ドーリア星域の会戦 単語

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ドーリアセイイキノカイセン

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銀河英雄伝説戦闘
救国軍事会議のクーデター
ドーリア星域の会戦
基本情報
時期 宇宙797年 5月中旬
地点 自由惑星同盟 ドーリア
結果 自由惑星同盟正規軍の勝利
詳細情報
交戦勢
自由惑星同盟 軍事会議
戦闘指揮官
イゼルローン要塞駐留艦隊
ヤン・ウェンリー大将
第11艦隊
ルグランジュ中将
動員兵
イゼルローン要塞駐留艦隊 第11艦隊
(本隊7000隻、別働隊)
救国軍事会議のクーデター
救国軍事会議のクーデター
惑星シャンプール攻略戦 - ドーリア星域の会戦 -
スタジアムの虐殺 - ハイネセン制圧
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惑星シャンプール攻略戦 スタジアムの虐殺

ドーリア星域の会戦とは、「銀河英雄伝説」の戦闘のひとつである。

概要

宇宙797年5月救国軍事会議のクーデターにおいて、救軍事会議に与した自由惑星同盟軍第11艦隊と、正規軍としてクーデター鎮圧側に立ったイゼルローン要塞駐留艦隊(ヤン艦隊)とのあいだに生起した戦闘

両軍はドーリア系において接触し、ヤン艦隊が第11艦隊を撃破。救軍事会議一の機動戦を喪失し、このクーデターにおける鎮圧側の優勢が確立された。

経緯

宇宙797年3月末から4月初頭にかけて自由惑星同盟各地で連続した武装起が発生すると、4月13日、統合作本部長ドーソン大将イゼルローン要塞ヤン・ウェンリー大将に対し、要塞駐留艦隊をもって各所の叛乱を鎮圧するよう発した。しかし同日、ハイネセンにおいてクーデターが発生し、救軍事会議が同盟の首都握する。

クーデターの報に対し、ヤン大将は救軍事会議への参加を拒否。これを受けた救軍事会議は保有する一の機動戦である同盟軍第11艦隊を動員し、ヤン艦隊の活動を阻止するべく、艦隊ルグランジュ中将揮のもとにイゼルローン要塞に向けて出撃させた。第11艦隊は前年の帝国領進攻作戦に参加しておらず、強大傷の艦隊戦を残していた。

いっぽうヤン大将も、4月20日に要塞駐留艦隊(ヤン艦隊)をひきいてハイネセン方面へと出撃。4月下旬の惑星シャンプール攻略戦終結直後、ハイネセンを脱出してきたというバグダッシュ中佐がヤン艦隊に身を投じ、第11艦隊が接近と、小細工なしの正面決戦をヤン艦隊に挑む様子であるとの情報がもたらされた。実はバグダッシュ中佐は救軍事会議メンバーであり、ルグランジュ中将の意を受けて偽報によってヤン艦隊を混乱させ、それが不可能ならばヤン大将を暗殺する計画でヤン艦隊に潜入したのであったが、察知したワルター・フォン・シェーンコップ中将によって特殊な睡眠薬で眠らされ、実質的に監禁状態に置かれたため、戦況に関与する事はできなかった。

5月に入り、ヤン艦隊は第11艦隊の接近を実際に察知。ドーリア系に進出すると、多数の偵察隊を出して情報収集にあたった。5月10日、近隣のエルゴン系で偵察中の駆逐艦が、大艦隊の発見を通報後に通信を途絶。さらに5月18日、第11艦隊の動向についての偵察艇からの報告を受けたヤン大将により、交戦に向けた具体的な作戦案が立案・提示される。

両軍の作戦

前述したように、「小細工なしの正面決戦」というバグダッシュ中佐が伝えた第11艦隊の作戦は偽報に過ぎず、実際にはルグランジュ中将は第11艦隊を本隊7000隻と別働隊に二分した。しかし別働隊には明確な最高責任者がおらず揮系統の統一を欠いており、速な決断が必要とされる事態への対応には難があった。ヤン大将は第11艦隊の分割について、恒星ドーリアの蝕に隠れていっぽうがヤン艦隊の左側面を急襲、もういっぽうは右後背へと繞回することで挟撃せんとするものと予測した。

この予測に基づきヤン大将は、第11艦隊より6時行動を開始、右後背からの部隊を撃破したのち、左側面からのもう一隊を撃つ各個撃破戦術を企図する。ヤン大将作戦案においては、ヤン艦隊はグエン・バン・ヒュー少将揮の先鋒3000隻、エドウィン・フィッシャー少将揮の後衛部隊フィッシャー艦隊)、ダスティ・アッテンボロー少将揮の砲艦ミサイル部隊、ヤン大将が中央戦闘集団先頭から揮するその他の戦闘集団の四手に分割されて行動することとされていた。

