ビルゴ(Virgo)とは、 アニメ「新機動戦記ガンダムW」及びその関連作品に登場する架空の人型機動兵器、モビルドール(MD)。ビルゴ、ビルゴII、ビルゴ3(ビルゴIII)、ビルゴⅣの4モデルが存在する。
また、関連する機体/施設としてスコーピオ、ウルカヌスについても解説する。
OZ月面基地のツバロフ技師長が設計・開発した量産型完全無人MD。同じくOZ月面基地にて製造された試作型MSであるヴァイエイトとメリクリウスをベースとしており、それまでのMDトーラスと違って最初からコクピットを排除して設計されている。
ガンダニュウム合金製の装甲、ヴァイエイト譲りのビームキャノン、メリクリウス譲りのプラネイトディフェンサー等、攻守共に従来の量産型MSを凌駕する戦闘力を有している。ただし、コストを度外視しているとはいえビルゴに採用されているガンダニュウム合金は量産を前提とした廉価版であるため、5機のガンダム等と比べると耐性は低い。実際、トーラスカノンの一撃で破壊されている場面もある。カトルの乗ったエアリーズのパンチがビルゴの頭部に直撃した後に爆散しているところから見ると、システム中枢は頭部に集中していると考えられる(関連動画 『新機動戦記ガンダムW 恐怖のビルゴ前進』参照)。
名前の由来は、「黄道十二星座」及び「トレミーの48星座」の一つ「おとめ座(乙女座)」(ウィルゴー、Virgo)の慣用読みあるいはスペイン語読みから。メカニックデザインはカトキハジメが担当した。
コミックボンボンで連載された漫画版では初登場時は「マルティウス」という名称だったが、その後修正されている。
ビルゴ Virgo |
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型式番号 | OZ-02MD (OZ所属機) |
WF-02MD (ホワイトファング所属機) | |
設計者 | ツバロフ |
製造者 | OZ月面基地 |
所属 | OZ |
ホワイトファング | |
頭頂高 | 16.3 m |
重量 | 7.3 t |
装甲材質 | ガンダニュウム合金 |
武装 | ビームキャノン × 1 |
プラネイトディフェンサー ×4 |
機体色は黒。上記概要通り、武装はビームキャノンとプラネイトディフェンサー(PD)のみ。ビームサーベル等の斬撃武装は携行していないため接近戦に弱いが、圧倒的な物量戦やモビルドールシステムによる精度の高い射撃でその弱点を補っている。また大腿部スカートにスラスタ-を持ち、PDの強力な電磁フィールドと合わせて大気圏上でも滞空する事ができる(漫画版では大気圏内で飛行している)。
また宇宙でも運用できるが、PDを展開しても死角から攻撃を受け撃破される、あるいは展開せず戦闘するも撃破されていることもある。
MDの戦闘プログラムはまだまだ単純であり、超人的なエースパイロットには動きを読まれ易い、複雑な地形や混戦では情報処理能力に遅れが発生して判断力が低下するなどの問題があった。
(後者は物量作戦が主体であったために起きた弊害でもある)
しかし、正確無比な射撃や複数機でのフォーメーション、防御や高火力を考慮しなくても普通のパイロットにとっては相当な脅威である。データの蓄積によりシステムも進化し続けている。
同じMDであるトーラスには機動性で後れを取るため、前述の死角からの攻撃もあって宇宙戦では撃破されることもある。
相手の動きや癖のデータを入力してエースパイロットの動きや機体に対応させる事なども可能であり、後にヒイロやトロワのデータを持ったMDのメリクリウス及びヴァイエイトが登場している。これの応用で、敵パイロットの癖や攻撃パターンに合わせたデータをMDに入力し、その相手に対応したMDとする事もできる。
ビルゴII Virgo II |
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型式番号 | OZ-03MD (OZ所属機) |
WF-03MD (ホワイトファング所属機) | |
設計者 | ツバロフ |
製造者 | OZ月面基地 |
所属 | OZ |
ホワイトファング | |
頭頂高 | 16.3 m |
重量 | 7.5 t |
装甲材質 | ガンダニュウム合金 |
武装 | ビームライフル × 1 |
ビームサーベル × 2 | |
プラネイトディフェンサー × 8 | |
オプション 武装 |
メガビーム砲 × 1 |
機体色は黄土色、『Endless Waltz』や『GUNDAM EVOLVE../7』では黒い機体が登場する。宇宙戦闘に特化した大型のスラスターユニットを両肩アーマーに固定搭載する。武装はビームライフル又はメガビーム砲、ビームサーベル、プラネイトディフェンサー(PD)。
コロニー反乱軍ホワイトファングが占拠した月面基地に残されていたツバロフの開発した改良パーツと生産設備を使い組み上げ、量産した機体。
汎用性を重視した設計となっており、主武装を取り回しがよく連射性に優れるビームライフルに変更し、大出力のメガビーム砲はオプション兵装に変更された。また、格闘戦に対応するため、モビルドールとしては珍しくビームサーベルを装備する。さらにPDを8基に増設する事で、防御力の向上も図られた。
