ディラントーマス
ディラントーマス(Dylan Thomas)は、2003年生まれのアイルランドの元競走馬で、現在は種牡馬。
2007年に古馬としては49年ぶり史上3頭目となるキングジョージVI世&クイーンエリザベスステークス・凱旋門賞の同一年制覇を達成し、同年のカルティエ賞年度代表馬・最優秀古馬となった。馬名はウェールズの大詩人ディラン・トマスに由来すると思われる。
父は世界各国で活躍馬を多数輩出したDanehill(*デインヒル)、母は現役時代は14戦未勝利だったものの繁殖牝馬として既にGI馬を出していたLagrion(ラグリオン)、母父はイギリスで2歳GIを2勝し種牡馬としても大活躍を収めたDiesis(ダイイシス)という血統。名門クールモアグループの所有馬として、クールモアの専属調教師であるエイダン・オブライエン師の管理馬となった。
6月にアイルランド・ティペラリー競馬場の未勝利戦でデビューし、ここを1馬身差で勝利。9月にレパーズタウン競馬場で出走したステークス競走も勝利した。
その後はイギリスに向かい、10月のオータムS(GIII)に1番人気で出走したものの、8番人気のブリッツクリークにクビ差交わされて2着と惜敗。レーシングポストトロフィー(GI・1マイル)では7頭立ての最低人気を覆して勝ったパレスエピソードの6着と大敗を喫した。
2歳時は4戦2勝。アイルランドの2歳GIであるフェニックスS・ナショナルSを連勝してカルティエ賞最優秀2歳牡馬となったジョージワシントンや、デビューから4連勝でジャン・リュック・ラガルデール賞を制し、英GIのデューハーストSも2着としていたホレーショネルソンを擁するクールモア勢の中ではあまり目立った存在ではなかった。
3歳時はデリンズタウンスタッドダービートライアル(愛GII)から始動すると、ここを勝利して重賞初勝利を挙げ、英ダービーに向かった。ジョージワシントンが2000ギニーを勝った後にマイル路線に向かって不在だったこともあり混戦模様だったが、それでも2歳時に4連勝でデューハーストSを制して2000ギニーでも2着となったサーパーシーやダンテS(GII)を8馬身差で圧勝したオブライエン厩舎のセプティマス、2000ギニーでは8着と不覚を取ったホレーショネルソンなどが出走してきており、本馬は18頭中9番人気にとどまった。しかしスタートが切られると果敢に先行し、最内から鋭い差し脚を伸ばしたサーパーシーと短頭差+アタマ差の3着に健闘した。2着のドラゴンダンサーは13番人気の未勝利馬だったがそれはそれである。
続けて出走した愛ダービーでは英ダービー組の有力馬が皆無だったこともあって1番人気に推され、中団追走から最後は2着の伊ダービー馬ジェントルウェーヴに3馬身半差を付けて突き抜け完勝。GI初勝利を挙げた。
続けて英インターナショナルS(GI・10f56y≒2063m)に出走したが、スローペースになったのが災いして末脚勝負で後れを取り、単勝1.83倍の1番人気を裏切る4着に敗退した。その後出走した愛チャンピオンSは僅か5頭立てながら、対戦相手4頭に英愛オークスを含むGI6勝の*ウィジャボードとGI5勝のアレクサンダーゴールドランという2頭の強豪牝馬が含まれるというメンバー構成となったが、ウィジャボードをクビ差退けて勝利した。
この後陣営はブリーダーズカップ・クラシック挑戦を見据えてアメリカ遠征を行い、前哨戦としてジョッキークラブゴールドカップ(GI・ダート10ハロン)に出走したが、スタートから全くついていけないまま4頭立ての4着(勝ったバーナーディニとは32馬身1/4差)に大敗。あまりの内容の悪さのためにブリーダーズカップ出走も立ち消えとなり、そのままシーズンを終えた。
4歳時は始動戦に選んだアレッジドS(リステッド)を3馬身差で快勝し、渡仏して出走したガネー賞(GI・2100m)も単勝1.44倍の圧倒的人気に応えてレコード勝ちした。しかしその後はタタソールズゴールドカップ(愛GI・10f110y≒2110m)で先に抜け出したノットナウケイトを捉えられずにアタマ差2着に惜敗すると、プリンスオブウェールズS(英GI・9f212y≒2004m)でもマンデュロの1馬身1/4差2着に敗れた。
続けて出走したのは、愛ダービー以来の12ハロン路線となるキングジョージVI世&クイーンエリザベスSだった。ディラントーマスが単勝2.25倍の1番人気となり、3歳時に愛ダービー2着があった5歳馬スコーピオンが対抗馬筆頭で、他にはGIで善戦続きながら勝ち星を挙げていないマラーヘルが続いたが、この路線の実績馬はほぼ不在だった。レースではディラントーマスが実力を存分に発揮し、2着の善戦マンユームザインに4馬身差を付けて圧勝した。
