![]() |
パンサラッサ(英:Panthalassa, 香:本初之海) とは、2017年生まれの日本の競走馬である。
パンサラッサ Panthalassa / 本初之海 |
|
---|---|
生年月日 | 2017年3月1日 |
馬種 | サラブレッド |
性・毛色 | 牡・鹿毛 |
生産国 | 日本![]() |
生産者 | 木村秀則 (北海道新ひだか町) |
馬主 | 広尾レース(株)![]() |
調教師 | 矢作芳人(栗東) |
主戦騎手 | 吉田豊 |
馬名意味 | かつて地球に存在した 唯一の海(父名より) |
初出走 | 2019年9月21日 |
抹消日 | 2024年1月10日 |
戦績 | 27戦7勝[7-6-0-14] (うち海外4戦2勝) |
獲得賞金 | 18億4466万3200円 |
競走馬テンプレート |
父ロードカナロア、母*ミスペンバリー、母父Montjeuという血統。
父は言わずと知れた短距離王、「世界のロードカナロア」。種牡馬としてもキングカメハメハの後継筆頭として大活躍中である。父譲りのスピードを持ちつつも母系の血統の能力を引き継いだ産駒が多く、アーモンドアイを筆頭に距離の融通が利く産駒も少なくない。
母はアイルランド生まれの外国産馬で7戦未勝利だが、母としては重賞2着馬を複数送り出しまずまずの成績を残している。牝系は本馬の3代母Itchingの半弟に仏GI2勝の*クロコルージュが、同じくItchingの半姉Alidivaの産駒にサセックスS勝ち馬Ali-Royal・1000ギニーS勝ち馬Sleepytime兄妹がいるなど、少し古めとはいえ近親の活躍馬もしっかりいる。
母父は20世紀最後の欧州最強馬。日本では1999年の凱旋門賞でエルコンドルパサーを破り、同年のジャパンカップに参戦してスペシャルウィークに敗れたことであまりにも有名。彼の血統は非常にスタミナに優れており、1歳下のタイトルホルダーも母の血統にMontjeuが入っている(母父父)。パンサラッサの特徴の一つであるレース終盤の粘り強さも彼由来のスタミナに因るものなのではないか、との説もある。ちなみに1999年凱旋門賞の3着馬が先述の*クロコルージュだったりする。
2017年3月1日、新ひだか町の木村秀則牧場で誕生。オーナーは一口馬主クラブの広尾レース。クラブでは1口2.5万円×2000口(=5000万円)で募集され、ハワイの海神カナロアを由来とする父の名から連想し、「GIレースに勝利し、唯一の王者になってほしい」という願いを込めて「パンサラッサ」と名付けられた[1]。
木村秀則牧場は広尾レース(広尾サラブレッド倶楽部)が所有する繁殖牝馬を預託している牧場で、パンサラッサを含め2021年までの広尾レース所有の重賞勝ち馬6頭のうち3頭がこの牧場の生産馬である。
海外遠征に強みを持つ矢作厩舎に入厩し、2歳9月に阪神競馬場でデビュー。初戦はロータスランド(2021年関屋記念・サマーマイルシリーズチャンピオン、2022年京都牝馬ステークス)、2戦目はアカイイト(2021年エリザベス女王杯)という後の重賞馬の後塵を拝するも、3戦目は不良馬場で大差勝ちを収め初勝利[2]。レース展開としては1戦目は中団からの競馬となったが、2戦目からは逃げ・先行戦術で2着→1着と結果を出したため、スタートで出遅れない限り逃げ、先行脚質の競馬を定着させていく。
なお、この頃は基本的に逃げ馬だが、必ずしもハナを奪うわけではなく、他の逃げ馬とかち合った場合など展開次第では2~4番手あたりに控える先行策を取ることも少なくなかった。
しかしその後は自己条件、ホープフルS、若駒Sと3連敗。弥生賞ディープインパクト記念も9着に敗れ、さらに体調も崩してしまい春のクラシックには出られず。一休みした6月の自己条件戦では2馬身半差で逃げ切り勝ちを決める。
次走に格上挑戦となるGⅢラジオNIKKEI賞を選択すると7番人気を覆して2着に好走し、収得賞金を加算したことでオープン馬となった。しかし収得賞金の内訳は未勝利+1勝クラス+GⅢ2着で1650万円とオープン馬としてはギリギリの水準になってしまい、以降のレースでは(特に重賞で)抽選や除外対象になる可能性がついて回ることになってしまった。(詳しくは収得賞金を参照)
その後は神戸新聞杯12着、オクトーバーS(L)2着と賞金を加算できず、次走は福島記念に登録するも早速出走除外の憂き目にあってしまう。しかし調教では抜群の動きを見せており騎乗予定だった川又騎手が「乗り味良好、福島記念に入れていたら僕の重賞初制覇だったかもしれないのに…」とコメントするなどこの頃から大器の片鱗は見せていた。この除外を受けて次週のアンドロメダS(L)に出走するも4着とこのレースも善戦こそすれど勝ちきれず。
また、この頃は重い馬場で好走を続けていたことから(詳細後述)ダート路線の模索も行っており、度々ダートレースにも登録を行っていた(なんとJBCクラシックにも登録をしていた)。そして年末の師走S(L)で初ダートとなったが、11着と惨敗してしまいこのレースを最後に3歳を終える。
