ハイヌウェレ型神話とは、神話の類型のひとつであり、「神が死に、そこから食物が産まれた」とする食物起源神話である。
ハイヌウェレ型神話の名は、インドネシアはウェマーレ族の神話に登場する女神ハイヌウェレの名に由来し、名付けたのはドイツ人の民俗学者、アードルフ・イェンゼンである。ハイヌウェレはココヤシから産まれ、ココヤシの娘を意味する「ハイヌウェレ」と呼ばれていた。このハイヌウェレはさまざまな貴重品を糞便として産み出し、そしてそれを提供していた。しかし村人たちは「気持ちが悪い」としてこのハイヌウェレを殺害してしまう。そして埋めたのだが、それをハイヌウェレの父親は掘り出したあと、切り刻み各地に埋めた。するとそこから芋となり、人々はこの芋を食べて生きるようになったという。
このハイヌウェレ型神話類型は東南アジア・オセアニア・南北アメリカに広く分布している。共通するのは、ハイヌウェレに相当する「神が死んでその死体から穀物が産まれる」点、そしてその後「神が死んだことに誰かが怒る」点である。例えばハイヌウェレの場合、死の女神サテネは人々の暴虐に怒り、人々に門を通り、謁見するように求めた。これはハイヌウェレを殺害したことで、人間は不老不死ではなくなり、寿命が定められた、というものである。
このハイヌウェレ型神話は「生あるところ、すなわち死あり」とする考えから成るとされ、ニューギニア原住民の間では実際に少女を殺害し、その半分を食べ、残りを土に埋めるという儀式があったという。また、19世紀北インドでも、子を得るために他者を殺害するという殺人事件が珍しいものではなかったという。
日本では月読尊が保食神を殺害した神話が有名であろう。天照大神は月読尊に、保食神のもとに行ってくるように伝える。月読尊が行くと、保食神は月読尊を迎えるため口から米・魚などを産み出して歓待した。しかし月読尊は「口から吐いたものを食わせるなど言語道断」と保食神を殺害。すると保食神からは五穀が生まれ、これが日本の農業のはじまりとされる。ただし芋ではなく五穀が生まれたあたりが異なるため、「日本には中国を通してハイヌウェレ型神話が伝来したのではないか」という説が唱えられている。
なお天照大神は月読尊にブチギレて「あんな奴と一緒にはいられない」と言ったので、太陽と月は同時には登らないのだという(太陽は天照大神・月は月読尊であるため)。
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最終更新:2025/12/07(日) 17:00
最終更新:2025/12/07(日) 16:00
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