作戦案では、先鋒は5月18日22時行動を開始、第7惑星を横断して恒星ドーリアを背に布し、ヤン大将直属の戦闘集団もこれに続航する。いっぽう後衛部隊は19日4時まで現宙域で現況の地と警法を維持して敵情に注意した後、第6惑星を横断して布して左側面からの敵急襲部隊に対処。アッテンボロ少将部隊は第7惑星上でイゼルローン要塞との連絡ルートと他の敵が居た場合に備えて期警にあたるとともに、第11艦隊の系脱出を阻止する役を負うこととなった。

戦闘経過

ヤン艦隊と第11艦隊本隊の戦闘

第11艦隊本隊を側面から捕捉したことにより、ヤン艦隊は戦闘態勢に突入。戦闘は、恒星系内限界速度にちかい0.012光速でヤン艦隊前面を右方から左方へと航行する第11艦隊本隊の側面中央部に対して6.4(192万km)の距離から行われたヤン艦隊の奇襲的な一点集中射撃によって開始された。この一斉射撃が第11艦隊本隊側面を粉砕したのに続き、ヤン艦隊先鋒が第11艦隊本隊側面へ最大戦速での突撃を敢行、他の戦闘集団も後続した。

ヤン艦隊先鋒は五方向からの攻撃にさらされつつも第11艦隊の艦列へ突入し、戦闘開始から30分で中央戦闘集団も第11艦隊側面に近接するに至った。第11艦隊の抵抗なものであったが、グエン少将戦闘集団はやがて多大な損と引き換えにして第11艦隊本隊の中央突破に成功、その後部を半包囲する態勢をしめした。この結果、すでに部隊を別働隊と二分していた第11艦隊本隊は、さらに戦術レベルでも二分されて各個撃破の標的となり、戦闘の大勢はヤン艦隊の勝利に決する。

最終的に、ヤン艦隊は8時間をかけ、第11艦隊本隊後方部隊の撃破とルグランジュ中将の直接揮する前方部隊の包囲殲滅を了させた。戦況が決してからも第11艦隊の抵抗は狂信的なほどのしさで続き、ほとんどが個艦レベルでも降を拒否したため、ルグランジュ中将揮下に旗艦<レオニダス>以下数隻を残すのみの状況となって自殺するまで撃滅戦が続けられることとなった。

ヤン艦隊と第11艦隊別働隊との戦闘

第11艦隊別働隊では、ヤン艦隊が予想宙域にいなかったことを受け、新たな行動を定めねばならなくなった。最高責任者不在の状況下で、ヤン艦隊との交戦を選ぶべきか、戦闘を断念して系を離脱し、ハイネセンを包囲するであろうヤン艦隊の後背を狙うべきか、という二案のあいだで長い議論がかわされた末、別働隊はヤン艦隊との交戦を選択した。

しかし、後衛部隊として待機していたフィッシャー艦隊はすでにこれを監視しており、移動を開始した別働隊が恒星ドーリアからの太陽に逆らい艦列を乱したところへすかさず集中射撃を下。側面に奇襲を受け損無視できなくなった別働隊は、そのままフィッシャー艦隊との戦闘に突入する。フィッシャー少将は後退と攻撃を繰り返しての遅延戦闘に努め、損を極限しつつヤン艦隊本隊の到着を待った。

ヤン艦隊本隊の到着には、前述した第11艦隊本隊の熾抵抗を受けて予想以上の時間を要したが、第11艦隊別働隊は先だっての議論のために時間を費しており、相殺されたような格好となった。到着したヤン艦隊はフィッシャー艦隊とともに第11艦隊別働隊を挟撃、接近戦を避けて集中火を底し、ほぼ損いままに別働隊を分断・各個撃破して戦闘を終結させた。

戦後

第11艦隊の敗北と壊滅により、救軍事会議宇宙における機動戦を喪失した。ただし、同盟首都ハイネセンには”処女の首飾り”と称される強な防衛衛星システムが残されていた。しかし、この第11艦隊はアムリッツァ星域会戦での大敗後の同盟軍に残された数少ない傷の艦隊戦の一つであり、その壊滅は同盟軍のさらなる戦低下を招くこととなる。

いっぽうヤン艦隊の側では、この勝利の報を受けた各惑星の警備隊や義勇兵がつぎつぎとヤン艦隊のもとへと集結するなか、ハイネセンへの進攻に備えて艦隊の補給・整備を行うとともに後方環境全な整備に2ヶを費やした。そして6月22日に発生した“スタジアムの虐殺”の報ののち、7月末には首都ハイネセンにむけて艦隊を進発させることとなる。