4歳初戦は関門橋S(OP)で2着。そして次走に小倉大賞典に登録するもまたしても除外されてしまい、それをうけて次週の中山記念に出走するもののゲートでつまずいて出遅れ中団から伸びられず7着。次走に福島民報杯(L)を登録したがこちらも除外されてしまい、マイルに方向転換したマイラーズCでは今度は左前脚の跛行でレース直前に出走除外となるなど不運が続き、ここから半年の休養に入った。
ここまでのパンサラッサは収得賞金の都合でどうにも思うようなレースに出走できず、馬場が渋ったレースでよく好走していたためダート路線も模索するなど陣営としても試行錯誤が続いていた。当時のファンもどうにか抽選をくぐり抜けられるように、また出走当日もなるべく雨が降って馬場が渋ってくれとお祈りをする姿がよく見られた。
そんな中、2021年10月のリステッド競走オクトーバーSで無事に復帰。馬場は稍重となりパンサラッサには向いた馬場になった。また、鞍上に初めて吉田豊騎手を迎え1年ぶりに逃げ戦法をとり、最後は後続に迫られるもアタマ差でしのぎ逃げ切り勝ち。OP初勝利を挙げ、久しぶりに賞金を加算することができた。
次走はGⅢ福島記念 。前年ラジオNIKKEI賞以来の福島となった。本馬は単勝9.0倍の5番人気という単穴ポジションに落ち着く。
4枠8番からスタートを決めたパンサラッサ、2度目のコンビとなった鞍上の菱田裕二は押して逃げの手を打ち、後続との差を広げ2~3馬身のリードを確保する。前は4頭がバラバラで先行、その後は10馬身以上離れる超縦長の展開。そして1000mの通過タイムは驚きの57秒3!撃沈覚悟の爆逃げ……かと思いきや、菱田の手綱はそれほど動いていない。3コーナー手前でも後続との差は15馬身以上あり、ハイペースについてきていた先行馬はもうアップアップ……。
まさか……
そのまさかであった。第3コーナー付近で息を入れ後続との差は一旦縮むも残り400mあまりで再び仕掛け、後続との差を一気に開く。直線に入った時点で2番手集団との差は6~7馬身あまりもあった。ここで後方待機していた各馬がようやく加速してきたがここは直線の短い福島、時すでに遅し。結局4馬身差をつけて圧勝、1分59秒2の好タイムで大逃亡劇を完成させてしまった。
2着につけた4馬身差は、福島競馬場の芝2000m重賞ではグレード制以降最大タイ。同じ記録を樹立したのが遡ること28年前、1993年に七夕賞を制した「暴走逃亡者」ツインターボであった。奇しくも同じ逃げ切り勝ち……どころか、同競走でツインターボが記録した1000mラップが57秒4で本馬とコンマ1秒差、勝ちタイムは1分59秒5でコンマ3秒差、上がり3ハロンも37.7秒でコンマ1秒差と、当時のツインターボと同様の粘り腰を見せ、ほとんど同じようなめちゃくちゃな勝ち方。「令和のツインターボ」として一躍注目を集めることになった。
こうして一躍次代の大逃げ馬として注目馬になったパンサラッサ、次走は有馬記念を目標にすると表明。クロノジェネシスの引退レースで話題持ちきりのレースであったが、かつて同馬が2着になった未勝利戦で1着を獲り、福島記念直後のエリザベス女王杯で大金星を得たアカイイトも出走を表明。2頭揃って出走が叶えば一波乱を起こしうる馬になるだけあり、人気投票の結果に期待が集まった。
人気投票の結果は33位。第1回特別登録を行なった馬の中では12番目。優先出走権は取れなかったものの、第1回特別登録を行った17頭のうち優先順位15位となり、(フルゲートは16頭なので)出走が確定。本番3日前の公開抽選では1枠2番の内枠を引き当て、堂々の逃げ宣言で中山2500mに挑んだ。
迎えた本番ではスタートを決めると内枠を活かして宣言通り逃げを打ち、最初の1000mを59秒5で入る。このタイム、あのツインターボのオールカマーと全く同じである。奇しくも舞台も同じく中山、鮮やかに逃げ切り…とはいかず、残り400mまで粘りを見せたものの最後は力尽きて13着。2年ぶりのGIはほろ苦い結果に終わった。
なお、13着という着順も1994年有馬記念のツインターボと全く同じであったが、ツインターボは13頭立てで大差のシンガリ負けであったのに対し、パンサラッサは16頭立てで後ろにまだ3頭抜かせなかった馬が居たという違いがある。
5歳初戦は4月の大阪杯を目標に始動。ステップにはGⅡ中山記念を選択する。スーパーGⅡの一角を占める重賞ではあるが、この年はヒシイグアス以外能力が抜けたメンバーが居なかった前年同様比較的小粒で、本馬は出走メンバー中唯一のGIホースであるダノンザキッドに次ぐ2番人気の支持を集める。
5番枠から素晴らしいスタートを切ったパンサラッサ。前年のオクトーバーS以来の騎乗となった鞍上の吉田豊が積極的にハナを主張し、先行争いも制して単騎の逃げを打つ。道中も後続から2馬身ほど前で逃げ続け、1000m通過タイムは57秒6。福島記念に匹敵するハイペースである。さらに3角で垂れ始めた先行馬を置き去りにして差を広げ、6~7馬身のリードを取ってただ一頭直線に突入する。この時点で馬群は縦長になり、人気のダノンザキッドは早めの押し上げでようやく中団という段階だった。
まさか……また……!?
