本稿は5について解説していく。
ストックとは、経済学の用語で、ある時点での財務状況を構成する要因のことをいう。
対立概念としてフローというものがある。フローは、ある期間の中の財務状況を構成する要因のことを言う。
定義 | 財務諸表 | |
フロー | ある期間での財務状況を構成する要因 | 損益計算書(PL) |
ストック | ある時点での財務状況を構成する要因 | 貸借対照表(バランスシート)(BS) |
フローの記事でまとめてあるので、そちらを参考のこと。
簡単にいえば、資産はストックだし、債務はストックである。貸借対照表を作るとき、ある時点で時を止めて、お金で資産の価値を表現し、お金で債務を表現する。そうやってストックをそれぞれ見定めているということになる。
ストックというのは「ある時点での財務状況を構成する要因」という意味だが、たまに「ストックで金持ちになる」「ストックで貧乏になる」といったような表現をする人がいる。経済や財務に詳しい人がサラッと言うような表現である。
前者は、宝くじが当たって大金を手に入れることや、土地転がし(安価で購入した土地を高値で売却すること)で金持ちになることを示している。
後者は、地震で家が傾いて持ち家の資産価値が下落して貧乏になったことや、洪水で家が水に浸かり価値の高い美術品が壊れて貧乏になったことを意味する。
資産・債務という言葉を使えばいいのだが、ちょっと気取りたいときに、ストックと言っているというわけである。
経済や財務に詳しい人は「あの好景気はストック型の好景気だ」「あの不景気はストック型の不景気だ」とサラッと言うことがある。経済や財務に詳しくない人は、いまいちピンとこない表現である。
前者は、土地の資産価格が上昇したことが原因の好景気という意味になる。昭和末のバブル好景気が「ストック・インフレ」と表現されるが、同じ意味である。
後者は、土地の資産価格が暴落したことが原因の不景気という意味になる。平成の初頭に地価が急落してバブル崩壊となったが、これが典型的なストック型不景気である。
2008年のアメリカ合衆国のリーマンショックは、2007年に住宅価格が急下落して、サブプライムローンが不良債権になったことが原因である。これまた典型的なストック型不景気といえる。
資産価格の高騰、資産価格の暴落という言葉を使えばいいのだが、ちょっと気取りたいときに、ストックと言っているというわけである。
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最終更新:2025/01/18(土) 04:00
最終更新:2025/01/18(土) 03:00
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