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ドウデュース

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ドウデュース(英:Do Deuce)とは、2019年生まれの日本競走馬である。
競馬界の七不思議とも言われた、武豊朝日杯を勝てない”というジンクスを打ち破った

な勝ち
2021年: 朝日杯フューチュリティステークス(GI)、アイビーステークス()
2022年: 東京優駿(GI)
2023年: 京都記念(GII)

概要

ドウデュース
Do Deuce
生年 2019年5月7日
サラブレッド
性・毛色 鹿毛
生産 日本JPN
生産者 ノーザンファームexit
(北海道町)
馬主 (株)キーファーズexit
調教師 康夫(東)
騎手 武豊(東)
名意味 する+テニス
(=勝利前の意)
戦績 8戦4勝[4-1-1-2]
獲得賞 3億8595万1000円
(2022年10月現在)
受賞歴
JRA賞
最優秀2歳(2021)
競走馬テンプレート

ハーツクライ*ダストアンドダイヤモンズ、Vindicationという血統。ハーツクライ内外でGIを2勝したサンデーサイレンス産駒。かのディープインパクトを破った一の日本でもある。種牡馬としてもジャスタウェイリスグラシューなど数多くの大物を輩出した。
*ダストアンドダイヤモンズは重賞2勝のほか、BCフィリー&メアプリント(GI)で2着に入着した実績を持つ米国産のダートスプリンター
Vindicationは三冠馬Seattle Slew産駒で、4戦4勝でBCジュヴェナイル(GI)を制し2002年エクリプス賞最優秀2歳に選ばれたが、故障で三冠競走を前に引退した種牡馬としては立った実績を挙げることなく、2008年に8歳で世している。

馬主キーファーズは自動車ディーラーマツシマホールディングス松島正昭代表の馬主[1]用の会社。松島オーナー武豊と20年以上の交を持つ人物で、"武豊で"凱旋門賞を勝つ」ことを最大標に掲げて馬主を営んでいるうえ、その的のために欧州でも凱旋門賞に向く血統のを買ってアイルランドの名調教師エイダンオブライエンの厩舎に入厩させた上で武豊に騎乗させるほどの、筋入りの武豊ファンでもある。また松島オーナーである松島衣氏はキーファーズが関わる一口馬主クラブインゼルレーシングexitの代表取締役を務めており、こちらにも武豊の騎乗機会が多い。

”勝利目前”のその先へ

2歳 (2021年)

東の名門・友康夫厩舎に入厩し、もちろん武豊上に2歳9月小倉競馬場デビュー。1.7倍の1番人気に支持され、中団からスローを見越して々と押し上げる積極的な競馬を見せ、直線の叩き合いをクビ差制して勝利を収める。

なお、後から見るとそのデビュー戦のメンツが非常にで、

と、上位3頭がすべて重賞勝ちになっている。

2戦関東遠征してリステッド競走アイビーS。近年ソウルスターリングクロノジェネシスが勝ってきた出世レースである。2番人気に支持されたドウデュースは体重+12kgで出走し、3、4番手から直線半ばで先頭に立ち、後続の追撃を退け再びクビ差で勝利一気にOPに昇格する。

3戦朝日杯FS(GI)メンバー一の重賞2勝セリフォスが2.4倍、札幌2歳Sを圧勝したジオグリフが3.2倍と2頭のが2強の支持を集め、本はやや離れた7.8倍の3番人気に支持された。
59番からスタートしたドウデュース。上の武豊新馬戦に近い中団やや後方の外を選択。ペースがやや流れる中でも落ち着いて追走し、9番手で直線へ向く。ここで大外に出されたドウデュースは進出を開始。叩き合いを繰り広げる先行との差をグイグイと詰め、抜け出していた1番人気セリフォスを残り100mでかわして先頭に立つ。なおも食い下がるセリフォスを上がり最速タイの脚で全に競り落とし、最後は半身差をつけてゴール。3連勝で傷のGⅠ勝利を成し遂げた。なお、令和元年5月7日生まれの本初の令和生まれJRAGⅠともなった(前週阪神JFを勝ったサークルオブライフ元前の平成31年3月27日生まれ)。

所有するキーファーズは念願のGⅠ初制覇、それも長らく「共に凱旋門賞を勝つ」と宣言してきた武豊上での勝利。そしてこれまでGⅠ77勝を挙げてきた武豊現役35年GⅠ78勝、22回の挑戦にして初の朝日杯勝利。「競馬界の七不思議」とすら言われたジンクスを破った。武豊ウイニングランで繰り返しガッツポーズを見せ、「ようやくこのレースを勝てて嬉しいです」と笑顔をこぼした。
こうして彼は内のGⅠ全制覇に王手をかけ、残る未勝利は暮れの中央GⅠ終戦となるホープフルステークスのみとなった。

また、ドウデュースは朝日杯勝利によって2021年JRA最優秀2歳を受賞。歴史的快挙を名通り前へ進めたとして、翌年3歳のクラシック戦線へ高らかに名乗りを上げたのであった。

