ネグロポンティ(Negroponty)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。
CV. 穂積隆信(石黒監督版OVA)、武虎(Die Neue These)。
自由惑星同盟の文民、政治家。トリューニヒト政権下において国防委員長を務めた。
身長はヤン・ウェンリーとほぼ同じ程度で、肉の厚い容姿をした人物。
ヨブ・トリューニヒト派の幹部のひとりであり、ヤン・ウェンリーに対する査問会の首席査問官であったことが特に有名。
初登場は宇宙暦797年、救国軍事会議のクーデター終結後、トリューニヒトの邸宅に参集し、ヤン・ウェンリー大将の発言力拡大への危機感を語っていた政治家たちのひとりとして、カプラン、ボネ、エイロン・ドゥメック、ウォルター・アイランズらとともに名前が挙がっている。ただし、この時の発言は明示されていない。
798年にフェザーンから「ヤン・ウェンリー提督がクーデターを起こすかもしれない」という忠告がトリューニヒト政権にもたらされ、その疑念を晴らすべくヤンの上司であるネグロポンティがこの問題を担当することとなった。
彼は国防委員長としての職責に基づき、ヤン・ウェンリーを査問会に出席させるべくハイネセンへの召喚命令を出す。この「査問会」という概念が曲者で、フレデリカ・グリーンヒル曰く「同盟憲章にも、同盟軍基本法に規定がありません」「つまり恣意的なもので、法的根拠をもたないということ」と説明されており、軍法会議との違いを説明している。
しかしながら時系列的にはこれ以前のエピソードでヘルマン・フォン・リューネブルクが亡命した際に、彼が連隊長を務めていた薔薇の騎士連隊所属員全員が査問にかけられたとされており、同盟軍的に査問会という概念がどういうものなのかはいまいち判然としない。
ともかくもそんな査問会に出席するべく同盟首都ハイネセンに四千光年を旅してきたヤンを半ば強引に隔離し、査問会が終わる前は後方勤務本部に軟禁し、隔離する形で実施されることとなった。
査問会はヤンの経歴の確認からはじめられ、両親の姓名、父親の職業、士官学校に入学するまでの経緯、士官学校時代の経歴などに、悪意的なコメントをつけながら再確認することから始まり、早速ヤンをうんざりさせた。
そしてようやく査問にかけられる表向きの理由が明らかにされるのだが、その理由というのが「だれであれ、わが民主共和制国家においては、規範を超えて恣意的に行動することは許されない。その点にかんする疑問を一掃する」というもので、たいへん具体性に欠ける代物であった。
実際、査問の内容は揚げ足取りや難癖にも等しい疑義が多数で、しかも、疑問の総数が事前に明示されていない有様であった。
唯一、査問にかけるに値するだけのことが査問中の審議の中にあったとすれば、それはドーリア星域の会戦においてクーデター派の第11艦隊との戦闘に入る前に将兵に対して演説した内容であったろう。
「きみは全軍の将兵にむかって言ったそうだな。国家の興廃など、個人の自由と権利にくらべれば、とるにたりぬものだ、と。それを聞いた複数の人間の証言があるが、まちがいないかね」
「一言一句そのとおりとは言えませんが、それに類することはたしかに言いました」
「不見識な発言だとは思わないかね」
「はあ? なにがです?」
「きみは国家をまもるべき責務をおった軍人だ。しかも若くして提督の称号をおび、大都市の人口にも匹敵する大軍を指揮する身ではないか。そのきみが、国家をかろんじ、ひいてはみずからの責務をさげすむがごとき発言をし、さらには将兵の士気を低下させる結果を招来するのは、きみの立場として不見識ではないかと言うのだ」
皇帝主権の銀河帝国と異なり、人民主権の自由惑星同盟という国家があればこそ、個人の自由や権利といった概念を現実に具現化していくことができる。だからこそ、帝国との戦争のために自由や権利が多少制限されるのはやむをえないし、人々が祖国防衛のために生命を捧げることは当然である。
