デューン(Dune)とは
本稿では2.および3.について記述する。
1965年に第一作『デューン/砂の惑星』が発表。以後、『砂漠の救世主』(1969年)『砂丘の子供たち』(1976年)『砂漠の神皇帝』(1981年)『砂漠の異端者』(1984年)『砂丘の大聖堂』(1985年)までに全6巻を数える、壮大な長編シリーズとなった。
重厚な世界観と設定、壮大な物語によって人気を博す。いわゆる貴種流離譚であり、独自の世界観はイスラム教やアラブ文化の影響が認められる。また設定が非常に細かく、当時としては革新的な内容だった。
続編の構想もあったが、ハーバートが1986年に死去した為に未完となっている。その後、2000年に作者の息子ブライアン・ハーバートがケヴィン・J・アンダーソン(『スター・ウォーズ』などのノベライズを手掛ける)との共著で作品の背景とキャラクターを使用した過去譚となる『デューンへの道』シリーズを発表。こちらも評価が高い。
壮大な人間ドラマと特異かつ幻想的な世界観により、多くのファンを獲得。SF史上に残る傑作として評価されている。
遥かな未来、宇宙に進出した人類が築き上げた「帝国」は長きにわたり宇宙を支配・開拓。そこでは思考機械による反乱を聖戦「ブレトリアン・ジハド」にて鎮圧後、高度な演算・推論能力を持つ人間コンピューター「メンタート」が運用され、高度な文明と技術を保ちつつ、中世風の特殊な封建制によって統治されていた。
惑星アラキス、「砂丘」を意味する「デューン」の異名でも知られる。砂に覆われ、危険な砂虫/サンドウォーム(シャイ・フルド)が生息する荒涼の惑星だが、広大な宇宙において唯一「メランジ」と呼ばれる香料(スパイス)を産出する惑星だった。
メランジは不老をもたらし、意識を拡張させる作用を持ち、未来予知や恒星間飛行さえも可能とする宇宙の支配において絶大な影響力を持つ物質だった。。星間輸送を一手に司る宇宙協会(スペーシング・ギルド)には必須の物質であり、協会、帝国皇帝であるコリノ皇家、帝国領土を統治する公家による大公家連合の三勢力による均衡が保たれていた。
また女性だけの結社集団ベネ・ゲセリットはメランジによる知覚力の増大によって「魔女」と称される程の異能を持ち、公家との婚姻と交配によってその影響力を保ち続けていた。
帝国の支配者たる皇帝シャダム4世は、帝国傘下の恒星系を統治する「大公家連合」を従えてはいるものの、そのパワーバランスは危うい状況にあった。特に公家(メジャー・ハウス)の中でも海洋惑星カラダンを統治する大公家・アトレイデ家の力は大きく、その影響力を危惧した皇帝は、その当主レトを排除すべく、陰謀を企てアトレイデ家をアラキスに向かわせる。 長年の宿敵たる公家・ハルコネン家が採掘権を得ている所にアトレイデ家をぶつけ、その争いに介入して両者の失脚を狙い、アラキスおよびメランジを一手に掌握せんとする陰謀だった。
ハルコネン家当主ウラディミールは、皇帝と結託し、やがてアトレイデ家当主・レト公爵は裏切りと謀略によって死にアトレイデ家を滅ぼす事に成功する。しかし、レトの寵姫にしてベネ・ゲセリットの修道女ジェシカと、レトとジェシカの間に生まれた嫡男ポウルは砂漠へと逃げた。アラキスは帝国直轄となり、皇帝の目論見は成功したかに思えた。
しかしポウルはメランジによる超能力に覚醒し、更に砂漠の民フレーメンと出会う。フレーメンの試練を乗り越えたポウルは、未来予知の力を持つ「クイサッツ・ハデラッハ」として覚醒。長年ハルコネン家に虐げられてきたフレーメンを率いたポウルは指導者「ムアドディブ」を名乗り、皇帝およびハルコネン家への復讐、そしてアラキスばかりか「世界」を変える戦いへと身を投じるのであった。
よく知られているのが『スター・ウォーズ』への影響である。
砂の惑星タトゥーイン、およびフォースにはアラキスおよびヴォイス(声を媒介とした超能力)を彷彿とさせ、ジョージ・ルーカスも製作にあたり原作小説を参照した事を語っている。
アラキスに生息する巨大な砂虫(シャイ・フルド)は、凶暴な性質を持ちながらもフレーメンの民と共存し、希少なメランジや「生命の水」と呼ばれるエキスを生成する。地表の振動に反応して襲い掛かってくるあたりは漫画『漂流教室』の未来怪物、映画『トレマーズ』のグラボイズに設定や外見が似ており、巨大な虫が迫りくるさまは『風の谷のナウシカ』の王蟲にも影響を与えたといわれている。
また前述の『スター・ウォーズ』の『帝国の逆襲』にもエグゾコース(スペース・スラッグ)と呼ばれる巨大な怪物が登場しており、帝国軍に追われるミレニアム・ファルコンが体内に逃げ込み、それと気づいて慌てて脱出する羽目になった。
あまりにも壮大な物語である為に映像化は不可能と言われていた本作だが、1971年から企画は存在した。