3歳 (2022年)

朝日杯から程なくして発表された「弥生賞ディープインパクト記念を経て皐月賞へ向かう」予定の通り、年明け3歳初戦は弥生賞(GII)に。1番人気に支持され、中団からの競馬となる。最終直線で加速するが、中先頭とほぼ差がない2番手につけていたアスクビクターモアを捕まえることはできず、2着に終わった(皐月賞の優先出走権は問題なく確保)。

そして皐月賞を迎える直前、営からドウデュースのフランスG1凱旋門賞への登録が発表される。彼らにとってクラシックは遠征の決断を左右する重要な意味合いも持つことになった。

皐月賞(GI)では人気割れる中、3.9倍の1番人気に支持される。612番からスタートした武豊は、「展開を読んで」後方からの競馬を選択。しかし、実際には逃げのデシエルトが出遅れてしまい、1000m602とペースに落ち着いた上、小回りの中山で後方から大外を回される致命的な不利を被ってしまう。それでも直線は上がり最速となる338の末脚を使って懸命に追い込んだが、前々で上手く立ち回ったジオグリフイクイノックスを捕まえるには至らず3着に敗れる。

ポテンシャルを見せていただけに悔しい敗北となってしまった中、大舞台日本ダービー(GI)へ。皐月賞4着で東京向きと見られたダノンベルーガが単勝3.5倍の1番人気皐月賞2着のイクイノックスが3.8倍の2番人気となり、ドウデュースは4.2倍の3番人気に支持される。4番人気となった皐月賞ジオグリフ(5.9倍)までが一桁オッズ内に密接する四強の様相となった。

713番から発走したドウデュース。武豊は前走同様控える競馬を選択し、後ろに構える。外に固まった他の人気たちも軒並み控え、ドウデュースはジオグリフダノンベルーガの背後という絶好位につけた。さらに今回はしっかりスタートを切ったデシエルトがスタート1000m589とペースで流したため、後方待機がハマり始める。
そのまま中団後方で直線を向いたドウデュース。残り400mあまりでトップスピードに到達すると、ハイペースにより潰れていく先行を別次元の勢いでって捨て、内で一歩速く抜け出したダノンベルーガと先行策から一頭っていたアスクビクターモアも一で置き去りにする。そこへさらに後方に控えていたイクイノックスが外から猛追してきたが、ドウデュースも最後まで譲らずクビ差振り切ってゴールを通過。6万人の大観衆[2]が見守る中、第89代日本ダービーの栄いた。勝ち時計2分219。4着のダノンベルーガ(2分223)までが前年シャフリヤール記録したレコード(2分225)を上回るハイレベルな結果の中、それをコンマ6破る破格のダービーレコード立した。
調教師2022年時点の調教師現役最多・歴代2位となる3度ダービー制覇勝利インタビューでは「昔から武豊騎手に憧れてこの世界に入っていますから、武豊騎手と人気をしてダービーを勝てるのは感無量ですexit」と喜びをった。
武豊騎手史上最年長ダービージョッキー記録更新[3]し、2013年キズナ以来9年ぶり、自身が持つ史上最多記録更新する6度ダービー制覇を成し遂げ、中央GI80勝の大台へ王手をかけた。ウイニングランでは満面の笑顔を見せ、スタンドの観衆も万の拍手と本当はご時世的によろしくないのだがユタカコール祝福を贈った。

なお、朝日杯勝ちクラシック勝利2013年皐月賞ロゴタイプ以来9年ぶり。ダービー勝利に限れば、1994年ナリタブライアン以来実に28年ぶりの出来事となった。

こうして世代の頂点に立ったドウデュース。ダービーが好結果ならばフランス遠征は決定事項だったようで、オーナー最大の悲願である凱旋門賞武豊と共に向かうことに。皐月賞ダービーを勝った上で凱旋門賞へ行ったら三冠を望む非難のが少なからずあったであろうことを鑑みると、皐月賞を勝てなかったのはある意味幸いだったのかもしれない。前の当初は「のんびりした性格故長期滞在を放牧と間違う可性がある」となんともゆるい理由から直行で挑む予定であったが[4]、「コースを経験させたい」という友師の意向によりG2ニエル賞叩きとして使うことになった[5]。なお、アイリッシュチャンピオンステークス(G1)への登録も発表されていたが、こちらは回避となった。

そのニエル賞。ドウデュースと武豊騎手は最後方からレースを展開する。最終直線からスパートをかけるが、先頭集団には届かず4着に終わった。ただし、このレースは初めから「調教のつもりで出走する」と発表されており、関係者のコメントも「ロンシャン馬場を経験できて良かった」「まだ全を出せる状態ではなかった」といずれも前向きのコメント

しかし本番の凱旋門賞では、直前から降り始めた馬場状態が大きく悪化。中継が見えにくくなるほどの強いが降りしきる中、終始後方のままほとんどレースにならず、最後は軽く流した走りで19着と大敗。ロンシャンの極悪馬場ダービーにも容赦なく牙を剥き現実叩きつけた。

