ステークホルダー資本主義(英:Stakeholder Capitalism)とは、企業の経営に関する思想の1つであり、国家の経済体制に関する思想の1つである。
ステークホルダー資本主義については2つの定義をすることができる。
ステークホルダー資本主義は英語のStakeholder Capitalismが原語である。そしてステークホルダー資本主義の反対語の株主資本主義は英語のShareholder Capitalismが原語である。
StakeholderとShareholderが似ており、英語を使用する者にとって語呂合わせのように感じられる。
ステークホルダー資本主義と株主資本主義は様々な点で対照的である。
株主資本主義は「倒産しにくく永続しやすい企業」を作り上げることを優先する。企業の人件費や協力企業へ払う費用を減らし、法人税の減税を政治家に要求し、企業の税引後当期純利益と利益剰余金を増やして企業の自己資本比率を高めることを重視する。また株主資本主義は人件費の急減少を実現するために解雇規制の緩和を求める傾向がある。
一方で、株主資本主義の反対概念であるステークホルダー資本主義は、「従業員や協力企業に富を与えて長期的に売上高を増やすことを狙う企業」を作り上げることを優先する。企業が人件費や協力企業へ払う費用を増やすことを重視し、企業が人件費や協力企業へ払う費用を削って利益を溜め込むことを罰するため法人税の強化にも熱心である。またステークホルダー資本主義は、労働者に給料の確実性・安定性を与えるため解雇規制の強化も行う。
株主資本主義の国では消費税が増税される傾向にある。消費税を増税して消費・需要を抑制し、労働者を倹約好みの性格にして、「支出しないので賃下げに耐えられる労働者」を作り出し、企業が賃下げする環境を整える。
ステークホルダー資本主義の国では消費税が減税される傾向にある。消費税を減税して消費・需要を活発化させ、労働者を支出好みの性格にして、企業の売上高が伸びるようにする。
ステークホルダー資本主義が広まった社会では、労働者にお金が行きわたり、労働者が給料の確実性・安定性に恵まれて消費・需要をする勇気を持てるので、世の中の企業の売上高が増える傾向がある。
株主資本主義の支持者は、経済政策の論争で「経済の成長・発展」という表現をするが、その表現は、各企業の税引後当期純利益・利益剰余金が増えることや株価が上昇することや各企業が株式市場から「返済が不要な資金」を調達しやすくなって各企業の自己資本比率が上がることを意味している。
ステークホルダー資本主義の支持者は、経済政策の論争で「経済の成長・発展」という表現をするが、その表現は、各企業の売上高が上がることを意味している。
株主資本主義の支持者が「経済の成長・発展のための安定的な基盤」という表現をして褒め讃えるものは株式市場であり、「経済の成長・発展を阻害する要因」という表現をして厳しく批判するものは人件費や解雇規制や労働組合である。
ステークホルダー資本主義の支持者が「経済の成長・発展のための安定的な基盤」という表現をして褒め讃えるものは人件費や解雇規制や労働組合であり、「経済の成長・発展を阻害する要因」という表現をして厳しく批判するものは株式市場である。「株式市場というものが存在するから各企業が人件費の削減に精を出すようになり、経済の成長・発展のための安定的な基盤が壊れるのだ」と主張する。
株主資本主義の支持者は株式市場のことを油田とか金脈のように見なして溺愛する傾向があり、「株式市場は経済の生命線である」と褒めちぎる傾向がある。
ステークホルダー資本主義の支持者は株式市場のことを敵視する傾向があり、「株式市場は『従業員に渡すべきお金を配当として受け取る権利』を売買する市場である。ゆえに株式市場は従業員の生き血を売りさばく売血市場のような存在である」とボロクソにこきおろすことがある。
株主資本主義の支持者が経済政策の論争で発する文句のなかで最大の武器というべきものは「我々の言うことを聞かないと(企業の自己資本比率が下がるので)企業の倒産が増えるぞ!」である。
「我々の言うことを聞かないと企業の倒産が増えるぞ!」と具体的で明確なことを喋るだけでは飽きられてしまう。そのため株主資本主義の支持者は「我々の言うことを聞かないと企業が生き残れなくなるぞ!」といった抽象的であいまいな表現も織り交ぜて、聞き手を飽きさせない工夫をする。
