ヒアリとは、ハチ目アリ科トフシアリ属に属するアリの仲間である。
南米大陸原産のアリの仲間で、赤褐色の体色を持つ小さなアリである。雑食で、花の蜜や種子の他、昆虫や小動物の死骸を食べる。
他の働きアリと協力して浮力を得て水に浮かぶ、連結して橋の役割を担うなど、集団での行動は実に多様。また、都市部では電気ケーブルなどに引き寄せられるという性質があり、潤滑油に惹かれる他、電気ケーブルを覆う絶縁体を噛み千切って配線をショートさせてしまう、回線に紛れ込んで漏電させてしまうということもある。
シロアリのような大きさではないが、土で地表部分にアリ塚を作る。日本にいる在来アリの中にもヤマアリの仲間にはアリ塚を作る種類もいるためアリ塚を作るからといってヒアリであるというわけではない。このアリ塚を刺激しようものなら、大量のヒアリがうじゃうじゃと湧いてくる。見つけたとしても棒などで突っついてはいけない。
一番の大きな特徴としては、ハチと同様に毒針を持つということである。この毒は量さえあればかなり強力なもので、細胞に対するダメージや溶血性を持つ。それだけでなく、毒であるがゆえに殺菌作用も強い。なお、ヒアリ自体は1匹の大きさが小さいため、一回刺した際に注入できる毒の量はほんの微量でしかない。刺された際にはヒリヒリとした熱さを感じるような痛みや痒さを発生させ、周囲の細胞が死んでしまうことによって化膿させる。
なお、死亡例のほとんどはスズメバチ同様「アナフィラキシーショック」によるものである。発症率はそれほど高いというわけではないが、刺されてから10分くらいすると発症してしまう。呼吸困難や神経障害などを引き起こし、適切な処置を行えなければ死亡してしまう。基本的にはアレルギーによるものなので、処置としてはエピペンや抗ヒスタミン剤を用いることになる。
刺された際の症状には個人差があり、軽度であれば刺された場所を水で洗い流した上で市販の虫刺されの薬で処置が可能。重傷となるアレルギー反応を起こさなければそれほど危険というわけではないが、事前にアレルギー反応を起こす体質なのかどうかを知ることができないというのが恐ろしいところである。
なお、「ヒアリをアリクイに食べさせればいいんじゃないか」ということを考える人もいるかもしれないが、アリクイが食べるのはアリよりもシロアリ(ゴキブリ目シロアリ科)であるため、飼育下の個体ではアリを食べ過ぎると体調を悪くすることもあり得る。(東京ズーネットの記事より)
ちなみにアリクイは中南米に生息する動物であるため、野生下ではヒアリを食べることもあり得なくはない。ヒアリの毒に慣れている個体なら大丈夫かもしれないが、そう簡単にはいかないようである。
2017年に、初めて日本での流入が確認された。最初に確認されたのは5月、神戸港において中国から輸送されてきたコンテナに入り込んできたことで初めて確認された。
7月14日においては、横浜港の本牧ふ頭のコンテナヤードにて、アスファルトの割れ目から700匹以上のヒアリが確認された。ここまでの数になっていると繁殖及び女王アリの存在が疑われており、毒餌を使うことやアスファルトの割れ目を塞ぐといった水際での処理が行われている。
7月27日には、福岡県福岡市博多区において、会社敷地内において中国から輸送されてきたコンテナ内で作業していた男性従業員がヒアリに刺され軽傷を負った。これが初めてのヒアリに対する人的な被害となった。
現状、基本的には港湾部や運送の拠点といった場所でしか確認されていないが、適切に処置できなければ恐らく日本全土へ広がってしまうのではないかと思われる。
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最終更新:2024/09/16(月) 01:00
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