エイガヘノボウトク
ファスト映画とは、著作権者に無断で映画の場面写真や勝手スチール、本編映像などを用いて結末部分までのストーリーを10数分程度に纏めた動画の総称である。
数年前に問題となった「まとめサイト」「キュレーション」の映画版とも言える違法性の高い動画。
ファーストムービー、ファーストシネマなど他の名称で語られることもある。
“ファスト”とは英語で早い事を意味するFastから来ているとされ、ほぼ和製英語である。
動画そのものの内容は、パンフレットのスチール写真や、DVDやBlu-rayなどから取り込んだ本編映像を交えながら字幕やナレーションで映画の内容を解説しているような動画を指す。
このような映画紹介動画は、動画サイトの黎明期から相当数存在しており、ニコニコ動画でも「メタルマン」をネタにしたB級映画紹介動画が人気を博したこともある。ニコニコではゆっくり解説などで映画以外にも漫画や音楽などでこの形式がよく見られる。これらは主に「一般的な知名度に欠けるツッコミがいのある映画を笑いのネタの一つとして紹介する」といった意味合いも強かった。実際、こういった動画での紹介が元でさっぱり売れなかったDVDがヒットに至ったケースも少なからずある。
しかし、新型コロナウイルス騒動で、Stay Home推奨の影響で動画サイトの需要が高まり、『本編映像を勝手に使う』『ストーリーを伏線や結末まで含め全てネタバレしてしまう』といった点が2020年代に入って問題視されるようになり、2021年には著作権法違反容疑による逮捕・裁判に発展。2022年には大手映画会社13社による訴訟が起きるなど、企業もファスト映画の根絶に向けて動き出している[1]。
前述したように、知られざる名作・珍作の紹介という需要から肯定される一面も少なからず存在していたが、いざ「映画館に行きたくても行きにくい状況下」という2020年代初頭においては、映画関係者にとってこのような動画の存在は死活問題である。
即ち、「ネタバレ動画であらすじを大方知ってしまえば、後は話を合わせれば観たことにできてしまう」という点に危機感を抱いており、映画そのものを映画館に観に行かない、映像ソフトやオフィシャルな動画配信の売り上げなどにも響くことで映画館、映画関係者にお金を落とさないといった違法ダウンロードや盗撮被害などと同じような問題が起こりえる、ということが問題視されている。実際、動画再生数が100万回を超えているようなファスト映画も存在している。
しかしながら、数分程度の中身を紹介して「続きは映画館で観よう」といった編集がされているものもあったり、単に感想を述べているだけ、引用の範囲内といった部分も指摘されており全てのファスト映画を扱った動画が悪かと言うとそれも難しい点である。
また、一概に“動画だけ”が悪とも言えず、例えばこのニコニコ大百科やWikipediaといったインターネット上の百科事典には無数の映画記事が存在し、パブリックドメインソフトなどであれば本編のスチールショットが入っていることもままある。そして、それらの概要部分にはおおまかなあらすじ以外にもパンフレットやDVDの特典映像に収録されているような制作秘話が丸ごと転載されていることも少なくない。
動画でなくとも、おそらくこういったネット百科であらすじを読んで「観たこと」にしてしまう層も少なからず存在すると思われる。
2021年7月現在では、ファスト映画の動画のみが問題視されているが、そう遠くない将来にブログやまとめWikiなどでの紹介にも、ある程度の規制やルールが設けられる可能性はないとは言えない。
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最終更新:2022/06/28(火) 17:00
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