直線も鞍上のゲキに応えて粘るパンサラッサ。ついていった先行馬と早仕掛けのダノンザキッドは完全に撃沈し、入れ替わって中団から人気馬カラテやアドマイヤハダルが押し上げてきたが、全て遥か後方のこと。残り100mを過ぎてカラテが2番手争いを制して差を詰め始めたが既に時遅く、もうパンサラッサはゴール板目前にいた。そのまま2着カラテに2馬身半差をつける完勝で逃げ切り、重賞2勝目を挙げた。吉田豊は2年ぶりの重賞制覇。GIIを勝利したことで、師匠超えを果たしたと言えよう。
ちなみに中山記念の約17時間前にサウジアラビアで開催されたGⅢレッドシーターフハンデでは同厩のステイフーリッシュが逃げ切り勝ちを収めており、矢作厩舎はほぼ半日の間に2カ国で重賞を逃げ切る馬を送り出したことになる。
次走はGⅠ大阪杯かと言われていたが、3月26日にドバイ・メイダン競馬場で開催されるドバイターフ (G1・芝1800m)の招待を受諾したとオーナーの広尾サラブレッド倶楽部から発表された。エフフォーリアら国内強豪との対決は一旦お預けになってしまったが、平坦コース、1800mという直近で実績のある距離、超高額賞金、遠征を苦にしない彼の気質(詳細後述)、とこちらを選ぶ理由は十分すぎるほどにある。世界を相手に大逃げを見せつけることができるか、ファンの期待は高まった。
バスラットレオン、ステイフーリッシュ、クラウンプライドと、日本馬がドバイを席巻する中発走したドバイターフ。いつも通り好スタートから先手を取るが、矢作師曰く「ナイターを気にしたのか」、前2走ほどは後続を突き放せない逃げになる。と言っても、1000m通過は58秒台というハイペース逃げであり、直線ではそれについてきた先行馬を突き放していく。そこに入れ替わるように外から飛んできたのが前年の同レース覇者である英国馬Lord North。さらに馬群の中にいたはずの日本馬ヴァンドギャルドが残り150mで急加速、一気に抜け出し大外から追い込む。パンサラッサとの差はみるみる縮まり、3頭が完全に重なったところがゴール板。
写真でも角度によって見え方が変わるほどの僅差となったが、長い写真判定の結果、パンサラッサとLord Northの同着優勝で決着。初GⅠ制覇を珍しい形で成し遂げたパンサラッサは、世界にその名を轟かせた。また、タイムも1:45.77で2014年のジャスタウェイ以来8年ぶりに45秒台を記録した。
矢作芳人厩舎はこの日ドバイで3勝目。鞍上の吉田豊は2008年マイルCS(ブルーメンブラット)以来14年ぶりの国際GⅠ勝利、28年目にして初の海外重賞勝利を成し遂げた。
こうして、稀代の超ハイペース大逃げ馬として確固たる地位を確立し、GⅠ勝利という最高の栄冠も得たパンサラッサ。もはやツインターボという先達の名を借りる必要はなく、偉大な父がかつて言われていたのと同じ称号を獲得し、世界のパンサラッサとなった彼の逃げ街道は、以後もレースを大いに盛り上げていく。
次走はそのまま欧州へ転戦してロイヤルアスコットを目指すプランもあったが、世界情勢などを考慮して帰国、宝塚記念での凱旋レースということになった。
春天を圧勝したタイトルホルダーとの逃げ馬対決をはじめ、大阪杯で苦杯をなめたエフフォーリアら現役最強中距離勢との対決はもちろん、距離延長になる阪神2200mで大逃げが決まるかに注目が集まった。
ファン投票では15位に入り、有馬記念から大幅にランクアップ。当日のオッズは距離延長を不安視されたか、単勝10.2倍の6番人気にとどまる。
レース本番。序盤は大方の予想通り、タイトルホルダーとのハナ争いになる。タイトルホルダーが抜群のスタートを切ったためややもたつくが、1コーナーに差し掛かるあたりで「スタコラサッサとパンサラッサ」というカンテレ岡安アナの迷実況をよそになんとか先頭に立った。だがそのハナ争いの結果、できあがったペースは2000m台の中距離レースでは異常と断言出来るスタート1000m57秒6。あのサイレンススズカでさえ58秒6だったので、飛ばしすぎもいいところである。1600mの通過タイムは1分33秒4で、前年のドウデュースの朝日杯FS勝ちタイムより速いというまさに狂気のハイペースとなった。
さすがにこのペースでは逃げ切れず、4コーナーを過ぎ、直線に差し掛かる頃にはタイトルホルダーに抜かされ、後続にも抜かれる一方。しかしそもそも普通ならそのまま最後方まで撃沈するはずのペースでありながら、9着のステイフーリッシュに2馬身差の8着まで粘ったのはさすが海外GⅠ馬……いやいやおかしいって。なんで8着に粘れるんだ。実際、走破タイムや上がり3Fの数字だけを見ると、先の福島記念や中山記念と比べても遜色のないタイムで駆け抜けている。GI級[3]以外の馬で先着を許した相手はマイネルファンロンだけであり、もしGII級以下の馬が相手のレースなら十分勝負になっていたと思われる。
