ニホンオオカミ 単語

17件

ニホンオオカミ

2.9千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

ニホンオオカミとは、かつて日本に生息していた、イヌイヌ属の、その名の通り日本固有のオオカミである。

絶滅動物であり、日本固有の絶滅動物としては有名な種類の一つ。
古くは山狗(ヤマイヌ)と呼ばれており、ニホンオオカミという呼称は明治頃に定着したものである。

概要

北海道固有のエゾオオカミ(同じく絶滅)の別亜種だと言われているが、今でも専門の間では意見が別れている。
元々エゾオオカミ大陸産のハイイロオオカミの別亜種とされており、ニホンオオカミもそれと同じく別亜種であるという意見が大数を占めているが、まったくの別種であるという見方があることも覚えておいてもらいたい。

生態

実はその生態はよくわかっていない。

体長は105cm、尾長は30cm程度だったとされ、これは現在日本の中程度である。
は頭からにかけてみがあるが、ニホンオオカミにはそれがなかった。前述のエゾオオカミべると身体は小である。
毛の色は季節によって変わり、これがカモフラージュの役割を果たしていた。 

エゾオオカミとは違って群れはそれほど大群を作らず、2頭から10頭程度の群れを形成して暮らしていた。
獲物はに弱った生き物であり、負傷中、または
老いたシカなどはニホンオオカミにとって格好の獲物だった。また、人の飼い犬を襲っていたという話もあり、その他畜なども襲撃していたため、徐々にニホンオオカミの認識も変わっていったと憶測される。
ニホンオオカミの遠吠えは障子を揺らすほどき渡るものであり、人々はその恐怖していた。 

動物研究者である吉が遺した著によると、ニホンオオカミは山間部だけではなく人里にも現れ、人に侵入しては時折人を襲っていたという。

山麗の岩に巣を作り、毎年2、3頭の子供を産んで育てていた。

絶滅するまでの経緯

実はこれもよくわかっていない。
ジステンパーの流行、狂犬病畜にを与える害獣としての駆除、明治以降の開発による生息地の減少、餌となりえる動物の乱獲といった複数の要因が重なった結果、絶滅したのではないかと言われる。

1905年、奈良県で捕獲された若いオスの個体が最後の生存個体であると言われている。
その後個体は標本とされ、現存している。

復活の兆し

ニホンオオカミが絶滅した後、天敵の居なくなったシカイノシシは繁殖し放題となり、生態系は大きく破壊された。このことから日本固有動物絶滅例として知られている。

そしてこのニホンオオカミ、今でも撃談が度々報告される。
ググるとわかるが写真付きの有情報もある。しかしあくまで可レベルでしかなく、いずれも決定打になる情報は存在しない。
だが日本には未だにニホンオオカミの生存を信じる団体も存在している。

破壊された生態系を修復する的で、海外産のオオカミ日本に持ち込んでかつての生態系に戻そうという動きや、ニホンオオカミのクローンを作ろうという動きもある。
だが慎重論も根強く、実行するにまでは至っていない。 

伝承のオオカミ

古来オオカミの化身であるとされ、大口」(おおくちのまがみ、おおぐちまかみ)と称し、として崇められた。埼玉県秩父市の三峯神社東京都青梅市武蔵御嶽神社などでは、現在大口られている。

また大和現在奈良県)のの話が「大和土記」に記述されていたと伝えられる。それによると明日香(飛鳥)の地に老いたがおり、多くの人を食らった。土地の者は大口と呼んで畏れ、その住処を大口神原と呼んだという。

一方、その恐ろしさから妖怪として扱われる伝承も多い。

最もよく知られるのは「送り」(送りで、中に山歩くが現れ、ぴったり後について来る。何かのはずみで転ぶと食い殺されるが、転んでも慌てず「一休みするか」と休憩するふりをすれば襲われない。事にまで辿り着き、食べ物履の片方を与えると、送り満足して帰るともされている。
転じて、好意を装って女性まで送りながら下心を抱いている男性を「送り」と呼ぶ。
ニホンオオカミは縄張りに入ってきた人間を監視し、出ていくまでついてくるという習性があったとされており、この習性が人間にとって都合よく解釈された結果生まれたものともされる。
なお、ニホンオオカミの学名「Canis lupus hodophilax」は「を守るもの」という意味がある。この習性が由来となっている事は言うまでもない。

「千の伝承は全各地にあり、「弥三郎婆」「鍛冶が嬶」といった名前で知られている。
ここでは「鍛冶が嬶」の物語紹介する。

ある旅人中に山越えをしようとしていた所、の群れに出くわした。咄嗟に高い木に登って難を逃れたものの、降りるに降りられない状態になってしまう。
すると一頭のが後ろ足で立ち上がり、前足を木の幹に乗せる。その肩に次の一頭が乗り、そして更に……というに、達は肩車をしてどんどんと旅人のいる場所まで登ってきた。
しかしあと一歩高さが足りず、一番上のが「佐喜鍛冶が嬶(かじがばば)を呼べ」とえた。暫くすると一際大きなが現れ、仲間肩車をよじ登って来る。旅人は思い切って護身用のを振るうと、は悲鳴を上げて転げ落ち、肩車が崩れ、そのまま散り散り逃げていった。
が明けてから旅人が佐喜に向かうと、ここの鍛冶屋に怪人が出たという。旅人鍛冶屋に出向くと、鍛冶屋の老が頭に大怪をして寝込んでいた。
旅人はその場で老殺。するとたちまちその死体は大きな死体に変わり、また床下からはおびただしい数の人が見つかった。

伝承によっては怪異の正体は山姥や化け猫であったり、用心深くを被っていたり、に食い殺された女性念がに取り付いて旅人を襲っていたりと様々である。

一方で人間を助ける物語も伝えられている。

あるに、正直者だが貧乏人の男が暮らしていた。男は近隣のを借り、の底にこびりついた焦げ飯で飢えをしのいでいたが、ある時隣のの者に知られてしまった。
これ以上生き恥したくないと思った男は、覚悟を決めて山に登った。そこでに出くわすと「どうか私を食べてください」とお願いする。
ところがは「らは性根の悪い人間は食うが、お前のような真人間は食わぬ。眉毛をやろう、これがあれば助けになろう」と言い、己の眉毛を一本男にやって姿を消してしまった。

不思議に思った男だが、仕方がないので山を下り、町にやって来た。そこで何気なく眉毛の上にかざすと、行く人の顔がみんな動物に見える。
するとそこに町一番の長者が通りかかった。眉毛を透かしても普通人間に見えるその長者は、男が眉毛を持っているのを見て感心した。
く、眉毛は人の真実を見抜くを持ち、まっとうな人間にしか手に出来ないという。何故そんなものを持っているのかと聞かれた男が正直に答えると、長者めて男の正直さに感し、彼を自分の婿に迎える事にした。

関連動画

関連商品

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
チームゆっくり[単語]

提供: げろしゃぶ

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/04/25(木) 10:00

ほめられた記事

最終更新:2024/04/25(木) 10:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP