ネグロポンティ 単語

ネグロポンティ

3.4千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

ネグロポンティ(Negroponty)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。

CV. 穂積隆信石黒監督OVA)、武虎Die Neue These)。

概要

自由惑星同盟の文民、政治家トリューニヒト政権下において委員長を務めた。
身長ヤン・ウェンリーとほぼ同じ程度で、の厚い容姿をした人物。

ヨブ・トリューニヒトの幹部のひとりであり、ヤン・ウェンリーに対する問会の首席問官であったことが特に有名。

経歴

初登場は宇宙797年、救国軍事会議のクーデター終結後、トリューニヒトの邸宅に参集し、ヤン・ウェンリー大将の発言拡大への危機感をっていた政治家たちのひとりとして、カプランボネエイロン・ドゥメック、ウォルター・アイランズらとともに名前が挙がっている。ただし、この時の発言は明示されていない。

査問会

798年にフェザーンから「ヤン・ウェンリー提督クーデターを起こすかもしれない」という忠告がトリューニヒト政権にもたらされ、その疑念をらすべくヤンの上であるネグロポンティがこの問題を担当することとなった。
彼は委員長としての職責に基づき、ヤン・ウェンリー問会に出席させるべくハイネセンへの召喚命を出す。この「問会」という概念が曲者で、フレデリカ・グリーンヒルく「同盟章にも、同盟軍基本法に規定がありません」「つまり恣意的なもので、法的根拠をもたないということ」と説明されており、軍法会議との違いを説明している。

しかしながら時系列的にはこれ以前のエピソードヘルマン・フォン・リューネブルク亡命した際に、彼が連隊長を務めていた薔薇騎士連隊所属員全員問にかけられたとされており、同盟軍的に問会という概念がどういうものなのかはいまいち判然としない。

ともかくもそんな問会に出席するべく同盟首都ハイネセンに四千光年してきたヤンを半ば強引に隔離し、問会が終わる前は後方勤務本部に軟禁し、隔離する形で実施されることとなった。
問会はヤンの経歴の確認からはじめられ、両の姓名、父親職業、士官学校入学するまでの経緯、士官学校時代の経歴などに、悪意的なコメントをつけながら再確認することから始まり、速ヤンをうんざりさせた。
そしてようやく問にかけられる表向きの理由が明らかにされるのだが、その理由というのが「だれであれ、わが民主共和制国家においては、規範をえて恣意的行動することは許されない。その点にかんする疑問を一掃する」というもので、たいへん具体性に欠ける代物であった。
実際、問の内容は揚げ足取りや難にも等しい疑義が多数で、しかも、疑問の総数が事前に明示されていない有様であった。

一、問にかけるに値するだけのことが問中の審議の中にあったとすれば、それはドーリア星域の会戦においてクーデターの第11艦隊との戦闘に入る前に将兵に対して演説した内容であったろう。

「きみは全軍の将兵にむかって言ったそうだな。国家など、個人の自由と権利にくらべれば、とるにたりぬものだ、と。それを聞いた複数の人間言があるが、まちがいないかね」

「一言一句そのとおりとは言えませんが、それに類することはたしかに言いました」

「不見識な発言だとは思わないかね」

「はあ? なにがです?」

「きみは国家まもるべき責務をおった軍人だ。しかも若くして提督称号をおび、大都市の人口にも匹敵する大軍を揮する身ではないか。そのきみが、国家をかろんじ、ひいてはみずからの責務をさげすむがごとき発言をし、さらには将兵の士気を低下させる結果を招来するのは、きみの立場として不見識ではないかと言うのだ」

皇帝権の銀河帝国と異なり、人民主権の自由惑星同盟という国家があればこそ、個人の自由や権利といった概念現実に具現化していくことができる。だからこそ、帝国との戦争のために自由や権利が多少制限されるのはやむをえないし、人々が祖国防衛のために生命をげることは当然である。

