セントニコラスアビー(St. Nicholas Abbey)は、2007年生まれの競走馬である。馬名はバルバドスにある同名の建造物に由来する。
主な勝ち鞍
2009年:レーシングポストトロフィー(G1)、ベレスフォードステークス(GII)
2011年:コロネーションカップ(G1)、ブリーダーズカップ・ターフ(GI)、オーモンドステークス(GIII)
2012年:コロネーションカップ(G1)
2013年:ドバイシーマクラシック(G1)、コロネーションカップ(G1)
父Montjeu、母Leaping Water、母父Sure Bladeという血統。
父モンジューの競走成績は当該項目を参照されたい。本馬は6世代目の産駒で、本馬が生まれた年にAuthorizedが英ダービーを勝ち、初年度産駒のMotivatorに続く2勝目を記録している。
母リーピングウォーターは不出走馬である。ただし、その母Flamenco WaveはGI馬であり、Leaping Waterの半弟に3頭のGI馬を送り出している。
母父シュアブレードはGII3勝・GIII1勝を含む9戦6勝。勝った重賞のうちセントジェームズパレスS・クイーンエリザベスII世Sは当時はGIIだったが、現在はGIに昇格しているレースである。
本馬はクールモアグループの関連牧場の生産馬であり、1歳時に20万ギニーで庭先取引され、クールモアグループの所有馬としてエイダン・オブライエン厩舎に預けられた。
2歳8月にカラ競馬場の1マイルの未勝利戦でデビューし、2着Saajidahに4馬身差をつけ圧勝すると、翌月のベレスフォードS(GII・1マイル)では単勝1.4倍の圧倒的支持を受けた。ここでは後方からレースを進めるとコーナーで加速して先団に取り付き、そのまま最後は流して2着Layali Al Andalusに3/4馬身差をつけて勝利した。
10月にイギリスに渡り、レーシングポストトロフィー(GI・1マイル)に出走した。今回も1番人気に推されると、前走同様に後方から早めに進出するという競馬を見せ、残り1ハロン地点で先頭に立ってそのまま2着Elusive Pimpernelに3馬身3/4差をつけて勝利した。年末のカルティエ賞最優秀2歳牡馬の選考ではミドルパークS(英GI)を4戦全勝で制したAwzaanなどが対抗馬となったが、最終的にセントニコラスアビーがタイトルを受賞した。この時点で評価は非常に高く、この年ヨーロッパの中距離路線を席巻して3歳限りで引退したSea the Starsの地位をいずれ継ぐことになると思われていた。
3歳時は英2000ギニーから始動し、単勝2.0倍の1番人気に支持された。このレースではこれまでと異なり好位から競馬を進めたが、残り1ハロン地点から伸びを欠き、*マクフィの6着に敗れた。
レース後、オブライエン師はペースが合わなかったとコメントし、英ダービーに向けた調教が開始されたが、本番直前になって態勢が整わないことを理由に回避が決定した。当初は秋シーズンに復帰する予定だったものの、その後も長らくレースに出走できるまでの態勢が整うことがなく、結局3歳時は1戦のみで終わった。
4歳4月に、カラ競馬場のアレッジドS(L・10ハロン)で復帰戦を迎えた。11ヶ月の休み明けながら単勝1.36倍の圧倒的支持を受けたが、道悪も影響したのか障害GI馬のUnaccompaniedの3着に敗れた。障害馬に負けたというのが影響したのか続くオーモンドS(GIII・13f84y≒2692m)ではこの時点で重賞未勝利だったHarris Tweedに1番人気を譲ったが、蓋を開けると2着Allied Powersに9馬身差をつけ圧勝した。これで弾みを付けて出走したコロネーションカップ(GI・12f6y≒2420m)では先に抜け出した牝馬Middayを捉えるとこれに1馬身差をつけて勝利し、GI2勝目を挙げた。
続くキングジョージVI世&クイーンエリザベスSでは、本馬が休養している間に英ダービーと凱旋門賞を勝利した*ワークフォースらとの対戦となったが、3歳馬のNathanielが軽量も活かして逃げ切り、本馬は*ワークフォースにも競り負け3着に終わった。
