『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』とは、1990年10月12日にテクノスジャパンから発売されたファミコン用ゲームソフトである。ジャンルはパーティーゲームやスポーツゲームに近い。
1992年にはGB版とPCエンジン版の移植作品が発売された。また2007年12月、Wiiのバーチャルコンソールで配信が開始された。
GB版は一部競技が異なるが、ここではFC版のものについて記述する。
概要
主人公のくにお率いる熱血高校を含む4つのチームが、4種目の競技の合計点で順位を争うゲームである。
当時としては非常に珍しい、人間操作で4人同時プレイが可能なソフトである(ボードゲームのように交代で動かすのではなく、本当に同時に4キャラを動かして遊ぶことが可能)。
ただし3人以上で遊ぶには別売のコントローラーが必要だったため、当時4人同時プレイを体験した人は少ないと思われる。後のPCエンジンでは、マルチタップと標準のコントローラーで実現可能だった。
(現在は、バーチャルコンソールで必要な数だけコントローラーをそろえれば簡単に4人対戦ができる)。
各キャラクターごとの能力値の設定が非常に細かくされている。武器の威力や起き上がりの速度までキャラによって異なる。また、必殺技を持っているキャラも存在するが、「勝ち抜き格闘」以外の種目では使用することは出来ない。
点数は順位によるものだけでなく、チェックポイントの通過順位や、敵をダウンさせたり、コースアウトになったりしても増減する。このゲームは「勝ち抜き格闘」は言わずもがな、走競技を含めた全競技で殴る・蹴る・凶器攻撃が可能であり、普通にゴールを目指すのではなく、残りの三人を叩き潰して悠々とゴールインすることもできるのである。むしろポイント的にはそちらの方が効率が良かったりする。
武器を拾うだけでも点が入るので、延々と壁に向かって武器を投げるとあっという間に点がたまるが、ローカルルールで禁止することが多い。
このように、苛烈な潰し合いを前提としたゲームバランスにより、かねてから対戦が終わった後にはリアルファイトが待っていると言われ、ドカポンシリーズなどに並ぶ友情破壊ゲームとして現在まで名を馳せている。
種目一覧
- 各種目で拾ったアイテムは、次の競技に持ち越すことが出来る。
- 競技に参加しなかった選手の体力は少し回復する。
- 夢見町クロスカントリー
- 冷峰学園からスタートし、民家の中、屋根の上、マンションの屋上、果ては水路までがコースという、極めて過酷なレースである。なかでも水中は武器を持つものが圧倒的に有利になるので、そこで死闘が繰り広げられることが非常に多い。
- 障害部屋競走
- 様々な障害物のある部屋で競走を行う。クロスカントリーと異なり、部屋ごとの競走で画面スクロールが無い。一部の足の遅いcomキャラクターは、最初の障害であるジャンプ台の部屋を越えられないという不具合が存在する。プレイヤー操作キャラクターも、梯子を上り始めると誰かに叩き落とされて部屋を越えられないという不具合が存在する。
- 玉割り競争
- 相手が棒を登っている隙にパンチで頭を割る・・・棒を昇ってその上にある玉をパンチで割るという競技。二チームに分かれて対戦し、最終的に玉を割ったチームが勝者となる。チーム戦なので味方での同士討ちにはならない・・・というルールなどもちろん存在する訳が無い。味方をサポートするメリットはほとんど無いため、味方同士で潰し合うのも日常茶飯事。登り棒に登ろうとしたら誰かに叩き落とされて(ry
- 勝ち抜き格闘
- 4人でのバトルロイヤルで、体力が無くなるか闘技場から落下したら失格。この競技だけ必殺技が使用できる。後にニンテンドーから発売された『大乱闘スマッシュブラザーズ』の元祖、とでも言うような競技。「落下させるのは禁止」というローカルルールが設定されることも多い。全競技が勝ち抜き格闘とか言っちゃダメ。
- このゲームにおける代名詞のような種目であり、数多のプレイヤーによって多くの戦術が研究された。
- リアルファイト
- ゲーム中に存在しない裏競技。発生率はきわめて高く、当時の日本全国の兄弟・親族・友人同士がゲーム中、あるいはゲーム後にこの競技へともつれ込んだ。
