テディ(競走馬)

テディ(Teddy)とは、1913年生まれのフランスの競走馬である。

概要

父Ajax、母Rondeau、母父Bay Ronald。
父父のFlying Foxはイギリス三冠馬で初代ウェストミンスター公爵の所有馬だったが、公爵が死亡したためオークションに出されると、フランスの大牧場主エドモンド・ブラン氏が3万7500ギニーという破格の金額で購入した。Ajax(アジャックス)はその代表産駒の一頭で、ジョッケクルブ賞、パリ大賞典など5戦5勝の成績を挙げ故障で引退した。
母Rondeau(ロンド)はシサレヴィッチS2着などそこそこの活躍をし、ブラン氏が購入した。しかしテディより前のRondeauの産駒は勝ち上がることができない状態が続いていた。
母父Bay Ronald(ベイロナルド)は26戦5勝で著名レースに勝利していないが、種牡馬として活躍した。

ブラン氏によって生産されたテディだが、1歳時に第1次世界大戦が勃発したことによって手放すことになった。母の産駒が活躍していないこともあってかテディはわずか5400フランでイギリスでミチェラン男爵の秘書官をしていたジェファーソン・デイヴィス・コーン氏に購入された。コーン氏はイギリスからフランスに連れてきた競走馬を元に成功を収めた馬産家だったが、のちの1929年の世界恐慌の影響により衰退してしまっている。

第1次世界大戦の影響でフランスの競馬が中止となったのでテディは3歳までレースに出ることはできず、通常の競馬が行われているスペインに連れて行くことになった。

テディがデビュー戦に選んだのはスペインの大レースであるサンセバスチャン大賞(2400m)であった。このレースではフランスからも多くの有力馬が押し寄せることになった。テディはデビュー戦のためノーマークだったが、直線でSplitを3馬身置き去りにして鮮やかなデビューを飾ることになった。続いてテディはスペインのセントレジャーに該当するヴィラメジャー賞(2800m)に出走して楽勝した。しかし2走の反動からか、サンセバスチャン大賞に次ぐスペインの大レース、コパ・ドーロ・デル・レイ(2400m)に出走するも3着に敗れた。

10月にはフランスでも小規模ながら競馬が再開されたので、テディもフランスに戻りダルボンナイ賞(2200m)を勝利し、2日後のリュパン賞代替レースのダルネイ賞(2200m)、6日後のジョッケクルブ賞代替レースのトロワザン賞(2400m)を連勝した。テディは短期間でもう1レースのデレヴァージュ賞に出走したが、流石に短期間で走りすぎたためか3着に敗れた。

テディが4歳時にはシャンティイ競馬場の再開の目途が立ったのでサブロニエール賞(2000m)という低賞金レースに出走したが、戦前のリュパン賞優勝馬La Farinaも出走してきて、当時のフランス最強馬を決める大一番となった。直線でテディとLa Farinaは激しい叩き合いとなったが、テディがクビ差で勝利した。

最強馬の地位を手にすることになったテディはコーン氏所有のボワルセル牧場で種牡馬になった。

テディは種牡馬としてプール・デッセ・デ・プーランやジャック・ル・マロワ賞を優勝し、のちにアメリカで種牡馬として三冠馬Gallant Foxを産むなど大成功を収めたSir Gallahadを輩出し1923年のフランスリーディングサイヤーになった。コーン氏が世界大恐慌の影響でテディを手放すことになった際、本馬は産駒Sir GallahadやBull Dogがアメリカで種牡馬として成功していたこともあってアメリカに渡ることになった。アメリカでもアーリントンH優勝のSun Teddyなどを輩出し、23歳でその地に眠ることになった。

テディの子孫たちはアメリカでCitationやDamascusなどが活躍し一世を風靡したが、その後が続かず現在では直系は衰退している。しかし一方で未勝利に終わったLa Troienneが一大牝系を築き、またDamascusなどの血も母系に入り大きな影響力を今でも与えている。日本でも*サンデーサイレンスの母父UnderstandingがSun Teddyの直系子孫であり、その影響力はうかがい知れない。

