セミリタイアした冒険者はのんびり暮らしたいとは (セミリタイアシタボウケンシャハノンビリクラシタイとは) [単語記事]

セミリタイアした冒険者はのんびり暮らしたいとは、久櫛縁（ひさぐしえん）による小説である。

概要

Web小説投稿サイト「小説家になろう」において連載していたが、2020年 9月25日にMFブックス（KADOKAWA／メディアファクトリー）レーベルから書籍版1巻が発売され商業化した。イラストは市丸きすけが担当している。2021年 5月現在、既刊2巻。

　また2020年 11月26日発売の月刊漫画雑誌『月刊コミック電撃大王』2021年 1月号より（KADOKAWA／アスキー・メディアワークス）、漫画版が糸瀬ねめにより連載されている。漫画版はニコニコ漫画＆ComicWalkerにおいても本連載に数日遅れて12月6日より連載されている。単行本は2021年 6月25日に第1巻が発売された。レーベルは電撃コミックス NEXT。

あらすじ

　魔族たちとの戦いで長年の目的を果たした冒険者ヘンリーは、冒険者をセミリタイアし最前線から離れたお酒が美味しいと言われる後方の安全な街「フローティア」に拠点を移すことにする。「フローティア」で出会った冒険者達とパーティーを組んで指導しつつのんびり暮らすことするが…。

登場人物

ヘンリー・トーン: 主人公。魔族との戦いの最前線のリーガレオから後方のフローティアに移住してきた冒険者。称号は勇士でありそれなりに信用力はある。武器は槍使いでレア度がエピックな武器「如意槍」を使うが、魔導もそこそこながら使える。フェザード王国の男爵位を持つトーン家の嫡男で、騎士団第2分隊の准騎士であった12歳の頃に、魔族に攻められ故国「フェザード王国」が滅亡し身分も家族も失った。その後復習のためリーガレオで10年戦いその滅亡の原因となった魔将ジルベルトを倒した。護衛任務などで王都に赴いた経験もある。最前線にいたこともあり英雄との知り合いは多い。フローティアではトーマスから紹介された『熊の酒樽亭』に住み着く。22歳。
シリル: ヘンリーがフローティアの街に最初に訪れた際に出会った冒険者の一人の女の子。特異な威力の高い魔法を使う魔法使い（エンデ流）。シリルいわく領主に仕えているメイドの娘という縁で領主の館に住んでいる。両親はいない。実はヘンリーと同じフェザード王国出身であるらしい。
ジェンド: シリルとは幼馴染の少年。フローティアを地盤とする商会の次男。鎧を纏う重騎士でヘンリーがフローティアの街を訪れた歳は新人冒険者だった。フェリスに惚れており、自分が強くなることでフェリスに告白しようと考えていた。シリルと同じ16歳。
ティオ: フローティアに住みたまに宿屋兼食事処の『熊の酒樽亭』に肉を卸している猟師の孫娘。祖父である老猟師が怪我をしたことで一人で猟に入りそうになったところをヘンリーやシリルたちに止められる。その仕事の性質上斥候が得意であり、また神器の「容量拡張」「不壊」の能力により荷物持ちからもかなり有用である。。その後ヘンリー達が説明した結果両親たちの許可を得ることが出来、ヘンリーたちのパーティーに加入する。ヘンリーとリーガレオの街で戦友だったアゲハとは従姉の関係で島国「リシュウ」にルーツを持ち叢雲流（武術、魔導、野外活動の総合流派）の技術を習得している。
フェリス: 治癒術士。古くはフローティアに別荘を持っていた騎士の娘でシリルやジェンドとも知己があった。父親が不正を働き着服していたことで家名もなくなり平民になる。付き合いのあった騎士団に世話になりながら、治癒術士として返す必要のない借金を返済しつつ生計を立てていた。ジェンドの告白を受け入れフローティアに移住し、ヘンリー達とのパーティーに加入することに決める。
トーマス: フローティアに魔道具店を構える商人で、物語の最初にヘンリーへ護衛依頼しつつ同伴した男性。ヘンリーに宿を紹介した。
ラナ: フローティアの評判の宿屋兼食事処『熊の酒樽亭』の長女。宿屋の娘として料理や洗濯などで働いている。シリルとは知己で、ラナは幼年学校の才女で国の最高学府にも通えるほどの学力を持っているというが（解けなかった難問のある定理を証明できるほど）、本人は宿屋での生活と趣味の学問で揺れ動いている。母親に推され王都へ赴き最高学府のアルヴィニア中央大学校の教授と面会する。
ノルド: 『熊の酒樽亭』の主人の男性。言葉少なげだが、ラナの将来を尊重している。ラナの未来についてヘンリーにも相談する。
リンダ: ラナの母親でノルドの妻。作中冒頭では出産のために実家に帰っていた明るい女性。ラナが大学に行くか悩んでいる最中に産んだ子供とともに家に帰宅する。ラナに大学に行くことを勧めていた。
グランエッゼ・ヴァンデルシュタイン: 八英雄の一人で、アルヴィニア王国の黒竜騎士団団長であり、ヘンリーとは戦友の壮年の男性。王都に休暇のために帰還していた際にヘンリーと再会する。ヘンリーたちのパーティーを快く兵舎に泊めたり、ジェンドの悩みについて解決に骨を折って上げるなど好人物。
オーウェン: グランエッゼの部下の黒竜騎士団団員の騎士。ヘンリーとは悪友のような関係で、再開後訓練場で実力を張り合う。
アルベール: フローティア伯爵家の当主であり領主。フローティアを治めており、霊峰アルトヒルンは水源のため冒険者の活動を制限している。
アルテリア: 元フェザード王国第一王女で現フローティア伯爵夫人。嫁いだのは戦争前である12年前。准騎士時代のヘンリーのことを幼少でありながら騎士団に入る姿に感銘を感じていたため覚えており、再会した際、故国の復讐を果たしたヘンリーにお礼を言うも、フローティアに来てからも自身に会いに来なかったことに寂しさを感じている。
ラッド: フローティアを拠点にしている冒険者「銀の牙」のパーティーで一位二位を争う実力を持つ。領主から許可を得て霊峰での冒険者活動として討伐や鉱物・植物の採取を数年来している。片手剣の使い手で魔導はクロシード式。ヘンリーたちのパーティーがアルトヒルンに入る際に情報交換などの取引を行った。
アゲハ: 八英雄の一人で、ティオの従姉。戦闘にこだわりがあり、敵には常に首刈りをしたがる。ヘンリーとは気の置けない仲間で、ヘンリーがフローティアにいると知りリーガレオから数日間走り続け到着したほど体力がある。足の速さはヘンリーより早い。
シャルロッテ・ファイン: あだ名はシャル。八英雄の一人で、ハーフリング（寿命は100年くらい）であるため人間でいえば小さい女の子の姿をしているが人間でいえば熟年に近い成人女性。ヘンリーがリーガレオに来た当時荒れていたが、シャルロッテに世話になった経緯がありヘンリーにとっては恩人。各地でアイドル活動をしつつ、各地の魔物を討伐している。戦闘スタイルは歌うことで周囲の仲間の能力を上げることができるが、目にも止まらない速さでいつの間にか敵の急所を抜いていることもある。魔導は使えず、使える魔法も歌しかないが、最上級の魔物も討伐することもでき、フローティアではヘンリーたちのパーティと共闘する。戦闘はソロで闘う場合が多い。アイドル活動とそれ以外でオンとオフを切り替えておりオンではアイドル姿をプロとして見せている。熱狂的なファンが存在している。
ルーナ: シャルロッテの付き人の女性で純人種。シャルロッテとは10年位の知己があり、アイドル活動方面で主にマネージャー的役割を担っている。黒髪で泣きぼくろのある女性。
ユースティティア: 八英雄の一人。ヘンリーの通称ユー。「救世の聖女」と呼ばれている治癒術士。ヘンリーにとってはリーガレオで十代前半から一緒に戦ってきた戦友であり悪友。当初は同居しており付き合っていたような形になっているがレ案内関係までには発展していない。

