スカッドレースとは (スカッドレースとは) [単語記事]

スカッドレース(SCUD RACE)とは、セガが1996年に発売したアーケード用レースゲームである。

概要

1996年当時開催されていた、BPR GT選手権（後のFIA GT選手権）を題材としたレースゲームである。「デイトナUSA」と同じくAM2研が制作。プロデューサー・ディレクターもデイトナUSAと同じく名越稔洋。セガの当時最新鋭の3D基板であった「MODEL3」初のレースゲームである。

GT選手権に出場していたポルシェ911・フェラーリF40・ダッジバイパー・マクラーレン F1の4車種が実名で登場。当時のペイントも含めて再現されている。コースは初級(昼)、初級(夜)、中級、上級の4コース。

AM2研の作品でディレクターも同じ、ということでインタフェースやドリフトの感覚などはデイトナUSAにかなり近い。MODEL3の表現力を遺憾なく発揮した美しいグラフィック、特にMODEL2ではどうしても不自然になっていた「夜」の表現は当時屈指の出来だった。JALの協力により実在のJAL 航空機がゲーム内の背景に登場するという趣向もあった。歌うBGMも健在で、基板性能の向上で生歌の高音質ストリーミングが可能となった。

しかし本作はやり込んだプレイヤーからも「セガ、というかレースゲーム全体でも屈指のマゾゲー」という評価になってしまっている。理由はいくつかあげられる。

ドリフト走行とスピンの間に余裕がない。デイトナUSAのつもりで曲げると簡単にスピンするし、ブレーキ＆アクセルワークが適当だと即、壁直行。
コース設計が地味ながら陰険。「ジャンプして着地したらコーナーが始まってる」「カーブ終了直後にジャンプがきて姿勢不安定なまま放り出される」など。
「EASY DR IVING」ということになっているポルシェ911が罠。最高速度が低い上にここ一番でもドリフト状態がつくりにくく、かえって難しくなってしまっている。
コレは当時のセガゲー大半に言えることだが、タイムに余裕が無い。特に中・上級で顕著。
ついでにCPU 車も速い。1回壁ヒットしたら1位はまず無理。
シングル専用だった初期版のROMではハンドルの反力が強く、やたらと重かった。対戦に対応した後期版では多少改善されている。

てこ入れということか、翌1997年には「スカッドレース plus」が稼働した。今残っている殆どの筐体がplusで稼働しているものと思われる。車両の挙動をややマイルドに改善、「超初級」コースの追加などがおこなれている。

本作の移植は2021年 2月現在、1つも存在しない。ドリームキャスト向けの移植が予定されており、技術デモの展示はあったが、版権元であるBPR GT選手権がFIAに改組されBPRとしては消滅した影響もあったらしく、結局発売には至らなかった。遊ぶためには実機を探すしかない。

Xbox（初代）用「アウトラン2」では条件を満たすことで本作品のコースを1本に繋いだ特殊コースに挑戦できる。ただ、そこに至るまでに達成すべき条件にあまりに厳しいものが多く、挫折したプレイヤーは数知れず。

40台・4周。長く緩やかなカーブからだんだんとタイトになって、最終コーナーはドリフトで抜ける、というチュートリアル的な構成の市街地コース。ジェットコースターのごとく目まぐるしく変化する景観にも注目。

40台・4周。空港内外を駆け巡る周回コース。駐機場にはJAL機が多数。一見初級（昼）よりシンプルに見えるが、ドリフトで抜けるべきコーナーが2つになっており難易度はやや上昇。ドリフトの練習としては申し分ないコースである。
多数のライトに照らされた夜間コースは雰囲気抜群。BGMの「Flight in the Dark」は歌モノで評価が高い。

30台・3周。古代遺跡が残る山間部を走るテクニカルコース。ここからいきなり難易度が急上昇する。複合コーナーなど難所が多く、ドリフトが決まりにくい。後半のキツい左コーナーが「ここでアクセル全開、インド人を右に！」の場所である。詳しくは単語記事で。

20台・3周。中世ヨーロッパの城下町を爆走する超テクニカルコース。GT レースというよりラリーの気分になる。城壁やら町並みやらで先が見えない部分が多く、カーブの飛び込みには記憶力と度胸が必要。

plusで追加されたコース。40台・6周。おもちゃサイズになって家の中につくられたオーバルコースを駆ける。コースはシンプルだがなにしろ家の中、猫がコースを跨ぐなどカオスな演出が連発。バックストレートにはボウリングピンがおかれており、突っ込むとちゃんと吹き飛ばされてスコアが計上される。完走時に集計も出るぞ。このコースに限り隠し車両としてオモチャの車3台と猫が登場する。