ハウサ語

ハウサ語とは、言語の一つである。

概要

アフロ・アジア語族のチャド語派（西チャド諸語）に属する。主にナイジェリア北部からニジェール南部にかけて話され、西アフリカでは主要な言語の一つとなっており、スワヒリ語と並ぶアフリカを代表する言語である。

話者のほとんどがイスラーム教徒でありアラビア文字を用いた表記が長い歴史を誇るが、現在一般的に用いられているのはラテン文字を用いたナイジェリアの正書法である。言語としては性の区別や破格複数、動詞の派生などアフロ・アジア語族の特徴を備えている一方、声調による区別や重複による派生、表意音といったアフリカ諸語に一般的な特徴も持ち、またかつての宗主国の言語であるフランス語や国際語である英語からの借用語も見られる。

文字体系

A a	B b	Ɓ ɓ	C c	D d	Ɗ ɗ	E e	F f	G g	H h	I i	J j	K k	Ƙ ƙ	L l
/a/	/b/	/ɓ/	/tʃ/	/d/	/ɗ/	/e/	/ɸ/	/ɡ/	/h/	/i/	/(d)ʒ/	/k/	/kʼ/	/l/
M m	N n	O o	R r	S s	Sh sh	T t	Ts ts	U u	W w	Y y	(Ƴ ƴ)	Z z	ʼ
/m/	/n/	/o/	/r/, /ɽ/	/s/	/ʃ/	/t/	/(t)sʼ/	/u/	/w/	/j/	/ʔʲ/	/z/	/ʔ/

音韻体系

母音

a / i / u / e / o の5母音で長短の区別がある。またai / auの二つの二重母音が存在する

子音

		両唇音	歯茎音	後部歯茎音	舌背音			声門音
					硬口蓋音	軟口蓋音	円唇化
鼻音		m	n
破裂音/ 破擦音	入破音	ɓ	ɗ
	有声音	b	d	(d)ʒ	ɟ	ɡ	ɡʷ
	無声音		t	tʃ	c	k	kʷ	ʔ
	放出音		(t)sʼ	(tʃʼ)	>cʼ	kʼ	kʷʼ
摩擦音	有声音		z
	無声音	ɸ	s	ʃ				h
接近音			l		j; j̰		w
はじき音			r	ɽ

声調

日本語と同じピッチアクセントで高 / 低 / 下りの3種類が存在する。また単語レベルから分まで次第に低くなっていくダウンドリフトという現象が特徴である。

文法

名詞

男性単数、女性単数、複数の区別が存在する。女性名詞はほとんどが-āで終わるがいくつか例外もある。複数に至ってはパターンの分類はできるがどれがどれかは覚えるしかない。

名詞文はnē / cē を名詞の後ろに置いて作る。

人称代名詞	単数	複数
1人称	nī	mū
2人称男性	kai	kū
2人称女性	kē
3人称男性	shī	sū
3人称女性	ita

動詞

ハウサ語は動詞を活用せず、時制や相の変化は主語代名詞の変化によってあらわされる。

また動詞には0～7の級があり

• 0級：-i / -ā / -ō：自動詞と他動詞：1音節が9つと2音節が4つの13個
• 1級：-ā：自動詞と他動詞がある：ほとんどが2音節
• 2級：-ā：他動詞：2音節が多い
• 3級：-a（-i / -uも）：自動詞：2音節か3音節で一部の2音節動詞がが3a級、3b級と例外的な存在に
• 4級：-ē；強調・完遂動詞
• 5級：-aɽ：使役動詞
• 6級：-ō：中動・受動詞
• 7級:-u:しっかりとされる、確かな動作の結果ある状態になるといった意味

文の語順はSVOである。

完了I型	単数	複数
1人称	nā	mun
2人称男性	kā	kun
2人称女性	kin
3人称男性	yā	sun
3人称女性	tā
非人称	an

否定形は主語代名詞から文末までをba baではさんで表す。

継続I型	単数	複数
1人称	inā	munā
2人称男性	kanā	kunā
2人称女性	kinā
3人称男性	yanā	sunā
3人称女性	tanā
非人称	anā

否定形はbāを主語代名詞の前に置く

未来I型	単数	複数
1人称	zan	za mu
2人称男性	za ka	za ku
2人称女性	za ki
3人称男性	zai	za su
3人称女性	za ta
非人称	zā a

否定形はzaから文末までをba baではさんで表す。

可能性を表すときはⅡ型になる。

未来Ⅱ型	単数	複数
1人称	nā	mā / mwā
2人称男性	kā	kwā
2人称女性	kyā
3人称男性	yā	sā / swā
3人称女性	tā
非人称	ā

習慣型	単数	複数
1人称	nakan	mukan
2人称男性	kakan	kukan
2人称女性	kikan
3人称男性	yakan	sukan
3人称女性	takan
非人称	akan

ただし命令形だけは主語代名詞を用いず命令形によってあらわす。

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関連項目

• 言語の一覧
• アフロ・アジア語族