セラフィム 単語

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セラフィム

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セラフィムשרפים サラフィム)とは、「燃え盛るもの」を表すヘブライ語セラフ(שרף サラフ)の複数形である。

現在ではに、聖書においてこの言葉で表された「燃え盛る天使」をして使われる。日本語訳として熾天使と表記されることもある。熾天使の「熾」はヘブライ語の場合と同じく、「燃え盛る」という意味である。

聖書正典におけるセラフィム/セラフ

聖書正典にセラフィムあるいはセラフという言葉が登場するのは、ユダヤ教ヘブライ語聖書の中でも、民数記第21章、申命記第8章、イザヤ書第6・14・30章である。(これらの文書はすべて、キリスト教においても旧約聖書として典に取り入れている。)

だが、天使してこの言葉が使用されているのはイザヤ書第6章のみである。

イザヤ書第6章

イザヤ書第6章での「セラフィム(燃え盛るものたち)」は、3対6枚のを持ち、そのうち2枚で飛行し、2枚で顔を覆い、2枚で足を覆っている、と描写されている。

そしてYHVH)のそば(の衣の裾の上)に立ち、
聖なるかな聖なるかな聖なるかな」(ヘブライ語:קדוש קדוש קדוש カドシュ、カドシュ、カドシュ)
と叫び続けているという。

へので体が燃え盛っているのだと解釈されることもある。

ここでの記述によると「顔を覆っている」のであるが、宗教画などに描かれる場合、顔が隠れるとデザイン上不都合なためか「顔以外はすべて六枚ので覆われているが顔だけは出ている」というアレンジした姿で描かれることがある。

また、そこからさらに生したのか、「顔としかない」という異形で描かれることもある。しかし聖書の記述によれば「足を覆っている」とのことなので足はあるはずで、また手を使って「火」を操っている描写もあるので、この異形の姿はあくまでデザイン上の、シンボル的なものである。

燃える蛇?あるいは毒蛇?

イザヤ書第6章以外で登場する「セラフィム/セラフ」という言葉は、常にして使用されている。

これらのは、上記の天使す「セラフィム/セラフ」のイメージに引きずられてか、聖書を描いた絵画などにおいて「を飛ぶ燃え盛る」などとして描写されることもある。

民数記第21章に登場するは「が民を罰するために遣わせた」であるため、そういった特別なと考えることもできよう。しかしその他では、「普通の野生動物としての」についての記載のようである。そのため、を「燃えるような」と表現して、単に「」をす言葉とも取れる。実際現在ヘブライ語でも「שרף」という言葉は「肌が燃えるようにひりひりする」と言ったときにも使われる言葉である。

ヨハネの黙示録第4章

新約聖書の「ヨハネの黙示録」第4章にも、イザヤ書第6章の描写と類似した生き物が登場している。

YHVH)の御座のまわりにいる4体の生き物。1体ライオンのようで、2体のようで、3体は人のような顔をしており、4体飛ぶのような姿をしている。

そしてその前面も後面も、たくさんので満ちている。この4体の生き物はどれも6枚のを持っていて、そのもまた、周りも内側もたくさんので満ちている。ちょっとグロい

そして休みなくも、
聖なるかな聖なるかな聖なるかなギリシャ語:ΑΓΙΟΣ ΑΓΙΟΣ ΑΓΙΟΣ ハギオス、ハギオス、ハギオス)。たる、全者。昔いまし今いまし、そして来たるべき御方。」
を讃え続けている。

この4体の生き物について、「の近くにしている」「6枚のがある」「聖なるかな聖なるかな聖なるかな、とを讃え続けている」というイザヤ書に登場したセラフィムと類似した点があるために、「これらもセラフィムだろう」と解釈されることがある。

ただし、ここでは「セラフィム」あるいは「セラフ」という言葉は全く使われておらず、これらの生き物たちの名前は明かされない。また、「多くのが付いている」「ライオン・人・のようである」といった、イザヤ書のセラフィムでは言及されていなかったような特徴もある。つまりこれらの4体の生き物らが「セラフィム」であるという決定的な根拠はない。

そして、これら「ライオン・人・のような姿」という特徴はむしろセラフィムよりも、旧約聖書ヘブライ語聖書)のエゼキエル書に登場する「ケルビム(単数形ケルブ)」を思わせる。よって、このヨハネの黙示録に登場するこのちょいグロ生き物はセラフィムではなくケルビムなのかもしれない。

あるいは、「イザヤ書のセラフィムとエゼキエル書のケルビムの特徴をあわせ持つ、別の何か」であるという解釈も可か。

聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな

上記のようにイザヤ書でセラフィムが、そしてヨハネの黙示録で4体の生き物を賛美している文言、「聖なるかな聖なるかな聖なるかな」。カトリック教会においては、この三回の「聖なるかな」をミサの際の重要な式文、ミサ曲の一つとしても採用している。

「イザヤ書」の原文ではヘブライ語「カドシュ、カドシュ、カドシュ」、「ヨハネの黙示録」の原文ではギリシャ語「ハギオス、ハギオス、ハギオス」で表記されている。だがローマカトリック教会ラテン語公用語としているため、カトリックの典礼における式文では、ラテン語に訳した「Sanctus, Sanctus, Sanctus サンクトゥス、サンクトゥス、サンクトゥス」が用いられるのが基本とされている。ただし過去にはカトリックの典礼はラテン語で行われると定められていたが、1960年代に典礼章が定されたことによって現在では典礼にそれぞれの各国語を使用してもよいことになっている。日本語の場合は聖書の和訳文と同じく「聖なるかな聖なるかな聖なるかな」から始まることになる。

この式文、ミサ曲は「サンクトゥス」や「感謝の賛歌」と呼ばれる。また性を讃える言葉を三回繰り返すことから「三頌」と呼ばれることもある。

またカトリックだけではなく、この三回の「聖なるかな」はプロテスタントで歌われる賛美歌歌詞としても用いられている。

ちなみにニコニコ大百科日本語Wikipediaには「聖なるかな」の記事があるが、2016年3月現在はどちらも同名のエロゲーの記事となっている。

天使の階級の最高位として

四大天使ミカエルガブリエルラファエルウリエル)がこの熾天使の階級に属しているとみなされることが多い。その場合、かつて堕前のサタン(あるいはルシファー)も熾天使であったとされる。

これは、中世以降のヨーロッパキリスト教学に強いを与えた『(偽)ディオニシウス文書』(5世紀)において、天使九階級の最高位とされた事が関係している。
かつて中世以前の学においては最高位は天使であり四大天使もこの座にあるとされていたが、偽ディオニシウスが熾天使を最高位(ちなみに大天使は第八位)とした関係で、四大天使は熾天使であるとみなされるようになった。

オカルト本の中には「サタンを打ち破った功績で四大天使は熾天使に格上げされた」とするものもあるが、以上の経緯からして学説としては不適切とわざるを得ない。その点、黄金の夜明け団は大天使を(ユダヤ教準拠の)天使各階級のリーダー定義して、この問題を回避していた。

ちなみに、ユダヤ教においては天使十階級の第五位。なお、偽ディオニシウスでは第二位のケルビムがこちらでは第九位など、両者にはかなりの異動が見られる。

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