GI級の相手がズラリと揃った中距離レースではさすがに逃げ切れなかったが、そもそもパンサラッサのこの超ハイペース逃げは普通なら(この後の2022年天皇賞(秋)のように)道中10馬身以上離した独走大逃げになるはずのもの。しかしそこに2番人気のタイトルホルダーがついていったことで全体がそのペースに付き合わざるを得なくなり、一番後ろにいたアリーヴォの1000m通過タイムが、去年の宝塚記念の先頭の1000m通過タイムと変わらないという異常なレース展開となったのである。
この超ハイペースによりタイトルホルダーはこれまでのコースレコードを0秒4更新する2分9秒7のタイムを叩き出したが、パンサラッサがこのレコードの樹立とレースの盛り上げに一役買ったのは間違いない。
次走は、海外転戦も含め慎重に考えられていたが札幌記念に決まった。パンサラッサの他にもソダシやグローリーヴェイズなどGI馬5頭が出走というかなり豪華な面々が揃い、GIIながらGI並みのハイレベルなレースになるのではないかと注目が集まった。また、パンサラッサは同じく逃げ馬として注目を浴びているジャックドールとも初対戦で、同厩の逃げ馬ユニコーンライオンも出走するとあって逃げ馬3頭による混沌とした展開も予見された。馬券は前年覇者ソダシと同じ単勝オッズ3.3倍と1番人気タイ。パンサラッサは投票数の兼ね合いで2番人気となった。
最初はユニコーンライオンがハナを主張するが、パンサラッサは200mを過ぎたあたりで彼からハナを奪取し、いつものように逃げ始める。一方、ジャックドールはパンサラッサを無理に追わず先団に控える形になった。1000m通過タイムは59秒5。パンサラッサとしては全然ぶっ飛ばしていないように見えるが、札幌競馬場は洋芝であり、タイムは出ない芝。しかも良馬場発表ではあったが直前までは稍重であり、連日の雨で馬場は渋っていた。ドバイターフと同様、そう見えないだけのハイペース逃げだったのである。
4コーナーで2番手のユニコーンライオンが力尽きる中、先頭で粘るパンサラッサに外から進出したジャックドールが迫る。後ろにはウインマリリンとソダシが好位に控え、パンサラッサは絶体絶命。明らかにこのまま先行集団にかわされて沈む流れ……あれ? 後ろが全然伸びてこないぞ?
そう、渋った洋芝でパンサラッサのペースについていったほとんど全ての馬がもうバテバテだったのである。またこの展開かよ!
かくして後ろが伸びあぐねる中、並んでくるジャックドールと2頭の追い比べに突入。残り100mでかわされるも、パンサラッサは最後まで差し返さんと粘って粘ってのクビ差2着でゴールに駆け込んだ。
上がり3Fの最速は10着ハヤヤッコの36秒6。レースの上がり(つまりパンサラッサの上がり)は37秒7。勝ったジャックドールは37秒3。
Q. これはダートのタイムですか?
A. いいえ、芝2000mの良馬場です。
いくら時計の出ない札幌といっても、良馬場であれば例年の上がり最速は34秒台から35秒台。それより2秒も遅いという、みんなヘロヘロのとてつもない消耗戦だった。
敗れはしたものの、またしても常識外のレースに他馬を巻き込んで、この豪華メンバーの中でクビ差2着に粘り込んだパンサラッサ。直線ではどう見てもヘロヘロだったのに、なんであそこから差し返さんとばかりにまで粘れるのか。相変わらず本当にわけのわからん馬としか言いようがないレースであった。
次走は天皇賞(秋)。前走に続いての再戦となるジャックドール、ドバイ以来のシャフリヤール、3歳勢のイクイノックス・ジオグリフ・ダノンベルーガが集い、世代間決戦という趣きのメンバーとなった大一番。パンサラッサは距離的な限界に加え、過去2走のスタートダッシュの鈍さからジャックドール、バビットと争ってハナを切れるのかという不安が残っていた。そもそも秋天は逃げ馬が勝つことがものすごく難しいこともあり[4]、パンサラッサは22.8倍の7番人気に留まる。
逃げ馬には有利な2枠3番から発進、過去2走鈍かったスタートダッシュも決めて果敢にハナを主張しにいく。外からやってきたノースブリッジとバビットを制し向こう正面入り口でハナを確定する。結局バビットが2番手、ジャックドールは4番手に控え、ジオグリフとシャフリヤールが並んで中団、これを見るようにイクイノックスがつけ、さらに背後からダノンベルーガが続く展開。
しかしいつも通り後続のことなど気にも留めず、パンサラッサと吉田豊は一切緩めず11秒台前半のラップを連発。後続をどんどん突き放して久々の大逃げ体勢に突入する。10馬身近く突き放して通過した1000m通過タイムは57秒4。このタイムに見覚えのある人もいるだろう。あのサイレンススズカの1998年天皇賞(秋)と全く同じ通過タイムだったのだ。
大欅を越え、24年前に稀代の大逃げ馬が天国へ駆けていったその先へ、4コーナーを15馬身以上差をつけての先頭で迎えたパンサラッサ。後続を大きく突き放して逃げ続ける。直線ではさすがに力尽きようとしていたが、ヘロヘロになりながらも吉田豊の猛ゲキに応えて粘る粘る粘る。このまま逃げ切るのか、誰もが固唾を飲んで見守る中、残り100mを切ってなおも粘り続けたが、最後の最後、ゴール板手前で狙い澄ましたように襲いかかってきたのが1番人気のイクイノックス。春二冠2着の悔しさを晴らすべく繰り出された32秒7という極限の末脚を前にして、極限の大逃げで何もかもを使い果たしたパンサラッサに抗う力はもはや残っておらず、一瞬にして差し切られ1馬身差の惜敗。それでも前半あれだけ飛ばしながらも上がり3ハロンを36秒8と37秒を切る驚異的な粘り腰を見せ、内をすくって伸びてきたダノンベルーガをクビ差振り切り、前走破られたジャックドールも完封しての2着に食い込んでみせた。
