ダブルクロス単語

ダブルクロス

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ダブルクロスとは、

  1. 「裏切り」「欺き」を意味する英語の名詞・動詞「double cross」のカタカナ表記。「18世紀初頭に実在した盗賊の元締めジョナサンワイルドは、自らにを及ぼした盗賊の名に十字を描き、2つめの十字が名に描かれた者は当局に売り渡していた」という故事がとされているが、あくまで俗説であり信頼性は不詳。
  2. 漫画アニメあしたのジョー』の必殺技「ダブルクロスカウンター」(劇中で「ダブルクロス」というセリフがある)。
  3. マフラーの巻き方の一つ。
  4. 美容整形の一種。
  5. 鉄道の複線区間等で、片渡り線を一箇所に交差するように配置した線形。鉄道模型で使われる略称で、正式名称は「ダブルクロッシング(又はシーサスクロッシング)」
  6. ファーイースト・アミューズメント・リサーチ製作富士見書房から発売されたTRPGデザイナーは下がる男…もとい、矢野俊策。本項で説明。
  7. モンスターハンターシリーズについては「モンスターハンターダブルクロス」記事参照

概要

レネゲイド」と名づけられたウィルスの発症によって、本人の望む望まざるを問わず超能力を手に入れた人(=オーヴァード)達をPCとして操り、日常を守る為に戦う。
 レネゲイドやオーヴァードの存在は隠ぺい工作により世間一般には知られていない(社会的な混乱を招き、オーヴァードが弾圧される事態を防ぐため)。そのために周囲の人々には自分の正体を隠しながら戦い続けなければならない……という変身ヒーローのような苦悩が演出できるシステムになっている。
 いわゆる現代超能力アクションを演出するのに大変便利な世界観を持っており、特殊自由に組み合わせることで、かなり幅広いキャラクターを作ることができる。そのためプレイしやすく、スタンダードな現代モノのTRPGの一つとして認知されている。

 また文庫TRPGリプレイが多く刊行され人気となった面もあり、日本TRPGの時代を終焉させる一を担ったとも言われる。現在でも版上げによるバージョンアップサプリメントの追加、リプレイの発売などが行われており、メジャータイトルの一つと呼べるだろう。

 現在はThe 3rd Editionが展開中。SW2.0アリアンロッド等と同じく基本ルールブック文庫で手に入るようになった。気軽に手に入れやすくなったため、興味を持たれた方は書店などで探してみるといいだろう。

主なシステム

 シーン制やマルチクラススキル(=エフェクト)選択制、戦闘におけるエンゲージ制等、一般的にイメージされるF.E.A.R.社製TRPG的なシステムでまとめられている。

判定

 ダブルクロスの判定は上方判定(いわゆる「無限ロール」)と呼ばれる部類に属する。
 な判定としては、ミドルフェイズでの判定(情報収集・イベント時)と戦闘中の達成値対決が挙げられる。

  1. 値やエフェクトの効果から10面ダイスを振る個数を算出し、振る。
  2. 設定されたクリティカル値(基本は10。《コンセントレイト》やその他支援・妨エフェクト等により増減する)以上のが出た(=クリティカル)ダイスがあれば、クリティカルしたダイスのみを再度振る。
  3. クリティカルしたダイスがなくなった時点で終了。出たの最大値を取る。
  4. 達成値を以下の手順にしたがって算出する。
    「達成値=クリティカルした回数×10+上記3.のロールの値+〈技LV値〉+支援・妨エフェクトによる修正」

クリティカル回数が0、かつ出たの最大値が1の場合(=最初のロールで出たが全て1の場合)、ファンブルとなり自動失敗。なお妨エフェクトのせいで振ることのできるダイスの数が0以下になってしまった場合も自動失敗となる。

 戦闘時のダメージは以下のようにしてめる。なおダメージダイスファンブルはない。
ダメージ=([達成値÷10 ※端数切り捨て]+1)D10+武器による攻撃+エフェクトによる修正」

