パキケファロサウルスとは、白亜紀に生息していた恐竜の一種である。
名前の意味は「分厚い頭のトカゲ」。
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目 | 鳥盤目 |
亜目 | 周飾頭亜目 |
下目 | 堅頭竜下目 |
科 | パキケファロサウルス科 |
属 | パキケファロサウルス属 Pachycephalosaurus |
種 | P.ワイオミンゲンシス P. wyomingensis |
中生代白亜紀末の北アメリカに生息していた小型~中型の植物食恐竜。いわゆる「石頭恐竜」である。
全長は以前は8mにもなると言われていたが、現在では3~5mとされる。
1850年代には化石が発見され、1860年にはフェルディナンド・V・ヘイデンによってミズーリ川の露頭(現在はランス・クリークと呼ばれる場所)から断片化石が収集されていた。1931年にトロオドン(現在のステゴケラス)の一種と考えていたチャールズ・W・ギルモアによってトロオドン・ワイオミンゲンシスと名付けられ、その後1943年にバーナム・ブラウンとエリック・M・シュライヒャーによってパキケファロサウルス属に移された。
違った形状の頭部も発見され別種と思われたが、個体差であるということでP.ワイオミンゲンシス一種にまとめられている。しかしどちらにしろ見つかるのはほとんど頑丈な頭部ばかりで、胴体についての知見はほぼ近縁のステゴケラス(こちらもそこまで判明しているわけではない)が参考にされていた。
サウスダコタの「ヘルクリーク」という土地で全身の50%が揃った骨格が発見され、「サンディ」という愛称が付けられた。現在サンディは国立科学博物館で見ることができ、実際に見つかった部分と復元された部分を見分けられる状態になっている。
またサンディの発見により全身骨格の復元も可能となり、福井県立恐竜博物館で見ることができる。他の博物館でも三重県立博物館など頭骨のみ展示しているところがある。また御所浦白亜紀資料館にはステゴケラスの全身骨格レプリカ、神流町恐竜センターにはホマロケファレの全身実物化石がある。
なんといっても大きく丸い「石頭」が真っ先に目に入る。
大きく盛り上がった部分(頭頂骨)をドームと言い、その周り、特に後頭部をごく短い角が取り囲んでいた。また顔面も短い角や突起で覆われていた。人間を見慣れているとドームの中身は大きな脳ではないかと思ってしまうかもしれないが、ドームはほぼ完全に骨の塊で、厚さは最大で25cmに達した。その奥の脳は、他の恐竜や爬虫類と大差なかった。
ドームの形状には個体差または成長差が大きく、パキケファロサウルスといってよく思い浮かべるような整った大きいものだけでなく、案外小さいものや後方だけが膨らんだものなどもあった。また角も長さや尖り具合などが様々であった。
近縁のスティギモロクやドラコレックスも、それぞれパキケファロサウルスの亜成体と幼体であるという説がある。
ドームがどのような骨組織になっているかという観察は以前から行われてきたが、最近のステゴケラス及びプレノケファレに関する観察により、若い頃は海綿状で、成長しきると表面近くだけ密な骨で覆われることが分かった。この構造はウシ科のシロハラダイカーという動物に似ており、衝撃吸収に適していたと言われる。
また、パキケファロサウルスのドーム表面には何らかの角質の覆いがあったとも言われている。
ドーム以外の頭骨も丈夫な構造で、多くの爬虫類にあるはずの眼窩の後ろの穴(側頭窓)も失われていた。吻部の先端はクチバシになっていたが、クチバシの内側にも小さな歯があった。奥歯はギザギザとした形で(ステゴケラスが肉食恐竜トロオドンと混同されていた原因である)植物をよく噛んですり潰すというより粗く噛み砕いて切り刻むのに向いていた。顎関節は歯列より少し低く、ある程度咀嚼に適していた。
頭部を支える頸椎は、椎体が細く、恐竜の特徴であるS字カーブを保っていた。頸肋骨は発達していて椎体より目立つものだった。
胴体は横幅が広かった。続く尾もかなり太く、さらに骨化した腱が籠のようにしっかりと組まれて何重にも折り重なり、尾が頑丈に補強されていた。
後肢は長く発達していた。反面、前肢は細く短いものだった。
頭部がこのような仰々しい形態に発達している以上、同種間・同性間でのなんらかの競い合いにこれを用いたことは確実視されている。イワヤギやカモシカなど比較的身軽で角のある植物食動物をモデルにした生態が考えられている。植物以外の、昆虫や死肉も食べたかもしれない。
しかし、この特徴ある頭部が実際にはどのように用いられたかは以前から議論の的となっている。頭と頭を勢いよくぶつけ合ったという従来から信じられてきた説から、頭を相手の胴体に押し付けることで力比べを行ったのだという説、ドームには完全に視覚的な機能しかないという説まであり、それぞれに根拠を提出している。