鞍上吉田豊は「向こう正面から馬に任せた。頑張っていたので何とかしたかった」と悔やんだが、矢作調教師は「負けた悔しさよりも馬を褒めたい。大したもんです」とコメントし、SNSでは「もしもサイレンススズカが大欅の向こうを無事通り過ぎて直線に向かってきたら、という24年前の夢の続きを見せてもらった」などと、ファンからも数え切れないほど感動と称賛の声が寄せられた。
Twitterでは勝ち馬のイクイノックスなどを抑えてトレンド1位になるなどの珍事も。[5]
「令和のツインターボ」などと言われるが、ドバイの海外GIを勝っており今回の天皇賞(秋)での激走により「サイレンススズカを超えた」という声も少なくない。
「世界のパンサラッサ」がここにいるのだと改めてその名を轟かせたパンサラッサ。24年前の沈黙すらも興奮に塗り替えて、パンサラッサは歴史を越えていく。
ちなみに、フジの実況では直線に入ったあたりで思わず「令和のツインターボ」と叫んでいるが、そんな師匠の秋天の大逃げは残り500mで壊滅している。
次走は香港カップへの招待を受諾し、海外GⅠ二勝目を狙うべく再び遠征。香港到着後も度々元気な姿が発信され、相変わらずの遠征適性を見せていた。また、矢作調教師も「元気もよくて秋の天皇賞の頃よりも状態は上向いている」[6]と太鼓判を押すなど順調な調整ぶりを見せていた。現地での充実ぶり、また秋の天皇賞では衝撃的な大逃げを見せたため香港ではどんな逃げでレースを盛り上げてくれるだろうかとファンからは大きな期待が寄せられた。
日本での最終オッズは3.8倍、現地での最終オッズは5.8倍でGⅠ1勝を含む9戦8勝の地元香港勢のRomantic Warrior、秋の天皇賞でも対決し、今回3度目の対決になったジャックドールに次ぐ3番人気となった。
レースでは8番ゲートから出走。やや外枠ということとスタートで少し出遅れたこともあり先頭に立つまでに少し時間がかかるも1コーナーに差し掛かる最初の150mほどで無事に先頭に立つことには成功した。だが、そこからは前走の大逃げを警戒されたこともありKa Ying Starなど他の先行勢にずっと後ろにつかれてなかなか引き離すことができない。最初の1000mは約60秒。パンサラッサにしては遅めのペースになったように見えるが、シャティン競馬場の芝は洋芝なことと、日本とはタイム計測の方法が異なるため特別スローという訳でもない。展開としては札幌記念の時に近い感じになった。
しかし今回は札幌記念のように粘りのある走りができなかった。4コーナーを抜け直線に入るが、残り350mあたりからKa Ying Starにかわされるとそこからはずるずると後退。終わってみれば1着のRomantic Warriorが2着のダノンザキッドに4馬身半差をつけ、香港カップ初の1分台を出すレコードで圧勝。パンサラッサは1着に合計14と4分の1馬身差つけられた10着に沈んでしまった。
この予想外の結果に鞍上の吉田豊騎手は「スタートはあまり良くなかったが、1コーナーからハナにいけた。そこからこの馬らしくハミを取っていけるかと思いましたが、取っていけませんでした」とコメント。矢作調教師も「らしさがありませんでした」とコメントし陣営としても首を捻る内容だった様子。
芝や展開が合わなかったのか…それともパンサラッサ自身になにか問題が起きたのか…
後に池田厩務員によれば、「国内での調教を軽くした分、現地でオーバーワークな調教になってしまった。」らしく、その影響があったと思われる。[7]
前走までの活躍や前評判からは想像もつかない走りになってしまい陣営としても不本意な結果に終わってしまった。
なお、その後のパンサラッサは特に怪我などもなく元気だったようである。
明けて2023年は連覇のかかるドバイターフを目標に、その前哨戦として、何と師走S以来のダート挑戦となるサウジカップ(沙G1・ダート1800m)に参戦。世界的に見ても芝1800mのGIは限られているので、だったらダートの1800mに挑戦してみようという狙いだろうか。サウジカップが催されるキングアブドゥルアジーズ競馬場のダートコースはウッドチップが含まれているため、米国ダートにオールウェザーを足したような、国内ダートとは全くの別物である。前述の通りもともとは道悪を得意とし、ダート転向を模索したこともあることに加え、サウジカップは創設以来勝ち馬がみんなMr. Prospector系というのもあったのかもしれない。
とはいえ、師走Sでは2桁着順だったし、本命はドバイターフだしで、レース前のファンの期待感としては「頑張って走ってきてね」といったところであった。
