞を受賞した[1]。
2009年1月29日、止まらないインフレに政府は商取引での米ドルなど外国通貨の使用を全面的に認可し、ドル化に舵を切ることとなった。同年2月18日には教師や兵士を含む公務員全員に対する給与の支払いを米ドルに切り替えることを発表。また4月12日にはエルトン・マンゴマ経済計画担当大臣が「今後少なくとも1年はジンバブエ・ドルは機能しないだろう」と発言、ジンバブエ・ドルが通貨として機能していない現状が改めて明らかになった。
2009年4月12日にはジンバブエ・ドルの発行を停止。そして2015年6月11日、ジンバブエ・ドルは公式に廃止通貨となった。銀行口座にジンバブエ・ドルの残高が存在する場合は米ドルと交換する措置が取られる。交換レートは残高17.5京ジンバブエ・ドル以内であれば一律5米ドル、それ以上であれば3.5京ジンバブエ・ドルごとに1米ドル。
ジンバブエではその後「RTGSドル」(通称ゾラー)という電子マネーの発行を開始、2019年6月に法定通貨とすると宣言している。当初は米ドルと1対1で交換できると説明されていたが、交換比率はなし崩し的に下落し続けている。[2]結果、2020年3月に再び米ドルの現地使用が許可されたのを経て、2024年4月に「ジンバブエゴールド」(通称ZiG)に法定通貨を変更、事実上の金本位制に回帰することとなった。
掲示板
223 ななしのよっしん
2024/04/27(土) 23:46:35 ID: hzQKs39p1U
>>222
1ドル150円台程度でジンバブエの名を冠しようとするのが笑えるよね
224 ななしのよっしん
2024/05/14(火) 11:18:05 ID: H+oBG2IUi8
金本位制って、要はゴールドの方に信用があるということじゃん。
基軸通貨である主要通貨でも、金本位制維持は無理だったのに、世界弱小通貨が金本位制やるなよ。
案の定、政府がジンバブエゴールド使用を企業に命令する事態になっているけど。
金裏付けのジンバブエ・ゴールド、中銀が紙幣と硬貨を発行
https://
>ジンバブエ準備銀行は、2023年10月にデジタル決済手段として導入された新通貨「ジンバブエ・ゴールド(ZiG)」の紙幣と硬貨を発行した。ZiGはジンバブエ・ドルに取って代わるもので、金と外貨のバスケットによって裏付けられている。
>ブルームバーグの報道によると、中央銀行は4月29日から物理的な通貨の配布を開始し、同日までに同国の全ての貸し手がZiGを保有したとしている。ZiGの発行は4月5日に発表され、1米ドルあたり13.56 ZiGの交換レートが設定された。
>デジタル取引でのZiGの取り扱いは4月2日から始まったが、当初は金価格に連動したレートで10月に導入されていた。この新通貨への移行は、同国の株式市場を混乱させた。企業は、法人税の少なくとも50%をZiGで支払うことが義務付けられている。
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
225 ななしのよっしん
2025/03/14(金) 19:23:21 ID: 587wePdyTC
>>223
財務省の言ってた「悪い円安」を信じてたんだろうなそういう人たちは
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最終更新:2025/03/23(日) 07:00
最終更新:2025/03/23(日) 07:00
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