トライアミューズメントタワーとは (トライアミューズメントタワーとは) [単語記事]

トライアミューズメントタワー（TRY Amusem ent Tower）とは、東京都千代田区（秋葉原）にあったゲームセンターである。通称は「トラタワ」「トライタワー」など。

2017年 5月から2020年 3月までは、エターナルアミューズメントタワー by Asobox（通称「エアタワ」）としてリニューアル営業していた。

概要

1995年 12月に、ビデオゲームの基板販売業務を行っている「株式会社トライ」を経営母体としたゲームセンター「トライアミューズメントタワー」がオープン。8階建てのビル（秋葉原中村ビル。現在はニトロプラスストアなどが入居）の1階から7階までを利用した、まさしく塔のような店舗構成が特徴であった。

当時は、8階がビデオゲームの基板販売店となっており、扱っている基板の影響から、レトロゲームの比率が大きいことで知られていた。また、店員の入れ込みからソウルキャリバーIIIが人気機種となり、各種イベントが行われていた。

2008年 11月に、ビルの老朽化や、店舗を綺麗にリニューアルしたかったという理由で、秋葉原駅から少し遠ざかったMT ビルに移転。ビルの3階から8階で営業を再開した。移転後もレトロゲームフロアが存在し、初代ダライアス EX バージョンが稼働していたなど、秋葉原におけるレトロゲームの聖地と称された。基板販売店は、移転当初は同じビルの10階にあったが、後に別の場所に再移転して営業していた。なお、2022年 8月をもって秋葉原での基板販売を終了し、以降は千葉県松戸市の本社にて営業するとのこと（参考ツイート）。

音ゲー界隈もBEMANI系を中心に充実しており、beatmaniaIIDXが国内最多クラスの設置数（最大時には8台）を誇る一方で、全国的に少ないbeatmania THE FINALやKEYBOARDMANIA3の設置店舗としても有名であった。

週末を中心に、各種ゲーム大会やフリープレイイベントが開催されていた。トラタワ時代の注目イベントは、バカゲー・レアゲーばかりを集め、店舗側も「誰もその正体を知らないイベント」とまで公言している大型ゲーム大会「裏塔劇」であろう。ニコニコ動画にも大会の模様がアップされている。詳しくは、該当の単語記事を参照されたい。

トラタワ時代のマスコットキャラクターとして、緑髪の女の子「トラミ」と小さな虎型ロボット「トラキチ」がいた。トラミは店舗移転の際に、秋葉原らしくメイドをイメージしたデザインに変更された。また、姉妹店舗にプライズマシン専門店の「秋葉原クレーン研究所」があり、こちらにはピンク髪の「くれな」というマスコットキャラがいた。

2016年 11月29日、トラタワの姉妹店舗である「秋葉原クレーン研究所」が、アニメ「ラブライブ!」の偽グッズをプライズ機の景品にしたとして、同店舗の経営法人および関係者が著作権法違反で書類送検された（参考ツイート）。ゲームセンターが著作権法で摘発されるのは初めてのケースとのこと。

その直後の同年12月3日、トラタワにてセガが運営するALL .netの通信を止められるという事態になった。これにより、セガおよびバンダイナムコのネットワークゲームの稼働がすべて休止、ゲームセンターとしては大打撃を受けることとなった。ALL .netの通信中止は、同年12月15日まで続いた。

ちなみに、セガとバンダイナムコ系列のパンプレストは、ラブライブ!の正規プライズ景品の著作権を有している。あくまで推測だが、クレ研での一件がセガの逆鱗に触れ、トラタワへの制裁に及んだのではないか、と見る向きもあった。

2017年 3月に「株式会社エターナルアミューズメント」に営業譲渡され、2017年 5月より「エターナルアミューズメントタワー by Asobox」としてリニューアルされた。

トラタワ時代の特徴のひとつだった8階のレトロゲームフロアは、プロジェクターや音響機器を備えたイベントスペースとして生まれ変わった。なお、2019年 7月をもってイベントホールとしての営業は終了し、再びビデオゲームフロアとなっていた。レトロゲームは、ビデオゲームフロアの一部にて引き続き扱われていたが、稼働台数は減少していた。

音ゲーの充実は従来通りで、各種イベントなども実施されていた。

リニューアルと同時に、プライズマシン専門店も「Asobox秋葉原クレーン店」と店名変更された。マスコットキャラクターも、エターナルアミューズメントの店舗で共通して使われているものになっていた（名前は不明）。

株式会社エターナルアミューズメントの出店攻勢が裏目に出て、2019年 5月期末の時点で約68億6100万円もの負債を抱えていた。そこへ2019年 10月からの消費税増税、さらに2020年に入ってからの新型コロナウイルスの流行による来店者数と売り上げの減少が追い打ちをかけた。

そして、政府からの新型コロナウイルスによる営業自粛の呼びかけがあったことがとどめとなり、エターナルアミューズメントは2020年 3月18日付けで倒産。エターナルアミューズメントタワー、および姉妹店舗も閉店となった（参考記事）。店内にあった筐体もすべて搬出され、トライアミューズメントタワー時代からの約24年の営業に幕を閉じた。