同レースに挑戦する日本馬としては、フェブラリーS3連覇を蹴っての参戦となるカフェファラオ、芝から転向してチャンピオンズカップを勝ったジュンライトボルト、昨年のUAEダービー馬クラウンプライドと現役ダートの一線級のメンバーが登場。さらに、昨年の皐月賞馬ジオグリフ、昨年のドバイターフで僅差の3着だった海外実績充分のヴァンドギャルドと、日本勢が合計でなんと6頭も参戦。アメリカからは昨年のドバイワールドカップ覇者Country GrammerやGIを3勝しているTaibaなどが参戦した。なお日本では馬券発売がなかったが、海外ブックメーカーではパンサラッサは8番人気であった。
最内枠を引き当て、いつも通り元気いっぱいに首を振りながら馬場入りしたパンサラッサ。このところ課題のゲートが決まり、スタートから勢い良くダッシュをつけていつも通りハナを切る。アメリカのTaiba、日本のクラウンプライドがそれをマークして追い、外からジオグリフ、Country Grammer、カフェファラオが続くという隊列。途中でジオグリフが上がって来て2番手につけ、コーナー前でカフェファラオが空いた内に寄せていく。そしてパンサラッサはそんな後方を気にもかけず、いつも通りマイペースにレースを引っぱっていく。
サウジカップは公式のラップタイムが無いので中継からの目算による推定になるが、800mまで11秒台を連発し国際中継の通過タイムでは800m通過45秒85を記録するいつも通りの超ハイペース大逃げラップだった模様。レース中継に表示されるスピードメーターは常時時速40マイル(約64km/h)前後を示しており、後のドバイシーマクラシックで逃げたイクイノックスの前半ペースが時速59km/h前後だったことからも、逃げの性質が明らかに異なっていたことは容易に想像できるだろう。黙って逃がせば逃げ切られると知っている日本勢と、前傾ラップに慣れているアメリカ勢の強豪がついてきたため一見して普通の逃げに見える、宝塚記念や札幌記念と同じ展開だった。
このペースに4コーナーでTaibaがついていけなくなって脱落。逃げるパンサラッサをクラウンプライド、ジオグリフ、カフェファラオの日本勢が追いかける形となって直線。後方勢はパンサラッサのペースを追うだけでいっぱいいっぱい。日本勢を引き連れてレースを支配したパンサラッサの脚は止まらない。後続もろとも消耗戦に持ち込んだパンサラッサ自身もゴールに近づくにつれペースを落としていき、ゴール前直線では時速33~35マイルまで落ちる中、ただ1頭アメリカのCountry Grammerが大外を猛然と追い込んできたが、時すでに遅し。3/4馬身差で猛追をかわし、ゴール板を先頭で駆け抜けていったのは広尾レースの青い勝負服だった。
GⅠ2勝目はグリーンチャンネルが「初ダート」と連呼してたけど通算2戦目のダート。2021年のBCディスタフを制した同じ矢作厩舎のマルシュロレーヌに続く2頭目、日本調教牡馬の海外ダートGⅠ初制覇であり、海外の芝ダート両GⅠ制覇はもちろん史上初である。
そして日本馬初制覇となったサウジカップは1着賞金1000万ドルの大レース。JRA所属馬の海外での獲得賞金は、フランス競馬を統轄するフランスギャロが発表する当該年1月1日の為替レートで換算する規定であり、2023年のレートは1アメリカドル131.86497円なので、パンサラッサがこの勝利でゲットした賞金はなんと13億1864万9700円。累計獲得賞金額もアーモンドアイ、キタサンブラックに次ぐ日本馬歴代3位、世界に広げると歴代6位へ一気に躍り出た[8]。また収得賞金に至っては合計9億6450万円となり、アーモンドアイを抜いて日本馬歴代1位に到達した[9]。
この結果から本来目標だったドバイターフはともかく、ドバイワールドカップへの出走も浮上してきたくらいの歴史的快挙である。今年の7月で定年となる担当の池田厩務員はゴール直後に号泣。パンサラッサはもちろん、「世界の矢作」とも呼ばれる矢作調教師が、また一つ伝説を作った瞬間であった。そして、あまりの高額の賞金にJRAのシステムが悲鳴を上げてしまったのであった。
後日、陣営は総合的な判断を基にドバイワールドカップへの出走を正式に発表。カフェファラオやジオグリフらサウジカップ転戦勢に加え、ダート→芝の転向組で昨年のジャパンカップ馬ヴェラアズール、昨年のJBCクラシックを勝ったダートGⅠ級3勝のテーオーケインズ、東京大賞典と川崎記念を勝ったパドック逆詐欺馬ウシュバテソーロも乗り込み日本馬は同レース8頭出走となった。ウッドチップの含まれたサウジとは異なりドバイは米国ダートに近く、距離も2000m。リアルダートでダートの熟練達相手にどこまで逃げられるかが焦点となる。そんなドバイワールドカップだが、大外15番枠に放り込まれてしまった(隣はCountry Grammer)が、彼はいつも通り逃げるしかない。
