いまこそ抜け
強く振り下ろせ
力まかせに突き刺せ
デュランダル(英:Durandal、香:多旺達) とは、1999年生まれの日本の競走馬・種牡馬である。
馬名の由来はローランの歌に登場する不滅の聖剣・デュランダルから。
その名前の通り、凄まじいまでの切れ味を誇る圧倒的な末脚を持っていた。
主な勝ち鞍
2003年:スプリンターズステークス(GI)、マイルチャンピオンシップ(GI)
2004年:マイルチャンピオンシップ(GI)
父は言わずもがなのスーパーグレートサイヤー・*サンデーサイレンス、母はサワヤカプリンセス、母の父*ノーザンテーストという良血馬である。
ところで、*サンデーサイレンス×*ノーザンテーストと言えば社台を大帝国にのし上げたスーパーサイヤーコンビだが、サンデーとNTの組み合わせはなぜかGIには届かないという事で有名であった。
そのせいかどうかは知らないが、ダイナアクトレスやアドラーブル、ダイナカールといったNTの名牝はサンデーを相手にする機会が多かったのだが、プライムステージくらいしかサンデー相手では目立った産駒は出なかった。
他にもスカーレット一族やファンシミン系も*ノーザンテーストの血を引く牝馬が多く、その尽くがサンデーと配合されGIどころかOPにも届かずに終わる馬が多数という有様であった。
それがいいのか悪いのかはともかく、この配合は期待外れ感がすごい配合として有名だった。
新馬戦を上がり最速で駆け抜け快勝するが脚部不安でクラシックを棒に振る。彼にとってはそれが良かったのかもしれない。
その後じっくり立て直し、3歳の夏に復帰。初戦は追い込み不発で2着に敗れるが怒涛の3連勝でマイルチャンピオンシップに出走するも、上がり最速こそ叩きだすが10着に敗れる。
その後は自己条件を2戦で突破し、中山記念で重賞制覇に挑むが完敗。休養に入った。この休養が明けた時、彼の真価が発揮される。
秋初戦に選んだセントウルステークスでは、やはり上がり最速で突っ込むがテンシノキセキとビリーヴの叩き合いに届かず3着となる。ここで調教師はマイルのオープンポートアイランドステークス出走を検討するが
セントウルステークスで初コンビとなった池添謙一はスプリンターズステークス挑戦を進言。1200mで追い込みしか出来ない彼へ懸念を抱く向きもあったが、結局池添の進言を容れてスプリンターズステークスへ。
重賞未勝利ながら5番人気とそれなりの人気に推される。ちなみに上位人気にはここが引退レースのビリーヴ、安田記念を2着し完全復活した素質馬でSS×NT配合のアドマイヤマックス、ディープインパクトとブラックタイドの半姉・5歳夏にようやくデビューしながら5連勝でここにやってきたレディブロンドあたりが推されていた。
レースはテンシノキセキが不本意気味にハナを切り、直線半ばで1番人気ビリーヴが先頭に立つ。若干遊び気味になったがこのまま有終の美を飾るか?
と思われた刹那、一番外から解き放たれた弾丸のように突っ込む影が一騎。そう、デュランダルである。
ビリーヴ絡みの馬券をしこたま買っていた? フジテレビの実況担当青嶋アナはきわどいと連呼したが、ハナ差だけ差しきったところがゴール板。見事なGI制覇を成し遂げた。
ちなみに、*サンデーサイレンス×*ノーザンテースト配合初のGI制覇でもあった。そう、この配合は個体差はあれど短距離向きの配合だったのである。
母の活躍故にクラシック戦線や中距離戦で消耗させられ、真価を発揮する前に引退に至った馬もいたであろう。
このあと、呪縛から解き放たれたかのようにダイワメジャーがマイル王として君臨、アドマイヤマックスが高松宮記念を勝利するなどGIを勝ち始めた。思い込みというのは怖い。
そして、気性が荒くスタートが下手で好位には付けられないが、極上の瞬発力でカバーするデュランダルと、ガッツポーズがクッソキモいが、中央では彼以上の胆力の持ち主はそうそういない、決め打ち型騎手の池添謙一。ベストに近しいコンビが結成された瞬間であった。
続くマイルチャンピオンシップでは、前走がハマりすぎたと思われたのか5番人気。ちなみに一番人気はサイドワインダー(GIII2勝)であった。さすがにちょっと人気がなさすぎである。
レースは逃げた3歳馬ギャラントアローが粘りこみを図るが、一番外からエリザベス女王杯を捨ててまでここにやってきたファインモーションが抜け出しかける。不振にあえいでいた怪物候補が復活するのかと思われたが大外から凄まじいまで末脚で全てを飲み込む馬が一頭。デュランダルである。 見事な末脚で一刀両断大勝利。
この2連勝で最優秀短距離馬のタイトルをゲット。見事に一流馬の仲間入りを果たした。
5歳になっても現役は続行。高松宮記念から始動するが小回りの中京競馬場では彼のスタイルは絶対的に不利であり、苦戦が予想されたが
大外から鋭く伸び、2番手まで上がるがさすがに直線があと100mは足らず2着。サニングデールの前に苦杯をなめた。
このあとは彼にとっては中京競馬場より有利そうな直線が長い府中の安田記念に向かう予定であったが、彼の気性以外でのもう一つの弱点である蹄が悲鳴を上げる。裂蹄を起こしてしまい、春は全休となってしまう。