[判定の例]
振るダイスの数:5個(クリティカル値8・技LV4)
1. ダイスを振る。→結果:1,3,4,8,10
2. クリティカルしたダイス2個のみ振る。→結果:5,9
3. クリティカルしたダイス1個のみ振る。→結果:5
4. ロール終了(最大値5)。
5. 達成値=2×10+5+4=29

戦闘時のダメージ算出(攻撃9)であれば
[29÷10=2 ※端数切り捨て]+1=3 ⇒ 3D10+9
となる。

 このようなシステムであるため、振るダイスの数が1個にでもならないい限り、ファンブルの発生確率は非常に低い。 具体的に言うと、最初に振るダイス数をnと、した場合、確率=1/10nになる(指数関数的に減少する)。

…のはずであるが、世の中には6個ダイスを振ってファンブってしまう人もいたりする。

エフェクトと侵蝕率

 プレイヤーキャラクターPC)は、レネゲイウィルスを発症したために超能力(=エフェクト)が使える。
 その最たるものが《リザレクト》というエフェクトである。侵蝕率が100%になるまではレネゲイウィルスが身体蘇生をしてくれる。例え腕がもげようが首がちょんぎれようが再生させてしまうのである。ゲーム的に説明するならHPが0になっても復活できるということになる。

 侵蝕率はシーンに登場するだけでも上昇し、上記のようにエフェクトを使っても上昇する。この侵蝕率をゲーム中に下げる手段は非常に限られており、シナリオ中侵蝕率はどんどん上昇し続けていくことになる。
 侵蝕率の上昇に応じて判定ダイスの個数が増える、エフェクトの効が上がるといった恩恵も得られるが、クライマックスフェイズ終了後に行うバックトラック(=侵蝕率減少)を経てもなお100%以上となってしまった場合、PC理性を失い、自己の欲望のままに超能力を乱用するジャームと化してしまう。(=NPC化。つまりPCロスト

ロイスとタイタス

 上述のジャーム化を一、食い止めてくれる存在が「ロイス」(=PCが大切に思っている存在)である。
 家族友人人、仲間、もしくは敵、ライバルへの執着……どんな形であれ、大切なものが多ければ多いほど、PCはレゲネイドの侵蝕に耐え、理性を手放さず人間として生きていくことができるのである。
 システム的に説明するなら、クライマックスフェイズ終了時に行われるバックトラック時に振るダイスの数を増やすことにつながる。

 ロイスとの関係が大きく変わる(例:死別した、裏切られた)などした場合、「タイタス」にすることができる。
 タイタスは昇することにより、戦闘不能状態から復帰する、判定のダイスの個数を増やす、判定後に達成値を加算する等、劇的なを発揮する。
 しかしタイタスは侵蝕率を下げることには利用できない。あまり調子に乗ってロイスをタイタスにしてしまうと、今度は自身がジャーム化してしまう危険を増やすことにつながる。

 を使いすぎれば人間ではいられない。
 を使わなければ、大切なものを守れない。

 そんなジレンマしながら、大切な日常を守る為に戦う。それが、このゲーム醍醐味である。

 ちなみに上級ルールブックを導入することにより、特に大事なロイスを「スペリオルロイス(Sロイス)」に定することができるようになった。
 Sロイスをセッション終了時まで守りぬくことができれば経験点にボーナスが入る。またSロイスをタイタスにして昇した際は、通常のタイタスよりも強な効果を発揮する(通常のタイタスとしての効果を選ぶことも可である)。

ディスクリプトロイス(Dロイス)とエグゾーストロイス(Eロイス)

 PCが通常のロイスとは別に、キャラクター自身の特別な過去、思いを持つことを「ディスクリプトロイス(Dロイス)」として表現する。
 Dロイスは7つあるロイのうち一つを埋める代わりに、専用の特殊な効果(例:Dロイス専用エフェクト、装備を使用できる、や判定に修正を与える)を得ることができるようになる。
 ただしロイの数が減少する関係上、ジャームになる可性がやや高くなってしまう面があることは否めない。また、この"特別な過去や思い"が、GM事前に用意したシナリオに合わずセッション進行に支障をきたす可性もある。Dロイスの運用はGM許可を得てから行おう。

