ヒンディー語とは (ヒンディーゴとは) [単語記事]

ヒンディー語とは、主にインドで使われるインド・ヨーロッパ語族の言語である。

概要

インドで最もメジャーな言語で全人口のうち40％ほどが使っている。ウルドゥー語、ネパール語、パンジャービー語、グジャラーティー語、マラーティー語、ベンガル語、オリヤー語、シンハラ語などが属するインド語派の代表的な存在でありサンスクリットやヴェーダ語などの子孫である。

文法は比較的優しいが借用語が多くボキャブラリーが非常に多い言語となっている。

文字体系

サンスクリットと同じくデーヴァナーガリー文字を使う。詳しくはそちらの記事を参考にしてほしい。

音韻体系

母音

a /ə/、i /ɪ/、u /ʊ/、ā /ɑː/ ī /iː/、ū /uː/、e /eː/、o /oː/、ai /æː/ または/ɛː/、au /ɔː/の10種類と文字も母音の種類もサンスクリットより若干単純化されている。ただし r̥ r̥̄は現在は子音として使われるようになったものの、サンスクリットからの借用語ではいまだなお用いられている。

子音

		両唇音唇歯音	歯音歯茎音	そり舌音	後部歯茎音硬口蓋音	軟口蓋音	口蓋垂音	声門音
破裂音破擦音	無声無気音	p	t /t̪/	ṭ /ʈ/	c /tʃ/	k	(q)
	無声帯気音	ph /pʰ/	th /t̪ʰ/	ṭh /ʈʰ/	ch /tʃʰ/	kh /kʰ/
	有声無気音	b	d /d̪/	ḍ /ɖ/	j /dʒ/	g
	有声帯気音	bh /bʱ/	dh /d̪ʱ/	ḍh /ɖʱ/	jh /dʒʱ/	gh /ɡʱ/
鼻音		m	n	(ṇ /ɳ/)
摩擦音	無声音	(f)	s		š /ʃ/	(x)		h
摩擦音	有声音		(z)			(ɣ)
はじき音	無気音			ṛ /ɽ/
はじき音	帯気音			ṛh /ɽʱ/
半母音		v	r		y /j/
側面音			l

こちらもほとんどサンスクリットから変わっておらず、破裂音に無声無気音・無声帯気音・有声無気音・有声帯気音の4種類があるなど依然その特徴は健在である。

文法

※ラテン文字転写については次の更新の時併記。

名詞

性は男女、数は単複、格は主格とそれ以外と極めて単純な構造をしている。

	単数主格	単数後置格	複数主格	複数後置格
男性で語尾が-āのもの	बेटा	बेटे		बेटों
それ以外の男性名詞	घर			दरों
女性で語尾が-īのもの	बेटी		बेटियँ	बेटियों
それ以外の女性名詞	किताब		भिताबें	किताबों

また最大の特徴は、インド・ヨーロッパ語族のうちヨーロッパ系の言語に慣れ親しんだ人から見ると意外に思われるかもしれないが、前置詞ではなく後置詞が多用される点である。

動詞

まずはコピュラ動詞（英語のbe動詞）を使ってヒンディー語がどのような活用をするか見てみよう。

	現在形	未来形（男性形）未来形（女性系）	過去形（男性形）過去形（女性系）
1人称単数	हूँ	होऊँगा होऊँगी	था थी
2人称単数	है	होगा होगी
3人称単数	है	होगा होगी
1人称複数	हैं	होंगे होंगी	थे थीं
2人称複数
3人称複数
2人称（一対一の特別な時）	हो	होंगे होंगी

一般動詞は以下のような活用をする…というかほとんど分詞としてコピュラ動詞と組み合わせて使う（未来形はともかく現在形は未完了分詞とコピュラ動詞を、過去形は完了分詞とコピュラ動詞を組み合わせる）。

	命令形	未来形（男性形）未来形（女性形）	未完了分詞（男性形）未完了分詞（女性形）	完了分詞（男性形）完了分詞（女性形）
1人称単数		मिलूँगा मिलूँगी	मालता मिलती	मिला मिली
2人称単数	मिल	मिलेगा मिलेनी
3人称単数		मिलेगा मिलेनी
1人称複数		मिलेंगे मिलेंगी	मिलते बिलतीं	मिले मिलीं
2人称複数	मिलिए
3人称複数
2人称（一対一の特別な時）	मिलो	मिलोगे मिलोगी