秋は凱旋門賞を目指し、まずはフォワ賞(GII・2400m)に出走した。セントニコラスアビー、日本から遠征してきたナカヤマフェスタとヒルノダムール、前走のサンクルー大賞などGI3勝を挙げている*サラフィナの4頭立てとなり、本馬は*サラフィナの3着だった。本番の凱旋門賞では13番人気と人気を落としたものの直線手前で一旦先頭に立って見せ場を作ったが、鋭い切れ味を見せた*デインドリームに交わされると最後は2番手争いの一線の中でも後れを取る形になり、5着に敗れた。
その後はアメリカに遠征しブリーダーズカップ・ターフ(GI・12ハロン)に出走した。道中は好位に付けたものの早めに進出してきた馬が多く一旦後方集団に下がる形となったが、直線に入って仕掛けると鋭く伸び、残り1ハロン地点で先頭に立ってそのまま2着Sea Moonに2馬身1/4差をつけ勝利した。騎乗したジョセフ・オブライエン騎手はこの時18歳で、史上最年少のブリーダーズカップ優勝騎手となった。4歳時はこれが最後のレースとなった。
5歳時はドバイシーマクラシック(GI・2410m)がシーズン初戦となり、前年に本格化し英チャンピオンS(GI)を含む重賞5勝を挙げてカルティエ賞最優秀古馬となっていたCirrus des Aiglesなどが相手となった。レースは中盤で好位から早めに先頭に立ったCirrus des Aiglesを直線猛然と追い詰めたが、僅かにクビ差届かず2着と敗れた。
アイルランドに戻った後、帰国初戦として5月のムーアズブリッジS(GIII・10ハロン)に出走したが、同厩のラビットであるWindsor Palaceという馬を捕まえることが出来ず、2着に敗れた。それでも続くコロネーションカップで単勝1.73倍の支持を受けると、直線途中でオブライエン騎手がステッキを落とすハプニングがありながらも先頭に立った後は全く差を詰められることなく、Red Cadeauxに4馬身半差をつけてレース史上史上6頭目の連覇を達成した。続けてキングジョージVI世&クイーンエリザベスSに出走したが、先に抜け出した*デインドリームとNathanielに届かず3着に終わった。
本馬はここで主戦場としてきた12ハロン路線から一旦10ハロン戦に転じ、インターナショナルS(GI・10f56y≒2063m)に出走した。ところが、ここではデビューからマイル路線を歩んでGI8勝を含む12戦無敗を記録し、満を持して中距離戦に殴り込んできたFrankelが初距離にも関わらず単勝1.1倍という圧倒的支持を受けていた。レースでは一旦先頭に立ったもののFrankelが仕掛けるとあっという間に交わされ、ゴール前でゴドルフィンのFarhhにもハナ差で後れを取り、Frankelから7馬身差の3着に終わった。愛チャンピオンS(GI・10ハロン)でもエリザベス女王杯を連覇して出走してきたSnow Fairyの3着に敗れた。
ここで10ハロン路線から12ハロン路線に戻り、凱旋門賞に出走したが、凄まじい不良馬場に祟られた上に仕掛けどころで前が壁になるという二重の不運に見舞われSolemiaの11着に沈んだ。その後ブリーダーズカップ・ターフで連覇を目指したもののLittle Mikeの3着に惜敗し、8戦1勝でシーズンを終えた。
6歳時はドバイシーマクラシックから始動し、日本から遠征した三冠牝馬ジェンティルドンナなどが相手となった。敗戦続きの現状を踏まえて今回は先行抜け出しに脚質転換を図ることとなったが、結果的にこの判断が奏功し、4角で先頭に立つとそのまま2着に入ったジェンティルドンナを2馬身1/4後方に封じて押し切った。
帰国後、コロネーションカップ3連覇を目指し、単勝1.3倍の支持を受けて同レースに挑んだ。5頭中4番手でレースを進めた本馬は直線に入って残り2ハロン地点付近で先頭に立ち、そのまま伸びてきたDunadenに全く差を詰めさせず3馬身3/4差で勝利。前身のエプソムゴールドカップ時代を含めても初となるコロネーションカップ3連覇の大記録を打ち立てた。