当初はジャパンカップす予定とのことだったが、状態が整わないとして回避exitの方向。その間にダービーで負かしたイクイノックスが古相手に秋天有馬記念勝利したため、年度代表馬と最優秀3歳もかっさらわれてしまった。

4歳 (2023年)

2023年は始動戦として、京都記念(GII)へ出走。体重はダービーから+18kg(ニエル賞凱旋門賞では計測発表し)であったが体は仕上がっており、堂々の一番人気レースダービー同様、中盤で脚を溜め、最終コーナー武豊騎手のGOサイン一発一気に内に飛び込み最終直線でライバルをみるみる突き離して勝。標であるドバイターフに向かっての最高のスタートを切った。
しかしながらドバイターフは現地の医による左前肢跛行の診断により金曜日時点で念の出走取消となった。

出走もなく帰することになったドウデュース。はこのまま休養に入り、海外には向かわず秋古馬三冠に向かう予定。

余談

  • 厩舎での担当者、前川和也調教助手からは「おどう」の称で呼ばれている。さらに略されて「ど」になることも。
  • 調教師く、オンオフの切り替えが出来るおとなしい性格の一方、寂しがり屋で甘えん坊でもあるとのこと。
    • 隣の房がになると(房が見えずとも)察して寂しがる[6]うえ、関わらず他のが彼の前を通りかかるとヒンヒン鳴いてしまう[7]そうで、付いていこうとするときもあるのだという。
    • また、レース直前に寝るという驚異の図太さを見せたこともあるらしい[8]
  • 日本ダービーの出走前、輪乗りしていたときに石川さゆり国歌独唱の間だけ立ち止まっていたという。
  • 厩舎への取材では度々「頑丈」という評が出ているが、実際レコードも出る高速決着となったダービーから数日後にライバルたちの故障や不調が次々と判明する中、当の勝ちの彼は何のダメージ然と日課メニューをこなしていたという信じがたいタフさを見せている。
  • かなりの大食いかつ太りやすい体質。その食い意地の強さと体重管理の苦労を示すエピソードが取材の度に次々と判明している(次項参照)。

おどう大食い伝説

血統表

ドウデュースの血統
ハーツクライ
2001 鹿毛
*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛
Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
アイリッシュダンス
1990 鹿毛
*トニービン *カンパラ
Severn Bridge
*ビューパーダンス Lyphard
My Bupers
*ダストアンドダイヤモンズ
Dust and Diamonds
2008 鹿毛
FNo.3-d
Vindication
2000 黒鹿毛
Seattle Slew Bold Reasoning
My Charmer
Strawberry Reason *ストロベリーロード
Pretty Reason
Majestically
2002 黒鹿毛
Gone West Mr. Prospector
Secrettame
Darling Dame Lyphard
Darling Lady
競走馬の4代血統表

クロス:Lyphard 4×4(12.50%)、Hail to Reason 4×5(9.38%)

牝系を遡ると5代で*ダンシングブレーヴ(凱旋門賞など)、Jolypha(GI2勝)兄妹祖母でもあるOlmecに辿り着く。Olmecの牝系には他にメイショウベルーガメイショウテンゲン子がいる。

関連動画

関連コミュニティ・チャンネル

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *松島オーナー海外でも複数のを所有しており、2021年ジャパンカップに参戦したアイルランドの"Japan"と"Broome"も彼の所有馬である。海外では個人名義を用いているが、日本国内では法人名義で馬主を営んでいる。
  2. *コロナ禍になってからのダービー2020年無観客2021年が数千人の入場規制の下行われていたが、2022年はそれが7万人にまで大幅に緩和され、スタンドを埋め尽くすほどの「大観衆」が戻ってきた最初のダービーであった。
  3. *それまでの最年長記録増沢末夫騎手の48歳7ヶ
  4. *2022年6月1日の取材exitより。
  5. *netkeiba "ドウデュースがニエル賞から凱旋門賞へ 来週栗東に帰厩"exitより。
  6. *テレビ東京系「ウイニング競馬2023年9月23日放送分より。
  7. *BS11"BSイレブン競馬中継"2022年5月29日放送分exitより。
  8. *キーファーズサロン松島正昭独占インタビュー!!凱旋門賞を勝ち取る為にexit』より。
  9. *脚注6に同じ。
  10. *netkeiba "NONFICTION FILE"exitより。
  11. *朝日杯後のYahoo!ニュースの取材exitより。
  12. *刊『優駿2022年7月号より。
  13. *日本調教師会の2022年6月1日の取材exitより。
  14. *中日スポーツ2022年5月30日の記事exitより。
  15. *脚注7に同じ。
  16. *2023年3月16日前川助手のInstagram Liveより。
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最終更新:2023/10/02(月) 08:00

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最終更新:2023/10/02(月) 08:00

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