ファントムガンダム(EMS-TC02 ファントム)とは、漫画「機動戦士クロスボーンガンダム ゴースト」の主役モビルスーツである。後に改修されXM-XXの型式番号とゴーストガンダムの名が与えられる。
正式名称はファントムだが、ニコニコ大百科ではこちらの名称を用いる。
PHANTOM ファントム |
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型番 | EMS-TC02 |
所属 | 木星共和国 (サーカス→蛇の足) |
全高 | - |
重量 | - |
搭乗者 | フォント・ボー ハロロ(少女人格AI) ベルナデット・ドゥガチ |
備考 | ファントムライト |
兵装 | フレイムソード |
フレイムライフル | |
バタフライバスターB | |
多目的攻撃兵装・クジャク |
木星共和国タカ派のガス抜きとして、ユピテル財団が開発を認可した一騎当千機「サウザンド・カスタム(サーカス)」の2号機。サーカスとは、大げさに言えば「千対一」の状況に置かれようが戦闘を行える機体。すなわち「一騎当千」を開発コンセプトにおいた特殊機のことを指す。
本来、サーカスの開発プロジェクトは木星のタカ派のガス抜きのために要求スペックをとんでもなく上げて開発を難航・頓挫させるつもりで、開発を許可したプロジェクトであったが、木星開発陣は要求に応えある程度の成果を上げつつあった。曲芸団(circus)がモチーフになっているがスペルが違い、こちらは形式番号はems-tc(empire.mobile.suit .thousand .custom)である。
宇宙戦国時代と呼ばれたU.C.150年代ではコロニー国家群は地球連邦軍という強大な後ろ盾を得ない程に繁栄していたが、それでも自給可能ギリギリな状態でしかなく、この停滞状況を打破しうる国力を得るために他コロニー国家を侵略し始めた。
木星やコロニー国家には地球連邦軍と違って資源の不足という背景があるため、限られた軍の規模で多大な戦果を挙げる事が求められた。つまり、量より質に重点をおいた機体こそが必要とされたのであった。
ファントムはF99「レコードブレイカー」と「アマクサ」の設計データを掛け合わせて開発した惑星間航行用可変モビルスーツである。
ファントムにはF99で初めて採用された小型化ミノフスキードライブを搭載し、亜光速の巡航速度で、単独で木星園から地球に航行することを目標に開発されたとされた。地球との有事の際に単独で連邦の要所を襲撃するという、テロ攻撃をも想定したMSであった。
開発はユピテル財団とは異なるタカ派中心で行われ、バイオコンピューターとミノフスキードライブの解析方法をある程度知るパピヨンや林檎の花の開発に携わった元サナリィ技師(F99喪失事件以後サナリィは光の翼の事業を縮小し、事業を続けたいものは木星の招致に応じた)は開発を難航させるという意図もあって、碌に協力しなかったと思われる。
ファントムにはF99と木星系OSの2つの制御系統が存在する。 木星側はF99に採用された「バイオコンピュータ」の解析が進んでおらず、さらに木星OSとの相性が悪いこともあり、起動自体が不可能な状態にあった。本来はバイオコンピューターで動かなくても木星OSで動かせばいいという保険のために積んだがそれが仇になり、まともに機体制御をできない状態で放置されていた。
フォントが作った擬似人格AIの少女「ハロロ」の制御サポートで機体の作動には成功するも、未だバイオコンピュータ側の起動が不完全であり、完全には性能を発揮できなかった。
戦闘中に追い詰められたフォントはベルが遊んだ「あやとり」から起動のヒントを得て、土壇場でバイオコンピューターの配線を繋ぐことに成功する(FPGAのようなものだと考えられる)。奇しくもその光景は、原初のバイオコンピュータ搭載機「ガンダムF91」の起動に纏わるエピソードと同じだった (バイオコンピュータ開発者の一人モニカ・アノー博士は、家族との絆であるあやとりを配線に取り入れていたとされる)。
ファントムガンダムという名は搭乗者のフォント・ボーが(心の中で)そう呼んでいたことによる。重度のガノタメタオタクのフォントは、顔がガンダムタイプの形状を模しているファントムを、伝説のMSで呼んだ。
ザンスカール戦争期に至ってもミノフスキードライブは未成熟の技術であり、背部バインダーからミノフスキー粒子の余剰エネルギーを翼状に放出する現象が見られた。この現象は「光の翼」と呼ばれ、パイロットの柔軟な発想で攻撃や防御にも用いられた(SEED世界のヴォワチュール・リュミエールも同じように光の翼と呼ばれる)。
パーツ単位での噴射実験はある程度成功したが技術面の未熟さから ファントムの場合「光の翼」の放出すらも不安定な状態にあるため、全身に小型の噴射口を設置し、収束が安定しない粒子をIフィールド発生装置を増設して強引に制御するという方法を取った(噴射口はサブスラスターも兼ねている)。光の翼のビーム粒子からカメラを保護するためツインアイ状のフェイスだが中身は木星MSのモノアイである。
これが不安定な力のぶつかり合いを助長させ、影響を受けた「光の翼」は炎が揺らぐ姿の様になる。
ファントムライト発動状態では「Iフィールドの嵐」を全身に纏い、ビーム防御もより強力な物となる。
この“嵐”とも形容される強力なIフィールドが、同様にIフィールドをビーム刃の収束・形成に利用するファントム自身のビームサーベルをも歪めてしまう。ファントムライトで全身に纏う光の翼と同じく、ビームサーベルのビーム刃も炎が揺らめいているように収束・形成が安定していない事が「フレイムソード」の由来となっている。
