ファミうたとは (ファミウタとは) [単語記事]

ファミうたとは、ファミコンなどのゲーム曲に歌詞をのせて歌の事である。歌詞を伴わないアカペラ曲もこれに含まれる。単純に昔のゲーム曲を歌ったものという意味で用いられる場合も多い。

概要

タグとしてはほぼVOCALOID専用タグとして機能しているが、人が歌ったものもある。範囲としては、スーパーファミコン・ゲームボーイあたりまでのゲーム機の曲が対象となっている。大きく分けて替え歌と全部ボカロの2ジャンルがあり、あるいはその合わせ技の動画が基本となっている。また、アレンジ曲にはあまり対象となっていない傾向がある。

定義に従えば、ニコニコでもっとも有名なファミうたは「思い出は億千万」や「エアーマンが倒せない」であろうが、このタグは付けられていない。バンドアレンジやポップスアレンジはあまりファミうたとみなされないようで、基本的にチップチューン風味にVOCALOIDに歌わせたものが「ファミうた」と認識されていると思って良いだろう。また、それより以前にFF6のオペライベントをMEIKOに歌わせたものも有名である。

初音ミク登場直後に一世を風靡したファミうただったが、現在はブームが過ぎ去りかつてに比べては投稿数が激減しているが、なおも、ファミうたの魅力に取り付かれた一部の投稿者により、少しずつ動画数が増えつつある状況である。

VOCALOIDでのファミうたの元祖は、VOCALOID ブーム以前からMEIKOでのファミうたを投稿してきた不在通知Pということになるだろう。不在通知Pとともにファミうたを有名にした人物にワンカップP、ドンフライP、Samaなどがいる。まくしますPやBlack Knightなどが定期的に作品を投稿し続けているほか、近年ではドキドキしたPが高頻度に動画を投稿し、ファミうたのジャンルを引っぱっている。

有名な作者とマイリスト

有名曲の投稿者、または投稿数がかなり多い方を掲載。特定の名称のない方はニコニコのユーザー名で紹介していますが、名無しとして活動するというポリシーの方の可能性もあるので、そのように扱った方がいいかもしれません。なお、掲載順は活動開始時期の早い順となっています。

P名・ユーザー名	マイリスト	作品傾向	偏見による寸評
不在通知P	マイリスト	替え歌	ファミうたの世界を切り開いたP。
ワンカップP	マイリスト	替え歌	自由な替え歌がステキ。FC曲多し。
SaMa	マイリスト	替え歌	ミクにSaGaのキャラを演じさせる替え歌が持ち味。
まぴ	マイリスト	全部ボカロ	FC曲中心。メドレー中心。
まくしますP	マイリスト	全部ボカロ	FC曲多し。あとゲーマーミクがかわいい。
ドンフライP	マイリスト	替え歌	おなかすいたうたで有名。替え歌も腹ペコネタ多し。FC曲多し。
匿名希望（かくしなのぞみ）	マイリスト	全部ボカロ	FC曲中心。メドレー中心。
右上P	マイリスト	全部鳩	ぽぽぽ系。FC・古いPC曲中心。
futhark	マイリスト	全部ボカロ	スクウェア黄金期の曲中心。
Black Knight	マイリスト	全部ボカロ	古いPCゲームの曲が多い。最近はMMDで活躍。
ドキドキしたP	マイリスト	替え歌	AC-FC曲中心。ゲーム内容に即した替え歌が持ち味。

ファミうたの特徴

ファミコン音源は2chの矩形破と1chの三角波とノイズとDPCM音源からなる。多くのメモリを要するDPCMを除く4chを以下のように割り当てると、ポップミュージックの標準的なカルテット編成を再現できるという事になり、多くのファミうたはこのカルテット編成を基本とした曲構成となっている。

矩形波ch1	矩形波ch2	三角波	ノイズ
ボーカル	ギター・サブボーカル	ベース	ドラム

もっとも、単純な音色の矩形波と三角波で通常のポップミュージックを再現しようとしても自ずと限界があり、それゆえファミうたの作曲家達は単純なポップミュージックの追従に走る事なく、むしろ様々な技巧を生み出す事によってファミコン音源による新しい音楽の世界を切り開いていった。それらの技法のいくつかを列挙すると次のようになる。（こららの特徴は必ずしもファミうたのみ特長ではなく、同様にシンセサイザーを使った音楽にもしばしば見られる技法である。）

実演困難な超高速演奏
頻繁な仮想パートチェンジ
音源の制約による不完全な三角波の特徴的な音の歪み
同時発音数の少なさを補うための超高速アルペジオ(分散和音)
演奏域の音数を増すためのベースの音域ジャンプ
同じ矩形波を同じタイミングで使う事による完璧なハモリ・ユニゾン
超高速トレモロによる別音色の演出
微妙に周波数をずらした音を重ねるデチューンによる演出
音色を効果音に転用するための音欠け

このようなファミコン音楽にゲームボーイなどの他の類似音源による音楽を包含したものをチップチューンと呼び、一つの音楽ジャンルとして認知されている。このような特徴を表現する一つの言い回しが「ピコピコ」であり、ニコニコ動画においても動画のタイトルやタグなどに採用されている事が少なくない。

そして、ファミうたの典型はこのようにチップチューンとして作曲された曲をその特徴をそのままにVOCALOIDに歌わせるものである。もちろん、ファミコン音楽を歌う曲は以前からあったものの、チップチューンの音楽は人間には歌唱・演奏が困難な場合が多く、その場合は普通の曲として編曲して対応していたわけだが、VOCALOIDはそれを無理やり歌い下す事を可能としたのであり、また、初音ミクの声がファミコン音源と相性がよかったり、ファミコン音源のきついパート数制限がボカロと類似していた事もあり、初音ミク登場直後のニコニコにファミコンの音楽の替え歌やそのままアカペラとして歌った動画が大量投下され一世を風靡したのである。