98年、安田記念。
可能性は人を熱くする。
―2011年安田記念CM
より
タイキシャトル(英:Taiki Shuttle, 香:大樹快車)とは、1994年生まれの競走馬・種牡馬・功労馬。仏のジャック・ル・マロワ賞を含むG1&GI5勝を挙げた日本の誇る名マイラー。馬名の由来は「冠名+スペースシャトルより」。
主な勝ち鞍
1997年: マイルチャンピオンシップ(GI)、スプリンターズステークス(GI)、スワンステークス(GII)、ユニコーンステークス(GIII)
1998年: 安田記念(GI)、ジャック・ル・マロワ賞(仏G1)、マイルチャンピオンシップ(GI)、京王杯スプリングカップ(GII)
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この記事では実在の競走馬について記述しています。 この馬を元にした『ウマ娘 プリティーダービー』に登場するキャラクターについては 「タイキシャトル(ウマ娘)」を参照してください。 |
タイキシャトル Taiki Shuttle / 大樹快車 |
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生年月日 | 1994年3月23日 |
没年月日 | 2022年8月17日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・尾花栗毛 |
生産国 | アメリカ![]() |
調教国 | 日本![]() |
生産者 | Taiki Farm |
馬主 | (有)大樹ファーム |
調教師 | 藤沢和雄(美浦) |
馬名意味 | 冠名+スペースシャトル |
登録日 | 1997年3月23日 |
抹消日 | 1999年1月16日 |
戦績 | 13戦11勝[11-1-1-0] |
獲得賞金 | 6億3770万5000円 |
受賞歴 | |
競走馬テンプレート |
父は無敗の5連勝で米最優秀2歳牡馬となったDevil's Bag(デヴィルズバッグ)、母Welsh Muffin(*ウェルシュマフィン)、母父は大種牡馬Caerleon(カーリアン)という超一流の血統。アメリカのタイキファームで生まれ、アイルランドで馴致を施され、日本に輸入された、まさにエリートのお坊ちゃま。しかも毛色はきれいな尾花栗毛。だがしかし、見た目はむしろマッチョなヤンキーのイメージだった。
見た目に反して(?)繊細なところがあったのかとぼけたところがあったのか、ゲート試験に3回も落ちている。なのでデビューは3歳の4月になってからであった。ソエで脚元が固まっていなかったのもあってデビュー戦はダート1600mの未勝利戦。ここをほとんど追うことも無いまま4馬身差で楽勝すると、続くダートの500万下も快勝した。3戦目はオープン競走の菖蒲ステークス(OP・芝1600m)に出走。芝初挑戦ということもあって単勝3.0倍の2番人気に甘んじたが、生涯唯一の逃げ切り勝ちで3勝目をあげた。
次走の菩提樹ステークス(OP・芝1400m)では単勝1.7倍の1番人気に推されたが、マイペースで逃げた5番人気テンザンストームをクビ差つかまえきれず2着に敗れてしまう。いったんダートに戻ってユニコーンステークス(GIII)に出走。この時点でダートは2戦2勝の無敗とはいえ重賞初挑戦ということもあり評価は単勝5.1倍の3番人気。しかしそんな低評価をあざ笑うかのようにワシントンカラー以下を子ども扱いして重賞を初制覇した。
その後はスワンステークス(GII)で芝重賞にも挑戦。乗り替わりや古馬初対戦という不安要素もあり単勝4.8倍の2番人気。しかし厳しいところから伸びて見事1着、芝重賞でも通用することを示した。
そしてマイルチャンピオンシップ(GI)でGI初挑戦となる。マイルチャンピオンシップはGI馬6頭を含む豪華メンバーとなったが前走の勝ちっぷりが良かったこともあり「マル外の怪物」スピードワールドに次ぐ2番人気に支持された。レースでは1000m通過56.5秒というキョウエイマーチが作りだしたマイルGI史上最速の超ハイペースを好位で追走し、他の馬がバテバテになる中、1頭だけ抜け出してきてGI初制覇となった。