1973年には映画製作が開始。監督はアレハンドロ・ホドロフスキー。錚々たる面子を取りそろえたものの、上映時間は10時間以上という壮大すぎる構想により、製作費の捻出すらままならず、撮影開始前に制作中止となってしまった。制作中止に至るまでの経緯は2013年にドキュメンタリー映画『ホドルフスキーのDUNE』として映画化されている。
この時特殊効果のスタッフだったダン・オバノンは、失職した落胆から気を取り直すため、自身が途中まで書いていたSF脚本を書き直した。これが後に1979年の『エイリアン』として大ヒットを飛ばすが、それは別の話である。
ホドロフスキー版が制作中止に至った後、映像化の権利を買い取った映画プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスが監督・脚本にデヴィッド・リンチを、音楽にブライアン・イーノとTOTOを迎えて制作。
当初はリドリー・スコットが監督に内定していたが、製作体制に不満を抱いて降板している。
しかし予算や時間的な事情もあって、物語は大幅にスケールダウンしてダイジェストのような内容となり、原作ファンばかりか原作者のハーバートにも不評だった。興行的にも失敗した。リンチは「お偉方からあれこれ口出しされた不満から最終決定権が自分になく、悔しい思いをした」と当時の事を語っている。また、映画のテレビ放送時にはオリジナルでは削除されたシーンを復活させるなど約3時間9分のバージョンが制作されたが、リンチは子の編集に関われず、監督は「アラン・スミシー」名義だった。
しかし一方でリンチ独自の悪趣味さとケレン味のある描写や美術は生かされており、一部に熱狂的なファンを抱えている。特に砂虫の迫力、メランジの摂取により異形となった宇宙協会のナビゲーター、不気味な風貌と怪演を見せたハルコネン公爵の怪物ぶりなどは必見。
2000年にはアメリカ・カナダ・ドイツ製作のテレビドラマ版が放映。
1984年の映画版をベースとしており、映画では描かれなかった部分も取り上げられている。評価は高く、2001年にクリエイティブアート・エミー賞の撮影賞と視覚効果賞を受賞。2003年には続編が制作、放送されている。
2016年にレジェンダリー・ピクチャーズがデューンの映像化権を取得して映画化に着手、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務める事となった。
2021年、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督によって2度目の映画化。リンチ版が長大な原作を無理やり一本にまとめてしまった反省から、今作は前後編に分割して制作する方針とした。
しかし前編に当たる『DUNE/デューン 砂の惑星』(原題はDune)公開前は、タイトルに前編の記載がないことからも察せられるように後編の制作は未定で、制作のGOサインが出るかどうかは興行収入次第とされていた。しかし公開されてみれば大ヒットし、すぐさま後編の制作も決定。ハリウッドストライキの影響で多少公開スケジュールが遅れたが、無事2024年に『デューン 砂の惑星 PART 2』が公開された。
『PART 2』も大ヒットを記録し、2024年4月には第3弾となる『デューン/砂漠の救世主』の制作が決定した。
掲示板
12 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 02:47:23 ID: zqCuVN5nfZ
62
ななしのよっしん
2023/12/27(水) 10:44:12 ID: OiphHa5Ec+
https://
なんかものすごいことになってる(小学生並みの感想)
👍 1 👎 0
13 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 02:48:38 ID: zqCuVN5nfZ
63
ななしのよっしん
2024/03/16(土) 13:30:49 ID: OiphHa5Ec+
レスメニュー
見てきた。
砂漠での生活、ポールの成長と葛藤、より解像度が高まって悪辣さと魅力を帯びるハルコンネン家、そして一気呵成に進む怒涛の反撃…素晴らしいの一言に尽きる。
そしてヴィルヌーヴ作品の例に漏れず怖すぎるジェシカとアリアw
👍 0 👎 0
14 ななしのよっしん
2024/04/16(火) 23:11:18 ID: GcGanqwLVl
見終わったら原作ナウシカとファイブスター物語読み返したくなった
フレーメンとポールの狂気が見れて満足だけどビジュアル面はリンチ版の露悪全開なのが好きかな
急上昇ワード改
最終更新:2024/12/12(木) 07:00
最終更新:2024/12/12(木) 06:00
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