ダイナガリバーとは、1983年産の日本の元競走馬・種牡馬である。
社台ファーム初めてのダービー馬、かつノーザンテースト産駒唯一の日本ダービー馬であり、昭和のダービー馬最後の生き残りであった。
馬名の由来は冠名(ダイナ)+ガリバー旅行記の主人公で、大きな物の代名詞的になったガリバーから。
その名に恥じない、大柄で迫力のある身体つきをしていた。
主な勝ち鞍
1986年:東京優駿(GI)、有馬記念(GI)、共同通信杯4歳ステークス(GIII)
父は大種牡馬ノーザンテースト、母ユアースポート、母の父バウンティアスという血統で、半兄に地方からやってきて中距離重賞で活躍したカズシゲがいる。
生まれた頃からバランスの取れた雄大な体を持っており、「これはダービー馬が生まれたぞ!」と社台の総帥吉田善哉氏がウッキウキしたという。
無論、いろんなオーナーが目をつけておりその中でもサクラの総帥全演植氏が購入寸前まで行ったが、ハナまでかかる派手な流星は縁起が悪いというジンクスを重視した境勝太郎師に反対され、結局、社台のクラブである今となっては忌み嫌われる社台レースホース名義で走ることになった。
函館開催でデビューしたが2着に敗れる。しかし折り返しの新馬戦では勝利。冬まで自重すると条件戦と共同通信杯(GIII)を連勝。
トライアルはパスし皐月賞(GI)に直行するが、このローテが死にローテなのはこのころも同じだったか、二番人気に推されるも10着惨敗。
直行した東京優駿(GI)では関西の秘密兵器ラグビーボール、皐月賞馬ダイナコスモスに次ぐ三番人気に推され、それに応えるかのように四角で上がっていくと
他馬が馬場の真ん中辺りを突く中、最内から強襲した14番人気グランパズドリームを残り200あたりで捉えて突き放し、社台グループにとっての悲願・ダービー制覇をついに達成した。
今でこそ、毎年社台ファームやノーザンファーム、白老ファームのどれかが持っていく印象すらあるが、ダイナガリバーがいなかったらどうなっていたやらである。
ダイナガリバー鞍上の増沢末夫はこの時48歳7ヶ月。当時のダービージョッキー最年長記録を樹立した。(後に2022年に武豊が53歳2か月で更新。)
そしてその影でひっそりと、グランパズドリームが敗れ祖父の代からの夢を絶たれたのが、ラフィアン総帥岡田繁幸である。マイネル軍団によるダービー制覇は未だに実現していない。
ちなみに、ダイナガリバーを買いそこねた全演植氏は「ほら見ろ、ダービー勝ったじゃないか」と境師に言ったが、境師は「いやいや、僕だったらダービー取らせられなかったよ、(管理していた)松山師が凄いんだ」と弁明したという。
…が、全氏の死後本音を自伝で公開した。もちろん負け惜しみである。残念!
その後は秋の菊花賞戦線に向かったがトライアルで連続4着し、本番でも2着と勝ち切れなかったが年末の有馬記念(GI)でミホシンザンやサクラユタカオー、初の牝馬三冠メジロラモーヌらを破りグランプリを制覇。ちなみに定番のすぎやまこういちによる関東GIファンファーレが初めて用いられたのもこの年の有馬である。口取り式では引退レースで2着に突っ込んだギャロップダイナと並んで写真に収まった。
この活躍で、1986年の年度代表馬に選ばれた。しかし活躍もここまで。古馬初戦の日経賞(GII)でミホシンザンに敗れ3着となった後骨折し休養。秋になって復帰したが精彩を全く欠き引退。種牡馬入りした。もちろん社台スタリオンステーション以外で。
吉田善哉氏の舶来種牡馬信仰は相当なものである。なんせ初めてダービーを取ってくれたガリバーも放逐するんだから…。
それが後の社台帝国の礎になったとも言えるのだが、筆者個人としてはちょっとあんまりじゃないかと思う。
種牡馬としては桜花賞馬ファイトガリバー、ドバイ遠征もした長距離の安定勢力ゴーイングスズカ、クラシック戦線で活躍したナリタタイセイを輩出したが、散発的で安定感がなかったせいか成功とはいえず、2002年を最後に種牡馬を引退。去勢されノーザンホースパークで余生を送っていたが、2012年4月26日、疝痛で死去した。享年29歳であった。これで昭和のダービー馬は皆天に召されてしまった。一つの時代の終焉といえる出来事であった。
*ノーザンテースト Northern Taste 1971 栗毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Nearctic | Nearco |
Lady Angela | |||
Natalma | Native Dancer | ||
Almahmoud | |||
Lady Victoria 1962 黒鹿毛 |
Victoria Park | Chop Chop | |
Victoriana | |||
Lady Angela | Hyperion | ||
Sister Sarah | |||
ユアースポート 1972 鹿毛 FNo.16-h |
*バウンティアス 1958 鹿毛 |
Rockefella | Hyperion |
Rockfel | |||
Marie Elizabeth | Mazarin | ||
Miss Honor | |||
ファインサラ 1966 鹿毛 |
Correlation | Free America | |
Braydore | |||
*レディスラー | Hasty Road | ||
Surabaja | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Lady Angela 4×3(18.75%)、Hyperion 5×4×4(15.63%)
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最終更新:2024/04/25(木) 20:00
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