このあたりでファンもようやくこの馬の能力の高さを理解した。続くスプリンターズステークス(GI)では単勝1.9倍の一番人気に支持され、以後タイキシャトルは引退まで単勝1倍台を維持することになる。そしてレースの方も人気に応えて岡部騎手らしい好位差しで完勝。史上初となる秋の短距離GI2連勝を達成した。
JRA賞では192票中191票を獲得して最優秀短距離馬を受賞。この年の最優秀4歳牡馬は二冠馬サニーブライアンが、年度代表馬には17年ぶりに牝馬による天皇賞(秋)制覇を達成したエアグルーヴが選出されたが、その圧倒的な戦績から一部には「もしかして短距離路線馬で初の年度代表馬になるかも?」という声もあった[1]。
この年は早くから海外遠征が噂されており、春の短距離路線はタイキシャトルがどれだけ強い走りを見せるかでファンの話題は持ちきりだった。しかし、後から明かされた話では、ここで蹄がボロボロになって危うく引退の危機という事態になっていたのだそうである。まぁ、復帰初戦の京王杯スプリングカップ(GII)をラスト1ハロンまで馬なりのままレコード勝ちするのを見せられたら、休養中調整に苦しんでいたなんて到底分からないものである。
兎にも角にも物凄い強さを見せ付け、次は春秋マイルGI制覇をかけて安田記念(GI)に向かう。当然のように1番人気、単勝は1.3倍と圧倒的支持である。この年の安田記念は雨でずぶずぶの超不良馬場。中団にいたタイキシャトルは直線で不良馬場をものともせず、伸びに伸びて2馬身半差の圧勝。重い馬場を苦にしないこの馬ならヨーロッパの深いターフにも対応できる。「きっと日本馬初の海外G1制覇を果たしてくれるに違いない!」とファンは太鼓判を押し、タイキシャトルはフランスへと飛び立ったのであった。
高く飛べ
瞳にうつるのは
ただこの一戦の勝利ではなく
ゴールの先に広がる未来。
湿った芝を滑走路にして
今大器は羽ばたく。
フランスへ渡ったタイキシャトルは順調を伝えられ、ファンはシャトルが出走予定だった仏G1ジャック・ル・マロワ賞をワクワクしながら待っていた。ところがそのジャック・ル・マロワ賞の僅か1週間前、衝撃のニュースが飛び込んできたのである。
安田記念で10着に負かしたシーキングザパールが、武豊騎手を鞍上にモーリス・ド・ゲスト賞(仏G1・芝1300m)を制して、日本馬初の海外G1制覇を記録したというのである。「え? いつの間に行ってたのシーキング?」とファンは疑問で一杯になったのであるが、兎も角、タイキシャトルと岡部幸雄騎手の目前から「日本馬初」という栄光が消え去ったことだけは確かだった[2]。
こうなれば、意地でも負けるわけには行かない。そして迎えた8月16日のジャック・ル・マロワ賞。タイキシャトルはシーキングザパールの武豊騎手が「タイキシャトルはもっと強い」と発言したことや、最大の強敵と思われたIntikhab(インティカブ)[3]の回避もあって圧倒的な1番人気(単勝オッズ1.3倍)に支持された。
1600mのレースを直線だけで行うという日本には無いコース設定の上、タイキシャトルは入れ込んでいて、道中は物見しっぱなし。しかしながら最後の600mでグイグイと抜け出すと、海外有力馬を従えてゴールに飛び込んだ。海外競馬に挑戦し続けていた岡部騎手にとっては悲願達成の瞬間であり、表彰式では無愛想なイメージの強かった岡部騎手も涙を流した。日本馬2頭目の海外G1制覇。2週連続で海外G1を日本馬が勝った。日本競馬ファンの鼻が最高に高くなった時期である。
ワールドカップの余韻さめやらぬフランスに、JAPONの文字が鮮烈に踊った。
シーキングザパールに続く2週連続の日本馬による海外G1制覇……。
ドーヴィル競馬場、芝1600㍍の国際G1レース「ジャック・ル・マロワ賞」に挑戦した