普段からそのような主張をしているネグロポンティにとって、それは当然すぎることであったし、同盟市民にもある程度受容されている考えであった(道原漫画版ではヤンの演説を聞いた兵士が「司令官がこんなこと言っていいのか?」と困惑気味な反応をしていた)から、ヤンの発言は軍人として不適当なものであると非難したのである。
しかし個人の自由と権利を至当のものとして考えているヤンにとっては反感しか抱かない論法であった。
「お言葉ですが、委員長閣下」
「あれは私には珍しく見識のある発言だったと思います。国家が細胞分裂して個人になるのではなく、主体的な意志をもった個人が集まって国家を構成するものである以上、どちらが主でどちらが従であるか、民主社会にとっては自明の理でしょう」「自明の理かね。私の見解はいささかことなるがね。人間にとって国家は不可欠の価値をもつ」
実際問題として、ヤンは歴史上の役割をすでに終え、腐敗し、老衰して、存在する価値を失った国家など早々に滅びてしまえばいいという思想の持ち主であり、正しくはあるのかもしれないが、一国の安全保障に責任を負うべき人間が言って良いことなのかは微妙なところであり、無政府主義者と断定されかねない危険な返答であった。しかし、ヤンはこの査問会の表向き理由がどこまでも表向きと見抜いていたので、
と、このようにまともに答えず、相手を言質を与えることなく翻弄していく戦法をとり、ネグロポンティはまんまとそれに乗せられ続けることとなる。
ヤンに対する査問会の結末はあっけないもので、イゼルローン方面に帝国軍が大挙して侵入してきたという事実を受け、今の今まで査問にかけていたことを忘れたように国防委員長として被告であり部下であるヤンに防衛と反撃の指揮をとるように命令するという、本末転倒すぎる幕引きとなった。
そして査問会終了後、自由の身となったヤンの下に査問会のことを外部に口外しないよう懇願に訪れた。トリューニヒトの心証をよくするため、ネグロポンティの主観としては恥を忍んでヤンに頼みこんで、政権のイメージを悪化させないようにしようとしたのである。
その甲斐あってか、ネグロポンティはヤンを首都に召喚していた責任をとって辞表を提出した際、後任のウォルター・アイランズから「いさぎよい出処進退」をほめたたえられ、政治家を引退しても、国営水素エネルギー公社の総裁ポストをあたえられることとなった。
石黒版OVAではトリューニヒト政権が査問会を開くことを決意する流れが描かれており、トリューニヒトがフェザーンからの忠告を「興味深い」と称して話題に出したが「ヤン提督が造反というのはいささか……そんな度胸のある男には見えませんが」とある意味完璧に正解なヤンへの認識を語っていた。
しかし当人が望まなくても周りに担ぎ上げられる可能性もあるし、そうでなくても軍服を脱いで選挙にでられては脅威というトリューニヒトの認識には同意しており、ネグロポンティによる査問会がヤンに対する悪意と警戒から始まったものであることが印象付けられている。
一方、藤崎版漫画では、ルパート・ケッセルリンクから「ヤンに対する査問会ひらけ。でないと同盟にしてきた借金すぐ返済しろよ(要約)」と脅され、査問会ではヤンの論戦強者ぶりに圧倒され、ボスであるヨブ・トリューニヒトからは「私は何も知らないけど、ヤン君が死んだら全部解決するのでは(要約)」と全方向から激しいプレッシャーに晒されており、たいていの場面で滝のような汗を流しているという奇妙な哀れさを感じさせるキャラになっている。
そして狼狽の極、憂国騎士団をヤン・ウェンリーの収容区画に誘導するというトンデモナイことをする。
掲示板
21 ななしのよっしん
2022/11/17(木) 19:57:05 ID: 0QIDA8HcF1
嫌がらせのため
排除なんて考えてなかったし
22 ななしのよっしん
2023/04/12(水) 11:55:43 ID: 1slVQWaDZO
23 ななしのよっしん
2023/10/26(木) 22:30:48 ID: jQIBjjFAhK
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最終更新:2024/04/25(木) 20:00
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