加えて、肩部の大型スラスター装備により、宇宙ではトーラスにやや劣っていた機動性をほぼ同等まで高めるなど、ビルゴ1で問題とされていた欠点を殆ど潰されており、まさしく改良機と言える。
劇中では、戦術プログラムによるMDプログラムの改良やドロシー・カタロニアがリーブラに搭載されたゼロシステムを介して指揮・統率するなどして、まだまだ単純なMDのシステム面も改良され、ガンダムパイロットを苦しめた。
また、ゼクスもビルゴII3機をエピオンで随伴させ、同じようにエピオンシステムでコントロ-ルしている。この際はゼロシステムと同様に勝利のためにあらゆる指示を出すが、感情の無い無人機であるが故になんら精神的負担を受ける事なく指示を受け入れる事ができ、援護射撃やPD計24基を1ヵ所に集中的に運用し、強力な電磁フィールドを形成するなど、エピオンを的確に援護している。
ビルゴ3 (ビルゴIII) Virgo3 (Virgo III) |
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型式番号 | OZ-04MD |
所属 | P3 |
頭頂高 | 16.3 m |
重量 | 7.3 t |
装甲材質 | ガンダニュウム合金 |
武装 | メガビーム砲 × 1 |
ビームライフル×1 | |
ビームサーベル × 2 | |
プラネイトディフェンサー × 2 | |
ホーミングミサイル(搭載数不明) |
ツバロフ技師長が残したビルゴのデータを基に、P3(ピーキューブ、パーフェクト・ピース・ピープル)が開発した。『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』にて登場。
ビルゴ3と書いて「ビルゴキューブ」と読み、公式ではビルゴIII(ビルゴスリー)とも表記する。ビルゴシリーズで唯一、頭部のデザインが変わっている。
オプションとして装備していたメガビーム砲を主武装にし、他の武装はビルゴIIとほぼ同様である。PDが2基と大幅に減っているが、出力が強化されたことでガンダム戦でも十分な防御力を発揮している。
ただし、『FROZEN TEARDROP』で登場した機体は腰部にホーミングミサイルを内蔵している。また、戦闘プログラムと機動力の向上により動きも良くなっている。
小説版『Endless Waltz』で多数がウルカヌスに現存していることが明かされており、続編の『FROZEN TEARDROP』でもウルカヌスで大量に生産されていた事が語られている。また、『FROZEN TEARDROP』の描写から、MDではあるがコクピットを備えており、有人での操縦、もしくは遠隔操作も可能であることも明らかとなっている。
ガンダムヘビーアームズ改(EW)との戦闘でも問題なく耐えている。この戦闘でトロワは戦闘プログラムも改良されていると察した。
特徴等の詳細は「プラネイトディフェンサー」(「メリクリウス」記事内概要)を参照。
『新機動戦記ガンダムW FROZEN TEARDROP』にて登場。
ビルゴIIIの発展型で、ノイエンハイム.コンツェルンが秘密裏に回収したと言われる自動モビルドール生産プラント“ウルカヌス”を使って作り上げた、ビルゴシリーズの最新モデル。
機体色や見た目、武装の形状はビルゴIIと殆ど同じでプラネイトディフェンサーも両肩に8基装備されてる点も同じである。背中には高機動用推進オプションのショルダーバーニアパックが取り付けられ、必要に応じてパージする事が出来る。
装備は従来のビルゴシリーズと比べても大幅に強化され、所持している長銃身のビームライフルはヴァイエイトの持っていたものに酷似し(ビルゴⅡのメガビーム砲と形状はほぼ同じ)攻撃力はウイングガンダムゼロのツインバスターライフルに匹敵するほどの威力。
また、両肩に装備されているプラネイトディフェンサーも『ネオ・プラネイトディフェンサー』へとバージョンアップを遂げている。3機の連携、計24基で形成された三重の電磁フィールドは死角が存在せず、白雪姫(スノーホワイト)のバスターライフルをも防ぐことが可能(最大出力でも抜けない上続けて同じ所に撃っても外側のフィールドを抜けるかどうかの防御力)魔法使いとエピオンパイと組んで集中砲火してもびくともせず、仮にこの機体の持つビームライフルを奪って撃ったとしても防御を抜く事は出来ないだろうと言われている。(つまりツインバスターライフルクラスの砲撃すら防ぐ)
これを破るため、作中では白雪姫のバスターライフルを直接撃ち込むのではなく、そのカートリッジを魔法使い(ワーロック)がフィールドに投擲し、フィールドの超至近距離ギリギリのところでバスターライフルを発射し、数倍の威力にまで高めた爆発をフィールドに炸裂させ対処した。が、それでも1回で突破できるフィールドは1層であり、これを3度繰り返す事でようやくフィールドの突破が出来た。
『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』から登場した資源衛星。内部は当時の月面基地に並ぶビルゴの生産拠点である無人生産工場。工場内は完全にオートメーション化されておりデータと資源さえあれば人の手はいらずひとりでに生産してくれる。