普段からそのようなをしているネグロポンティにとって、それは当然すぎることであったし、同盟市民にもある程度受容されている考えであった(漫画版ではヤンの演説を聞いた兵士が「官がこんなこと言っていいのか?」と困惑気味な反応をしていた)から、ヤンの発言は軍人として不適当なものであると非難したのである。

しかし個人の自由と権利を至当のものとして考えているヤンにとっては反感しか抱かない論法であった。

「お言葉ですが、委員長閣下
「あれは私にはしく見識のある発言だったと思います。国家細胞分裂して個人になるのではなく、体的な意志をもった個人が集まって国家を構成するものである以上、どちらがでどちらが従であるか、民主社会にとっては自明の理でしょう」

自明の理かね。私の見解はいささかことなるがね。人間にとって国家は不可欠の価値をもつ」

「そうでしょうか。人間国家がなくても生きられますが、人間なくして国家は存立しえません」

「……こいつはおどろいた。きみはかなり過無政府主義者らしいな。ちがうか」

実際問題として、ヤンは歴史上の役割をすでに終え、腐敗し、老衰して、存在する価値を失った国家など々に滅びてしまえばいいという思想の持ちであり、正しくはあるのかもしれないが、一の安全保障に責任を負うべき人間が言って良いことなのかは微妙なところであり、無政府主義者と断定されかねない危険な返答であった。しかし、ヤンはこの問会の表向き理由がどこまでも表向きと見抜いていたので、

「ちがいます。私は菜食主義者です。もっとも、おいしそうな肉料理を見ると、すぐにを破ってしまいますが」

「ヤン提督! 当問会を侮辱する気かね」

と、このようにまともに答えず、相手を言質を与えることなく翻弄していく戦法をとり、ネグロポンティはまんまとそれに乗せられ続けることとなる。

査問会の結末

ヤンに対する問会の結末はあっけないもので、イゼルローン方面に帝国軍が大挙して侵入してきたという事実を受け、今の今まで問にかけていたことを忘れたように委員長として被告であり部下であるヤンに防衛と反撃の揮をとるように命するという、本末転倒すぎる幕引きとなった。

そして問会終了後、自由の身となったヤンの下に問会のことを外部に口外しないよう懇願に訪れた。トリューニヒトの心をよくするため、ネグロポンティの主観としては恥をんでヤンに頼みこんで、政権のイメージを悪化させないようにしようとしたのである。

その甲斐あってか、ネグロポンティはヤンを首都に召喚していた責任をとって辞表を提出した際、後任のウォルター・アイランズから「いさぎよい出処進退」をほめたたえられ、政治家引退しても、水素エネルギー社の総裁ポストをあたえられることとなった。

他媒体でのネグロポンティ

石黒OVAではトリューニヒト政権が問会を開くことを決意する流れが描かれており、トリューニヒトフェザーンからの忠告を「興味深い」と称して話題に出したが「ヤン提督が造反というのはいささか……そんな度胸のある男には見えませんが」ある意味完璧正解なヤンへの認識をっていた。
しかし当人が望まなくても周りに担ぎ上げられる可性もあるし、そうでなくても軍服を脱いで選挙でられては脅威というトリューニヒトの認識には同意しており、ネグロポンティによる問会がヤンに対する悪意と警から始まったものであることが印付けられている。

一方、藤崎漫画では、ルパート・ケッセルリンクから「ヤンに対する問会ひらけ。でないと同盟にしてきた借すぐ返済しろよ(要約)」と脅され、問会ではヤンの論戦強者ぶりに圧倒され、ボスであるヨブ・トリューニヒトからは「私は何も知らないけど、ヤン君が死んだら全部解決するのでは(要約)」と全方向からしいプレッシャーされており、たいていの場面でのようなを流しているという奇妙な哀れさを感じさせるキャラになっている。

そして狽の極、憂国騎士団ヤン・ウェンリーの収容区画に誘導するというトンデモナイことをする。

関連項目

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
山口剛央[単語]

提供: 山元ビニター

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/04/25(木) 20:00

ほめられた記事

最終更新:2024/04/25(木) 20:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP