ハッブル定数(ハッブルていすう)とは、宇宙膨張を表す物理定数である。
われわれの銀河系以外の銀河のことを系外銀河という。ほとんどの系外銀河はわれわれの銀河系から遠ざかっていて、後退速度vはその銀河までの距離dに比例する。これをハッブル・ルメートルの法則という。
v = H0 d
碁盤の目に置かれている碁石を銀河だと思って、盤の目の間隔が時間と共に大きくなっていく様子を想像してもらえば分かりやすいだろう。
この法則は1929年にエドウィン・ハッブルが発見したため、長らく単にハッブルの法則と呼ばれてきた。しかしそれより前、1927年にジョルジュ・ルメートルが発見していたという話もある[1]。その為、国際天文連合は2018年にルメートルの貢献を称えるために、名称をハッブル・ルメートルの法則とすることを推奨すると発表した[2]。
vが速さでdが距離なのでH0は[時間−1]の次元を持っている。2013年のプランク宇宙望遠鏡の観測結果によれば
H0 = 67.80 ± 0.77 km/s/Mpc
Mpc(メガパーセク)は天文学でよく使われる距離の単位で 1 Mpc = 3.086×1022 mである。ハッブル定数の逆数はだいたい宇宙年齢くらいになる。
H0−1 = 144.2 億年
なお、ハッブル「定数」とはいい条、時間とともに変化するものと考えられている。時間変化を考慮に入れたものをハッブルパラメータといい、Hで表す。宇宙論分野では、時間変化するパラメータの現在の値を添字0をつけて表す慣習があるので、H0というのはHの現在の値という意味である。
ハッブル定数の時間変化率はH02のオーダーである。つまり一年で100億分の1くらいしか変わらないから、人類の歴史程度の時間では全く変わらない「定数」といってよい。ただし、遠くの宇宙を観測することは昔の宇宙の姿を見ていることになるので、非常に遠方の天体の観測から、過去のパッブルパラメータ、ひいては宇宙の膨張の歴史を知ることができる。
ハッブル定数の定義から分かるように、H0を求めるには天体の後退速度と天体までの距離を知る必要がある。後退速度は、スペクトルの赤方偏移から容易に分かる。距離のほうは、絶対的な明るさの分かっている天体(標準光源)があれば、見かけの明るさと比較することで求めることができる。しかし標準光源の絶対的な明るさを確立するのが容易ではない。Ia型超新星は標準光源として使われている天体の一つで、その観測によって、宇宙膨張が減速から加速に転じたことが分かっている。→暗黒エネルギー
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2024/04/25(木) 15:00
最終更新:2024/04/25(木) 15:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。