出場チーム
-
熱血高校
- キャプテンのくにおは全キャラ最高クラスの能力を持つ。他は平均的。
くにお:必殺技「マッハキック」
- 主人公であり熱血チームのキャプテン。すべての能力がトップクラスで、特にキックの威力が驚異。起き上がり速度は最高だが、そのため逆に起き攻めを受けやすい。「マッハキック」は強力だが、そのためにジャンプキックが使えない、といった弱点がある。
すがた:必殺技「爆弾パンチ」
- 副キャプテン。やや頼りないが、必殺技「爆弾パンチ」は相手を大きく吹き飛ばすため、リングアウトが狙いやすい。自爆するのも良くあることだが・・・。
ななせ:必殺技「ダブルチョップ」
- 平均的な能力の持ち主。必殺技を有する三番手。
たかみね
- 足は遅いがキックや打たれ強さといった格闘能力が高い。「ジャンプキックハメ」が可能で、勝ち抜き格闘に向いている選手。次作『びっくり熱血新記録!』には登場しない。
もりもと
- 能力的にパッとしないが、キャラ選択時にスタートボタンで決定しなかった場合は武器投げの威力が全選手中で最高になる(当然他チームのプレイヤーは、もりもとが出場しようもんならスタートボタンを押す)。
いちじょう
- 武器殴りの威力は最高クラス。しかし、パンチ力、キック力が最低であり、とても打たれ弱い。強力な対戦相手に対する捨て駒か、それなりの俊足で障害部屋を逃げ回る使われ方。玉割りでは100回以上玉を叩かないと割れないというほど悲惨。・・運良く一人状態になれば得点稼ぎにはなるが・・・・・
-
花園高校
- りきの能力はくにおと並んで最高クラス。熱血に比べて攻撃力は高いが、足の遅い選手が多い。
りき:必殺技「マッハパンチ」
- キャプテン。全ての能力が最高クラスだが、くにおより少し足が遅い。パンチ力はゲーム中最高。くにおと違い「ジャンプハメキック」が可能。弱点はくにおと同じく、起きるのが早すぎることによる起き攻めへの弱さ。足は速くないが、チーム事情からクロスカントリーに出さざるを得ないこともある。
さおとめ:必殺技「オーラパンチ」
- 副キャプテン。平均的だが突出した能力が無い。「オーラパンチ」は横軸が同じ相手をなぎ倒す攻撃であり、使用状況によってはハメに近い一方的な攻撃が可能。
まえだ
- 足はきわめて遅いが打たれ強く、格闘能力がとても高い。必殺技は持たないが「ジャンプキックハメ」が可能であり、CPUも使用してくる(余談だがこのジャンプキックハメは後に『熱血物語EX』で正式に前田の技となった)。次作『びっくり熱血新記録!』には登場しない。
よしの
- 花園チームの機動力担当、格闘はイマイチ。クロスカントリー向き。
わしお:必殺技「マッハたたき」
- 「マッハたたき」に加え、武器投げの威力も非常に高く、武器を持たせれば強力なキャラ。ただし、格闘の指輪、マジックステッキ、ドリンクの使用ができないという欠点を持つ(何故かCOMのわしおは使用できる)。
しみず:必殺技「ハリケーンクラッシュ」
- 武器を使った必殺技なのに、武器殴りの威力がおとなし、はやみと並んで最低という、使いにくいキャラ。体力だけはそこそこある。
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冷峰学園
- メンバーの平均能力は4チーム中最高であり、それでいてメンバーの個性も際立っている、文句なしの最強チーム。ゆえに他の3チームから集中的に狙われやすく、勝ったとしても「どうせ冷峰だし」などと言われてしまう。
りゅういち:必殺技「龍尾嵐風脚」、「爆魔龍神脚」
- キャプテン。くにおに一歩譲るが能力は高い。必殺技も強力で、勝ち抜き格闘では無類の強さ。弱点をあげるなら、水中で肺活量が無いこと、「爆魔龍神脚」が自爆しやすいことか。りゅうじよりキック力が強い。
りゅうじ:必殺技「龍尾嵐風脚」、「天殺龍神拳」
- 副キャプテン。りゅういちと同等の能力で、こちらはパンチ力が高い。実質キャプテンが2人いるようなものなので、勝ち抜き格闘での主力になる。
はやさか:必殺技「マッハたたき」
