ドバイミレニアム 単語

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ドバイミレニアム

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ドバイミレニアム(Dubai Millennium)とは、1996年生まれのイギリスUAEの元競走馬種牡馬である。
数多の名を所有してきたH.H.シェイク・モハメドが、生涯一番のに選ぶであろう名である。 

概要

ミスタープロスペクター種牡馬としても競走馬としても活躍したSeeking the Gold(日本でもシーキングザパールゴールドティアラを出した)、は名フォールアペンColorado Dancer4000万ドルシンジケートが組まれたShareef Dancerという良血。
ヤゼールという名前を付けられてデビューする予定だったのだが、2歳の時に調教を見に来たモハメド殿下が動きを見て一発で惚れ込み、2000年ドバイワールドカップを勝つのはこの子だ、ビジョンが見えた。現実にして欲しい」という思いを抱き、ヤゼールからドバイミレニアムに名したという経緯を持つ。

2歳時はデビュー戦1戦のみで終える。論圧勝である。その後はダービーステークス制覇に絞って予定を組み、ついでにモハメド殿下専属の腕利き調教師サイード・ビン・スルールの厩舎に転厩。2歳の時のデビッドローダー師とは一体。
3歳になると条件戦リステッド圧勝ダービーステークスへ向かう。ここでももちろん一番人気だったが、血統面からタフなエプソム12Fは理とか勝ちっぷりからしてもスピードありすぎだし10Fに伸びた準重賞で着差が縮まったためダメだろうというも多かった。
その懸念は的中し、*オースの前に9着惨敗を喫した。

この敗戦で営はマイル路線転向を決め、まずはジャック・ル・マロワ賞を当面の標に据えGIIのユジェーヌ・アダム賞に出走し楽勝。本番でも軽々勝利GI勝利である。まあ何の感慨もない感じだが仕方ない。
彼の器はこんなもんじゃ済まないのである。続くイギリスマイルGIの総決算クイーンエリザベスIIステークス6身差圧勝。わぁお。
そして大標の2000年ドバイワールドカップ制覇を標に休養に入る。

3月初旬のマクトゥームチレンジラウンド3で復帰。初のダート戦だったがあっさりし、それまでの記録を1縮める1:59.6というコースレコード叩き出し圧勝。そして迎えたドバイワールドカップ本番。
アメリカからはベーレンズら、一流ではないにしても決して弱くはないメンツがった。日本代表ワールドクリーク加藤和宏地味すぎるとか言わない。
しかしそんなメンツがった中をハナを切って飛び出し、最終コーナーを回った後は必死に追わずとも離す一方。
上のデットーリが残り200過ぎで振り返り、大差を確認するとゴールしてないのにガッツポーズし始める有様で6ぶっちぎって圧勝。
叩き出したタイム1:59.5は前走のレコードを更に縮めるレコードであった。とりあえず動画を見て欲しい。ひたすらに暴力的である。とにかくヤバいヤバい
モハメド殿下ぐみながら「馬主になって20年所有見てきた中で、これほどのは二頭といません」と大絶賛、
デットーリも「これまでに乗ったで間違いなく一番です」と賛辞を惜しまなかった。
モハメド殿下といえばドバイワールドカップ催者なため壮大な自作自演もいいところなのだが、そんな野暮なことを言うんじゃないよと言いたくなるほどの圧勝であった。

そしてイギリスに舞い戻りプリンスオブウェールズステークスに出走するのだが、同世代でGI4連勝中のセンダワールが一番人気に推された。
今考えると「???」ってなるが当時はセンダワールに勢いがあると思われていたのである。デットーリ騎手飛行機事故でケガして乗れなかったし。しかし「なんだ? の強さを知らないのか? なら見せてやる」と言わんばかりに8ぶっちぎって圧勝。
デットーリ代打で呼ばれたこの少し前に魔王シガーを駆った米国の名手ジェリー・ベイリー騎手(シガーべる質問を受けて)どっちもすごく印的ですが、このは芝ダート両方でこう(他をなんとも思わない圧勝)ですからね……この点において匹敵するはいないでしょうね」コメントした。モハメド殿下もはやメロメロで褒め言葉しか発さなかった。
この強さにクールモアエースであるモンジュー営がアイリッシュチャンピオンステークスに出て来てくれ、勝負しよう」と挑戦状を叩きつけて来た。
しかしドバイミレニアム営はこれを拒絶。そして「どうせなら、サシでやろうじゃないか……賞は、600万ドルだ。こっちが出そう」マッチレースを逆提案。
クールモア側も「やってやろうじゃねぇか、王様!」ノリ気であったが……ドバイミレニアムが調教中に右後脚大腿骨折引退となってしまったため、実現はしなかった。
これで、の大標であったブリーダーズカップ・クラシック出走も露と消えた。見たかったなあ、ジャイアンツコーズウェイティズナウと戦うドバイミレニアム。
……ドバイミレニアムがぶっちぎるだけという展開が想像出来てしまうのがこのの恐ろしいところである。