血統表

Ajax 1901 鹿毛	Flying Fox 1896 鹿毛	Orme	Ormonde
			Angelica
		Vampire	Galopin
			Irony
	Amie 1893 鹿毛	Clamart	Soukaras
			Princess Catherine
		Alice	Wellingtonia
			Asta
Rondeau 1900 鹿毛 FNo.2-n	Bay Ronald 1893 鹿毛	Hampton	Lord Clifden
			Lady Langden
		Black Duchess	Galliard
			Black Corrie
	Doremi 1894 栗毛	Bend Or	Doncaster
			Rouge Rose
		Lady Emily	Macaroni
			May Queen

クロス:Bend Or 3×5(15.63%)、Galopin 4×4×5(15.63%)

主な産駒

• Sir Gallahad (1920年生 牡 プール・デッセ・デ・プーラン、ジャック・ル・マロワ賞など)
• Asterus (1923年生 牡 プール・デッセ・デ・プーラン、英チャンピオンSなど)
• Ortello (1926年生 牡 デルビーイタリアーノ、凱旋門賞など)
• La Troienne (1926年生 牝 未勝利、牝系を大きく広げる)
• Bull Dog (1927年生 牡 ダフニ賞、Citationの祖父)
• Rose of England (1927年生 牝 オークスステークス)
• Sun Teddy (1933年生 牡 アーリントンH、Damascusの祖先)

関連項目

• 競馬 / 海外競馬
• 競走馬の一覧

Teddy 1913
｜Sir Gallahad III 1920
｜｜Gallant Fox 1927
｜｜｜Omaha 1932
｜｜エレギヤラトマス 1932
｜｜Fighting Fox 1935
｜｜｜Crafty Admiral 1948
｜｜｜｜Neptune 1955
｜｜｜｜｜*ネプテューヌス 1961
｜｜｜｜｜｜ダスゲニー 1983
｜Aethelstan 1922
｜｜Deiri 1928
｜｜｜Deux Pour Cent 1941
｜｜｜｜Tantieme 1947
｜｜｜｜｜Tanerko 1953
｜｜｜｜｜｜Djakao 1966
｜｜｜｜｜｜｜*フィディオン 1972
｜｜｜｜｜｜｜｜メジロデュレン 1983
｜Asterus 1923
｜｜Jock 1936
｜｜｜Sunny Boy 1944
｜｜｜｜*タマナー 1955
｜｜｜｜｜ヒデハヤテ 1969
｜｜｜｜*ダラノーア 1960
｜｜｜｜｜ニットウチドリ 1970
｜La Troienne 1926
｜Bull Dog 1927
｜｜Bull Lea 1935
｜｜｜Citation 1945
｜｜｜*アイアンリージ 1954
｜｜｜｜ストロングエイト 1969
｜｜The Doge 1942
｜｜｜Swoon's Son 1953
｜｜｜｜Chris Evert 1971
｜Sun Teddy 1933
｜｜Sun Again 1939
｜｜｜Palestinian 1946
｜｜｜｜Promised Land 1954
｜｜｜｜｜Understanding 1963
｜｜｜｜｜｜Wishing Well 1975
｜｜｜Sunglow 1947
｜｜｜｜Sword Dancer 1956
｜｜｜｜｜Damascus 1964
｜｜｜｜｜｜Cutlass 1970
｜｜｜｜｜｜Bailjumper 1974
｜｜｜｜｜｜｜Skip Trial 1982
｜｜｜｜｜｜｜｜Skip Away 1993
｜｜｜｜｜｜Private Account 1976
｜｜｜｜｜｜｜Personal Ensign 1984
｜｜｜｜｜｜｜East of the Moon 1991
｜｜｜｜｜｜｜Inside Information 1991
｜｜｜｜｜｜Time for a Change 1981
｜｜｜｜｜｜｜Fly So Free 1988
｜｜｜｜｜｜｜｜*キャプテンスティーヴ 1997
｜｜｜｜｜｜*オジジアン 1983
｜｜｜｜｜｜｜*エイシンワシントン 1991