以下、頭突きを否定する説と肯定する説それぞれの根拠を表にまとめる。
否定説 | 肯定説 |
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このように多くの意見が出されてはいるが、頭部自体の化石は多く見つかっていてもそれ以外の部分の化石があまりないため、頭部をどのように使ったかが確実に言えないというネックがある。頑丈で他の部分より残りやすい頭部だが、皮肉にもそのせいで機能が分からないという図式で、今後のさらなる発見を待たねばならない。
勢いよく頭突きを行ったという説の中でも、種内闘争だけでなく捕食者の撃退にも用いたという説もあるが、自分と同じくらいの体格の捕食者を圧倒するならまだしも、成体のティラノサウルスのような大型の肉食恐竜の後肢(弱点)にブチ当てるのは自ら相手の間合いに飛び込むことになりリスクが大きい。あまり考慮されることのない説となっている。
パキケファロサウルス以外の種類もほとんど頭部しか見つかっていないものばかりな上、その頭部に個体差・性差・成長差が大きいため、属を統合する説が頻繁に出る。
分類:ホマロケファレ科(?) 全長:0.6-1.2m 時代:白亜紀後期 地域:中国 意味:「皖南(中国安徽省の別名)のトカゲ」
非常に原始的な堅頭竜。頭頂が平たい形をしているが、ヒプシロフォドンのような原始的な鳥脚類とよく似て見えた。
分類:ホマロケファレ科(?) 全長:1.5~3m 時代:白亜紀後期 地域:モンゴル 意味:「平らな頭」
ワンナノサウルス同様ドームのない平たい頭頂部だが、より分厚く、また突起で覆われていた。側頭窓は残っていた。このようなドームのないものは、ドームのあるもののメスではないかとも言われている。
分類:パキケファロサウルス科 全長:1.4m 時代:白亜紀後期 地域:モンゴル 意味:「膨れた頭」
若干幅の狭いドームと、その周りのごく小さな突起を持っていた。
分類:パキケファロサウルス科 全長:2m 時代:白亜紀後期 地域:北米 意味:「角のある天井」
パキケファロサウルス以上に詳しく分かっている。ドームは発達し、吻部が短くて全体的に丸っこい頭をしていた。後頭部の突起も目立つ。前肢はごく小さい。
分類:パキケファロサウルス科 全長:2m 時代:白亜紀後期 地域:北米 意味:「死の川(ステュクス)の悪魔」
ドームの周りの角が最も発達した堅頭竜で、やや小振りなドームの後ろにドームより高い角が何本も生えていた。しかしまだドームが成長しきっておらず角も若々しいままのパキケファロサウルスの亜成体であるとも言われている。
分類:パキケファロサウルス科 全長:3m(?) 時代:白亜紀後期 地域:北米
パキケファロサウルスにごく近縁だがドームはなく、代わりに長短の尖った角で頭部全体がびっしりと覆われていた。「竜王」を意味する属名はこのドラゴン然とした風貌による。これもまだドームのないパキケファロサウルスの幼体であると言われている。
ハゲ頭の男性を思わせる親しみやすいフォルム、頭突きという人間味あふれる攻撃方法により、小型恐竜としてはヴェロキラプトルに次ぐ人気を誇り、恐竜マンガで主役・準主役級を張る機会も多い。
掲示板
17 ななしのよっしん
2021/11/12(金) 00:37:21 ID: XVWv/EaglL
>>6
実際のところ、ドラコレックスやスティギモロクはパキケファロサウルスの幼体だったという説は学者の間でもそこそこ支持を得ているらしい。
ただ堅頭竜類は頭の一部しか化石がないことも多いからよく分からん。成長したとき全長どのくらいだったかすらよく分かっていないのが実際のところ。
18 ななしのよっしん
2022/07/06(水) 05:57:55 ID: nCMAlOdZUw
記載されたドラコレックス属標本の種小名は「ホグワーツィア」で由来はもちろんホグワーツ
研究者絶対マルフォイ推しだろ
だがパキケファロサウルスのシノニムになると「ドラコ~」の方は消えそうだな
最悪同種と見なされると「ホグワーツィア」の方も消えちゃう・・・
19 ななしのよっしん
2022/07/28(木) 00:25:02 ID: B35o2Is/si
実は武器として使用していたのは尻尾の方で、
特徴的な頭部は、鞭状の尻尾を効果的に振り回すための分銅だった説。
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最終更新:2025/04/11(金) 23:00
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