用語集

冒険者の称号: 英雄・勇士・冒険者の3つがあり、冒険者が勇士に上がるだけでもかなりの活躍を必要とする。勇士は各町に一人いる程度の頻度で存在し、タグにブルーラインが引かれる。英雄は特別な勲功を必要としほとんどいない。認定先はグラディス教会。最前線であるリーガレオには八英雄のほか勇士クラスの冒険者がゴロゴロいるらしい。
グランディス神: アルヴィニア王国で信徒が多い神で闘争と開拓を司る神で、2000年前くらいに降臨したことがありその際に天の宝物庫を与え啓示を与えたことによって人間の生存権を広げることになる。その関係で信徒は冒険者と呼ばれ、グランディスの教会は酒場が並設されており冒険者ギルドのような存在となっている。
天の宝物庫: 功績点がたまるとグランディス神から武具や物品が貸与される。引けば引くほど必要な功績点が必要となるが、レアを引く確率も高くなる。功績点は明示されない。気に入らなかったら返品することが出来その分だけ金銭が支払わられる。武具は本人しか使用できない。ランクはコモン、アンコモン、レア、エピック、レジェンドの種類があり、アンコモン以上は1つ以上の特殊能力が付与される。200年くらいランナップは変わっていないという。
アルヴィニア王国: ヘンリーたちが居住するフローティアがある国。リーガレオも同様。
フェザード王国: ヘンリーの故国。魔国に魔王が戴冠した際の宣誓布告による戦争で滅亡する。フェザード王国からアルヴィニア王国にはフローティアにあった伯爵領に嫁いだ王女をはじめアルヴィニア王国に縁があった伯爵領とフローティアに幾分か逃れた民が居る模様。

特典SS（ショートストーリー）

巻数	店舗別	サブタイトル
1巻	メロンブックス	『看板娘の朝』
	とらのあな	『フェリスの姿見』
	ゲーマーズ	『初冒険の高揚』
	TSUTAYA	『シリルと友達のお茶会』
	MFブックス Web アンケート特典	『メイド喫茶訪問』
2巻	MFブックス Web アンケート特典	『シリルとシャルロッテ』