テセウスの船 単語

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テセウスノフネ

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テセウスの船とは、以下のものをす。

  1. ギリシャ神話を由来とするパラドックス思考実験の一つ
  2. 東元俊哉作の漫画、及びそれを原作とするテレビドラマ→個別記事テセウスの船(漫画)を参照。

提起

ギリシア神話に登場するアテナイ英雄テセウス(テーセウス)は、クレタ島怪物ミノタウロスミーノータウロス)を倒した後、クレタ島からアテナイに凱旋したという。

そのは記念として、その後長い間アテナイにて保存されていた。だんだんの建材は朽ちていくため、朽ちた部分は少しずつ新しい建材に置き換えられていった。

そしてついに、元の建材は一つもなくなり、全て新しい建材に置き換えられた。

このは、元のと同じだと言えるだろうか?

概要

歴史的には、哲学者プルタルコスによって紀元1世紀に書かれたとされる、テセウスに関する文書の中で既に登場している話である[1]

「元の建材が全部ないのだから新しい建材で作ったのは違う。同じと呼べるのは元の建材を組み直して建てた方。」とも言えるし、「テセウスの船として飾られてることには変わりないんだから同じ」とも言えてしまう。どちらが正しいのか?というパラドックスなわけだが、他にも様々な解答は可である。

たとえば単純な解答は「それは「同じ」の定義による」というもの。「入れ替わった建材に着すれば違うだけど、「テセウスの船として記念に保存されている」という部分に着すれば同じ。つまり「同じ」をどう定義するかによってそのが「同じ」と言えるかは変化する」といったものなど。

ちなみに「少しずつ構成要素が変わっていって、遂にはそっくり入れ替わるもの」は割とありふれている。例えば「芸能グループ」「スポーツチーム」「老舗企業」「日本国民」の構成員。どれも長く続けば、徐々にメンバー入れ替わり、ついには昔のメンバー全員不在となるだろう。

ニコニコ動画も当初存在した機リニューアルによって入れ替わりつつある。flashhtml5になったり、ニコニコムービーメーカーアップロードできなくなったり、ニコるが良いねになったり、ログインしで見られる動画が出てきたり、使われてるのかどうか分からないニコニコ市場が終了してデッドリンクになっていたり、エコノミーモード止になったりしている。

「同じ」の種類

  • 的が同じ:として同じ的(行き先、機)が同じであれば同じと呼べる。
  • 状態が同じ:材質(木材)が同じであれば同じと呼べる。
  • 形状が同じ:デザインが同じであれば同じと呼べる。
  • 所有が同じ:の名義(法律などの制度面)が同じであれば同じと呼べる。
  • 時系列が同じ:同じ場所に一定期間あるなど時間経過が追えれば同じと呼べる。
  • 質が同じ:同じはただこの一つしかない[2]

アレンジ版

あなたは長生きして、年老いて、細胞が徐々に衰え始めた。このままではだんだんとの機が失われていってしまうらしい。

しかし進んだ医学により、衰えて死んでいく細胞を、全に機代替する「新しい細胞」で少しずつ補充していく治療が可になったという(注:この話はフィクションです)。

この治療を受け始めることにしたあなたは、そのおかげでその後も長い間元気に暮らしていた。

そんなある日、あなたが健康診断を受けたとき、医者からこんなことを言われた。

「あなたの100%「新しい細胞」に置き換わっていますね。生まれつきの細胞はもう残っていません」

あなたの人格は何も変わっていないし、子供の頃の思い出もしっかり思い出せる。それは置き換えていった「新しい細胞」が、衰えて死んでいった元の細胞と全く同じように働いてくれているためだ。

しかし、を構成する材料全に置き換わってしまっているわけだ。

今のあなたは、昔のあなたと同じ人間だと言えるだろうか?

テセウスの船になりがちな身近な?物とか

当初は安い低スペックな構成で組むも「性が足りないからパーツ交換するか~」となってメモリHDDSSDなどを増設・交換する。そのうちゲームが足りないからグラボを変え、電が足りないから大容量の物に変え、ケースが入らないから大きいサイズケースに変え、最新のCPUを搭載したいから調べたら今のマザーボードでは対応できないのでマザーボードも変えた。そしたらメモリも新規格になっていたのでメモリも交換になってしまった・・・。こうして初めて組み立てた頃と全く違う「テセウスの船」な自作PCが出来上がるというのは割とよくあることである。但し初めて作った時と明らかに性が変わって新バージョンの機にも対応しているので「同じPC」と言い難いかもしれない。

ちなみにOSプロダクトキーはマザーボードが変わったタイミングで「違うPC」と認識するようだが、最近のPCマザーボードが変わっても普通に起動する。

下の動画パーツ交換の様子

みなさんが身近に利用している電車でもテセウスの船な車両は存在する。例えば京阪1000系の導入は1977年だがかつては足回り(走行装置)を流用し体を新しく作った700系ルーツだと言われている。この700系の流用前の形式が1000であり、戦時中の1937年まで遡ることが出来る。この車両は高速走行を行うため流線を取り入れた車両だったが陳腐化がしかったので1970年引退しようとしていた。一方その頃高度経済成長期で増え続ける通勤通学需要に対応するため通勤車両を大量に導入する必要に迫られ、この車両の足回りを流用し体を新設計した700系1967年から4年間にわたり導入された。その後走るために電気を取り入れる架線の電圧を600Vから1500Vに昇圧する際、足回りが昇圧に耐えられなかったこと、また老朽化がしかったこともあり今度体を流用し足回りだけを新製することになり2代目京阪1000系が誕生したと言われる。同様の車両相模鉄道にも相鉄5000系という車両2009年まで存在した。他にも事業用などでこういった車両が幾つか存在する。但しこれらのケースも新製時と車両の内装外装も車両の走行性も大幅に変わっているため同じ車両とは言い難いかもしれない。

参考文献

関連動画

関連静画

関連項目

脚注

  1. *The ship wherein Theseus and the youth of Athens returned had thirty oars, and was preserved by the Athenians down even to the time of Demetrius Phalereus, for they took away the old planks as they decayed, putting in new and stronger timber in their place, insomuch that this ship became a standing example among the philosophers, for the logical question of things that grow; one side holding that the ship remained the same, and the other contending that it was not the same.The Internet Classics Archive | Theseus by Plutarchexitより。
  2. *北村,2017,p70-71
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