これだけの卓越した成績を残し、さらに良血。故に大いなる期待を抱かれ2001年から種牡馬入りしたのだが……。
供用一年4月に急性グラスシックネスという奇病にかかり自神経をやられて複数回疝痛を起こすなどして死亡。わずか一世代を残し逝ってしまったのである。
普通1世代のみでラインを繋ぐのは重賞を出す以上に至難の業であるが、初年度にして最終年度産駒からドバウィ2000ギニー、ジャック・ル・マロワ賞を勝つなどGI勝ちの実績を残し種牡馬入り。もはやこの時点でお釣りなしの奇跡そのものであったが、そのドバウィ初年度からやはりジャック・ル・マロワ賞英2000ギニーを勝った*マクフィを輩出。たった一世代の細い糸ながらジャック・ル・マロワ賞子三代制覇を成し遂げてみせた。

余談だが*マクフィも初年度からプール・デッセ・デ・プーラン勝ちにしてロンシャン1400mで1分17台のむちゃくちゃな時計記録したメイクビリーヴを輩出し、さらにさらにメイクビリーヴ例によって初年度からジョッケクルブ賞ドバイシーマクラシック勝ちのミシュリフを輩出。なんと種牡馬入り後玄孫のGI勝ちまでわずか19年で到達である。
長らく生き続け数多の後継種牡馬を輩出した究極の男ノーザンダンサーすらリファール→*ベリファ→*メンデス→リナミクスの25年が一番レベルという速のスーパーレコード立。RTAなら革命的と言われるレベルの短縮になった。
*ベリファGIを勝てていないので、GIリレーの上種牡馬入り後19年で玄孫のGIまで繋いだのは本当に前代未聞である。少なくとも筆者は聞いたことがない。

その後のドバウィについて詳しくは記事に譲るが初年度だけの一発屋にとどまらず種牡馬として好調であり、ドバイワールドカップ2頭、ゴールデンホーンを初めて負かしたアラビアクイーンキングジョージを勝ったポストポンド、サドストームティーハーフの(元)ラッキーナインなど活躍を多数輩出。マキャヴェリアンなどが失速しノーザンダンサー系の下になりつつある欧州を代表するミスタープロスペクター種牡馬へと成り上がり現在も健在。ガリレオ双璧を成す欧州最強種牡馬として君臨している。

マクフィも種牡馬入りしてからは初年度産駒19頭が26勝を挙げ、ファーストシーズンサイアーランキング3位にランクイン2015年2000ギニーを勝ったMake BelieveニュージーランドGIマナワツサイアーズプロデュースS勝ちMarky Markなどを輩出。2017年からは日本種牡馬生活を送っており、2021年アイビスサマーダッシュを勝ったオールアットワンス、北海道静内農業高校の生産話題テイエムケントオーなどを輩出している。

彼らが特別優秀というのは明らかだが、ドバイミレニアム自身も寿を全うし順調に種牡馬生活が出来ていれば世界中に猛スピードで彼の血が広まった可性は非常に高い。なんと惜しいことか。
とはいうものの、56頭の産駒からステークスイナー5頭、重賞3頭、GI1頭というのはそこまでアベレージが高いとは言えず、むしろロベルト系のような一発タイプでそこまで発展しなかった可性もある。世界を塗り替えるには一発タイプはあまり有利ではないし。
にしたってその一発からGIが出て、そのGI種牡馬としても天才、というのはなんというか……とてつもないなあ……

思えば、出来過ぎたであった。ダービーで惨敗こそしたが1600~2000mなら馬場不問であり、あらゆる展開に対応できる万(後半いつも逃げたのはスピードが違いすぎるからとはデットーリ談)で、馬主のモハメド殿下が創ったレースで、千年紀最初の年に記録的圧勝を遂げ、25年ぶりに禁断のマッチレースすら解禁されかけたほどの不世出の
何もかもができすぎていたが故に「これ以上はダメ」と神様に可性を遮られたとさえ思えてしまう。ゲームチートが否定されるかのごとく。
そりゃあ、良血や走るしこたま持ってきたモハメド殿下ももう二度と会えないほどのと入れ込んだ訳である。
こんな凄い、出会おうとしたって出会えるものではない。

血統表

Seeking the Gold
1985 鹿毛
Mr. Prospector
1970 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
Con Game
1974 黒鹿毛
Buckpasser Tom Fool
Busanda
Broadway Hasty Road
Filtabout
Colorado Dancer
1986 黒鹿毛
FNo.4-m
Shareef Dancer
1980 鹿毛
Northern Dancer Nearctic
Natalma
Sweet Alliance Sir Ivor
Mrs. Peterkin
Fall Aspen
1976 栗毛
Pretense Endeavour
Imitation
Change Water Swaps
Portage
競走馬の4代血統表

クロスNative Dancer 4×5(9.38%)、Tom Fool 4×5(9.38%)、War Admiral 5×5(6.25%)

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