次走は英インターナショナルSとなり、ここでは先行したノットナウケイトを捉えたもののこの年の英ダービー馬オーソライズドの1馬身差2着。それでも愛チャンピオンSでは単勝1.53倍の1番人気に応えて史上初となる連覇を達成した。
続いて渡仏し、凱旋門賞に挑戦。3歳馬が古馬よりも3.5kg軽い斤量で出走できるということもあって、英インターナショナルSから直行してきたオーソライズドと、愛ダービーを9馬身差で圧勝したソルジャーオブフォーチュンが上位人気となり、ディラントーマスは3番人気となった。
スタートが切られるとオブライエン厩舎のペースメーカーが予定通り先頭に立ち、ディラントーマスは中団後方を追走。直線に入ると内に切れ込む場面を見せながらも勢い良く伸び、猛追した9番人気ユームザインを退けて優勝。オブライエン厩舎の凱旋門賞初制覇を飾るとともに、*ラムタラ以来12年ぶり6頭目、古馬としてはバリーモス以来49年ぶり3頭目となるキングジョージ・凱旋門賞の同一年制覇を達成した。しかし残り300m地点で8位入線したザンベジサンに甚大な不利を与えたために確定まで約30分にわたる審議が行われており、レース後も物議を醸すなど後味の悪い結果となってしまった。
閑話休題、凱旋門賞馬となったディラントーマスの次走はブリーダーズカップ・ターフとなった。しかしここではスタートで後手を踏み、勝負どころでも伸びを欠いて、時の米国芝路線のトップホースであるイングリッシュチャンネルの5着に終わった。
これで引退となる予定で、種牡馬入りの準備も進めていたのだが、ジャパンカップに招待されたため、これを受諾して来日した。ところが種牡馬入りの準備の際に義務付けられている馬ウイルス性動脈炎(EVA)のワクチン接種を既に済ませていた後だったために、来日後の検査で陰性が確認出来ず、日愛両国間の衛生規定に引っかかって入国不許可(検疫厩舎からそのまま出国することになる)となってしまった。
この埋め合わせのためか、急遽2週後の香港ヴァーズに出走。単勝1.7倍の1番人気に推されたが、出遅れた上に道中で不利を受けたのも響き、ガネー賞で3着に破っていたドクターディーノの7着に敗退。これを最後に引退した。この年のカルティエ賞では最優秀古馬・年度代表馬を受賞した。
アイルランドのクールモアスタッドで種牡馬入りし、オーストラリアへのシャトル種牡馬としても供用されている。初年度産駒のナンフェアが4歳時にベルリン大賞(独GI)を制したのを皮切りに徐々にGI馬を輩出しつつあり、大成功とは行かないまでもまずまずの成績を挙げている。
*デインヒル Danehill 1986 鹿毛 |
Danzig 1977 黒鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Pas de Nom | Admiral's Voyage | ||
Petitioner | |||
Razyana 1981 鹿毛 |
His Majesty | Ribot | |
Flower Bowl | |||
Spring Adieu | Buckpasser | ||
Natalma | |||
Lagrion 1989 栗毛 FNo.9-c |
Diesis 1980 栗毛 |
Sharpen Up | *エタン Atan |
Rocchetta | |||
Doubly Sure | Reliance | ||
Soft Angels | |||
Wrap It Up 1979 栗毛 |
Mount Hagen | Bold Bidder | |
Moonmadness | |||
Doc Nan | Francis S. | ||
Betty W. |
クロス:Natalma 4×4(12.5%)、Native Dancer 5×5×5(9.38%)、Tom Fool 5×5(6.25%)
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2022/08/16(火) 07:00
最終更新:2022/08/16(火) 07:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。