だが、スタートの出があまりよくないという逃げ馬にとって致命的なことになってしまう。逃げるしかない彼はハナをとろうとするが、Remorseの影響もありハナは安定しない。この状況となってしまっては逃げ馬は力を発揮できない。それでも1000mを1分切るペースで走ってペースを高速化。そんな無茶をしたパンサラッサは4コーナーまで持たずに失速。とはいえそんな無茶に突き合わされたRemorseは4コーナーすぎたらもういっぱい。おまけに高速化したレースに慣れてない馬にとってこの戦いはしんどいとなった結果は、ウシュバテソーロが2着Algiersに2馬身4分の3差つける圧勝となった。その裏で前年の覇者Country Grammerは7着、Remorseは9着と、10着のパンサラッサに巻き込まれる形で沈んでいった。
矢作調教師いわく、これをもって春は全休。その後、4月になって、8月上旬のサセックスステークス(グッドウッド競馬場芝8ハロン)、調子が良ければその後下旬のインターナショナルステークス(ヨーク競馬場芝10ハロン56ヤード)を挟んで、天皇賞(秋)を目指すとの方針と、おそらく現役は2023年いっぱいだろうという話が陣営から表明された
。
だが、6月に繋靭帯炎を発症、最低3ヶ月の休養を要するとのことなので、海外遠征は白紙になってしまった。
2023年限りでの引退であれば、復帰が間に合わずドバイWCがラストランもあり得た。しかし復帰の目途が立ったという事で、当初は得意距離のチャンピオンズカップを目標としていたが、状態が良好なので前週のジャパンカップへ向かう事になった。矢作師のコメントでは堂々の逃げ宣言。2400m以上のレースは2年前の有馬記念以来となるが、イクイノックスへのリベンジの為にもやる事は一つである。
出走馬は前年の秋天以降GⅠ5連勝で世界王者へ駆け上がったイクイノックスが断然人気で、当年の三冠牝馬リバティアイランドが2番人気。3番人気以下は単勝オッズ2桁ながら、復権を誓うタイトルホルダー、スターズオンアース、ドウデュース、ヴェラアズールら歴戦のGⅠ馬や、悲願の初タイトルを狙うダノンベルーガにディープボンドも集結。さらにフランスからGⅠ2勝イレジンも参戦し、「怪獣大戦争」やら「スマッシュブラザーズ」と騒がれるほどの超豪華メンバーが集結した。この面子では距離不安のあるパンサに人気は集まらず、最終的には単勝46.4倍の7番人気に落ち着いた。それでも前年覇者ヴェラアズールや中長距離でGⅠ2着4回のディープボンドより上位人気になるあたりがパンサラッサのファンの多さなのだろうか。
4枠8番から好ダッシュを決め、タイトルホルダーを制してハナを奪うと注文通りの大逃げに突入。2番手のタイトルホルダー、3番手にイクイノックス、4番手にリバティアイランドと人気馬が続いたが無関係、10馬身以上突き放してぶっ飛ばす。1000mの通過ラップは57秒6とやはり超ハイラップ。なおも後続を離して前年の天皇賞(秋)を再現するかのごとくただ1頭で直線に突入。失速しながらなおも粘り続けたが、やはり距離の壁か、残り200m手前でイクイノックスに捕まり、あとはそのまま沈んでいき12着。
イクイノックスへの雪辱とはならなかったが、世界が注目する頂上決戦でも自分の競馬を貫き、最後までファンの見たいパンサラッサの姿を見せ付けていった。そして、自身がサウジカップ後に就いていた収得賞金歴代一位の座、手を伸ばしかけていた歴代賞金王の座は、勝利で5億円をゲットしたイクイノックスのものとなった。
これをラストランとして陣営はパンサラッサの現役引退を発表。2023年12月23日に中山競馬場で引退式を行う予定だったが、12月20日の時点で軽度の感冒(人間でいう風邪)の症状がみられたため、2024年1月8日(祝・月)に延期して実施された。引退後はアロースタッドでの種牡馬入りとなり、南半球でのシャトル種牡馬としての運用も視野に入れている旨も発表された。初年度の種付け料は受胎条件300万円
で、結構期待は大きいようだ(なおこの価格は、ビッグアーサーと同額(2024年も値上がりしてこの額である))。
引退式は前座としてブルーノ・ユウキ氏による『パンサラッサの歌』の披露がなされたのち、サウジカップの優勝馬着を着たパンサラッサが登場。関係者インタビューでは吉田豊騎手からは一番の思い出に2022年の秋天が挙げられ、池田元厩務員からは「あの馬には諦めないということを教わりました」と感謝の言葉が述べられた。そして矢作調教師からは「努力の馬」の称号と、「イクイノックスの子供を負かしてほしいです」と種牡馬入りへの激励の言葉が贈られた。寒空の中集った多くのファンからも沢山の声援が贈られ、やはり愛された馬であることをさらに印象付けた式となったのであった。
競馬ファンの間で語られる格言がある。「強い逃げ馬がいると、競馬は面白くなる」。
道中は好位で脚を貯め、直線でスパートをかけて差し切る――というのが競馬の定石だが、出走する馬全員がそれをやりだすと、道中スローの団子状態のまま、直線の位置取りと瞬発力で勝負が決まる、「スローペース症候群」と揶揄されるレースになってしまう。
しかし、そこに1頭でも油断のならないハイペースの逃げ馬が加わると、その馬がどんなペースで逃げるのか、そのペースに誰がついていくのか、あるいはいかないのか。そしてその馬をどのタイミングで捕まえに行くのか。位置取りや展開に新たな駆け引きが加わり、レースが引き締まる。
また、ハイペースの逃げ馬が引っぱるレースは隊列が縦長になるため、紛れが起こりにくく、強い馬が実力を発揮しやすいレースにもなる。