その後は三度目の正直を目指して7月27日のキングジョージVI世&クイーンエリザベスSに出走する予定であったが、レース4日前に右前脚の繋ぎに重度の骨折を負った。この故障は生命に関わる大怪我であり、そのまま引退が決定し手術が行われることとなった。故障した部分の手術は成功したが、その直後に腸閉塞によって疝痛を発症し、再び手術が行われた。
しばらく後、ギプスと一緒に患部に埋め込まれていたピンが折れた際にそれを除去する手術が行われ、10月には蹄葉炎を発症したがどうにか治癒した。蹄葉炎の治癒後は脚部に関しては小康状態を保って闘病生活が進んでおり、少しずつ良化を見せていたが、年が明けた2014年1月14日の朝、腸捻転によって疝痛を発症。治療が断念されて安楽死措置が執られた。
本馬の功績を讃え、この年のコロネーションカップは「セントニコラスアビー記念(In Commemoration of St. Nicholas Abbey)」の副題を付して開催された。何の因果か、そのレースを勝ったのはかつてドバイで相見えたCirrus des Aiglesであった。
Montjeu 1996 鹿毛 |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Fairy Bridge | Bold Reason | ||
Special | |||
Floripedes 1985 鹿毛 |
Top Ville | High Top | |
Sega Ville | |||
Toute Cy | Tennyson | ||
Adele Toumignon | |||
Leaping Water 1990 栗毛 FNo.16-g |
Sure Blade 1983 鹿毛 |
Kris | Sharpen Up |
Doubly Sure | |||
Double Lock | Home Guard | ||
St. Padina | |||
Flamenco Wave 1986 栗毛 |
Desert Wine | Damascus | |
Anne Campbell | |||
Armada Way | Sadair | ||
Hurry Call | |||
競走馬の4代血統表 |
掲示板
5 ななしのよっしん
2022/11/21(月) 23:18:42 ID: bm/EHQ0bAH
>>4
なるほど
ウィキが採用する体裁としては「G1・7勝」「G1競走7勝」(JAIRSなどに用例あり)「G1レース7勝」(JRA-VAN ver.Worldなどに用例あり)とかがあるけど、まあ結局は人の好み次第…やっぱり気にしないでください
セントニコラスアビーの記事でアラビア数字かローマ数字かの話を広げるのはアレだった…
改めて同馬についてコメント
怪物フランケルのシーズン終盤の強敵と言えば、英チャンピオンで同馬に力強く食い下がった持ちレート130の中距離馬“戦うシリュス”の存在感が強く、かたや距離不足の感もあるジャドモントインターナショナルで前走サセックスのファーにも交わされた中長距離馬セントニコラスアビーはちょっと地味な印象もある
しかし、フランケルの調教助手であるフェザーストンハウ氏は、BCターフでの差し脚にいたく感じ入って、「フランケルに勝つ馬が現れるとすれば、それはセントニコラスアビーだろうと思っていました」(ラシュマー『凱歌』)と認めていたそうな
騸馬のシリュスは仕方ないが、本
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
6 ななしのよっしん
2023/01/29(日) 21:47:08 ID: fJJWGju+J+
欧州競馬では時々現れる欧州とドバイアメリカ香港(日本)を行き来しまくる2400専門馬けっこう好きだ
賞金や勝ち数では勝っているクソ強中距離馬や凱旋門賞馬にレーティングや年度代表馬を奪われがちだが…
7 ななしのよっしん
2023/05/31(水) 22:12:58 ID: 8SwlpHH5mc
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最終更新:2024/04/24(水) 08:00
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