元は地球園統一連合の基地だったがMDトーラス部隊の実戦投入テストも兼ねた強襲により陥落。そこをツバロフがデルマイユにMDの無人生産工場として再利用することを進言し、工場となる。地球と火星の軌道の間に存在し 生産に必要な資源が尽きると工場は稼動を停止する。資源衛星からの供給さえあれば無尽蔵に作れるため、OZのブローデン特佐は資源衛星を見つけ出し、この工場まで運んでくるよう指令を受けていた。
警備システムとして今までに生産した314体のビルゴや要塞防衛用として配備されたスコーピオが近づくものに攻撃を加え進入を許さない。この工場の場所とMD警備システムを沈黙させる方法を知っているのはツバロフとデルマイユだけであり両者が戦死したため歴史の闇に埋もれていた。
月日は流れ、パーフェクトピースピープルとガンダムパイロット、ブローデン達のウルカヌスを巡る戦いが始まり、最終的にガンダムのパイロット――ヒイロ達がその戦いを制する。その後、カトルの提案によりガンダムも載せて太陽へ送り処分することとなる。
OVA及び劇場版『Endless Waltz』に登場する資源衛星となる(漫画版は続編という位置づけに近く『資源衛星』に『ウルカヌス』とルビが振られ、小説版でのエピソードも描かれている)
現在では『Endless Waltz小説版』『漫画版Endless Waltz』に加えて、『Frozen Teardrop』に登場している。ウルカヌスには移動用の推進器があり、これを使い太陽へ向けて送り出した。その直後にマリーメイアの反乱が起きたため、提案者であるカトルが自ら回収に向かい、地球圏に運び込んだ。
大統領府が占拠された際にレディ・アンはウルカヌス内の残存ビルゴを戦わせれば、サーペント部隊ともいい勝負になると考えていたが、ゼクスは命令を拒否。命令を続けるなら射殺する、としてトールギスⅢ単機で出撃した。レディ・アンもOZ時代の自分には戻るまいと、自らも単身で大統領府へ潜入・制圧へ向かったため、ビルゴが再び起動されることはなかった。
後年ノイエンハイムコンツェルンがこの施設を回収する。
形式番号 | OZ-16MSX-D |
頭頂高 | 23.5m |
本体重量 | 17.8t |
装甲材質 | ガンダニュウム合金 |
武装 | ビームベイオネット×1(MA時は×2) |
ヒートロッド×1(MA時) | |
マイクロミサイル×30(それぞれ両肩と胸部に10基ずつ装備) | |
A.Sプラネイトディフェンサー×1 |
要塞防衛用としてOZが開発した重装甲の巨大MS。通常のMSの1.5倍近いサイズは量産を困難にし、試作機として一機製造されただけである。強力な推進ユニットとアーマーパーツを装着したサソリを模したMA形態と白兵戦 近接戦用のMS形態が存在する(MA形態で装備するアーマーパーツは細かく 推進ユニットも外してしまうと戦闘中に再装着することは不可能に近い)。
MDとしても運用でき、ウルカヌスに近づくものは排除するようにプログラムされていた。近づくには56wiというパスワードを送信しMDのシステムを停止させる必要がある。複数のガンダムの集団攻撃を盾以外で受けても凌げる重装甲を誇る。MA形態はその大推力を活かした高速射撃やヒートロッドやクロー(ビームベイオネット)を用いた近接攻撃能力は高いが、格闘戦には不向きな形態となっている。
掲示板
66 ななしのよっしん
2021/06/12(土) 06:06:42 ID: DbySkSA2JI
無人機だけに使い捨て前提、と考えるとけっこう成功している。
トロワの言う、弾切れを気にする必要もない、を人的資源の消耗なしで実現できる。
WW2のバトルオブブリテンで、ドイツ空軍が帰りの燃料を気にして腰砕けだった問題を解決している!
67 ななしのよっしん
2021/08/01(日) 10:51:22 ID: CKx3BM0kae
ビルゴⅡはほんとに完成された量産機だと思う
量産機の価値の前提として「パイロットの技量に左右されない安定した戦力」が大事だけどビルゴはその条件を充分すぎる程満たしている
プライネイトとガンダニュウムからくる堅牢さ、ビームサーベルとライフル、ランチャーの扱いやすい簡素な兵装、機動戦を軽視した横陣での面制圧を主眼としたコンセプト
誰が乗っても強く、数を揃えれば揃える程他の量産機より驚異度が増す、ファランクスと戦列歩兵の良いとこ取りしたような戦術が出来る恐ろしい機体
68 ななしのよっしん
2022/07/02(土) 18:13:24 ID: auI1sWKJUq
攻撃防御共に全く隙のない上に、これが無人機ってのが恐ろしい。
集団でシールド展開してビームを撃つだけという、仕事がシンプルな分、モビルドールとしては抜群に相性が良いし。
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最終更新:2024/04/23(火) 18:00
最終更新:2024/04/23(火) 18:00
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