石黒監督版OVAにおける描写

石黒監督OVAでは20話「ドーリア域会戦、そして…」で描写。バグダッシュからの偽情報を逆手に取ったヤン艦隊が第11艦隊を待ちせ攻撃によって分断・各個撃破する、という大まかな流れこそ変わらないものの、戦闘経過には少なからぬ変が加えられている。最大の特徴は、第11艦隊副官としてストークス少将OVAオリジナルキャラ)が登場していることであろう。また、ルグランジュ中将の旗艦名も<レオニダス>とされ、アスターテ会戦で撃沈されたパストーレ中将の第四艦隊旗艦<レオニダス>と名前重複しないようになっている。余談ながら、<レオニダス>と<レオニダス>は、建造効率及びコスト較するためにそれぞれ異なる建造工程を採用した、ほぼ純な同艦という設定も追加されている。

両軍の作戦は簡略化されている。第11艦隊の作戦は、バグダッシュの偽情報で自艦隊の位置をヤン艦隊に誤認させた上での奇襲攻撃を意図したもの(次善の策がヤン暗殺という点は原作と同じ)。一方のヤン艦隊は、その情報操作の意図を逆手に取り、正確な会敵地点をドーリア域に見定めて待ちせをかけた。このため、第11艦隊、ヤン艦隊ともに部隊分割することなく戦闘に突入している。第11艦隊はヤン艦隊の前を左方から右方へ進むところを右舷側から横撃され、グエンの分艦隊によって前後に分断されている。なお、オペレーターが第11艦隊の速度を「速度0.0012光速、一間に3600km」と読み上げているミスがある(0.0012光速では毎360kmとなる)。さらに余談ながら、ヤン艦隊首の会話が被るため、距離も「92万km」と聞こえがちである。

その後、グエン分艦隊とヤン艦隊本隊がルグランジュの直接揮する第11艦隊後方部隊を包囲殲滅する一方、ストークス揮する前衛部隊をヤン艦隊本隊から分離したアッテンボロー分艦隊が引きつけて後方部隊撃破までの時間をかせぐ形(原作におけるフィッシャー艦隊対第11艦隊別働隊に近い構図)となった。

Die Neue Theseにおける描写

Die Neue Theseでは19話「ドーリア星域の会戦」で描写。石黒監督版と異なり、第11艦隊はヤン艦隊を挟撃する意図で、原作通り艦隊を分割している。これに対応するためヤン艦隊側も役割ごとに艦隊を分割しているが、部隊同士の距離は第11艦隊よりも近い(左右に分かれた第11艦隊より内側に、ヤン艦隊のほぼ全ての部隊が位置している)。その後の>戦闘の推移は、おおむね原作と同じであるが、第11艦隊の本隊と別働隊の通信・連絡がある程度維持されていること、敗北を受け入れたルグランジュが第11艦隊の残存部隊に降を命じていること(明確な数は不明だが、第11艦隊の残存艦は相当数いる可性がある)が、原作若干異なる。また、ルグランジュ中将の旗艦名は石黒監督版と同じく<レオニダス>とされ、やはり第四艦隊旗艦と名前重複しないようになっている。

原作および石黒版とも大きく違うのは、バグダッシュが第11艦隊の位置や艦隊の分割に関して情報ではなく正確な情報をヤン艦隊に伝えている点である。索敵によってもバグダッシュからもたらされた情報が正しいことを確認したヤン艦隊は、相手の作戦を逆手に取り、第11艦隊本隊に対して数的優位を確保した上で奇襲をかけることに成功している(第11艦隊別働隊を足止めするフィッシャー分艦隊以外の全戦で第11艦隊本隊に対応した)。バグダッシュとしては、正確な情報提供することでヤン艦隊メンバーから信用を得て、隙を見てヤン暗殺を実行するつもりであった様子だが、全に裏に出た形となった。その一方、先手を取られたルグランジュが自艦隊の行動を相手に読まれていることを不審がった様子からは、バグダッシュが正確な情報をヤン艦隊側に伝えることを、ルグランジュが承知していなかったことが伺える。救軍事会議は、結成からクーデター決行まで時間が限られていたという事情もあり、様々な思惑や価値観を持った人間による急ごしらえのグループとならざるを得なかった。ヤンへの対応ひとつ取っても、できれば仲間に引き込みたいと考える者、排除したいと考える者など、参加者によって意図は異なっており、その寄り合い所帯の弱点が現れたような展開となっている。

そして、参加者の意思統一の不十分さは、ドーリア星域の会戦の後にもスタジアムの虐殺という悲劇となって現れることになる。余談ながら、急ごしらえの部隊の弱みが出るという描写は、石黒版のランテマリオ星域会戦で戦端が開かれる場面などでも描かれている。

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