「エグゾーストロイス(Eロイス)」はレネゲイドに蝕まれた結果ジャームと化し、行動のすべてを欲求に支配されてしまった者が持つ妄執。生み出す効果は悪の一言に尽きる
 敵が所持しているEロイスはPCに対し、ジャームに対する反発心を強く抱かせる。システム的に説明するなら、バックトラックの直前に[撃破したエネミーが持っていたEロイスの数]D10を振って侵蝕値を減少させることができる。

 余談になるが、GMによっては敵の所持していたDロイス、Eロイスを経験点に加算することもある。

ステージ

……というのは基本ステージ世界観)の話。
 
使い易いシステムが受けたのか、最近はこのようなをあまり表面に出さないような世界観もサプリメント提供されるようになっており、「一般人とオーヴァードが共存する学園」「オーヴァードが傭兵として活動する紛争地帯」「第二次大戦前」等、様々な世界観が公式から提供されている。

 なお旧版では「平安時代」「ネットゲーム世界」「アキバラ」といったステージ提供されていた。

シナリオクラフト

 3rd Editionのサプリメント『パブリクエネミー』には「シナリオクラフト」という、テンプレートで大まかな構成とハンドアウトを決定し、セッションを進める中でロールとアドリブによりシナリオを作るというシステムが掲載されている。

 ある程度TRPGの知識がある方に対しては「大惨事表シナリオになりました」と表現してもいいかもしれない。
 例えば
ヒロインや理想が"PCジャーム化"だった!」
「協者がジャーム化している可性が!」
 などといった展開は日常茶飯事なのである。
 TRPGに慣れた、かつ発想に富んだ方(特に大惨事を全で満喫できる人)は楽しめるが、大量のアドリブを要する関係上、初心者には敷居が高くおすすめしづらい。

シンドロームとブリード

 シンドロームとは、レネゲイドによるエフェクトを分類、体系化したものである。
 PCは最大3つまでシンドロームを選択でき、それぞれのシンドロームに属するエフェクトを取得する。それとは別に、オーヴァードであればでも取得できる一般エフェクトも存在する。

ピュアブリード(純血種)
 エフェクトの上限が通常よりも強化され、専用エフェクトの取得も可になる。

クロスブリード(混血種/雑種
 2種類のシンドロームを組み合わせて使用することができるため、特性の強化や弱点の補強などもある程度可になる。

トライブリード(三種混合種)
 3rd Ediitionより追加。
 汎用性はクロスブリードよりも増すが、個々のシンドロームは弱くなる(=取得レベル上限の減少、一部制限エフェクトの取得不可)。
 なお第3のシンドロームはオプショナルシンドロームと呼び、他のシンドロームとは区別する。

シンドローム一覧

エフェクト大別

 エフェクトはおおまかに以下のように分けられる。

エンブレム

ユニバーサルガーディアン』で追加されたユニークアイテム一式。
更に『デイズドラマCD 初回特装版』でアイテムが追加されている。

通常のユニークアイテム(経験点消費で常備化するアイテム)と異なるのは、そのアイテムが所属する組織の特徴を反映している、ということ。例えば…

といったように、各組織の特徴を表現し、またそれによって組織への帰属意識を高めるアイテムである。

なお、一部アイテムには取得の際にGM許可が必要なエンブレムもあるので注意。

メモリー

エフェクトアーカイブ』より追加されたルール
 他者と作り上げた、自分自身を構成する大きな要素である“思い出”をルール化したもの。
 取得には経験点の消費が必要。使用すると、ひとつにつき侵蝕率が10%下がる。同時に複数使用することもできる。

ルールブック/サプリメント一覧

 最新版の3rd Editionのルールブックサプリメントについて、追加された内容を簡単に紹介する。


リプレイ

2nd Editionに入ってから、たくさんのリプレイが刊行されているが、本稿ではDX3時代のリプレイについて軽く説明する。

※ここでの人名は全て敬称略。

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最終更新:2024/03/29(金) 04:00

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