パースはスティーヴン・キングの『悪霊の島/Duma Key(ドゥーマの鍵)』(2008)でH.P.ラヴクラフトに対する言及と共にクトゥルフ神話をモチーフにして説明した旧支配者である。
パースはひねくれた考えを持つ狂った三つ眼の怪物であり、地球外生物の顔をした女性らしい容姿をしていると表現されている。
ギリシア神話の冥界の女王ペルセポネー(Persephone)と同様に幽霊船に乗って姿を現わし、隠された芸術的な才能を持つ瀕死の者に接触して、世界中に混沌と絶望を広めるといわれている。
絵画におけるパースとは、三次元を二次元に投影する際に遠近感を出す方法の一種で、遠くにあるものを小さく、近くにあるものを大きく描くことである。
「パースのかかっていない」絵=平行投影図の場合、近くのものも遠くのものも同じ大きさに見える。また、三次元上でカメラの向きに平行な面は投影図では線に見え、同様の線は点に見える。
「パースのかかっている」絵=透視投影図の場合、遠くのものほど小さく見え、しかもその小さくなる速度は、遠くのものほど小さくなる(つまり、ガラスでできた同じ大きさの立方体は、遠くにあるものほど、手前の面と奥の面との大きさの差が大きくなる。)。言い換えれば、カメラから被写体が遠ざかるにつれ、平行投影図に近くなる。三次元上でカメラの向きと垂直な面上の図形は、その面上を動かす限りにおいて投影図上では形や大きさが変化しない。ゆえにカメラが1[m]だけ地面から高い位置にあるなら、投影図上で水平線と地面のある一点との間を4:6に内分する点は、0.6[m]だけ浮いているということになる。三次元上で平行な線同士の組は、それらがカメラの向きと垂直でない限り、透視図の一点(消失点)で交わる。
さらに「球面レンズパース」がかかっている場合、すなわちカメラのレンズの丸みが無視できない場合、カメラの向きと垂直な面上の図形がその面を動く場合でも、視心(カメラの見つめる先である一点)から遠ざかるにつれて小さくなる。
このような違いが生まれる理由を考える場合、例えば被写体を水平かつカメラの向きと垂直な(すなわち画面と平行な)線分とし、両者とを真上から見たときにカメラと被写体の両端とを結んだ二本の直線を考える。カメラと被写体との間には、カメラの視線に対して垂直な(すなわち鉛直かつ線と画面に対して平行な)面が置かれており、二つの線がこの面を貫通した時に描かれる2点が、透視図上における線分の両端となる。平行投影や望遠レンズの場合、被写体は充分に画面から離れているために二つの直線は平行に(またはそれに近く)なる。球面レンズパースがかかる場合、面がカメラを取り囲むように球形に湾曲するものと考える(これをどのように二次元化するかはカメラによるが、たとえば一種のカメラでは面に対して垂直に入ってきた光がカメラに向かって屈折する)。
平行投影図を描く場合、被写体たる立方体のうち少なくとも二つの面がカメラの向きと平行なら、それ以外の線は投影図上ではすべて平行になる。カメラの向きとのなす角がθである直線の長さは、透視図では単にsinθ倍される。また光が平行に当たっている(つまり光源が充分遠くにある)限り、立方体の影の端は立方体の端から光と平行に下ろした線と地面との交点になる。
透視投影図を描く場合、立方体のうち少なくとも四つの面がカメラの向きと平行なら、透視図上におけるその面上の辺は全て視心たる一点に集まり、それ以外は平行になる。これが一点透視図法である。二つの面がカメラの向きと平行なら、その面上の辺は互いに平行な四本の線が二組できるわけだから、それぞれの組につき一つずつの点(消失点)で交わり、残る四本の線は平行になる。これが二点透視図法である。いずれの面もカメラの向きと平行でないなら、消失点は三つになる。これが三点透視図法である。例えば二点透視図法で立方体を作図するとき、四つの辺は各頂点と消失点とを結ぶ四本の直線に添い、別の四つの辺は各頂点と残りの消失点とを結ぶ四本の直線に添い、残る四辺は二つの消失点を結ぶ直線(すなわち水平線)に対して垂直になる。また多くの場合、少なくとも片方の消失点は画面内に無いが、手前の鉛直な線分を水平線がa:bに内分ないし外分する場合、奥の線分も同様にa:bに内分ないし外分する。