令和の競馬ファンに、この格言の意味するところを教えた馬こそ、パンサラッサだった。
「令和のツインターボ」は、世界を股にかけた1800mの逃亡者となり、福島記念での重賞制覇以降、全てのレースで自分の走りを貫き、令和の競馬ファンを沸かせ続けた。
パンサラッサが出走するというだけで「パンサラッサがどんなペースで逃げるのか」「誰がパンサラッサについていくのか、いかないのか」がレースの展開予想を賑わせ、パンサラッサ自身が勝っても負けても、「パンサラッサがどう逃げたか」が常にそのレースの展開を左右した。
そしてその逃げは、時に世界で同着決着の死闘を演じ、時に大レコードを呼び、時に超消耗戦に全ての馬を巻き込んで、時に歴史的名勝負を生み、そして自身が歴史的な偉業を為した。
パンサラッサがいかにファンから愛され、その存在がいかに名レースを生み続けてきたかは、福島記念勝利で立項されてから書き継がれたこの記事のボリュームが何よりも物語っている。
彼を「令和のツインターボ」と呼ぶことには賛否ある(この記事の複数の執筆者の間でもおそらく意見が分かれている)。その呼称の是非についてはともかく、パンサラッサ自身もまた、その名前がひとつの象徴となるような、ファンの記憶に焼き付く馬になったことは間違いない。パンサラッサをリアルタイムで追いかけた令和の競馬ファンは、きっとこれからも彼の走りを語り継いでいくだろう。
記憶にも記録にも残る名馬となった「世界のパンサラッサ」。その誇り高きまっさらな逃げ街道に刻んだ蹄跡は、決して色褪せることのない伝説である。
その血を継いだ子供たちが、ターフの大海原に新たな歴史を刻む日を楽しみに待ちたい。
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/Mike_nikkan/status/1727666081261899822
ポストを読み込み中です
https://twitter.com/Mike_nikkan/status/1728213150544408862
ロードカナロア 2008 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo 1990 鹿毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Miesque 1984 鹿毛 |
|||
*マンファス Manfath 1991 黒鹿毛 |
*ラストタイクーン 1983 黒鹿毛 |
||
Pilot Bird 1983 鹿毛 |
|||
レディブラッサム 1996 鹿毛 |
Storm Cat 1983 黒鹿毛 |
Storm Bird 1978 鹿毛 |
|
Terlingua 1976 栗毛 |
|||
*サラトガデュー Saratoga Dew 1989 鹿毛 |
Cormorant 1974 鹿毛 |
||
Super Luna 1982 鹿毛 |
|||
*ミスペンバリー 2002 鹿毛 FNo.9-f |
Montjeu 1996 鹿毛 |
Sadler's Wells 1981 鹿毛 |
Northern Dancer 1961 鹿毛 |
Fairy Bridge 1975 鹿毛 |
|||
Floripedes 1985 鹿毛 |
Top Ville 1976 鹿毛 |
||
Toute Cy 1979 鹿毛 |
|||
Stitching 1992 鹿毛 |
*ハイエステイト High Estate 1986 黒鹿毛 |
Shirley Heights 1975 鹿毛 |
|
Regal Beauty 1981 黒鹿毛 |
|||
Itching 1989 黒鹿毛 |
Thatching 1975 鹿毛 |
||
Alligatrix 1980 鹿毛 |
クロス:Northern Dancer 4×5(9.38%)、Special=Thatch 5×5(6.25%)
掲示板
2632 ななしのよっしん
2025/02/23(日) 16:21:33 ID: q9cNZHf1RH
>>2631
陣営がパンくん名指しでリスペクトしてくれていたからね。
彼が挑戦したのなら自分らも頑張って挑戦してみようって。
この激闘リアルタイムで見れて本当感謝しかないよパンくん・・・
2633 ななしのよっしん
2025/02/24(月) 09:19:51 ID: nDonhPRtvW
サウジカップが精神的後輩たちによる大激戦の末のワンツーになったり、本当どれだけの人の脳を焦がせば気が済むんだねキミは。
今後は産駒でもっと脳を焦がしてくれ。
2634 ななしのよっしん
2025/03/12(水) 07:07:44 ID: lBHJosersY
聞くたびに口の中パッサパサを思い出す
急上昇ワード改
最終更新:2025/03/23(日) 17:00
最終更新:2025/03/23(日) 17:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。