かつてのクロスボーンガンダムのビームサーベルを手の平で掴み拡散させる戦い方も見られ、貫通の恐れがあるヴェスバーに関してはIフィールドをフルパワーで前方に展開してビームを分散させて対処していた。
機能の仕様にあたって放熱問題が解決しておらず、二段階の強制放熱機能(フェイスオープン)を使用しても放熱し切れない(追いつかない)という欠点が残った。
ミノフスキードライブの展開で機体全体が熱を帯び、結果として全身に負荷をかけてしまい「15分」でオーバーヒートを起こす。対策としてファントムは一発限りの冷却剤を備えるが、使用してもまた15分の限界時間が待っているため、まさに奥の手というべき機能なのである。
タカ派から開発を急かされ、泥縄の対処法の開発の末なんとかある程度の形になったファントムだが、本来の惑星間高速移動能力機の用途ととしては失敗となってしまった。しかし、圧倒的なビーム防御力とミノフスキードライブによる高速移動はサーカスの機体に恥じないものである。
ガンダムエース2014年9月号にて判明した、ファントムに秘められし惑星間移動用としての巡航形態。
機体整備中にフォントが構造を独自に調査し、TMSの可変構造を持つ事が発覚。いわく、光の翼の放出が上手くいかなかったために開発者がTMSを諦め、内部構造に数ヵ所物理的なロックをかけていた。故に作中でフォントはこの変形機能を阻害するロックをサーベルで破壊して変形を可能とさせたのである。
しかし初変形では急場の無理な変形を行うため、ファントムへ自傷行為(切腹)を強いることになった。
劇中では初披露となった作戦において、衛星軌道上からの核ミサイルの迎撃の為、大気圏を単独で離脱。さらに後ろに回り込んでミサイルに追いつき、並走させて迎撃を行っている(当初、フォントは急接近からのミサイル撃破も考案していたが相対速度がマッハ23を超える事により反応・迎撃が困難とされ、いわく絵空事に他ならない)。この時フォントに求められた判断力・思考といった「脳の処理速度」は個人の限界を超えてしまい、後々影響を及ぼした。
「蜃気楼鳥(ミラージュ・ワゾー)」への無理強引な変形、そこからの超音速域での核ミサイル迎撃は、ファントムの機構に大きなダメージを与えてしまう。心身共にダメージを負った本機の乗り手(フォント)もベルを連れて脱走しており、搭乗者不在の中で改修される事となる。
改修には“幽霊船”で見つかったクロスボーンガンダムの補給パーツと、外惑星探査で発見した希少金属を使用。ファントムは木星系の機体だが、元はフォーミュラ系統のF99“レコードブレイカー”の設計データを盗用して異なるMS(アマクサ)とかけあわせた機体であり、クロスボーンガンダム(F97)の転用は可能だった。
全身を銀色の特殊金属で覆っており、耐ビームコーティング・リアクティブアーマーとして耐弾性と耐ビーム性能を向上させている。さらに頭部のマスク部はスリットが入ったものに変更され、よりガンダムらしい顔つきになった。
蜃気楼鳥形態での航行性能向上とファントムライト稼働効率の見直しを図り、腰部サブ・スラスターを新造式に変更し、脚部リア・アーマーのダクトを大型化している。
航行性能向上に伴い、コクピット内には外惑星探査で発見した物質を用いた特殊な混合液を満たし、この液体に電力を通して急激なGに対応できるようにしてある。(この液体はカーティス一行のX-0やVガンダム等にも導入されている。)
バックパックは形状を変更して兵装固定用ジョイントアームを新設。また今まで一つしか持たなかった緊急冷却用カートリッジが増量され、バックパックにベルトマガジン式に繋げて搭載してある。
最終戦においては、ミダスのジャミング攻撃に対応するために複数の系統のアイセンサーが追加され、まさに眼帯をつけた幽霊船長とも言うべき外観であった。
武装面では、腰のサブスラスターから放出される粒子をIフィールドで制御収束させる事でビームライフルに転用しようという試みが為された。だが粒子放出のコントロール不全により結果として射線が不規則に曲がる弾道予測の不可能な、銃としてはある意味致命的な欠陥を抱えた代物になってしまった。
不規則な軌道を描く独自のビームライフルはフレイムライフルと呼称されている。
しかし視点を変えてみれば、狙われる側の回避も困難という事でもある。不規則に曲がる故に確実な回避行動は完全に不明。以前に回避できた動きが次も通用するとは限らず、パイロットへのプレッシャーは過大な物となる。
また、機体の最大出力時にはサブスラスターのみならず、全身の粒子放出ダクトまでもビーム砲にして全周囲に放出するという荒技も見せつけた。
ゴースト最終話のU.C.168年頃にはファントムガンダムの機体色に戻されている。
かつてクロスボーン・ガンダムX-0は「存在しない筈の機体」としてゴーストと呼ばれた。その名はファントムの改修機へと受け継がれ、時が経って人伝いに広まっていく内にやがてフォントを指すようになった。
U.C.168年─── ファントムガンダム再起動。
この時にゴーストの名をフォントが継いだため、再びファントムと呼ばれる事になる。
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最終更新:2024/04/24(水) 06:00
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