タイキシャトルは、2着に1/2馬身の差をつけて世界の強豪たちを圧倒。
世界に「日本馬ここにあり」を強烈に知らしめた。時あたかも1998年8月…。それは、
日本馬の世界挑戦の歴史に燦然と輝く1ページとして、永遠に記される夏となった。
その後はブリーダーズカップ・マイルに行くという話もあったが、最終的には日本に帰国してマイルチャンピオンシップを目指すことになった。ムーラン・ド・ロンシャン賞やブリーダーズカップ・マイルでもこの馬ならきっと勝負になったかもしれない。まあ「競馬にタラレバは無い」ということでもあるのだが……。
タイキシャトルは帰国後、連覇が懸かるマイルチャンピオンシップに出走。このレースにはシーキングザパールも出走しており、海外G1馬が2頭もいると大きく盛り上がった。タイキシャトルは安田記念に比べて12kgも太く「大丈夫なのか?」と不安に思える部分はあったが、しかし実力は全く疑う余地が無く、単勝1.3倍の圧倒的1番人気である。レースは逃げたキョウエイマーチにマウントアラタが競りかけ1000m通過が57.1秒のハイペース。直線で珍しく岡部騎手が全力で追ったら伸びる伸びる。なんとマイルGIで5馬身差。これは2023年現在に至るまで破られていないマイルCSでの最大着差タイ記録である[4]。さらにはこの勝利で史上初となるJRAの平地重賞7連勝[5]を達成した。
タイキシャトルはこの年に引退することが決まっており、このマイルCSがラストラン、……になる予定だった。しかし売り上げの急激な低下に苦しんでいたJRAがスプリンターズステークスへの出走を強く要望し、急遽スプリンターズステークスに出走することになった。
タイキシャトルへの負担を考えた陣営はレース後その場で引退式をやる事にした。この事に対して競馬解説者の大川慶次郎氏は「傲慢だ」と怒っていたし「なんや、タイキシャトルのためのレースか。わざわざ関西から遠征してんのに!」と厩舎関係者にも怒っていた人がいたらしい。そしてレース当日、タイキシャトルの馬体重は前走よりも増えていた。藤澤調教師がレース後に「さすがに背筋が寒くなった」ともらした前走524kgから更に+6kg、明らかに太かった……[6]。しかし、それでも、人々はタイキシャトルを単勝1.1倍という圧倒的1番人気に支持した。タイキシャトルの力には、それだけの信頼があった。
しかし結果は、ハイペースを追走して伸びあぐね、本馬をマークする戦略が奏功したマイネルラヴに交わされ、末脚に賭けたシーキングザパールにも交わされ、生涯最低着順となる3着。この3着で連対率100%の記録が途切れてしまった[7]。
レース後には予定通り引退式が行われたのだが、引退式でターフビジョンに映されたタイキシャトルの成績欄の最後には「スプリンターズステークス 1着」と書かれていた。誰もが当然のようにタイキシャトルが勝って引退を飾るはずだと思っていたのである。現実は非情である。
この年のJRA賞では最優秀短距離馬・最優秀5歳以上牡馬・年度代表馬を受賞。短距離馬の年度代表馬受賞は史上初の快挙である。さらには日本調教馬として初めてフランスの年度代表馬表彰(古馬マイル部門)でも表彰[8]された。そして引退の翌月(2019年1月)には、あっさり25頭目のJRA顕彰馬にも選出された。短距離馬としても外国産馬としても初めての殿堂入りである。
生涯成績は13戦11勝2着1回3着1回と複勝圏率100%。海外含めG1&GI5連勝はナリタブライアンに並ぶタイ記録、重賞8連勝(海外重賞含む)は1955年に記録されたハクリヨウの重賞6連勝を43年ぶりに更新する新記録だった。とんでもない成績である。
しかし、これだけ活躍しながらも「ダートも得意だったのだからアメリカで走る姿も見たかった」「短距離しか走っていないが馬体的には2400mくらいならいけそうだった」など「この馬ならもっと凄い記録を出せたのではないか」という思いを抱いてしまう人もいる、それくらい強い馬だった。