- 「マッハたたき」が強力。わしおと同様の欠点(一部アイテムが使えない)を持つ。体力はそこそこ有るが打たれ弱い。
もちづき
- 全キャラ中で最も足が速く、武器投げも高威力。クロスカントリーでは独壇場(その分狙われる運命にあるのもお約束)。勝ち抜き格闘には向かない。
こばやし:必殺技「マッハチョップ」
- 冷鋒が最強チームである理由が彼。「マッハチョップ」が凶悪な上に基本能力も高い。「ジャンプキックハメ」可能、(もりもとと同じく)武器投げ強化可能、起き上がり速度がやや遅いため起き攻めされにくい。とこのように全方位にわたって隙の無い実力。ゆえに格闘では確実に1対3になる。
おとなし:必殺技「脳天チョップ」
- 武器投げはとても強いが他は弱い。『びっくり熱血新記録!』には登場しない。
-
連合チーム
- 様々な高校からメンバーを集めたチーム。個性派ぞろいのダークホース。
ごうだ:必殺技「頭突き」
- キャプテン。体力と打たれ強さがかなり高く、パンチの威力はりきに次ぐ。必殺技「頭突き」は、一撃で相手を吹っ飛ばす強力な技だが、キックが使えなくなるのが欠点。
ごだい:必殺技「棒術スペシャル」
- 副キャプテン。高めの能力であり、武器の扱いはナンバー1。「棒術スペシャル」は棒でしか発動できないのが難点だが、非常に高性能。彼が出場するとごだいは棒の獲得を、ごだい以外は棒を場外へ捨てようとする棒の争奪戦が始まる。
にしむら:必殺技「溜めパンチ」
- 体力は最高、格闘能力も高いが、打たれ強さは最低。また、足は前田、熊田と並んで最も遅い。玉割りの種目が適任であると思われる。
さわぐち
- 足は速いが、他は最低クラスの能力。捨て駒か、障害部屋での逃げ要員。次作『びっくり熱血新記録!』には登場しない。
くまだ:必殺技「人間魚雷」
- 武器投げは強力だが、足は西村と同じく遅い。必殺技「人間魚雷」は、ステージ端で発動すれば問答無用で敵を落下させる脅威の技。これを乱用すると、言わずもがな。
たむけん はやみ:必殺技「ハリケーンクラッシュ」
- 足が速く非常にキック力が高い。「ジャンプキックハメ」が可能だが、それ以外は最低クラス。もともと、このキャラは変身して強くなるという設定があったが、結局実装されず弱いままになってしまったという経緯がある[要出典]。
関連動画
▼TAS動画
▼プレイ動画と実況動画
▼サークル「トッパツプラン」開発中の東方二次創作ゲーム「東方大運動会」。体験版公開中。
▼同じくサークル「ファミんど」開発中の「東方降神曲」。どちらかというと原作の雰囲気が強い。β版公開中。
新作・リメイク
- くにおくんの超熱血大運動会
- (アトラス/ニンテンドーDS/2010年2月)
- 「超熱血シリーズ」と呼ばれるアトラス時代のリメイク作品の一つ。お馴染みの4チームに新たに9チームを加えて13チームが参加。グラフィックの3D化や制限の少ないキャラメイクを導入した意欲作だが、アクションのスピード感が失われており賛否両論。
- ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会 〜オールスタースペシャル〜
- (アークシステムワークス/PS3、PC/2015年3月)
- グラフィックはファミコンの踏襲に戻り、冷峰だけで4チームいるなど全部で15チームが参加。オンライン対戦が可能になった。
- ダウンタウン乱闘行進曲 かちぬきかくとうSP
- (アークシステムワークス/PS4、PC/2016年12月)
- ダウンロード専用。花形競技の勝ち抜き格闘に特化。熱血硬派シリーズを含むくにおくんシリーズや本家ダブルドラゴンのキャラも含む27チームが参加。
- ダウンタウン乱闘行進曲マッハ
- (アークシステムワークス/Switch、PS4、PC/2019年10月)
- ダウンロード専用。かちぬきかくとうSPに新要素を追加し、隠しキャラを含めて30チーム以上が参加。
その他
外部サイト「くにお流」によって、独自のリメイクが製作されている。ネット対戦も実装しており、それを使った動画も多い。ネット対戦であるため、残念ながらリアルファイトには発展しない。しかし法的にグレーゾーンであるため、ここでは話題として触れるに留める。
関連項目