ダンサーズイメージ(Dancer's Image)とは、1965年生まれのアメリカの競走馬、アメリカ・アイルランド・フランス・日本の種牡馬である。
ケンタッキーダービーに最初にして消えない汚点を残してしまった馬。
父はグレイゴーストの異名を取った名馬ネイティヴダンサー、母ヌーアズイメージ、母父はヌーアという血統。現在ではそんなに生産が盛んとは言えないニューハンプシャー州の牧場に生まれ、牧場のオーナーである実業家ピーター・フラーの持ち馬となった。
このフラーの父が当時マサチューセッツ州知事のアルヴァン・T・フラーであったため当初は父を顕彰する意味でエーティーズイメージ(A.T.'s Image)となる予定であったが、販売するかもしれないということで*ダンサーズイメージに改名し、その後結局売らなかったが名前はそのままとなった。
2歳時はアメリカ・カナダ東海岸の競馬場を転戦しメリーランド州とオンタリオ州でグレード競走を勝っている。まあマイナー競馬場での成績であり、後に立ちはだかることになるとてつもないムチムチバディの巨漢*フォワードパスと比べると地味ーな馬であった。
3歳になった後は相変わらずマイナー競馬場のマイナー競走を勝っていたが、東海岸のケンタッキーダービープレップとしては最有力のレース・ウッドメモリアルステークスで優勝。一気にスターダムにのし上がってケンタッキーダービーに挑む。
1番人気は前述の良血の巨漢・フロリダダービーやブルーグラスステークスを勝って来た*フォワードパス、*ダンサーズイメージは2番人気であった。レースはスタートで接触して出遅れた*ダンサーズイメージ、方やスッと3番手に付けた*フォワードパスと対照的になったが、出遅れを取り戻し一気に追い上げた*ダンサーズイメージが先頭に躍り出た*フォワードパスをかわし1馬身半差を付けて快勝。グレイゴーストめいた鮮やかな末脚で素晴らしい勝ちっぷりを見せた。
しかし3日後、*ダンサーズイメージの尿から禁止薬物のフェニルブタゾンが検出されて失格となった。詳しくは後述。プリークネスステークスにも出走したがただでさえ治安がアメリカ最底辺のピムリコ競馬場は大いにご立腹で大ブーイングで*ダンサーズイメージを迎えたとか。
レースは3位入線でフォワードパスの二冠を後ろから見るしかなく、しかも斜行して8着降着となった。泣きっ面に蜂である。このレースの後フェニルブタゾンを使って誤魔化していた脚首の痛みが悪化し引退となった。通算成績は24戦12勝。3歳6月まででこれは当時としても使いすぎの部類では?
種牡馬としてはメリーランド州からスタートというとてつもないビハインドであったが、引き合いは多くアイルランド・キレーンキャッスル牧場、フランス・ケスネー牧場、そして最終的には日本・CBスタッドで種牡馬生活を送り1992年のクリスマスに疝痛が元で没した。27歳の冬であった。
成績はまあまあ上々で、欧州でもG1馬複数、日本でも1983年のファーストクロップリーディングを獲得する活躍を見せた。
さて、ケンタッキーダービーに消せない汚点として残ってしまった失格騒動であるが、治療にフェニルブタゾンを使用したのは馬主・厩舎サイドも認める事実。前述の通り引退に追い込まれる致命傷になったくらい脚首の状態が悪かったためである。
しかし、陣営は「確かに一週間前に使用はしたが、当時のルールで禁止であった当日には使っちゃいない」と主張。さらには何者かに混ぜられた! 過剰に投与されたんだ! と確信しており異議申し立てをしたがあっさり却下され粛々と*フォワードパスが勝者ということで手続きが進められていった。
とんだ濡れ衣だ! ということで法廷の場に持ち込み、一旦は1970年に勝訴を勝ち取ったがケンタッキー州競馬委員会が控訴して1973年に覆され、裁定をひっくり返すことは叶わなかった。フラーはここで5年に渡る法廷闘争を断念するが、1974年にフェニルブタゾンはケンタッキー州で合法化された。は?
この妙に理不尽な裁定に至った理由は、フラーがボストン生まれの金持ちでリベラルな公民権運動の支持者であったことが影を落としているという説がある。実際*ダンサーズイメージの獲得した賞金の一部をキング牧師の未亡人に寄付するなど結構なシンパであった。
ケンタッキー州は当時保守的な思想が強い土地柄で、黒人に対する風当たりは強かったため公民権運動シンパの金持ちに対する感情は良くないのが容易に想像はつくし、フラーの名誉を奪おうと過剰に何者かによって投与されたのでは……?そしてケンタッキー州の保守的な州政府や競馬委員会がグルになって彼からよってたかって名誉を奪おうとした……
というのは一定程度の説得力を持つ。実際公民権運動への強い連帯を公表した後にフラーの元にはお手紙()が届いたという。説得力があるから事実であるということでもないが。その最中で何者かの介入を疑わない方がおかしいというものであろう。陣営は警戒して警備員を増員して馬房を守り、彼に危害を加えんとする不届き者を捕まえようとしたが増員は却下されたという。
ただし誰かがやったという確たる証拠はなく覆すには至らず、*ダンサーズイメージの名誉は毀損されたままである。担当獣医も後に薬物沙汰でやらかしたため信頼度はどうしても低くなるのはあるし……
せめてもの救いは、フラー家は*ダンサーズイメージをダービー馬として今でも誇りに思っていることだろうか。
Native Dancer 1950 芦毛 |
Polynesian 1942 黒鹿毛 |
Unbreakable | Sickle |
Blue Glass | |||
Black Polly | Polymelian | ||
Black Queen | |||
Geisha 1943 芦毛 |
Discovery | Display | |
Ariadne | |||
Miyako | John P. Grier | ||
La Chica | |||
Noor's Image 1953 鹿毛 FNo.4-r |
Noor 1945 黒鹿毛 |
Nasrullah | Nearco |
Mumtaz Begum | |||
Queen of Baghdad | Bahram | ||
Queen of Scots | |||
Little Sphinx 1943 栗毛 |
Challenger | Swynford | |
Sword Play | |||
Khara | Kai-Sang | ||
Decree | |||
競走馬の4代血統表 |
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最終更新:2024/03/29(金) 20:00
最終更新:2024/03/29(金) 20:00
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