2019年に netkeiba で実施された 「平成最強マイラー」アンケートでは、引退から20年以上が経っていたにもかかわらず約27000票のうち7819票を集めて第1位の座に輝いている。
種牡馬としてはウインクリューガー、メイショウボーラーのGI馬2頭を含む多くの重賞勝ち馬を輩出したが、中央GI馬はこの2頭にとどまった(JpnIではサマーウインドがJBCスプリントを勝っている)。メイショウボーラー→ニシケンモノノフと既に孫世代の種牡馬も出ているので、しばらくサイアーラインは続くものと思われる。
2017年に飛節の故障で種牡馬を引退。去勢を経て認定NPO法人引退馬協会の顔役「フォスターホース」に就任し、2018年11月から日高町のヴェルサイユリゾートファームに移動。2019年には悪質なファンの手で鬣を切られるという憂き目にも遭ったが、同牧場で同僚のメイショウドトウ・羊たちと共に悠々自適の生活を送った。
2021年6月にはドトウとともに新冠町のノーザンレイクに移厩。同牧場でドトウ、牝馬チーム、牧場猫メトと共に穏やかな余生を送っていたが、2022年8月17日、老衰による心不全で死去。享年28歳。
Devil's Bag 1981 鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Ballade 1972 黒鹿毛 |
Herbager | Vandale | |
Flagette | |||
Miss Swapsco | Cohoes | ||
Soaring | |||
*ウェルシュマフィン Welsh Muffin 1987 鹿毛 FNo.4-d |
Caerleon 1980 鹿毛 |
Nijinsky II | Northern Dancer |
Flaming Page | |||
Foreseer | Round Table | ||
Regal Gleam | |||
Muffitys 1982 鹿毛 |
Thatch | Forli | |
Thong | |||
Contrail | Roan Rocket | ||
Azurine |
クロス:Hail to Reason 3×5(15.63%)、Mahmoud 5×5(6.25%)
父Devil's Bagはアメリカで9戦8勝、GIを2勝した。
母*ウェルシュマフィンはアイルランドとアメリカを走り15戦5勝。アイリッシュ1000ギニートライアル(L)を勝利した。タイキシャトルの活躍後、日本に輸入された。
母父Caerleonはジョッケクルブ賞(仏ダービー)優勝など8戦4勝。ヨーロッパでも活躍馬を出したが、日本に輸入された数多くの産駒が驚異的な活躍をした。
JRA顕彰馬 | |
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掲示板
233 ななしのよっしん
2024/04/23(火) 17:31:16 ID: o6UIKQp+xi
そのたらればの夢の続きはタイキシャトルは中距離でも行ける理論を展開した調教師が管理したタイキシャトル並の名マイラーグランアレグリアが証明したろ
「普通にやれるけどスペシャリスト相手にはあと一歩足りない」
それが気に入らないなら自分好みの答えを自分で探すしか無い
たらればなんてのは所詮都合の良い妄想で言葉遊びみたいなもんだから各々に真実がある
234 ななしのよっしん
2024/05/17(金) 07:38:31 ID: Xr8WEyV2ZS
お子さんのメイショウボーラーもイタズラっこでお手入れ中に蹴るような真似をするのかw
https://
なお偉大な親父はマジで蹴って人に重症負わせた経験アリ。
235 ななしのよっしん
2024/08/18(日) 00:46:35 ID: vf3+eSh0kx
急上昇ワード改
最終更新:2025/04/22(火) 19:00
最終更新:2025/04/22(火) 18:00
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