ステークホルダー資本主義の支持者が経済政策の論争で発する文句のなかで最大の武器というべきものは「我々の言うことを聞かないと(企業の人件費が減るので)企業の売上高が減るぞ!」である。
「我々の言うことを聞かないと企業の売上高が減るぞ!」と具体的で明確なことを喋るだけでは飽きられてしまう。そのためステークホルダー資本主義の支持者は「我々の言うことを聞かないと企業が活躍できなくなるぞ!」といった抽象的であいまいな表現も織り交ぜて、聞き手を飽きさせない工夫をする。
経済政策の論争では、論争相手に対して「拝金主義」とレッテル貼りして相手の名誉を破壊していく手段が有効である。株主資本主義の支持者は、ステークホルダー資本主義の支持者に対して「貧しくても生活費を切り詰めれば十分に生活できる[1]。貧乏でも楽しく生活できる。『給料が少ないと生活できない』と訴えるのは拝金主義である」と批判するのがいつもの姿である。
経済政策の論争では、論争相手に対して「拝金主義」とレッテル貼りして相手の名誉を破壊していく手段が有効である。ステークホルダー資本主義の支持者は、株主資本主義の支持者に対して「間接金融で銀行から資金を借り入れれば十分に経営できる。自己資本比率が低くなって倒産リスクが高くなってもしっかり経営できる。『株式市場から返済不要の資金を調達しないと経営できない』と訴えるのは拝金主義である」と批判するのがいつもの姿である。
株主資本主義が広まった社会では、労働者にお金が行きわたらず、労働者が給料の不確実性・不安定性に悩まされて消費・需要をする勇気を持てなくなるので、世の中の企業の売上高が伸び悩む傾向にある。
ステークホルダー資本主義が広まった社会では、世の中の企業の税引後当期純利益と利益剰余金が伸び悩む傾向にあり、世の中の企業の自己資本比率が低いままになる傾向があり、世の中の企業の倒産リスクが高いままになる傾向がある。
株主資本主義が広まった社会は、お金を持って代金をしっかり支払うことができる消費者が少しだけ存在する社会であり、企業を起業するのが比較的に困難である。「いったん倒産したら二度と復活できない」という雰囲気が漂いがちであり、人々の心の中で倒産恐怖症が根深く残存する社会である。
ステークホルダー資本主義が広まった社会は、お金を持って代金をしっかり支払うことができる消費者が大量に存在する社会であり、企業を起業するのが比較的に容易である。「倒産しても別の企業を設立して復活できる」という雰囲気が漂いがちであり、人々の心の中で倒産恐怖症が消滅していく社会である。
株主資本主義は「売上高が下がっても税引後当期純利益を叩きだして利益剰余金をひねり出す企業を作ろう。倒産しない企業を作ろう」ということを最大の目標にしており、そのために人件費や協力企業に払う費用を削る。しかし、その通りにすると世の中全体の売上高が下がっていく。
株主資本主義者が主導権を握る国は人件費と売上高が連鎖的に減少する螺旋階段(スパイラル)をせっせと下っていくことになり、デフレスパイラルが基調になる。
ステークホルダー資本主義は「倒産の危険性が増しても人件費を維持する企業を作ろう。世の中の売上高を維持する企業を作ろう」ということを最大の目標にしており、そのために税引後当期純利益を削る。しかし、その通りにすると世の中全体の倒産可能性が下がらなくなる。
ステークホルダー資本主義が主導権を握る国では、人件費と売上高が連鎖的に増加する螺旋階段(スパイラル)をせっせと上っていくことになり、インフレスパイラルが基調になる。
株主資本主義の支持者は、労働組合を結成して経営陣に影響を与える従業員(物言う従業員)を経営上の脅威と見なしており[2]、「従業員は倒産しにくくなることの重要性を全く理解しておらず、喋る内容に価値がない。従業員は黙って経営者の言うことを聞いていればいい」と反発する。
株主資本主義の支持者が「企業にとって本質的に部外者であり、経営に口出しさせるべきではない」と考える存在は、従業員である。
