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トリクロルメチアジド(Trichlormethiazide)とは、チアジド系利尿薬である。商品名はフルイトラン®。
トリクロルメチアジドは、高血圧症や心不全の治療に用いられるチアジド系利尿薬である。1960年に承認されて以降、2mgの錠剤が製造販売されてきたが、チアジド系利尿薬を低用量で使用する向きが強くなり、2009年から1mgの錠剤も製造販売されるようになった。
ちなみに、塩野義製薬株式会社が製造しているフルイトラン®錠1mgは白い花の形をした錠剤、フルイトラン®錠2mgは淡いピンクの花の形をした錠剤である。ジェネリック医薬品のトリクロルメチアジド錠にも、先発医薬品に倣って花の形をしたものがある。かわいい。
添付文書には、トリクロルメチアジド2~8mg/dayを1~2回に分けて経口投与(適宜増減)と記載されている。しかし、チアジド系利尿薬は用量依存的に副作用発現頻度が上昇するため低用量での使用が推奨されており、トリクロルメチアジドも低用量(0.5~2mg/day)で使われることが多い。[1]
腎臓の遠位尿細管にあるNa+/Cl-共輸送系を抑制する。Na+の再吸収が抑制されると、Na+に伴うH2Oの再吸収も抑制されるため、尿量が増加する。弱いが炭酸脱水酵素阻害もある。
体外へ排泄される水分量が増加することで、浮腫(むくみ)が改善する。循環血液量の減少および末梢血管の拡張により血圧が低下、前負荷(心臓の収縮直前に心筋にかかる負荷)も軽減する。
一方、Na+/Cl-共輸送系の抑制により尿細管内のNa+濃度が上昇すると、Na+/K+交換系が活性化してK+排泄が亢進するため、血液中のK+濃度が低下する傾向にある。
急性腎不全、低カリウム血症、低ナトリウム血症、デスモプレシン(ミニリンメルト®)投与中の患者への投与は禁忌。ジギタリス製剤との併用は禁忌ではないが注意を要する。
副作用として、低カリウム血症、低ナトリウム血症などの電解質異常をきたすことがある。また、高尿酸血症、耐糖能異常(高血糖)、高トリグリセリド血症といった代謝系への影響がみられる。ほかに、光線過敏症の報告もある。
チアジド系利尿薬として、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド(ベハイド®)、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ベンドロフルメチアジドなどがある。また、チアジド系に類似の利尿薬として、インダパミド(ナトリックス®、テナキシル®)、トリパミド(ノルモナール®)、メフルシド(バイカロン®)、クロルタリドンなどがある。
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最終更新:2024/04/26(金) 02:00
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