幸いにも秋には蹄も走れるほどに回復したが、スプリンターズステークス前に前哨戦を使えないまま、本番に向かうことになった。
順調さを欠いたためサニングデールに次ぐ2番人気となったが、記録的不良馬場を物ともせず、前年と同じスタイルで突っ込むもののカルストンライトオの馬場を利した軽快な逃げの前に屈し2着。
しかしマイルチャンピオンシップではやっぱり大外から無茶苦茶な末脚で一刀両断。連覇を達成。
日本のマイル王として意気揚々と香港国際競走デーのGI香港マイルに挑むが、追い込み馬の彼にとっては最悪なことに馬場に大量の水が撒かれてしまう。それでも5着に突っ込むあたり実力は確かなものであったと言える。
失意の中香港から帰国。まだ元気ということで現役続行の予定だったのだが、再び蹄が悲鳴を上げる。
悪化すると死に至る病、父サンデーサイレンスの命を奪った病である蹄葉炎を患ってしまったのである。一時は即時引退も囁かれたのだが、陣営の懸命な治療でなんとか秋競馬からの復帰にこぎつけた。
復帰戦のスプリンターズステークスには当時世界最速と言われた香港最強スプリンター・サイレントウィットネスが1番人気を背負い出走していたのだが、彼も去年も不良馬場を物ともしない驚愕の末脚を見せていたこともあり2番人気となった。
レースは前々につけてサッと抜けだしたサイレントウィットネスを上がり32.7という脅威の末脚で猛追するが、さすがに届かず2着に敗れる。
三連覇をかけてマイルチャンピオンシップに1番人気を背負い挑むが、上がり最速で突っ込むも前が止まらず8着に敗れ、蹄の状態もあり引退し種牡馬入りとなった。
ちなみにマイルチャンピオンシップの走破時計は連覇中より8着に敗れた最終年の方が速かった。マイルはそんなに得意ではなかったのであろう。それでも連覇するあたり非凡なのだがやはり彼の真価が発揮されたのは1200mでの追い込みである。
スプリンターは前に付けられる馬こそ名馬であるというのは鉄則ともいえることなのだが、その不文律を自らの圧倒的な末脚で快刀乱麻、切り捨てる姿はまごうことなき名馬であった。
社台スタリオンステーションで種牡馬入り。産駒の評判は良くセレクトセールではよく売れたのだが、小倉2歳ステークスを勝ったジュエルオブナイル以外はイマイチでは期待外れの部類であり2010年にブリーダーズスタリオンステーションに移動となった。
そんな中オークス馬エリンコートが出て一発逆転かとも思われたがその後の成績は振るわずなかなか厳しい情勢である。 産駒は短距離馬もいるが、エリンコートやカリバーンら中距離戦に強い馬もいるなどバラエティに富んでいてなかなかに面白そうなのだが……
天は彼に巻き返しを図る時間は与えず、2013年7月7日に心臓麻痺で14歳の生涯を閉じた。2014年生まれが最後の世代となる。彼の末脚の後継者は生まれるのであろうか。結局、後継種牡馬は現状現れておらず、現役の牡馬は2022年11月時点で地方に3頭のみである。一応母父ではチュウワウィザード(2020年チャンピオンズカップなど)やトーセンスーリヤ(2020年新潟大賞典、2021年函館記念)を出している。
*サンデーサイレンス Sunday Silence 1986 青鹿毛 |
Halo 1969 黒鹿毛 |
Hail to Reason | Turn-to |
Nothirdchance | |||
Cosmah | Cosmic Bomb | ||
Almahmoud | |||
Wishing Well 1975 鹿毛 |
Understanding | Promised Land | |
Pretty Ways | |||
Mountain Flower | Montparnasse | ||
Edelweiss | |||
サワヤカプリンセス 1986 栗毛 FNo.11-f |
*ノーザンテースト 1971 栗毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Lady Victoria | Victoria Park | ||
Lady Angela | |||
*スコッチプリンセス 1970 栗毛 |
Creme dela Creme | Olympia | |
Judy Rullah | |||
Meadow Saffron | High Perch | ||
Meadow Music | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Almahmoud 4×5(9.38%)、Lady Angela 4×5(9.38%)
半妹リトルブレッシング(父バブルガムフェロー)とパドトロワの仔にJBCスプリント(JpnI)やリヤドダートスプリント(沙GIII)などを勝っているダンシングプリンスがいる。
気の狂ったような末脚をご覧あれ。
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最終更新:2024/04/18(木) 14:00
最終更新:2024/04/18(木) 14:00
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