ステークホルダー資本主義の支持者は、株主総会を通じて経営陣に影響を与える株主(物言う株主)を経営上の脅威と見なしており、「株主は経営の現場に関する専門知識を全く理解しておらず、喋る内容に価値がない。株主は黙って経営者の言うことを聞いていればいい」と反発する。
ステークホルダー資本主義の支持者が「企業にとって本質的に部外者であり、経営に口出しさせるべきではない」と考える存在は、株主である。
以上のことをまとめると次の表のようになる。
株主資本主義 | ステークホルダー資本主義 | |
理想とする企業 | 倒産しにくく永続しやすい企業 | 従業員や協力企業に富を与えて長期的に売上高を増やすことを狙う企業 |
企業の財務諸表に関連する数値の中で、増やそうとする項目 | 税引後当期純利益、利益剰余金、自己資本比率 | 人件費、協力企業に払う諸々の費用、売上高 |
企業の財務諸表に関連する数値の中で、減らそうとする項目 | 人件費、協力企業に払う諸々の費用 | 税引後当期純利益、利益剰余金 |
企業の財務諸表に関連する数値の中で、減ってもかまわないとする項目 | 売上高 | 自己資本比率 |
解雇規制 | 緩和を求める | 強化を求める |
法人税 | 減税を求める。企業が税引後当期純利益を増やして自己資本比率を高めて倒産しにくくなることを促す | 増税を求める。企業が人件費や協力企業に払う費用を増やすことと世の中全体の売上高が上昇することを促す |
消費税 | 増税を求める。労働者を倹約好みの性格にして、「支出しないので賃下げに耐えられる労働者」を作り出し、企業が賃下げする環境を整える | 減税を求める。労働者を支出好みの性格にして、企業が売上高を伸ばすようにする |
経済の成長・発展とはなにか | 税引後当期純利益や利益剰余金の増加、株価の上昇、自己資本比率の上昇 | 売上高の増加 |
経済の成長・発展のための安定的な基盤 | 株式市場 | 人件費と解雇規制と労働組合 |
経済の成長・発展を阻害する要因 | 人件費と解雇規制と労働組合 | 株式市場 |
株式市場のことをどう思うか | 油田であり、金脈であり、経済の生命線である | 従業員の血液を売りさばく売血市場のようなものである |
経済論争における最大の武器というべき文句 | 「我々の言うことを聞かないと(企業の自己資本比率が下がるので)企業の倒産が増えるぞ!」 | 「我々の言うことを聞かないと(企業の人件費が減るので)企業の売上高が減るぞ!」 |
経済論争における聞き手を飽きさせないための抽象的な文句 | 「我々の言うことを聞かないと企業が生き残れなくなるぞ!」 | 「我々の言うことを聞かないと企業が活躍できなくなるぞ!」 |
経済論争におけるレッテル貼りの文句 | 「『給料が少ないと生活できない』というのは拝金主義である」 | 「『株式市場から返済不要の資金を調達しないと経営できない』というのは拝金主義である」 |
倒産恐怖症がどうなるか | お金を持った消費者が少ない社会になるので、「いったん倒産したら二度と復活できない」という雰囲気が漂いがちで、倒産恐怖症が残存する | お金を持った消費者が多い社会になるので、「倒産しても別の企業を設立して復活できる」という雰囲気が漂いがちで、倒産恐怖症が消滅していく |
経済の基調 | 人件費と売上高が連鎖的に下落していくデフレスパイラル | 人件費と売上高が連鎖的に上昇していくインフレスパイラル |
経営上の脅威とみなすもの | 物言う従業員(労働組合を結成して経営に影響を与える従業員) | 物言う株主(株主総会を通じて経営に影響を与える株主) |
経営上の脅威に対して投げかける言葉 | 「従業員は倒産しにくくなることの重要性を理解しておらず、喋る内容に価値がない。従業員は黙って経営者の言うことを聞いていればいい」 | 「株主は経営の現場に関する専門知識を理解しておらず、喋る内容に価値がない。株主は黙って経営者の言うことを聞いていればいい」 |
企業にとって本質的に部外者である存在 | 従業員 | 株主 |
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最終更新:2025/04/05(土) 16:00
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