透視図には視心を中心に視円錐と呼ばれる円があり、あらゆる写真はその円を切り抜いたものである。その半径は焦点距離×tan(画角/2)に比例し、画角の最大値は90度である。標準的な画角は60度前後なので、画像を約1.7倍すれば視円錐の取りうる最大値を見られることになる。カメラの向きと垂直な長さ1の線分ABの長さを透視図上で取り、三次元上でカメラの向きと平行な長さ1の線分ACもまた透視図上で作図するとき、この最大の視円錐を利用することができる。カメラと長さ1の線分ABとが水平に置かれているなら、一点透視図の場合は水平線と最大の視円錐との交点が「距離点」となり、線分の片方の端Aと視心とを結ぶ直線と、もう片方の端Bと距離点とを結ぶ直線、二直線の交点をCとするとき、線分ACの三次元上での長さは1である。二点透視図の場合、視心から真下に下ろした直線と視円錐との交点を立点と呼ぶが、片方の消失点VP1から立点までの距離と同じだけ、水平線上の、もう一方の消失点VP2のある側に「測点」MP1を設け、線分A'B'上のMP1とは反対側にある点AからMP1まで線を引く。消失点VP1とは反対側にある点B'からVP1に向かって線を引き、直線A'-MP1との交点をC'とすると、A'C'の三次元上での長さは1である。
カメラと立方体が水平に置かれているとき、一点透視図法なら、視心は水平線上にある。カメラと立方体が水平に置かれ、かつ二点透視図法になるなら、二つの消失点は水平線上にある。故に、カメラがx[mm]の高さにあるなら、x[mm]より高い面はアオリで見え、低い面は俯瞰で見える。三点透視図法の、すなわちカメラが水平に置かれていないとき、二つの消失点は水平線上にあるが、三つ目の消失点はそれ以外の場所にある。たとえば俯瞰(上から見た図)の場合、三つ目の消失点は水平線より下にあり、俯瞰の度合いが高くなるほど、被写体は水平線から離れていく。光源が十分に遠い場合、すなわち太陽などの平行光源の場合、光源を表す点と立方体の各頂点とを結ぶことで影を描けるが、逆光ならば点は水平線より上にあり、順光ならば下にある。
光源が充分遠いとき、立方体の頂点から光の向きに線を引くと、地面との交点が影の頂点になる。線が壁や段差にぶつかる場合も同様であり、坂道に落ちる場合は本来の地面から水平線と平行に坂の根元まで線を伸ばしたあと、その根本から傾斜と平行に線を引き、光とその線との交点が影の終端となる。いずれにせよ、光の向きを表す線の先には光源を表す点がある。この点から水平線まで垂線を下ろしたとき、交点が「地面に落ちる影の消失点」となり、消失点と立方体の根本の頂点を結ぶ線上に影の輪郭が形成される。二点透視図以上で俯瞰構図の場合、光源を表す点は「地面に落ちる影の消失点」と第三の消失点を結んだ線上にある。二点透視図で壁面に影が落ちる場合、「壁面の影」の一方の消失点は壁面の消失点に一致し、もう一方の消失点は、逆光ではその真上、順光では真下にある。なお、立方体が透明でないなら立方体の壁面は二つ見えていることになるが、片方の壁面の消失点と光源を表す点とを結んだ場合、その線上にもう片方の「壁面に落ちる影」の(第一・二の)消失点がある。三点透視図の場合、壁の影にも第三の消失点ができるわけだが、これは元々の第三の消失点と対応する壁の消失点とを結ぶ直線と、もう片方の壁の消失点と光源を表す点とを直線、それらふたつの直線の交点にある。
立方体の上面の四辺のうち互いに平行な二辺だけを水平でなくした場合、その二辺はまた新たな消失点で交わることになる訳だが、これは二点透視図までは元の消失点の真上か真下にあり、三点透視図では元の消失点と三つ目の消失点との間にある。坂道の消失点から水平線と平行に線を引いたとき、もとの立方体が床に落とす影の消失点(および光源を表す点)の真上に、坂道の影における坂の勾配の消失点がある。
三次元上に置かれた正方形の中心を投影図上で求める場合、対角線を引くことで求められる。対角線の交点から、一点透視図の場合は水平線と平行に、二点透視図以上の場合は同一平面上にある片方の消失点に向けて線を引くと、正方形のいずれかの辺を二等分することができるので、この二等分する点と、もう片方の三次元上で直交する辺を二等分する点とを結ぶ直線を用いて、辺を元の長さの1/2だけ延長することができる。これを繰り返すことで、投影図上に格子図を描くことが可能である。なお三次元上における円について──これは透視投影図上では必ず楕円になる訳だが──この楕円の中心は円の三次元での中心(すなわち楕円に外接する四角形の対角線の交点)ではなく、それよりやや手前の、楕円の短軸たる線分を透視図上で単に二等分する点である。円が立方体を構成するうちの一つの正方形に内接しているとき、円の短軸を延長した場合、その面に垂直な辺の消失点を通る。またなお、三次元上で球に見えるものは、投影図では円に見える。
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最終更新:2025/07/19(土) 09:00
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